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審決分類 |
審判 一部無効 外観類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W0321 |
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管理番号 | 1400567 |
総通号数 | 20 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2023-08-25 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2021-11-05 |
確定日 | 2023-07-24 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第6310297号商標の商標登録無効審判事件についてした令和4年6月27日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消しの判決(令和4年(行ケ)第10078号、令和5年1月17日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第6310297号の指定商品中、第3類「全指定商品」及び第21類「デンタルフロス,化粧用具」についての登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第6310297号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和2年7月30日に登録出願、第3類「せっけん類,せっけん,化粧品,パック用化粧料,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,洗濯用でん粉のり,つけまつ毛用接着剤,口臭用消臭剤,動物用防臭剤,靴クリーム,つや出し剤,歯磨き,香料,薫料,つけづめ,つけまつ毛」及び第21類「台所用品(「ガス湯沸かし器・加熱器・調理台・流し台」を除く。),デンタルフロス,化粧用具,家事用手袋,清掃用具及び洗濯用具,アイロン台,霧吹き,浴室用腰掛け,浴室用手おけ,ろうそく立て,洋服ブラシ,せっけん用ディスペンサー,トイレットペーパーホルダー,香炉,靴ブラシ」並びに第9類、第11類及び第20類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同年9月28日に登録査定、同年10月29日に設定登録されたものである。 2 引用商標 (1)請求人が、本件商標の登録無効の理由(商標法第4条第1項第11号)に引用する商標は、以下の5件の登録商標であり、現に有効に存続しているものである(以下、これらの登録商標をまとめていうときは、「引用商標」という。)。 ア 登録第4469078号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2(1)のとおりの構成からなり、平成12年2月21日に登録出願、第3類及び第5類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同13年4月20日に設定登録されたものである。 イ 登録第4865806号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲2(2)のとおりの構成からなり、平成16年8月19日に登録出願、別掲3のとおりの第3類及び第5類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同17年5月20日に設定登録されたものである。 ウ 登録第4865807号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲2(3)のとおりの構成からなり、平成16年8月19日に登録出願、別掲3のとおりの第3類及び第5類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同17年5月20日に設定登録されたものである。 エ 登録第4873487号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲2(4)のとおりの構成からなり、平成16年8月19日に登録出願、別掲3のとおりの第3類及び第5類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同17年6月24日に設定登録されたものである。 オ 登録第5851670号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲2(5)のとおりの構成からなり、平成27年6月17日に登録出願、第3類及び第5類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同28年5月20日に設定登録されたものである。 (2)請求人が、本件商標の登録無効の理由(商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第19号)に引用する商標は、別掲4のとおりの構成からなり、請求人が商品「敏感肌用化粧品」について使用し、我が国及び外国の需要者に広く認識されていると主張するもの(甲2、甲3。以下「使用商標」という。)である。 3 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第44号証を提出した。 (1)商標法第4条第1項第10号について ア 請求人について 請求人は60年以上前から皮膚病と向き合い、医薬品、医薬部外品、基礎化粧品、健康食品などの製造、販売をしている会社である。 1955年に全国皮膚病薬研究会を発足し(甲4)、皮膚科医や薬局の薬剤師を講師に招き、皮膚病に関する知識などについて積極的に情報交換できるよう、講演会を開催してきた。