ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W0911 |
---|---|
管理番号 | 1397345 |
総通号数 | 17 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2023-05-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2022-06-22 |
確定日 | 2023-05-09 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6545287号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6545287号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第6545287号商標(以下「本件商標」という。)は、「MONSTER LIGHT」の欧文字を標準文字により表してなり、令和3年8月19日に登録出願、第9類「乾電池,バッテリー充電器,バッテリーケース,バッテリー,バッテリーパック,眼鏡用及びサングラス用のケース,乗物用蓄電池,自動車用バッテリー,電源装置,バッテリーボックス,蓄電池,電池用充電器,電池,スマートフォン用ホルダー,補助バッテリーパック,携帯電話機専用スタンド」及び第11類「LEDランプ,LED照明用器具,野外用ランプ,電気式常夜灯,電気式懐中電灯,電気式ランタン,電気照明器具,照明用カンテラ,照明用器具及び装置,キャンプ用屋外照明灯,太陽光発電を利用したランプ,ハロゲンランプ,ヘッドランプ」を指定商品として、同4年3月22日に登録査定され、同年4月15日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 1 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録第4679679号商標(以下「引用商標1」という。)は、「MONSTER」の欧文字を標準文字により表してなり、2001年(平成13年)1月18日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、平成13年7月16日に登録出願、第9類「ケーブル,電気コネクター,配電用又は制御用の機械器具」を指定商品として、同15年6月6日に設定登録されたものであり、その商標権は、現に有効に存続しているものである。 2 同じく、申立人が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において、本件商標は商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第19号に該当するとして引用する申立人の使用に係る商標(以下「引用商標2」という。)は、「MONSTER」の欧文字を横書きした構成からなり、申立人が、申立人の業務に係る商品「イヤホン,ヘッドホン,ダウンロード可能なスマートフォン用のアプリケーションソフトウェア」に使用し、需要者の間に広く認識されているというものである。 3 上記の引用商標1及び2以外の、申立人主張に係る商標は、以下の7件の登録商標であり、いずれも現に有効に存続しているものである。 (1)登録第2095756号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の構成:MONSTER 登録出願日:昭和54年12月12日 設定登録日:昭和63年11月30日 指定商品:第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 (2)登録第2697721号商標(以下「引用商標4」という。) 商標の構成:モンスター 登録出願日:平成元年5月24日 設定登録日:平成6年10月31日 指定商品:第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 (3)登録第2715891号商標(以下「引用商標5」という。) 商標の構成:別掲のとおり 登録出願日:昭和59年7月30日 設定登録日:平成8年8月30日 指定商品:第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 (4)登録第4585355号商標(以下「引用商標6」という。) 商標の構成:MONSTER MOBILE(標準文字) 登録出願日:平成13年11月1日 優先権主張:アメリカ合衆国、2001年5月14日 設定登録日:平成14年7月12日 指定商品 :第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 (5)登録第4605487号商標(以下「引用商標7」という。) 商標の構成:MONSTER POWER(標準文字) 登録出願日:平成12年5月17日 設定登録日:平成14年9月20日 指定商品 :第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 (6)登録第5107654号商標(以下「引用商標8」という。) 