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審決分類 審判 査定不服 外観類似 取り消して登録 W39
管理番号 1400588 
総通号数 20 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2023-08-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-05-31 
確定日 2023-07-25 
事件の表示 商願2021−36470拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 第1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、「SAMSUNG」の欧文字と「サムソン」の片仮名とを2段に横書きしてなり、第39類「貨物自動車による輸送,軽車両による輸送,二輪自動車による輸送,車両による輸送,冷凍食品庫の貸与,倉庫の貸与,貨物のこん包,貨物の輸送の媒介,貨物の荷揚げ,倉庫の提供」を指定役務として、令和元年10月17日に登録出願された商願2019−134284に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、同3年3月26日に登録出願されたものである。
本願は、令和3年4月6日付けで拒絶理由の通知がされ、同年10月11日付けで意見書が提出されたが、同4年2月18日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年5月31日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 引用商標
本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下1及び2のとおりであり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
1 登録第3032226号商標(以下「引用商標1」という。)は、「サムソン」の片仮名を横書きしてなり、平成4年9月26日に登録出願、第39類「貨物自動車による輸送」を指定役務として、同7年3月31日に設定登録されたものである。
2 登録第5179919号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成19年10月2日に登録出願、第39類「車両による輸送,貨物のこん包,貨物の積卸し,貨物の輸送の媒介,倉庫の提供」を指定役務として、同20年11月4日に設定登録されたものである。
なお、引用商標1及び引用商標2をまとめていう場合は、以下「引用商標」という。

第3 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、本願商標と引用商標は、外観における相違が両商標の差異を特段印象づけるものではなく、「サムソン」の称呼及び「旧約聖書中の人物」の観念を共通にする類似の商標であり、本願の指定役務と引用商標の指定役務は、同一又は類似するものであるから、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当すると認定、判断したものである。

第4 当審の判断
1 本願商標について
本願商標は、上記第2のとおり、「SAMSUNG」の欧文字と「サムソン」の片仮名を2段に横書きしてなるところ、本願商標は、「SAMSUNG」の欧文字の下に「サムソン」の片仮名をまとまりよく配置しているものであり、その構成中の「サムソン」の片仮名は、「SAMSUNG」の読み方を特定したにすぎないものと無理なく認識し得るものである。
そして、本願商標の構成中の「SAMSUNG」の欧文字は、「三星電子株式会社」(以下「サムソン社」という。)の略称を欧文字で表示したものであり、別掲2のとおり、出荷台数で世界トップのスマートフォン等の同社の取り扱いに係る商品等に使用する標章として需要者の間に広く知られているものである。
また、商品「スマートフォン」は、自動車用電話機等を起源とする移動体通信用電話機(携帯電話等)が発展し、開発、普及したものであって、移動時(輸送時を含む)に使用することを目的とする商品であるため、輸送の役務との関連性を有する商品であるといえる。
そうすると、本願商標は、その構成文字全体を捉えて取引に資されるもの、又は、「SAMSUNG」の読み方を特定したにすぎない「サムソン」の片仮名を捨象し、サムソン社の取り扱いに係る商品等に使用する標章として需要者の間に広く知られている「SAMSUNG」の欧文字のみを捉えて取引に資されるものと判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、その構成文字に相応して「サムソン」の称呼が生じ、「SAMSUNG」の欧文字より、サムソン社又はサムソン社のブランドの観念が生じるものである。
2 引用商標について
(1)引用商標1について
引用商標1は、「サムソン」の片仮名を横書きしてなるものであるから、その構成文字に相応して「サムソン」の称呼を生じるものであり、「SAMSON」の欧文字は、別掲3のとおり、「旧約聖書中の人物」(出典:デジタル大辞泉)の意味を有するものである。
そして、「サムソン」の片仮名は、「SAMSON」の欧文字を片仮名で表記したものと認められるため、「旧約聖書中の人物」の観念が生じるものである。
(2)引用商標2について
引用商標2は、別掲1のとおり、内側楕円部分を黒塗りした3重楕円図形(以下「楕円図形」という。)内に「SAMSON」の欧文字(「SAMSON」の欧文字はグラデーションが施されている。)を横書きしてなるところ、その構成中の楕円図形は、我が国において特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないため、特定の称呼及び観念は生じないものである。
そうすると、引用商標2は、本願商標との類否を判断するに当たって、引用商標2の構成中の「SAMSON」の欧文字を要部として抽出し、この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。
したがって、引用商標2は、その構成中の「SAMSON」の欧文字に相応して「サムソン」の称呼が生じ、「SAMSON」の欧文字より、「旧約聖書中の人物」の観念が生じるものである。
3 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本願商標と引用商標1の類否について
本願商標は、「SAMSUNG」の欧文字と「サムソン」の片仮名を2段に横書きしてなるものであり、引用商標1は、「サムソン」の片仮名を横書きしてなるものであるから、これらは、「SAMSUNG」の片仮名の有無の差異を有し、本願商標の要部である「SAMSUNG」の欧文字と「サムソン」の片仮名よりなる引用商標は、文字種が相違するため、外観上、明確に区別し得るものである。
また、本願商標より生じるサムソン社又はサムソン社のブランドの観念と引用商標1より生じる「旧約聖書中の人物」の観念は、明らかに相違する。
そうすると、本願商標と引用商標1は、外観上、明確に区別し得るものであり、これらの観念は明らかに相違することからすると、両商標より生じる「サムソン」の称呼を共通にしたとしても、これらの外観、称呼及び観念等によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
(2)本願商標と引用商標2の類否について
本願商標は、「SAMSUNG」の欧文字と「サムソン」の片仮名を2段に横書きしてなるものであり、引用商標2は、別掲1のとおり、楕円図形内に「SAMSON」の欧文字を横書きしてなるものであるから、「サムソン」の片仮名の有無、楕円図形の有無という明らかな差異を有し、本願商標の要部である「SAMSUNG」の欧文字と引用商標2の「SAMSON」の欧文字を比較しても、7文字構成と6文字構成という構成文字数が相違するとともに、「SAMS」の欧文字に次ぐ「UNG」の文字と「ON」の文字に差異を有するため、外観上、明確に区別し得るものである。
また、本願商標より生じるサムソン社又はサムソン社のブランドの観念と引用商標2より生じる「旧約聖書中の人物」の観念は、明らかに相違する。
そうすると、本願商標と引用商標2は、外観上、明確に区別し得るものであり、これらの観念は明らかに相違することからすると、両商標より生じる「サムソン」の称呼を共通にしたとしても、これらの外観、称呼及び観念等によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
(3)小括
上記(1)及び(2)のとおり、本願商標と引用商標とは、「サムソン」の称呼を共通にしたとしても、これらの外観、称呼及び観念等によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
4 まとめ
以上のとおり、本願商標は、引用商標とは非類似の商標であるから、本願の指定役務と引用商標の指定役務とは、同一又は類似するものであるとしても、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲
別掲1(引用商標2)



