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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W33 |
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管理番号 | 1400824 |
総通号数 | 20 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2023-08-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2022-09-15 |
確定日 | 2023-08-06 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6584358号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6584358号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第6584358号商標(以下「本件商標」という。)は、「DIKA」の文字を標準文字で表してなり、令和4年2月21日に登録出願、第33類「清酒,焼酎,合成清酒,白酒,直し,みりん」を指定商品として、同年6月20日に登録査定され、同年7月7日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する登録第2502880号商標(以下「引用商標」という。)は、「DITA」の欧文字及び「ディタ」の片仮名を上下二段に表してなり、平成2年7月18日に登録出願、第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同5年2月26日に設定登録され、その後、指定商品については、同16年6月30日に、第33類「洋酒,果実酒,日本酒,中国酒,薬味酒」とする書換登録がされたものであり、現に有効に存続しているものである。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消されるべきものである旨申立て、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第154号証(枝番号及び欠番を含む。)を提出した。 1 引用商標の周知性について (1)申立人について 申立人は、1975年に誕生した、フランスの世界的酒造メーカーである(甲3)。 申立人は、現在では、世界のトップ100のスピリッツブランドのうち17のブランドを保有しており、160カ国に240以上のプレミアムブランドを販売する業界有数の著名で幅広い商品群を有している(甲7、甲8)。 申立人の擁するブランドは、世界的に高く評価され、各国において多数の賞を受賞し(甲9)、2022年6月期の売上は84億4800万ユーロ(日本円で約1兆2326億円)、経常利益は22億6000万ユーロ(日本円で約3284億円)にのぼり(甲10)、プレミアム&プレステージ・スピリッツ部門では世界No.1の地位を築いている(甲3)。 申立人は、現在、全世界に96ヶ所の製造拠点、86ヶ所の販売拠点を置いており(甲11)、日本においても、1990年に現地法人としてペルノ・リカール・ジャパン株式会社(以下、「ペルノ・リカール・ジャパン」という。)を設立し、東京に本社を置くほか、全国に8つの営業所を置くなど(甲12)、全世界の中でも特に日本の市場を重視して事業を展開している。 (2)「DITA」について 申立人は、1980年代後半から、世界三大美女の一人、楊貴妃が愛したことで知られるライチをリキュールと融合させた新しいお酒の研究を開始し、1989年に完成したこのお酒は、世界初のライチ・リキュールとして、まずはフランスにおいて「SOHO(ソーホー)」という名称で発売され(甲50)、エレガントで個性的な風味がたちまち評判となり人気のお酒となった。フランスでの発売から2年後の1991年、申立人のライチ・リキュールは、ペルノ・リカール・ジャパンにより、「DITA LYCHEE(ディタライチ)」という名称で日本でも販売が開始された(甲13、甲14、甲67)。 「DITA(ディタ)」という名称は、申立人の造語であり、語呂のよさ、日本人にとっての発音の容易さ、ラベルの読みやすさなどを考慮して選ばれたものである。 その後も、「DITA(ディタ)」のシリーズ商品として、2005年10月には、スターフルーツを使ったリキュール「STARRY by DITA(スターリーバイディタ)」が、2012年6月には、グァバを使ったリキュール「DITA GUAVA(ディタグァバ)」が発売された(甲15)。 