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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W2131 |
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管理番号 | 1397341 |
総通号数 | 17 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2023-05-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2022-06-02 |
確定日 | 2023-04-13 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6540767号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6540767号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第6540767号商標(以下「本件商標」という。)は、「三九屋」の文字を標準文字により表してなり、令和3年5月11日に登録出願、第31類「観賞魚,観賞魚用の生き餌」を含む、第21類及び第31類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同4年3月14日に登録査定され、同年4月4日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する商標は、別掲に示すとおりの構成からなる商標(以下、これらをまとめて「申立人商標」という。)である。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第19号に該当し、仮に、これらに該当しない場合でも、商標法第3条第1項第6号の要件を具備しないことから、本件商標登録は商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである旨申立て、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第44号証(枝番号を含む。なお、枝番号を有する証拠において、枝番号のすべてを引用する場合は、枝番号の記載を省略する。)を提出した。 1 申立人商標の周知性について (1)申立人は、2016年10月より現在に至るまで、申立人商標を使用し観賞魚や観賞魚用生き餌等の販売を一貫して行ってきた(甲2〜甲6)。そして、申立人による販売は、ECサイト「Amazon」及び「楽天」における販売であるものの、ECサイト「Amazon」において、売上ランキングで上位をとっている(甲9)。 (2)上記(1)より、申立人商標は、少なくとも本件商標の出願日前から、現在に至るまで申立人の業務にかかる商品「観賞魚,観賞魚用の生き餌」(以下「申立人商品」という。)を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている商標である。 2 本件商標と申立人商標の類似性 (1)本件商標について 本件商標は、標準文字で「三九屋」の構成からなるものであり、構成文字に相応して「ミクヤ」又は「サンキューヤ」の称呼が生じる。 また、本件商標は、漢字「三九」と屋号としてよく使用される「屋」を組み合わせてなる商標であることから、「39番目の店舗」程の観念が生じる。 なお、インターネット検索において、本願商標と同一の「三九屋」や「漢数字+屋」の語を使用した屋号が普通に使用されている事実がある(甲14〜甲44)。 (2)申立人商標について 申立人商標は、それぞれ花のデザインを付したポップ調の書体及びゴシック体にて「三九屋」と表すものであり、該構成文字に相応して「ミクヤ」又は「サンキューヤ」の称呼が生じる。 (3)本件商標と申立人商標との比較 本件商標と申立人商標とは、その構成文字「三九屋」が同一で、外観上、極めて相紛らわしい。 また、両商標は、「ミクヤ」又は「サンキューヤ」の称呼が生じ、称呼上、相紛らわしい。 さらに、両商標は、「39番目の店舗」程の観念が生じ、観念上、おおむね同一である。 次に、本件商標の指定商品及び申立人商品について比較するに、ともに「観賞魚,観賞魚用の生き餌」にあたり、極めて相紛らわしい。 以上より、本件商標と申立人商標とは、その商品、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、極めて相紛らわしく、互いの商品の出所について混同を生ずるおそれのある類似の商標である。 3 商標法第4条第1項第10号について 上述のとおり、申立人商標は、申立人の業務にかかる商品を表示するものとして、本件商標の出願日前より現在に至るまで、需要者の間に広く認識されている商標である(甲2〜甲9)。また、本件商標は、これと抵触する商品(第31類「観賞魚,観賞魚用生き餌」等)を指定しており、申立人商標に類似する(甲1〜甲6)ものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号の規定に違反して登録されたものである。 4 商標法第4条第1項第15号について 上述のとおり、申立人商標は、本件商標の登録出願時及び査定時(審査時)において申立人商品を表示する商標として需要者の間に広く認識されていたものであり(甲2〜甲9)、本件商標との類似度も極めて高く、本件商標の指定商品と申立人商品との類似性も極めて高い(甲1〜甲6)。 つまり、両商品の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、本件商標をその指定商品について使用すると、これに接する取引者及び需要者は、当該商品が申立人の業務に係る商品であると誤認するおそれがあり、当該商品が申立人と経済的又は組織的関係を有する人への取り扱いに係るものであると誤認するおそれがある。 したがって、本件商標は、他人である申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標であることから、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものである。 5 不正の目的について 上記1のとおり、申立人商標は、本件商標の出願日前より、周知・著名な商標である。 上記2のとおり、本件商標と申立人商標は、その商品、外観、称呼及び観念のいずれにおいても極めて相紛らわしく、類似の商標にあたる。 また、申立人商品は、極めてニッチな市場に属する商品にあたり、また、その取引者・需要者も極めて限定的である。 さらに、申立人商品に対しては、本件商標の権利者の運営する「株式会社アクアノースビーチ」がAmazonにおける商品の相乗りを行っている(甲10〜甲13)ことから、本件商標権者は、申立人と同様に申立人の事業にかかる商品について不知であったとは認められない。 上記の実情を検討した限り、極めてニッチな市場に属する商品「観賞魚,観賞魚用の生き餌」について、需要者の間に広く認識されている申立人商標と類似する名称を採択し使用することは、偶然ではありえないことであり、当該事実は申立人商標にフリーライドする意図を推認せざるを得ず、申立人商標に係る営業上の信用や名声が毀損されるおそれが極めて高いものといわざるを得ない。 