2001年に、敏感肌用基礎化粧品として、使用商標を使用したせっけん、化粧水などの商品5品目の販売を開始した(甲4)。その後、品目数を増やしながら、現在に至るまで使用商標を使用した商品の販売を20年にわたって続けている。現在、Arougeシリーズ22品、Arougeエンリッチシリーズ4品を取り扱っている(甲2、甲3)。 イ 引用商標の周知性について (ア)使用態様 請求人は、使用商標を商品の包装に付して(甲2、甲3)、これを譲渡し、また商品に関する商品カタログや広告に付して展示する等(甲2〜甲19)して使用してきた。 (イ)使用数量(生産数、販売数等) 請求人は2001年のArougeブランド商品の販売当時から使用商標を20年間にわたり使用し続けている(甲4)。 Arougeブランド商品は全国的に販売されており、その販売数、売上高は2020年で1,458,000個、約20億円、2019年で2,401,000個、約33億円、2018年で2,386,000個、約31億円に上っている(甲6)。 Arougeは敏感肌用のスキンケア化粧品を主たる商品としているが、かかる敏感肌用スキンケア化粧品市場における2015年度ないし2019年度累計の市場シェア率は、9.6%である(甲7)。 (ウ)広告宣伝の方法、期間、地域及び規模 Arougeブランド商品については、全国の雑誌(甲9〜甲13)、全国の新聞(甲14)、テレビ(甲15〜甲17)、ウェブサイト(甲18)、全国の交通を利用した広告、各レースの開催地においてレーシングカーの車体に商標を表示(甲19)した広告を行っている(甲8)。 また、日本最大のコスメ・美容の総合サイトにおいて、Arougeブランドの商品がランキングされる等している(甲20〜甲28)。 以上のように、請求人のArougeブランド商品はその品質も高く評価され、品質の高さから信頼され人気が高いことが分かる。 (エ)海外での商標権取得状況 請求人は、わが国でもArouge関連商標を商標登録しているが(甲29〜甲34)、中国、韓国、ロシア、香港、台湾、カナダ及びEUにおいても登録しており、中国においては、Arougeを中国語で表した商標も登録している。これは日本でのArougeブランド商品の人気の高さに鑑み、海外での模倣品対策の一環として商標権の保護を進めてきた結果である。 (オ)外国での広告宣伝 請求人は、中国を中心として海外の需要者に関しても広告宣伝を行っている(甲35〜甲44)。 以上のことから、請求人の使用商標が本件商標の出願前の2001年から使用を開始され、20年間にわたり使用され続け、広く広告宣伝されることにより、国内外の需要者に広く知られていることが分かる。 ウ 商標の類否について 本件商標は、欧文字「A」、「R」、「O」、「u」、「S」及び「E」の6文字を横一段書きにして構成されている。 使用商標は「A」、「r」、「o」、「u」、「g」及び「e」の6文字を一段書きにして構成されており、本件商標と欧文字6文字中、5文字「A」、「R」、「O」、「U」及び「E」を共通にしている。「A」は共に大文字であり、「u」は共に小文字である。「O」と「o」は大文字と小文字の相違があるが、形状が同じで相似の関係にある。また、「S」と「g」は共に曲線からなり、上下に円形をはらんでいる点において共通しているうえ、埋没しがちな後半に位置するから当該差異を直ちに看取し得るとはいいがたい。 よって、両商標は外観上全体として近似した印象を与え、相紛らわしい。 本件商標から生じると思われる称呼「アラウズ」及び「アルーゼ」と使用商標から生じる称呼「アルージェ」とは相紛らわしく、総合的に判断して相互に類似するものである。 また、本件商標の指定商品中、第3類の指定商品と使用商標が使用されている商品は、同一又は類似している。 よって、本件商標は、その指定商品中、第3類「せっけん類,せっけん,化粧品,パック用化粧料」について商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。 (2)商標法第4条第1項第11号について 引用商標1は「アルージェ」及び「AROUGE」の文字を二段書きにして構成されており、本件商標とは6文字中、5文字「A」、「R」、「O」、「U」及び「E」において共通している。 引用商標2ないし引用商標5は「A」、「r」、「o」、「u」、「g」及び「e」を横一段書きにしたもの及び図形で構成されており、欧文字部分の類否については、(1)ウと同様、本件商標と全体として近似した印象を与え、外観上相紛らわしい。 また、本件商標から生じると思われる称呼「アラウズ」及び「アルーゼ」と引用商標から生じる称呼「アルージェ」とは相紛らわしく、総合的に判断して相互に類似するものである。 そして、本件商標の第3類及び第21類の指定商品と引用商標の指定商品は同一又は類似している。 よって、本件商標は、その指定商品中、第3類「せっけん類,せっけん,化粧品,パック用化粧料,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,洗濯用でん粉のり,つけまつ毛用接着剤,口臭用消臭剤,動物用防臭剤,靴クリーム,つや出し剤,歯磨き,香料,薫料,つけづめ,つけまつ毛」(全指定商品)及び第21類「デンタルフロス,化粧用具」(以下、これらをまとめていうときは、「本件請求に係る商品」という。)について商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。 (3)商標法第4条第1項第15号について 本件商標と使用商標とは、外観及び称呼が近似しており相紛らわしく類似する。また、使用商標は化粧品、せっけん類などの分野において需要者に広く知られている。使用商標は造語であり、請求人の主たる商品に長年使用されてきた重要なブランドである。 また、本件商標の指定商品と、使用商標及び引用商標の使用商品及び指定商品は同一又は類似するから、商品の需要者が共通する。 