申立人は、以上の「DITA(ディタ)」シリーズの商品に関して、引用商標以外にも商標登録をするなど、その権利保護に努めている(甲17の1〜甲17の5)。「DITA(ディタ)」シリーズの中でも、「DITA LYCHEE(ディタライチ)」は、日本においても、若い女性を中心にたちまち人気となり、我が国の多くの洋酒の専門書籍において、ライチ・リキュールの代表格として紹介されるにとどまらず、「リキュールの代名詞」、「カシス、カルーアと並ぶリキュール界人気御三家のひとつ」とまで称される逸品となるに至っている(甲49、甲50)。 現在では、「DITA(ディタ)」を使用した多数のカクテルが生み出されており、例えば、「ディタグレープフルーツ」、「ディタオレンジ」、「ディタモーニ」、「ディタトニック」、「ディタソーダ」、「ディタエイジア」等は、「DITA(ディタ)」を使用したカクテルとして有名である(甲13、甲14、甲18〜甲21、甲70)。 (3)広告宣伝 ア 申立人による広告宣伝 申立人は、上述の「DITA LYCHEE(ディタライチ)」を発売して以来、継続して販売促進活動・広告宣伝活動を行ってきており、主に、新聞・雑誌等における広告掲載(甲22〜甲27)、ペルノ・リカール・ジャパンの公式ウェブサイトやTwitter、Facebook等の公式アカウントを通じた情報発信等(甲28〜甲31)を行っている。 イ キャンペーン、プロジェクト等 ペルノ・リカール・ジャパンは、様々なキャンペーンやプロジェクト等を実施し、当該プロジェクト等においては有名人を起用したPR活動を展開することにより、「DITA(ディタ)」の人気獲得に努めてきた(甲32〜甲46)。 ウ 各種刊行物、ネット記事等における「DITA(ディタ)」の紹介 「DITA(ディタ)」シリーズの商品は、我が国の数多くの名酒の専門書籍、ネット記事等において、継続的に何度も掲載されており、なかでも「世界の名酒事典」においては、20年以上にわたり毎年のように掲載され続けている(甲47の1〜甲47の27)。これらの書籍、記事等においては、引用商標を含む「DITA」は、リキュールを示す表示として使用されており(甲15、甲18〜甲20、甲47の1〜甲70、甲135、甲146)、これらの掲載内容や掲載回数の多さに照らしてみても、引用商標を含む「DITA」が、一般の需要者において、申立人の手掛ける人気のリキュールを示すものとして、我が国において自他商品識別力を獲得していることは明らかである。 エ デザイナー、ブランド等とのコラボレーション ペルノ・リカール・ジャパンは、2006年から、毎年、「DITA(ディタ)」と有名なファッションデザイナーやブランドとのコラボレーション企画として、ファッションデザイナーがボトルデザインを手掛ける「ディタ ライチ デザインボトルプロジェクト」を実施しており(甲71〜甲118)、2006年から2013年までの間、毎年コラボレートしたデザインボトルの商品を販売した(甲71〜甲119)。 また、有名デザイナー、ブランドとのコラボレーション企画とあって、「hanako」、「BOAO」、「GLITTER」、「ロフィシェルジャポン」、「VOGUE NIPPON」、「SWITCH」、「GLAMOROUS」、「AneCan」といった、一流の女性向けのファッション雑誌や、「Numero Tokyo」、「VOGUE」、「FASHIONSNAP.COM」、「FASHION PRESS」といった主要なファッション情報サイト等で紹介されており、ファッション業界でも注目を集めたことが明らかである(甲71、甲73、甲74、甲76、甲78、甲79、甲82、甲84、甲85、甲88、甲89、甲91、甲93、甲94、甲96、甲99、甲103、甲109〜甲111、甲113、甲117)。 さらに、上記のデザインボトルの発売を記念して開催されたパーティイベントには多数の芸能人やモデルが詰めかけ、華やかなパーティ会場であった様子が、多くの女性向けファッション雑誌や情報誌において紹介されている(甲76〜甲79、甲86〜甲89、甲97、甲98)。 以上のほか、「DITA(ディタ)」は、映画ともコラボレートを行っており、2003年には、フランス映画「アメリ」とのタイアッププロモーションを展開し、コラボレーションカクテルの開発、上映劇場、人気カフェでのオリジナルカクテル販売、POPツールによるディスプレイ展示等を実施した(甲120)。また、同年には、イギリス映画「ベッカムに恋して」ともコラボレートし、イングランドパブ「HUB」でのオリジナルカクテルの展開、全国の業務店約600店でのTシャツやアクセサリートレー等のコラボレーションキットの進呈、全国の小売店約300店での店頭コーナー設置、映画の試写会でのカクテルサンプリング、上映映画館でのディスプレイ、上映映画館周辺の業務店、小売店でのプロモーション等を実施した(甲121)。 