6 商標法第4条第1項第19号について 本件商標は、他人である申立人の業務にかかる商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標と類似する商品であって(甲1〜甲9)、上記不正の目的をもって使用するものであるため(甲10〜甲13)、商標法第4条第1項第19号の規定に違反して登録されたものである。 7 商標法第3条第1項第6号について 上記2(1)のとおり、本件商標「三九屋」は、「漢数字+屋」の構成からなるものであるところ、その構成の組み合わせが一般に使用されている(甲14〜甲44)ことを鑑みると、当該認識を超えて自他商品の識別標識としては機能しないものというのが相当であり、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないというべきである。 よって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号の規定に違反して登録されたものである。 第4 当審の判断 1 申立人商標の周知性について 申立人は、2016年10月より現在に至るまで、申立人商標を使用し観賞魚や観賞魚用生き餌等の販売を一貫して行ってきており、申立人による販売は、ECサイト「Amazon」及び「楽天」における販売であるものの、ECサイト「Amazon」において、売上ランキングで上位をとっている旨主張し、証拠方法として、甲第2号証ないし甲第9号証を提出している。 しかしながら、申立人の売上額を証明するものとして提出された「Amazon adsページ」、「Amazon seller centralページ」及び「楽天市場 売上データページ」とされる書面(甲7、甲8)は、たとえこれらが売上額を示すものであるとしても、販売者等の記載もなく、どのような商標を使用した如何なる商品の売上額を示すものであるかも記載されていない。そして、「Amazon.co.jp」のウェブサイト「売れ筋ランキング」(甲9)にしても、具体的な掲載日時は不明であり、印刷日も、2022年(令和4年)5月20日のものであって本件商標の登録査定の日より後のものであるから、本件商標の登録出願時及び登録査定時における、申立人商標の周知性を立証する証拠としては不十分なものである。 また、他に申立人の業務にかかる商品の販売数量、売上高、市場シェアなどの販売実績、宣伝広告の回数や宣伝広告の額などの広告実績等、周知性を具体的に裏付ける証拠の提出はない。 したがって、申立人の提出に係る証拠によっては、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商標が申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国における需要者に広く認識されているものとは認めることができない。 2 商標法第4条第1項第10号及び同項第19号該当性について 申立人商標は、上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国における需要者に広く認識されているものとは認めることができないものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同項第19号を適用するための要件を欠くものといわざるを得ないから、同号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第15号該当性について 申立人商標は、上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているとは認められないものであり、周知性を備えていないものであるから、本件商標に接する取引者、需要者が、一般的に申立人の業務に係る申立人商標を連想又は想起するものということはできない。 そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者が、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 その他、本件商標について、出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 4 商標法第3条第1項第6号該当性について 本件商標は、上記第1のとおり、「三九屋」の文字を書してなるところ、申立人の提出に係る証拠によっては、本件商標の指定商品との関係において自他商品の識別力がないといえる程に、その構成の組み合わせが一般に使用されているものとまではいい得ないものである。 また、職権をもって調査するも、本件商標の登録査定の日前において、「三九屋」の文字が、本件商標の指定商品との関係において、自他商品の識別力がないといえる程に、取引上一般的に使用されているといった事実や、本件商標の指定商品の取引者、需要者が、当該文字を自他商品の識別標識と認識し得ないというべき事情も発見できなかった。 してみると、本件商標は、一連一体の構成からなる一種の造語を表したものとして理解、認識されるとみるのが相当であるから、これをその指定商品に使用しても、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものといえ、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものとまではいうことができない。 したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当しない。 5 まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第6号、同法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも該当するものでなく、その登録は、同法第3条及び第4条第1項の規定に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 申立人商標 (色彩は原本参照) (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。 |
異議決定日 | 2023-04-03 |
出願番号 | 2021056854 |
審決分類 |
T
1
651・
16-
Y
(W2131)
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最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
豊瀬 京太郎 |
特許庁審判官 |
板谷 玲子 須田 亮一 |
登録日 | 2022-04-04 |
登録番号 | 6540767 |
権利者 | 森本 真弘 |
商標の称呼 | サンキューヤ、サンクヤ、ミクヤ、サンキュー、サンク、ミク |
代理人 | 樋口 頼子 |
代理人 | 白浜 秀二 |
代理人 | 下田 一徳 |
代理人 | 辻田 朋子 |
代理人 | 中川 慶太 |