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審決分類 審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 取り消して登録 W03
管理番号 1400620 
総通号数 20 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2023-08-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-08-15 
確定日 2023-08-05 
事件の表示 商願2021−59007拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 手続の経緯
本願は、令和3年4月28日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年12月 6日付け:拒絶理由通知
令和4年 1月24日 :意見書の提出
令和4年 4月27日付け:拒絶査定
令和4年 8月15日 :審判請求書の提出
令和5年 3月13日付け:審尋
令和5年 4月26日 :回答書、手続補正書の提出

2 本願商標
本願商標は、「抗菌EX」の文字を標準文字で表してなり、第3類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として登録出願され、その後、本願の指定商品については、前記1の手続補正書により、第3類「塗料用剥離剤,靴墨,香料,薫料,人造軽石,研磨用砂」に補正されたものである。

3 原査定の拒絶の理由(要点)
本願商標は、「抗菌EX」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「抗菌」の文字は、「細菌の繁殖を抑制すること。」程の意味を有する語であり、商品の品質を理解・認識させ、また、「EX」の文字は、商品の品番又は規格等を表示する記号・符号の一類型を理解・認識させるものである。
そうすると、商品の品質と記号・符号を組み合わせた本願商標をその指定商品中、例えば、「抗菌作用を有する洗濯用柔軟剤」や、その他の「抗菌作用を有する商品」に使用しても、これに接する需要者は、「抗菌作用を有するEXという品番又は規格の商品」であることを理解・認識するにとどまるから、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、上記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。

4 当審においてした審尋
当審において、請求人に対し、令和5年3月13日付けで、ウェブサイト情報を提示しつつ、以下のとおりの見解を示す審尋を通知し、これに対する回答を求めた。
(1)本願商標は、「抗菌EX」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「抗菌」は漢字である一方、「EX」は欧文字であって、異なる種類の文字を用いて表されていることから、「抗菌」と「EX」の2つの文字部分から構成されていると容易に認識、把握されるものである。
(2)ところで、本願商標の構成中、「抗菌」の文字は、「細菌の繁殖を抑制すること」の意味を有する語(「広辞苑 第七版」岩波書店)として一般に親しまれているところ、新型コロナウイルス感染症の影響により、抗ウイルスや抗菌、除菌などの機能を付加した商品やサービスの需要が高まっている昨今、本願の指定商品を取り扱う業界において、該「抗菌」の文字は、「抗菌効果を有する商品」を表す際に用いられている実情がある。
そうすると、本願商標に接する取引者、需要者は、その構成中の「抗菌」の文字部分について、「抗菌効果を有する商品」程度の意味合いとして認識するとみるのが相当である。
(3)また、欧文字の1字ないし2字からなる標章は、様々な商品分野において、自己の製造、販売に係る各種商品について、その商品の管理又は取引の便宜性等の事情から、商品の品番や種類等を表示するための記号、符号として、取引上、一般に広く採択、使用されているものであるが、本願の指定商品に係る洗剤、石けん類や化粧品等を取り扱う業界においても、(a)自己の製造、販売に係る従来商品に新たな成分等を配合し、従来商品よりも効能が向上した又は従来商品に異なる効能を付加した新商品を開発、販売する場合があるところ、新商品を表示する際、従来商品の名称に、該効能、品質、種類等を表す記号、符号として、欧文字1字ないし2字を付加して表示したり、(b)自己の製造、販売に係る各種商品において、効能や用途等の違いにより複数タイプの商品群(シリーズ)を販売する場合があるところ、これらの個別商品群(シリーズ)を表示する際、商品の名称に、各個別商品群(シリーズ)の効能、品質、種類等を表す記号、符号として、欧文字1字ないし2字を付加して表示するほか、(c)欧文字「EX」については、「特別の」の意味を有する「extra(エクストラ)」(「ジーニアス英和辞典 第5版」大修館書店)の略語として、商品の名称に付加して表示することが、一般に広く行われている実情がある。このような取引の実情に照らすと、同業界において、従来商品と新商品、あるいは商品群(シリーズ)等を区別、管理等する際に、これらを区別する標識となる記号、符号として、欧文字1字ないし2字を用いているといえる。
そうすると、本願商標に接する取引者、需要者は、その構成中の「EX」の文字部分について、商品を区別するために用いられる標識となる記号、符号の類型の一つ程度として認識するとみるのが相当である。
(4)さらに、本願の指定商品を取り扱う業界においては、上記(2)で検討した「抗菌」の文字又は該語と使用場面を共通にする場合もある「除菌」の文字と、上記(3)で検討した「EX」の文字とを組み合わせて、「抗菌EX」又は「除菌EX」と表示することも普通に行われている実情がある。
(5)以上によれば、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、特段の事情がない限り、本願商標につき、抗菌効果を有する商品であることを表す「抗菌」の文字と、商品を区別するために用いられる標識となる記号、符号の一類型といえる「EX」の文字とを結合したものと認識するにとどまり、本願商標が何人かの業務に係る商標であるとは認識し得えないというべきである。
したがって、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であるから、商標法第3条第1項第6号に該当する。

5 審尋に対する請求人の回答
前記4の審尋に対し、請求人は、令和5年4月26日付け回答書及び手続補正書を提出し、本願の指定商品を補正するとともに、当該補正により、商標法第3条第1項第6号の拒絶理由は解消した旨を述べた。

6 当審の判断
本願の指定商品は、前記2のとおり補正された結果、原査定における拒絶の理由及び当審においてした審尋に係る指定商品は削除されたものと認められる。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定の拒絶の理由は、解消した。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
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審決日 2023-07-25 
出願番号 2021059007 
審決分類 T 1 8・ 16- WY (W03)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 高野 和行
特許庁審判官 石塚 利恵
小俣 克巳
商標の称呼 コーキンイイエックス、コーキン 
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