以上を総合勘案すると、本件商標をその指定商品に使用すると、請求人の業務に係る商品であると誤認し、その商品等の需要者が商品等の出所について混同するおそれのみならず、請求人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品等であると誤認し、その商品の需要者が商品の出所について混同するおそれがある。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。 (4)商標法第4条第1項第19号について 上述のとおり、本件商標と使用商標は、外観、称呼が相紛らわしく類似する商標である。 また、請求人の使用商標は、日本国内や海外における広告活動の結果、特に敏感肌用化粧品の国内外の需要者の間において広く知られており、辞書に掲載のない造語であるから、被請求人が本件商標を使用した場合、請求人の周知商標に化体した信用、名声、顧客吸引力等を毀損させるおそれがあり、本件商標は不正目的をもって使用されるものと推認される。 本件商標は、日本国内で全国的に知られている使用商標と類似する商標について、出所の混同のおそれまではなくても出所表示機能を稀釈化させたり、その名声等を毀損させる目的をもって出願したものであり、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。 4 被請求人の答弁 被請求人は、請求人の主張に対して、何ら答弁していない。 5 当審の判断 請求人が本件審判を請求するにつき、利害関係を有する者であることについては、当事者間に争いがないので、本案に入って審理し、判断する。 (1)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標について 本件商標は、別掲1のとおり「AROUSE」の文字をスクリプト書体風に表してなるところ(なお、「U」は大文字と小文字が同一であるところ、本件商標においては他の大文字と等しい大きさで表されているから、大文字の「U」とみるのが自然である。)、同文字は、「アラウズ」と称呼され、「目覚めさせる、刺激する」等を意味する英単語として英和辞典に載録されているものの、この語が我が国において一般に広く親しまれた語であるとまではいい難いものであるから、広く一般には特定の意味を有しない一種の造語として理解、認識されるというのが相当である。そして、特定の意味を有しない造語にあっては、我が国において広く親しまれているローマ字読み又は類似の英単語の読みに倣って称呼されるとみるのが自然であるところ、ローマ字読みに倣えば「アロウゼ」と称呼され、また、「AROU」については、我が国において「around」(〜の周囲、およそ〜)との語が非常に馴染み深い英単語として定着していることを考慮すると、この英単語の読み「アラウンド」に倣えば「アラウゼ」と称呼されると認められ、「アラウズ」との称呼は、前示のとおり、一般に広く親しまれたものとはいい難い。 そうすると、本件商標は、一般には「アロウゼ」又は「アラウゼ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 イ 引用商標2ないし4について 引用商標2ないし4は、別掲2(2)ないし(4)のとおり、いずれも、長方形の図形の中に、上段に「Arouge」の文字を、下段にリング形状の図形を配したものであるが、長方形の図形は背景図形として看取され、リング形状図形部分は、一見して特定の事物を表したものと認識することは困難であり、指定商品との関係においても特定の意味合いを想起させるものではないから、それ自体から直ちに特定の称呼及び観念を生じるものとはいい難い。そうすると、これらの図形部分からは出所識別標識としての称呼及び観念は生じないと認められる。 一方で「Arouge」の文字部分については、上段に目立つ態様で配されており、文字が本来的に強い訴求力を有することに鑑みると、需要者又は取引者は、引用商標2ないし4のうち「Arouge」の文字部分に着目するといえ、この部分が要部と認められるが、この文字は、辞書等に載録された成語とは認められず、また、特定の意味合いを想起させるものとして一般に知られているということもできない。もっとも、特定の意味を有しない造語にあっては、我が国において広く親しまれているローマ字読み又は類似の英単語の読みに倣って称呼されるとみるのが自然であるところ、ローマ字読みに倣えば「アロウジェ」又「アロウゲ」と称呼され、また、前記アのとおり、我が国においては「around」(〜の周囲、およそ〜)との語が非常に馴染み深い英単語として定着していることを考慮すると、「アラウジェ」又は「アラウゲ」と称呼されると認められ、フランス語風に「アルージュ」という称呼が生じ得ないではないとしても、一般的なものとはいい難く、「アルージェ」という称呼が生じることは、更に想定し難い。 なお、カナ文字が併記されている引用商標1及び5が「アルージェ」と称呼されることは明らかである。しかしながら、そうであるからといって、別個独立の商標についての称呼等の判断はそれぞれ個別に行われるべきであるし、商標法は、商標のみの移転を可能とし、同一の範囲のみならず類似の範囲まで商標権に排他的効力を付すなど、当該商標の商標権者の本来的使用範囲よりも広い範囲の効力を付しているから、その認定は需要者又は取引者を基準として客観的にされるべきものであり、同一商標権者が有する他の商標(甲第29号証ないし甲第33号証によると、引用商標1及び5と引用商標2ないし4の商標権者はいずれも請求人である。)を参酌して、当該商標権者の意図にのみ従ってその認定をすることは相当ではないことからすれば、別個独立の商標である引用商標2ないし4の称呼を「アルージェ」と認定できるものではない。 そうすると、引用商標2ないし4は、「アロウジェ」若しくは「アロウゲ」又は「アラウジェ」若しくは「アラウゲ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 ウ 商標の類否について 前記ア及びイのとおり、本件商標と引用商標2ないし4の要部の称呼を対比すると、本件商標が「アロウゼ」と、引用商標2ないし4が「アロウジェ」と称呼される場合や、本件商標が「アラウゼ」と、引用商標2ないし4が「アラウジェ」と称呼される場合があり得る。