商標の構成:MONSTER BASS(標準文字) 登録出願日:平成16年11月26日 優先権主張:アメリカ合衆国、2004年5月28日 設定登録日:平成20年1月25日 指定商品 :第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 (7)登録第5579974号商標(以下「引用商標9」という。) 商標の構成:MONSTER DNA(標準文字) 登録出願日:平成24年11月2日 優先権主張:アメリカ合衆国、2012年5月4日 設定登録日:平成25年5月2日 指定商品 :第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきものである旨申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第23号証を提出した。 1 商標法第4条第1項第10号について (1)申立人の引用商標2が使用された商品の周知性 申立人は、1979年に設立された米国法人であり、申立人の製品「MONSTER CABLE」は、高性能・高品質のオーディオ用ケーブルであり、ハリウッド映画の製作現場にも使用されている。 さらに、申立人は、事業・製品の多角化の一環として2009年から「イヤホン・ヘッドホン」市場に参入しており、引用商標2を付して販売されたイヤホン・ヘッドホンは、マイルス・デイヴィスなどの世界的ミュージシャンや、シャネルなどのファッションメーカーだけでなく、近年ではスポーツメーカーのアディダスや、クリスティアーノ・ロナウドとの世界的サッカー選手とのコラボレーションモデルにより、日本を含む世界中の需要者等に幅広く受け入れられている(甲14〜甲17)。 また、申立人は、引用商標2「MONSTER」が使用された、イヤホン等の設定・調整などを行うためのダウンロード可能なスマートフォン用アプリを提供しており(甲18)、申立人の商品は、キクタニミュージック株式会社、完実電気株式会社、オンキヨーマーケティング株式会社(2022年2月8日より事業停止)等の正規輸入・販売業者並びにそれを介した日本全国の取扱店舗及びオンライン販売サイトにより国内正規品として、又は並行輸入品等として、日本で販売されている(甲14、甲17、甲18、甲22、甲23)。 (2)商品の類似性 本件商標の第9類の指定商品「スマートフォン用ホルダー,携帯電話機専用スタンド」は、引用商標2が付された商品「イヤホン,ヘッドホン,ダウンロード可能なスマートフォン用のアプリケーションソフトウェア」に類似する。 (3)商標の類似性(本件商標と引用商標2) 本件商標は、欧文字「MONSTER」と「LIGHT」とを、間にスペースを空けて横一列に表されてなるものであり、その構成中の「LIGHT」は、「明り、軽い、容易な」等の意味を有する我が国において親しまれた平易な英語である。 したがって、構成として「LIGHT」、「ライト」等を含む商標は、それが使用される商品・役務の特徴等を表すものとして需要者等に認識されることが多く、その他の構成との観念的な繋がりがない又は弱い場合、商品について普通に使用される文字又は商品の品質等を表示する自他識別力が無い文字と判断されることがある。 本件商標の構成中「LIGHT」は、他の構成の「MONSTER」と観念的な繋がりがあるとされるものではなく、本件商標の第9類の指定商品「スマートフォン用ホルダー,携帯電話機専用スタンド」において、「軽い」等の商品の品質等を表示する識別力を有しない文字とされるのが相当であるから、本件商標「MONSTER LIGHT」は、識別力を有しない文字「LIGHT」が付加結合されていない商標と類似する。 また、本件商標の文字「LIGHT」が付加結合されていない構成「MONSTER」は、引用商標2と、外観が同一、称呼が「モンスター」で同一、観念が「怪物、化け物」等で同一である。 さらに、申立人の名称が「モンスター・ケーブル・プロダクツ,インコーポレイテッド」から「モンスター,インコーポレイテッド」に変更されており、また申立人の製品・業務が多角化していることから、現在では、引用商標1、引用商標3及び引用商標4の「MONSTER」又は「モンスター」はハウスマーク、引用商標5ないし引用商標9は、「monSTER/MONSTER」の後部にそれぞれ「CABLE」、「MOBILE」、「POWER」、「BASS」、「DNA」の文字が付加された、ファミリーネーム又はペットネームという関係にあるともいえるから、「MONSTER」の文字を構成の最左端に含む、欧文字のみからなる本件商標は、あたかも申立人の商標「MONSTER」のファミリーネーム又はペットネームであるとの印象又は連想を需要者等に与え得るものである。 そうすると、本件商標「MONSTER LIGHT」は、第9類の指定商品「スマートフォン用ホルダー,携帯電話機専用スタンド」に使用した場合、上述したとおり、識別力を有しない「LIGHT」が付加結合されていない構成「MONSTER」が引用商標2「MONSTER」と外観、称呼、及び観念が同一であることから、需要者等において出所混同を生じるおそれがあるほど、引用商標2と類似するといえる。 (4)小括 したがって、本件商標は、申立人の業務に係る商品「イヤホン,ヘッドホン,ダウンロード可能なスマートフォン用のアプリケーションソフトウェア」を表示するものとして需要者の間に広く認識されている引用商標2と類似する商標であって、その商品に類似する第9類の指定商品「スマートフォン用ホルダー,携帯電話機専用スタンド」に使用するものであることから、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されている。 2 商標法第4条第1項第11号について (1)商品の類似性 本件商標の第9類の指定商品「バッテリー充電器,電源装置,電池用充電器」は、引用商標1の第9類の指定商品「配電用又は制御用の機械器具」と類似する。 (2)商標の類似性(本件商標と引用商標1) 本件商標「MONSTER LIGHT」は、識別力を有しない文字「LIGHT」が付加結合されていない商標と類似する。 引用商標1は、欧文字「MONSTER」を同書、同大、等間隔に横一列に表してなるものである。 そのため、本件商標の「LIGHT」が付加結合されていない構成「MONSTER」は、引用商標1と、外観が同一、称呼が「モンスター」で同一、観念が「怪物、化け物」等で同一であることから、本件商標は、引用商標1と類似する。 (3)小括 したがって、本件商標は、引用商標1に類似する商標であって、引用商標1に係る指定商品「配電用又は制御用の機械器具」に類似する商品「バッテリー充電器,電源装置,電池用充電器」について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されている。 3 商標法第4条第1項第15号について (1)申立人の業務及び引用商標2の周知性 申立人の業務及び引用商標2「MONSTER」の周知性については、上記1(1)のとおりであり、本件商標の登録出願前より需要者の間に広く認識されているものである。 さらに申立人は、事業・製品の多角展開により、引用商標2を付した商品として、スピーカー、パワーセンター(USB充電器、サージプロテクター等)、デジタルフォトフレーム、照明器具、照明用付属品、3D眼鏡、携帯可能なバッテリーがある(甲19〜甲21)。 (2)商品の類似性及び取引の実情 本件商標の第9類及び第11類の指定商品は、対応する申立人の引用商標2を付した商品「イヤホン,ヘッドホン,ダウンロード可能なスマートフォン用のアプリケーションソフトウェア、スピーカー、パワーセンター(USB充電器、サージプロテクター等)、デジタルフォトフレーム、携帯可能なバッテリー、照明器具、照明用付属品」と類似する。 また、本件商標の第9類の指定商品「眼鏡用及びサングラス用のケース」は、3D眼鏡のケースと、原材料、品質、及び用途が一致しており、3D眼鏡のケースとして用いることができる等の事情により、引用商標2を付した商品「3D眼鏡」と、同一営業主の製造・販売に係る商品と誤認されるおそれがあると認められる関係にあることから、類似するといえる。 さらに、本件商標の第9類及び第11類の指定商品の多くが、「ケーブル」を部品又は付属品としているため、本件商標の第9類及び第11類の指定商品は、申立人の引用商標2を付した上記の商品と取引の実情より密接な関係があるといえる。 (3)商標の特性及び類似性(本件商標と引用商標2) 本件商標の第9類及び第11類の指定商品に使用する本件商標「MONSTER LIGHT」は、識別力を有しない文字「LIGHT」が付加結合されていない商標と類似する。 また、本件商標の文字「LIGHT」が付加結合されていない構成「MONSTER」は、引用商標2と、外観が同一、称呼が「モンスター」で同一、観念が「怪物、化け物」等で同一である。 したがって、本件商標は、その第9類及び第11類の指定商品に使用した場合、その構成中の「MONSTER」が引用商標2と外観、称呼、及び観念が同一であることから、需要者等において申立人又は申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、その出所について混同するおそれがあるほど、申立人の引用商標2と類似しているといえる。 (4)小括 したがって、本件商標は、その第9類及び第11類の指定商品に使用する場合、申立人等の他者の業務に係る商品と混同を生じるおそれがある商標であるから、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されている。 4 商標法第4条第1項第19号について (1)申立人の業務及び引用商標2「MONSTER」の周知性 申立人の業務及び引用商標2の周知性については、上記1(1)のとおりであり、本件商標の登録出願前より需要者の間に広く認識されているものである。 (2)商標の特性及び類似性(本件商標と引用商標2) 本件商標「MONSTER LIGHT」は、その第9類及び第11類の指定商品に使用した場合、識別力を有しない「LIGHT」が付加結合されていない構成「MONSTER」が申立人の引用商標2「MONSTER」と外観、称呼、及び観念が同一であることから、需要者等において申立人又は申立人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、その出所について混同するおそれがあるほど、引用商標2と極めて類似しているといえる。 (3)不正の目的 上述のとおり、引用商標2は、需要者の間に広く知られているという事実があり、申立人は高品質・高性能なケーブルから、イヤホン・ヘッドホン,スピーカー、パワーセンター(USB充電器、サージプロテクター等)、デジタルフォトフレーム、照明器具、照明用付属品、3D眼鏡、携帯可能なバッテリーなど様々な製品・事業の多角化を図ってきている。 また、本件商標は、その所有者がその第9類及び第11類の指定商品に使用した場合、引用商標2を付した「イヤホン、ヘッドホン、スピーカー、パワーセンター(USB充電器、サージプロテクター等)、デジタルフォトフレーム、照明器具、照明用付属品、3D眼鏡、携帯可能なバッテリー、ケーブル」と類似又は密接な関係を有することから、引用商標2と出所混同を生じるおそれがあるほど極めて類似し、申立人の引用商標2に化体した信用、名声、顧客吸引力等を毀損させるおそれがあるといえる。 さらに、申立人は、指定商品・役務に使用する構成「MONSTER」を含む商標に係る国際商標登録出願をしていることからも、事業規模の拡大の計画があるといえる(甲10〜甲13)。 (4)小括 したがって、本件商標は、申立人の業務に係る商品として日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と類似の商標であって、不正の目的をもって使用するものと推認されることから、商標法第4条第1項第19号の規定に違反して登録されている。 第4 当審の判断 1 引用商標2(「MONSTER」の文字)の周知性について 申立人の提出に係る甲各号証及び同人の主張によれば、以下のとおりである。 申立人は、1979年に設立された米国法人であって、「MONSTER CABLE」と称するオーディオ用ケーブルのメーカーであり、2009年からは「イヤホン・ヘッドホン」市場に参入した(申立人の主張、甲14)。 また、我が国においては、「MONSTER」の「ヘッドホン」について2010年にミュージシャンのトリビュートモデルが発売されたことがタワーレコードのオンラインショップに紹介され(甲15)、雑誌やインターネット情報サイトにおいて、2014年から2019年の間に「MONSTER」の「ワイヤレスイヤホン」や「ヘッドホン」が発売された旨の複数の記事が掲載され、その中には「シャネル」や「アディダス」とのコラボレーションモデルも販売されていたといった記載もある(甲16、甲17)。 さらに、Appleのウェブサイトにおいて、申立人のイヤホン等に使用される申立人のダウンロード可能なスマートフォン用アプリが提供されていること(甲18)、申立人のウェブサイト(英語表記)において、図形と「MONSTER」の文字からなる商標(甲13)を表示し、デジタルフォトフレーム、HDMIケーブル、USB充電器などの商品が掲載されていること(甲19、甲20)がうかがえる。 以上によれば、「MONSTER」の文字からなる引用商標2は、申立人の業務に係る「イヤホン,ヘッドホン,ダウンロード可能なスマートフォン用のアプリケーションソフトウェア,ケーブル」に使用されていることがうかがえるものの、引用商標2を使用した商品の販売状況、広告宣伝の規模等についての主張はなく、それらを裏付ける証左は見いだせないことから、我が国及び外国における引用商標2の周知性の程度を推し量ることはできない。 なお、申立人は、我が国においては正規輸入・販売業者によって販売されたことの証拠として請求書の写し(甲22)を提出したが、これら請求書の写しが引用商標2を付した商品に係る取引書類であるかが不明であり、また、2018年の1社との取引を示すにすぎない。 そうすると、引用商標2は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国及び外国における需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。 2 商標法第4条第1項第11号について (1)本件商標 本件商標は、前記第1のとおり、「MONSTER LIGHT」の文字を標準文字で表してなるところ、「MONSTER」及び「LIGHT」の文字間に1文字程度の空白を有するとしても、同じ書体、同じ大きさで表され、視覚上、一体的に看取し得るものであって、かつ、その構成文字に相応して生じる「モンスターライト」の称呼も、無理なく一連に称呼し得るものである。 また、本件商標を構成する「MONSTER LIGHT」の文字は、辞書等に載録されている語ではなく、特定の意味合いをもって認識されているような事情も見いだせない。 そして、「LIGHT」の文字が「光、軽い」等の意味を有する語であるとしても、本件商標のかかる一体的な構成にあっては、該文字部分が特定の商品又は商品の品質、用途等を具体的に表示するものとして直ちに認識されるものともいい難く、他に、本件商標のいずれかの文字部分が、取引者、需要者に対して、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるというような事情も見いだせない。 