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審決分類 |
審判 査定不服 外観類似 登録しない W33 |
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管理番号 | 1400635 |
総通号数 | 20 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2023-08-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2022-10-17 |
確定日 | 2023-07-24 |
事件の表示 | 商願2020−159058拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は、令和2年12月24日に出願されたものであり、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和3年12月21日付け:拒絶理由通知書 令和4年2月10日 :意見書の提出 令和4年7月11日付け :拒絶査定 令和4年10月17日 :審判請求書の提出 2 本願商標 本願商標は、「会 KAI」の文字を標準文字で表してなり、第33類「清酒,焼酎,合成清酒,白酒,直し,みりん,日本酒,泡盛,純米酒,にごり酒,生酒,米を原料とする酒,スパークリング日本酒,アルコール分を含む炭酸飲料(ビールを除く。)」を指定商品として登録出願されたものである。 3 原査定の拒絶の理由の要点 原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第5468558号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成23年8月22日登録出願,第33類「日本酒,清酒,焼酎,果実酒,リキュール,洋酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として、同24年2月10日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 4 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 商標の類否判断に関する規範について 商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきであり、かつ、その商品の取引の実情を明らかにしうる限り、その具体的な取引状況に基づいて判断するのが相当である(最高裁昭和39年(行ツ)第110号判決参照)。 また、複数の構成部分を組み合わせた結合商標については、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない場合は、一つの称呼、観念が他人の商標の称呼、観念と同一又は類似であるといえないとしても、他の称呼、観念が他人の商標のそれと類似するときは、両商標はなお類似するものと解するのが相当である(最高裁昭和37年(オ)第953号判決及び知財高裁平成31年(行ケ)第10020号判決参照)。 イ 商標の類否 (ア)本願商標 本願商標は、「会 KAI」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「会」の文字は、「集まり。」(広辞苑第七版、岩波書店)の意味を有するものであり、その右側に1文字分のスペースを空けて配した「KAI」の欧文字は、ローマ字読みで「カイ」と称呼されるものであり、その構成からして、「KAI」の欧文字は、前記「会」の文字の読みを表していると認められるものである。 そうすると、本願商標の構成中の「KAI」の欧文字部分は、需要者の注意をひくものではなく、「会」の文字部分が出所識別機能を有する部分(要部)であると認められる。 したがって、本願商標は、「カイ」の称呼を生じ、「集まり。」の観念を生じるものである。 (イ)引用商標 引用商標は、別掲のとおり、黒色の太い筆文字風の書体で表した「会」の文字の上部に、黒色の略円形図形(以下「図形部分」という。)を配し、図形部分の内部中央に、白色の細い楷書体風の書体で「ひめいちえ」の文字を縦書きしてなる結合商標であるところ、「会」の文字部分と「ひめいちえ」の文字部分とは、字の大きさに加えて太さや書体も全く異なっている上に、相当な間隔を置いて配置されているため、両者に外観上の統一感があるとはいえないし、図形部分も各文字部分を有機的に結合させるほどの機能を果たしているとは見えず、むしろ、「ひめいちえ」の文字の背景の装飾といった程度の機能を果たしているのにすぎないと見るのが相当である。 そうすると、引用商標の外観の構成は、分離観察を不可能とするほどの一体性を有しているとは認められない。 そして、その構成中の「会」の文字は、「集まり。」(前掲書)の意味を有するものである一方、「ひめいちえ」の文字は特定の意味を有さない造語であると認められることから、「会」の文字部分と「ひめいちえ」の文字部分に観念上のつながりも見いだせない。 また、図形部分については、上記のとおりであるから、これから出所識別標識としての称呼や観念が生じるものとは認められない。 以上を踏まえると、引用商標は、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとは認められないから、分離観察をすることも許されるものというべきところ、その構成中の「会」の文字部分は、最も大きく太字で表してなり、目立つものである上に、自他商品識別力も有するといえるから、この部分を要部として分離、抽出し、これと他人の商標とを比較して商標そのものの類否を判断することも許されるというべきである。 したがって、引用商標は、その要部である「会」の文字部分に相応して、「カイ」の称呼を生じ、「集まり。」の観念を生じる。 (ウ)本願商標と引用商標の類否 本願商標と引用商標は、それぞれ上記(ア)及び(イ)のとおりの構成からなるところ、両者は「カイ」の称呼及び「集まり。」の観念を共通にするものである。 外観において比較すると、本願商標の要部である「会」の文字と引用商標の要部である「会」の文字は、書体に差異があるものの、同一の漢字であるから、両者は外観において、互いに似かよった印象を与えるものといえる。 そうすると、本願商標と引用商標は、外観上似かよった印象を与えるものである上、称呼及び観念を共通にするものであるから、これらの外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両商標は、互いに紛れるおそれのある類似の商標というべきである。 ウ 本願商標の指定商品と引用商標の指定商品の類否 本願商標の指定商品と引用商標の指定商品は、同一又は類似の商品である。 エ 小括 上記アないしウによれば、本願商標は、引用商標と類似する商標であって、かつ、本願商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似のものである。 したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (2)請求人の主張について 請求人は、結合商標の一部を分離、抽出して商標の類否を判断することは、「その部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合」や「それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合」などの例外的な場合に限られるべきである旨主張している。 しかしながら、請求人が挙げる上記の場合以外にも、上記(1)アのとおり、各構成部分がそれらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない場合には、分離観察が許されると解するのが相当であり、引用商標の「会」の文字部分を抽出して商標の類否を判断することができることは上記(1)イのとおりである。 したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。 (3)まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 引用商標 ![]() (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。 |
審理終結日 | 2023-04-28 |
結審通知日 | 2023-05-12 |
審決日 | 2023-05-31 |
出願番号 | 2020159058 |
審決分類 |
T
1
8・
261-
Z
(W33)
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最終処分 | 02 不成立 |
特許庁審判長 |
鈴木 雅也 |
特許庁審判官 |
渡邉 あおい 藤村 浩二 |
商標の称呼 | カイカイ、カイ、ケイエイアイ |
代理人 | 窪田 英一郎 |