「ゼ」と「ジェ」はいずれもサ行濁音で母音「e」を共通にするため、両商標を時と所を異にして全体として一連に称呼するときは、相似た語韻・語調となり、明確には聴別することができず、称呼において酷似するといえる。 また、本件商標と引用商標2ないし4の要部の外観とを対比すると、それぞれの書体を異にし、本件商標はその構成文字が大文字で表されているのに対し、引用商標2ないし4は語頭の文字以外は小文字で表されているとの差異はあるが、商標の使用に当たっては、書体の相違やアルファベットの大文字・小文字の相違があっても同一の称呼を生じる場合は社会通念上同一の商標とみなされるのであるから(商標法第38条第5項かっこ書、第50条参照)、上記のとおり両商標が酷似する称呼を生じる場合がある以上、このような相違を殊更に重視すべきものではない。一方で、本件商標及び引用商標2ないし4の要部はいずれも6文字と同じ文字数で構成されており、文字数が僅少とはいい難いところ、文字の相違は語中の5文字目のみが相違するというのであるから、5文字目が全体に埋没して、外観上、両商標を見誤ることも多いとみるのが相当である。 そして、本件商標と引用商標2ないし4の要部は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念上、比較することはできない。 エ 指定商品の類否について 本件請求に係る商品に含まれる第3類の「せっけん類,化粧品,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,洗濯用でん粉のり,つけまつ毛用接着剤,靴クリーム,つや出し剤,歯磨き,つけづめ,つけまつ毛」と引用商標2ないし4の指定商品に含まれる第3類の「洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,靴クリーム,つや出し剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,つけづめ,つけまつ毛」とは同一である。 また、上記以外の本件請求に係る商品、すなわち、第3類の「せっけん」、「パック用化粧料」、「口臭用消臭剤,動物用防臭剤」及び「香料,薫料」並びに第21類の「デンタルフロス」及び「化粧用具」は、それぞれ順に、引用商標2ないし4の指定商品に含まれる第3類の「せっけん類」、「化粧品」、第5類の「薬剤」、第3類の「香料類」、第5類の「医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド」、第3類の「つけづめ,つけまつ毛,化粧用コットン」と、同一又は類似する商品である。 オ 小括 以上からすると、本件商標と引用商標2ないし4の要部は、観念において比較することができず、外観において見誤ることも少なくないと想定され、さらに、称呼において酷似するものであるところ、引用商標2ないし4は、それら要部に出所識別機能を有しない図形部分が加わっているにすぎないものであるから、全体としても要部が与える印象を覆すものではない。そうすると、本件商標を引用商標2ないし4の指定商品と同一又は類似の商品に使用した場合には出所を混同させるおそれがあり、両商標は、相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。 また、本件請求に係る商品は、引用商標2ないし4の指定商品に含まれる商品と同一又は類似する商品と認められる。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (2)むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、その余の無効事由について判断するまでもなく、本件商標登録の無効の審判の請求に係る指定商品についての登録は、同法第4条第1項の規定に違反してされたものである。 したがって、本件商標の指定商品中、結論掲記の指定商品についての登録は、同法第46条第1項の規定により、無効とすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1 本件商標 ![]() 別掲2 引用商標 (1)引用商標1 ![]() (2)引用商標2(色彩は原本参照。) ![]() (3)引用商標3(色彩は原本参照。) ![]() (4)引用商標4(色彩は原本参照。) ![]() (5)引用商標5(色彩は原本参照。) ![]() 別掲3 引用商標2ないし4の指定商品 第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,塗料用剥離剤,靴クリーム,靴墨,つや出し剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,つけづめ,つけまつ毛,化粧用コットン」 第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料,医療用腕環,失禁用おしめ,防虫紙,乳糖,乳児用粉乳,人工受精用精液」 別掲4 使用商標(甲2、甲3:色彩は原本参照。) ![]() (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、この審決に係る相手方当事者を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。 |
審理終結日 | 2023-05-23 |
結審通知日 | 2023-05-29 |
審決日 | 2023-06-13 |
出願番号 | 2020093733 |
審決分類 |
T
1
12・
261-
Z
(W0321)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
豊瀬 京太郎 |
特許庁審判官 |
大森 友子 板谷 玲子 |
登録日 | 2020-10-29 |
登録番号 | 6310297 |
商標の称呼 | アラウズ、アローズ、アロウゼ、アラウゼ |
代理人 | 中田 和博 |
代理人 | 神蔵 初夏子 |
代理人 | 青木 博通 |