別掲2(2023年4月24日付けの「36KrJapan in partnership with 日本経済新聞」のウェブサイトにおける世界のスマートフォンの出荷台数に関する記事)
「36KrJapan in partnership with 日本経済新聞」のウェブサイトにおける、2023年4月24日付け「世界スマホ出荷台数、1−3月は12%減 サムスンがシェア1位奪還」のタイトルの記事に「市場シェア1〜5社は韓国サムスン電子、米アップル、中国の小米科技(シャオミ)、OPPO、vivoの順だった。サムスンは上位5社の中で唯一出荷台数を前期より伸ばし、シェア22%で1位に返り咲いた。アップルは21%で2位に後退。3月に発表した新製品に注目が集まるシャオミは、シェア11%で3位をキープした。OPPOは10%で4位、vivoは8%で5位だった。」の記載がある。
(https://36kr.jp/230096/)

別掲3(「コトバンク」のウェブサイトにおける「デジタル大辞泉」に掲載された「サムソン(samson)」の意味について)
デジタル大辞泉の「サムソン(samson)」の項目に「旧約聖書中の人物。イスラエルの士師で、怪力の持ち主。ペリシテ人と再三戦ってこれを破ったが、愛人デリラの策謀でその大力の根源である長髪を失い、敵に捕らえられて両眼をも失った。しかし、最後の怪力で神殿を破壊し、ペリシテ人3000人を殺し、自らも死んだという。」の記載がある。
(https://kotobank.jp/word/%E3%82%B5%E3%83%A0%E3%82%BD%E3%83%B3-69783#:~:text=%E3%82%B5%E3%83%A0%E3%82%BD%E3%83%B3%EF%BC%88Samson%EF%BC%89,%E8%87%AA%E3%82%89%E3%82%82%E6%AD%BB%E3%82%93%E3%81%A0%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E3%80%82)



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審決日 2023-07-12 
出願番号 2021036470 
審決分類 T 1 8・ 261- WY (W39)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 豊田 純一
特許庁審判官 馬場 秀敏
山根 まり子
商標の称呼 サムソン、サムスン、サムスング、サムサン、サムサング 
代理人 弁理士法人R&C 
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