オ 売上 「DITA(ディタ)」は、例えば2007年度の輸入酒銘柄別ランキングにおいて、「リキュール」部門で第6位に位置しており(甲122)、1991年に日本で発売されて以来、現在に至るまで日本で愛され続けている人気のリキュールである。 カ 他国における権利保護等 申立人は、日本以外の各国においても、「DITA(ディタ)」に関連する商標登録を行い(甲123〜甲134)、日本以外の各国においても「DITA(ディタ)」ブランドの保護に力を入れている。 キ 引用商標の周知性の継続 以上により、引用商標は、本件商標の出願時点までに周知となるに至ったところ、本件商標の出願後も、「DITA(ディタ)」は継続して販売されているのみならず、ウェブサイト等の記事において紹介されており、かかる周知性は現在に至るまで継続している(甲136〜甲138)。 2 商標法第4条第1項第11号について (1)本件商標について 本件商標「DIKA」からは、「ディカ」の称呼が生じる。本件商標は、辞書等に掲載されていない一種の造語と認められるため、特定の観念は生じないものである。 (2)引用商標について 上記1のとおり、引用商標を含む「DITA」商標は、申立人が提供するリキュールを示すものとして周知となっていることからすると、引用商標からは、当該製品の名称である「ディタ」との称呼が生じ、申立人が提供するリキュール「DITA」の観念が生じるというべきである。 (3)本件商標と引用商標の類否 本件商標の4文字中、引用商標とは、語頭に置かれた「D」「I」、及び語尾の「A」の3文字が共通する。 また、両商標は、その称呼も共に2音であり、語頭の「ディ」が共通している。両商標のうち、音が異なる「カ」(本件商標)と「タ」(引用商標)については、その母音自体はいずれも「ア」であって共通すること、その子音はいずれも無声・破裂音という点で共通することからすると(甲140)、これらの音が両商標の語尾の音であり、これらに接した取引者及び需要者としては、一般的に、語頭の音に比べて差異等を認識しにくいといえることも併せ鑑みれば、両商標の称呼も類似性が高いといえる。 なお、上述のとおり、本件商標からは特定の観念は生じない一方、引用商標からは、申立人が提供するリキュール「DITA」という観念が生じるものであり、観念において比較することはできない。 したがって、本件商標と引用商標は、外観及び称呼において高い類似性が認められることからすれば、これらは類似するものといえる。 (4)本件商標と引用商標の指定商品の類否 本件商標に係る指定商品は、引用商標に係る指定商品中「日本酒」と類似する。 したがって、本件商標に係る指定商品は、引用商標に係る指定商品と類似するものである。 (5)小括 以上のとおり、本件商標は、引用商標と類似する商標であり、また、本件商標は引用商標に係る指定商品と同一又は類似の商品について使用する商標であるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。 3 商標法第4条第1項第15号該当性について (1)本件商標と他人の表示との類似性の程度 上述のとおり、本件商標は、その4文字中、語頭に置かれた「D」「I」、及び語尾の「A」の3文字について、引用商標と共通し、両商標の称呼も類似性が高いといえる。 したがって、両商標はその外観及び称呼が極めて類似し、その類似性は高いといえる。 (2)引用商標の周知著名性及び独創性について 引用商標は、上記1のとおり、申立人が提供しているリキュールに使用されている標章であって、我が国において高い周知性を獲得している。 また、引用商標は辞書等には掲載されておらず、申立人が提供するリキュール製品のために造られた造語であることからすると、その独創性も極めて高いといえる。 (3)本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性 本件商標の指定商品は、いずれも、酒に分類される製品であって、飲用又は料理用として用いられるものである。また、後述のとおり、当該指定商品に含まれる商品は、いずれも一つの酒造メーカーから展開されているという性質を有する。他方、引用商標が周知性を獲得しているリキュールも、酒に分類される製品であって、飲用又は料理用として用いられるものであり、一つの酒造メーカーから展開されている。 このように、清酒、焼酎、みりん等を含む本件商標の指定商品と、引用商標が周知性を獲得したリキュールは、共通の用途及び性質を有し、極めて密接な関連性を有するものである。 また、本件商標の指定商品の取引者・需要者は、酒類を取り扱う取引者及びこれらを利用する消費者であるのに対し、リキュールの取引者・需要者も、リキュールを含む酒類を取り扱う取引者及びこれらを利用する消費者であって、取引者は共通しており、需要者も重なるといえる。 (4)取引の実情 酒類業界においては、一つの酒造メーカーから、リキュールのみならず、清酒に分類される日本酒や、焼酎等といった様々なジャンルの酒類を展開するということが一般的に広く行われており、また、飲用の酒類を販売するメーカーが、みりんを含む料理酒等を扱っていることも多い(甲147の1〜甲154の3)。 以上のとおり、一つの酒造メーカーから、リキュールのみならず、清酒に分類される日本酒、焼酎等といった飲用の酒類製品や、料理酒等の様々なジャンルの酒類を販売することは、広く一般的に行われているところであるから、引用商標と類似する本件商標が、その指定商品に使用された場合には、需要者において、申立人が、リキュールのみならず他のジャンルの酒類も販売していると認識し、申立人の商品であるとの誤認混同を生じるおそれがあるというべきである。 (5)小括 以上のとおり、引用商標を含む「DITA」商標は、リキュールにおいて周知性を獲得した独創性の高い商標であり、これと極めて類似する本件商標を、同じく酒類に属し、需要者も共通にするその指定商品に使用した場合、同一の酒造メーカー等からリキュール、清酒、焼酎、みりん等を含む酒類全般が販売されていること等も併せ鑑みると、本件商標に接した取引者・需要者は、あたかも申立人が擁する「DITA(ディタ)」と何等かの関係がある者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるといえるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 第4 当審の判断 1 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標 本件商標は、前記第1のとおり、「DIKA」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字に相応して、「ディカ」の称呼を生じるものである。 そして、当該文字は、「マンゴーに似ている食用の黄色の果物のあるアフリカの木」の意味を有する語である(参考:weblio英和辞典・和英辞典)としても、一般に親しまれている語とはいい難いから、一種の造語として理解されるとみるのが相当である。 したがって、本件商標は、「ディカ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 (2)引用商標 引用商標は、前記第2のとおり、「DITA」の欧文字及び「ディタ」の片仮名を上下二段に表してなるところ、下段の「ディタ」の片仮名部分は、上段の「DITA」の欧文字の読みを表したものと容易に認識できるものである。 そして、当該文字は、「(植物)ジタノキ」の意味を有する英語である(参考:英辞郎on the WEB)としても、一般に親しまれている語とはいい難いから、一種の造語として理解されるとみるのが相当である。 そうすると、引用商標は、「ディタ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 (3)本件商標と引用商標の類否 本件商標と引用商標の類否を検討すると、両者の構成は、それぞれ上記(1)及び(2)のとおりであるから、外観においては、一段書きと二段書きの差異、片仮名の有無において顕著な差異を有し、また、欧文字部分の第3文字目の「K」と「T」の文字が相違しており、両者の4文字という少ない文字構成においては、当該相違が、外観全体の印象に与える影響は大きいといえるから、両者は外観上判然と区別できるものである。 次に、本件商標から生じる「ディカ」の称呼と引用商標から生じる「ディタ」の称呼とを比較すると、両者は、前半の「ディ」の音を共通にするとしても、後半において「カ」と「タ」の音の差異を有するものである。そして、その相違する「カ」と「タ」の音は、共に力の入る破裂音であり強く発音、聴取され得るものであるから、この差異がわずか2音という極めて短い両称呼に及ぼす影響は大きく、それぞれを一連に称呼するときは、語感・語調が相違し、称呼上、十分に聴別し得るものと判断するのが相当である。 さらに、観念においては、本件商標及び引用商標は、共に特定の観念を生じないものであるから、比較することができない。 してみれば、本件商標と引用商標は、観念において比較できないとしても、外観において判然と区別し得るものであり、称呼においても相紛れるおそれはないものであるから、これらを総合的に勘案すると、両商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標と判断するのが相当である。 その他、本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。 (4)小括 以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品が同一又は類似であるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。 