そうすると、本件商標は、その構成全体をもって一体不可分の造語よりなるものと認識し、把握されるとみるのが自然である。 したがって、本件商標は、その構成文字全体に相応して「モンスターライト」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。 (2)引用商標1 引用商標1は、前記第2のとおり、「MONSTER」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字に相応して「モンスター」の称呼及び「怪物、化け物」の観念を生じる。 (3)本件商標と引用商標1の類否 本件商標と引用商標1とを比較するに、両者は、外観においては、「LIGHT」の文字の有無の相違により、外観上、明確に区別できるものである。 次に、称呼においては、両者は「モンスター」の称呼を共通にするものの、「ライト」の音の有無の差異を有するものであるから、該差異が称呼全体に与える影響は、決して小さいものということはできず、十分に聴別し得るものである。 さらに、観念については、本件商標からは特定の観念を生じないのに対し、引用商標1は「怪物、化け物」の観念を生じるものであるから、両者は、観念において相紛れるおそれはない。 そうすると、本件商標と引用商標1とは、外観において明確に区別し得るものであり、称呼においても十分に聴別し得るものであって、観念においても相紛れるおそれはないものであるから、これらを総合的に勘案すると、両商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標と判断するのが相当である。 (4)小括 以上のとおり、本件商標と引用商標1は非類似の商標であって、別異の商標であるから、両商標の指定商品が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第10号について 上記1のとおり、引用商標2は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできないものである。 また、上記2のとおり、本件商標と引用商標1は、非類似の商標であって、別異の商標であるから、これと構成文字を共通にする引用商標2もまた、本件商標とは非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。 4 商標法第4条第1項第15号について 上記1のとおり、引用商標2は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国における需要者の間に広く認識されているものと認められないものである。 そして、上記3のとおり、本件商標と引用商標2とは、非類似の商標であって、別異の商標というべきものであるから、類似性の程度は低いというべきである。 また、本件商標の指定商品と引用商標2の使用に係る商品「ヘッドホン,イヤホン,ダウンロード可能なスマートフォン用のアプリケーションソフトウェア,ケーブル」とは、その需要者、販売場所等を共通にする場合があるとしても、用途、目的等において相違する商品というべきであるから、両者の関連性は高いものということはできない。 そうすると、本件商標は、これを商標権者がその指定商品に使用しても、取引者、需要者が引用商標2を連想又は想起することはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生じるおそれはないものというべきである。 その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 5 商標法第4条第1項第19号について 上記1のとおり、引用商標2は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国及び外国における需要者の間に広く認識されていたものということはできないものであり、また、上記3のとおり、本件商標と引用商標2とは非類似の商標である。 そして、申立人の提出に係る証拠をみても、本件商標権者が、不正の目的をもって本件商標の使用をするものと認めるに足る具体的な事実を見いだすことはできない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 6 むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 引用商標5(登録第2715891号商標) (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。 |
異議決定日 | 2023-04-25 |
出願番号 | 2021103172 |
審決分類 |
T
1
651・
261-
Y
(W0911)
|
最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
小松 里美 |
特許庁審判官 |
鈴木 雅也 小林 裕子 |
登録日 | 2022-04-15 |
登録番号 | 6545287 |
権利者 | リ,デ ヒ |
商標の称呼 | モンスターライト、モンスター |
代理人 | 古谷 聡 |
代理人 | ▲吉▼川 俊雄 |