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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W19353742 |
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管理番号 | 1397350 |
総通号数 | 17 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2023-05-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2022-08-09 |
確定日 | 2023-04-28 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6574815号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6574815号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第6574815号商標(以下「本件商標」という。)は、「シュタイコ」の片仮名を横書きしてなり、第19類、第35類、第37類及び第42類に属する願書に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和3年6月18日に登録出願、その後、指定商品及び指定役務については、原審における同4年2月15日付け手続補正書により、別掲に記載のとおりの商品及び役務に補正され、同年3月17日に登録査定、同年6月21日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する国際登録第1413413号商標(以下「引用商標」という。)は、「STEICO」の欧文字を横書きしてなり、2017年(平成29年)12月21日にGermanyにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2018年(同30年)3月19日に国際商標登録出願、第1類、第8類、第17類、第19類、第37類、第41類及び第42類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和2年3月13日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。 (1)商標法第4条第1項第19号 引用商標(甲2)の商標権者であるSTEICO社は、ドイツの木繊維断熱材メーカーである。欧州では早くから、ゼロエネルギー建築や木造建築に対する需要が高まっていたところ、木繊維断熱材はこれら需要に応える建築材として普及してきた。STEICO社は木繊維断熱材のトップメーカーであり、欧州で最大のシェアを誇り、同社の社名及び商品名「STEICO」は、欧州で広く知られている(甲3)。なお、同社名の「STEICO」は、旧社名のうちの「Steinmann&Co」を略した同社による造語である。 本件商標は、「STEICO」の発音の日本語仮名表記である「シュタイコ」をそのまま自社製品及び役務の商標として登録しようとするものである。 本件商標権者は工務店であり、ドイツのGUTEX社の木質断熱材を取り扱っている(甲6)。 本件商標権者は、STEICO社及び同社製木繊維断熱材「STEICO」、さらに、競合他社である異議申立人が「STEICO」を取り扱っていること(甲4、甲5)を熟知していたところ、STEICO社の国際商標登録がローマ字表記の「STEICO」のみ、その呼称も「ステイコ、ステーコ」と誤った音で登録されていることを奇貨として、本件商標登録をしたものである。「STEICO」の発音は、ドイツ語の「S」は「シュ」、同じく「EI」は「アイ」であって、それを日本語仮名表記にすれば「シュタイコ」である。 以上より、本件商標権者が、異議申立人を排除あるいは出し抜いて、STEICO社に対して代理店契約の強制あるいは同社から優先的販売権を獲得する手段として本件商標登録をしたこと、その不正目的は明らかである。 (2)商標法第4条第1項第15号 本件商標は、欧州で著名なドイツの木繊維断熱材メーカーSTEICO社及び同社製品の商標である「STEICO」(甲2)とその呼称(引用商標のドイツ語発音)が同一であり、本件商標権者がSTEICO社に関係を有する又は本件商標権者の商品や役務が同社のものであること、などの出所混同を需要者に生じさせることは明らかである。 (3)商標法第4条第1項第11号 本件商標は、STEICO社の登録商標「STEICO」(甲2)とその呼称(引用商標のドイツ語発音)が同一であり、その登録の区分も、第19類、第37類、第42類、は同ーであり、第35類も主に戸建て建築の広告・宣伝、プロモーションを想定しており(甲6の掲載写真物件)、需要者市場範囲は同一である。 (4)商標法第4条第1項第10号 STEICO社の国際商標登録(甲2)では、発音「シュタイコ」は登録されていないが、前記のとおり、欧州では建材メーカーとしてのSTEICO社及び同社の木繊維断熱材STEICOは著名で、その読み(音)はドイツ語発音の「シュタイコ」として周知されている。 本件商標の登録区分は、第19類、第37類、第42類で、引用商標と同ーであり、第35類も主に戸建て建築の広告・宣伝、プロモーションを想定しているところ(甲6の掲載写真物件)、需要者市場範囲は同一である。 4 当審の判断 (1)引用商標の周知著名性について 申立人は、引用商標である「STEICO」の文字は、ドイツの木繊維断熱材のトップメーカーであり、欧州で最大のシェアを誇り、同社の社名及び商品名「STEICO」は、欧州で広く知られている旨主張する。 しかしながら、申立人提出の証拠から、「STEICO」の文字が、ドイツ製の木繊維断熱材の名称として使用されていることや、申立人が「STEICO/engineered by nature」と表示されたウェブサイトを立ち上げるなどして「STEICO」の文字を使用している(甲3)ことはうかがえるものの、我が国又は外国における引用商標の使用開始時期、使用数量(生産数、販売数、売上高、シェア等)や具体的使用地域、宣伝広告の方法、期間、地域及び規模等についての具体的な説明がなく、また例えば甲第5号証についても、あくまで木製断熱材の名称として「STEICO」の文字が紹介されているにとどまるなど、引用商標が、引用商標権者の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、欧州又は我が国で広く知られているとする具体的な裏付けは示されていない。 以上よりすれば、引用商標は、申立人の提出した証拠によっては、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標権者の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、我が国又は外国の需要者の間に広く認識されていると認めることはできない。 (2)本件商標と引用商標の類似性について ア 本件商標について 本件商標は、上記1のとおり、「シュタイコ」の片仮名を横書きしてなるところ、本件商標は、その構成文字より、「シュタイコ」の称呼が生じること明らかである。また、当該文字は、辞書等に載録されている成語ではなく、ただちに何らかの意味合いを理解させるものでもないから、引用商標は特定の観念を生じないものである。 