2 商標法第4条第1項第15号該当性について (1)引用商標の周知性について ア 申立人は、1975年に誕生したフランスの酒造メーカーであり(甲3)、1989年に、世界初のライチ・リキュールを完成させ、当該リキュールをフランスにおいて「SOHO(ソーホー)」の名称で発売した。当該リキュールは、1994年に、申立人の現地法人であるペルノ・リカール・ジャパンにより「DITA(ディタ)」の名称(以下「使用商品」という。)で日本でも販売が開始された(甲50、甲67)。 申立人は、日本における使用商品の販売開始後、ペルノ・リカール・ジャパン名義で新聞、雑誌に使用商品の広告を掲載し(甲22〜甲27)、ペルノ・リカール・ジャパンに係るウェブサイトやTwitter、Facebookの公式アカウントを通じて使用商品の情報発信等を行っている(甲28〜甲31)。また、ペルノ・リカール・ジャパンは、種々のキャンペーンやプロモーション等を実施し、使用商品に係る広告宣伝活動を行ってきた(甲32〜甲46、ほか)。特に、ペルノ・リカール・ジャパンは、2006年から2014年までの間、ファッションデザイナーが使用商品のボトルデザインを手掛けるコラボレーション企画を実施し、デザインボトルの使用商品を販売した(甲71〜甲119)。 なお、使用商品は、食品産業新聞の「2007年輸入酒銘柄別ランキング」の「リキュール」部門において、第6位とされている(甲122)。 イ 使用商品は、「世界の名酒事典」(甲47の1〜甲47の27)等の書籍のほか、各種新聞やウェブサイト記事に継続的に掲載され、これらの書籍、記事等において、「DITA」の文字がリキュールを示す表示として使用されている(甲18〜甲20、甲48〜甲70、ほか)。 ウ 申立人は、日本以外の各国においても、「DITA(ディタ)」に関連する商標登録を行っている(甲123〜甲134)。 エ 以上のとおり、申立人は、1994年から、我が国において使用商品の販売を開始し、各種広告宣伝活動を行ってきたことからすれば、使用商品は、申立人の業務に係る商品として一定程度知られていたとは言い得るとしても、申立人の提出に係る証拠によっては、我が国における引用商標の使用数量(販売数、売上高、シェア等)や宣伝広告の費用、規模等については明らかでなく、引用商標に係るリキュールが、我が国の需要者の間において広く認識されていたものと認めるに足る事実は見いだせない。 よって、申立人の提出に係る証拠からは、引用商標が、申立人の業務に係る商品を表示する商標として、我が国の需要者にどの程度認識されているのかを把握、評価することができない。 したがって、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間で広く認識されていたものと認めることはできない。 (2)本件商標と引用商標の類似性の程度 上記1(3)のとおり、本件商標と引用商標は、互いに相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。 (3)混同のおそれ 上記(1)のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、上記(2)のとおり、本件商標は引用商標と相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものであるから、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして、引用商標を連想、想起させることはなく、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものである。 その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 3 むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
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異議決定日 | 2023-07-25 |
出願番号 | 2022019350 |
審決分類 |
T
1
651・
261-
Y
(W33)
|
最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
高野 和行 |
特許庁審判官 |
小俣 克巳 石塚 利恵 |
登録日 | 2022-07-07 |
登録番号 | 6584358 |
権利者 | パイナップル株式会社 |
商標の称呼 | ディカ |
代理人 | 池田 万美 |
復代理人 | 橋 沙耶香 |
代理人 | 佐藤 俊司 |
代理人 | 田中 克郎 |
代理人 | 稲葉 良幸 |