イ 引用商標について 引用商標は、上記2のとおり、「STEICO」の欧文字を横書きしてなるところ、当該文字は、辞書等に載録されている成語ではなく、また、上記(1)の引用商標の使用状況等に照らせば、ただちに何らかの意味合いを認識させるとはいえないものである。そして、特定の意味合いを生じない欧文字については、アルファベット読み又は我が国において親しまれた英語の発音に倣って称呼されるのが一般的といえることから、引用商標は、その構成文字に応じて「ステイコ」の称呼が生じるというべきものである。また、引用商標は、特定の観念を生じない。 なお、この点、申立人は、引用商標をドイツ語で発音すると「シュタイコ」の称呼が生じる旨主張するが、無理なくアルファベット読み又は我が国において親しまれた英語の発音に倣って自然に称呼できるものを、あえて一般になじみのないドイツ語の発音をもって称呼することは自然ではなく、むしろ想定し難いというべきである。 ウ 本件商標と引用商標の類否について 本件商標と引用商標の類否を検討するに、両商標の外観は、上記ア及びイのとおり異なるものであるから、外観において区別可能なものである。 次に、称呼についてみるに、本件商標から生じる「シュタイコ」の称呼と、引用商標から生じる「ステイコ」の称呼とは、明瞭に聴取しやすい語頭の「シュタ」と「ステ」の2音の差異を有するものであり、ともに4音という短い音構成において当該差異音の果たす役割は大きいといえるから、両商標は明瞭に聴別し得るものである。 さらに、観念においては、本件商標及び引用商標は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、比較することができない。 以上よりすると、本件商標と引用商標は、観念において比較できないとしても、外観において区別することができ、称呼においても明瞭に聴別できるから、これらが需要者に与える印象、記憶、連想等を総合してみれば、両商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。 その他、本件商標と引用商標とが類似するというべき特段の事情は見いだせない。 したがって、本件商標と引用商標とは非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。 (3)商標法第4条第1項第10号該当性について 上記(1)のとおり、引用商標は、引用商標権者の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているとはいえず、また、上記(2)ウのとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。 (4)商標法第4条第1項第11号該当性について 上記(2)ウのとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから、本件商標の指定商品及び指定役務と引用商標の指定商品及び指定役務が類似するとしても、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (5)商標法第4条第1項第15号該当性について 上記(1)のとおり、引用商標は、引用商標権者の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているとはいえず、また、上記(2)ウのとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標である。 そうすると、本件商標をその指定商品及び指定役務に使用しても、取引者、需要者において、引用商標権者の取り扱う商品又は役務を連想、想起するということはできず、よって、その商品及び役務が引用商標権者と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品及び役務であるかのように、商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれがある商標ということはできない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (6)商標法第4条第1項第19号該当性について 上記(1)のとおり、引用商標は、引用商標の権利者の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、我が国又は外国の需要者の間に広く認識されているとはいえず、また、上記(2)ウのとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標である。 さらに、本件商標権者が、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的、その他の不正の目的をもって本件商標を出願し、登録を受けたと認めるに足る具体的事実を証拠から見いだすこともできないから、本件商標は、不正の目的をもって使用するものと認めることはできない。なお、申立人は、本件商標が商標法第4条第1項第19号に該当する理由の一つとして、本件商標権者が工務店であってドイツのGUTEX社の木質断熱材を取り扱っている(甲6)旨説明するが、GUTEX社が本件の事案といかなる関係を有する企業であるか不明であり、同号該当性の判断に影響を及ぼすものとはいい難い。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 (7)まとめ 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に違反してされたものではなく、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 原審における補正後の本件指定商品及び指定役務 第19類 建築材料(金属製のものを除く。),石製・コンクリート製又は大理石製の造形品,石工製品,仮設小屋組立セット 第35類 建設プロジェクトの事業計画の管理,消費者のための商品購入に関する助言と情報の提供,広告用コンセプトの開発,事業に関する情報の提供,広告物の出版,広告文の作成,広告又はこれに関する情報の提供,広告宣伝物の製作,商品の販売に関する情報の提供,商品に関する書類の複製 第37類 建築一式工事,建築工事に関わる助言 第42類 建築物の設計に関する助言,建築物の設計,建築物に関する設計,インテリアデザインの考案,建築の分野に関する調査,建築物の設計に関する情報の提供,住宅のリフォーム設計に関する助言 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。 |
異議決定日 | 2023-04-19 |
出願番号 | 2021082608 |
審決分類 |
T
1
651・
222-
Y
(W19353742)
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最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
旦 克昌 |
特許庁審判官 |
馬場 秀敏 茂木 祐輔 |
登録日 | 2022-06-21 |
登録番号 | 6574815 |
権利者 | GERMAN HOUSE株式会社 |
商標の称呼 | シュタイコ |
代理人 | 赤津 加奈美 |