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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W31
管理番号 1397278 
総通号数 17 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2023-05-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-01-03 
確定日 2023-04-13 
事件の表示 商願2019−116324拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 手続の経緯
本願は、令和元年8月19日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和元年12月 3日受付:刊行物等提出書
令和2年 2月 3日受付:刊行物等提出書
令和2年11月25日付け:拒絶理由通知書
令和3年 1月14日受付:意見書の提出
令和3年 6月25日受付:意見書の提出
令和3年 9月27日付け:拒絶査定
令和4年 1月 4日受付:審判請求書の提出
令和4年10月14日付け:審尋
令和4年12月 1日受付:回答書の提出

第2 本願商標
本願商標は、「Bayeri」の文字を標準文字で表してなり、第31類「ハオルシア,ハオルシアの苗,ハオルシアの種子」を指定商品として、登録出願されたものである。

第3 原査定の拒絶の理由の要点
原審において、「本願商標は、「Bayeri」の欧文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、ハオルシア属の種小名「bayeri」の文字を普通に用いられる方法で書してなるものであるから、これを本願の指定商品に使用しても、単に商品の普通名称普通に用いられる方法で表示するにすぎないというのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第1号に該当する。」旨認定、判断し、拒絶したものである。

第4 当審における審尋
当審において、令和4年10月14日付け審尋により、別掲に掲げる事実を記載した上で、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとの暫定的見解を示し、期間を指定した上で請求人に対し意見を求めた。

第5 審尋に対する請求人の回答(要旨)
1 本願商標は出願当時、あるいはその半年後くらいまでは自他識別性のある商標であったが、審査が長引き、その間に反対業者らの呼びかけで一般的にも使われるようになったものである。審査は出願当時の状況を基準にすべきであるのは大原則だが、審査の都合上審査時を基準とするとしても出願から3年もたった状況で判定するのは不合理である。
2 ハオルシアには最大約1万人程度のマニア的愛好家と、卸市場におけるサボテン多肉の流通量から推定されるおよそ100万人の一般的愛好家がいるが、一般的愛好家は家庭の主婦や学生、OLなど、女性が中心の層で、園芸店やホームセンターで気に入ったハオルシア苗があればたまに買う程度であり、一般的愛好家はネットでハオルシアの記事や商品を検索などしないから、ネット上にあるハオルシアの記事や商品が多数掲載されていても、そのことがハオルシア愛好家全体でその名前が一般的に使用されている証拠とはならない。

第6 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号該当性について
(1)商標法第3条第1項第3号について
商標法第3条第1項第3号が、「その商品の産地,販売地,品質,原材料,効能,用途,形状(包装の形状を含む。),生産若しくは使用の方法若しくは時期その他の特徴,数量若しくは価格」を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標について商標登録を受けることができない旨規定しているのは、このような商標は、指定商品との関係で、その商品の産地、販売地、品質、形状その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠くものであることによるものと解される。そうすると、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには、審決の時点において、本願商標が、その指定商品との関係で、その商品の産地、販売地、品質、形状その他の特性を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標の指定商品の取引者及び需要者によって本願商標がその指定商品に使用された場合に、将来を含め、商品の上記特性を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解される(知財高裁平成27年10月21日第3部判決・同27年(行ケ)第10107号参照)
(2)本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、「Bayeri」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、一般的な辞書類に載録のある既成の語ではないから、特定の意味合いは生じない。
しかしながら、当該文字及び当該文字の読みを表したものと認識される「バイエリ」、「ベイエリー」等の文字が、本願の指定商品である第31類「ハオルシア,ハオルシアの苗,ハオルシアの種子」との関係において、ハオルシアの一種類を表す語として使用されている事実があることは、別掲よりうかがえる。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、その商品がハオルシアの一種類である「Bayeri(バイエリ、ベイエリー)」であることを認識、理解するにとどまるというのが相当である。
したがって、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示してなる標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
なお、原査定においては、本願商標が商標法第3条第1項第1号に該当する旨、認定、判断したものであるが、本願商標は、前記のとおり、自他商品の識別標識としての機能を有するものではなく、商標法第3条第1項所定の商標登録の要件を欠くという共通の結論に至るものであるから、両者はその判断の内容において実質的に相違するものではない。
(3)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標は、出願当時あるいはその半年後くらいまでは自他識別性のある商標であったが、審査が長引き、その間に品種名統一に反対するサボテン業者らの呼びかけで一般的にも使われるようになったものであり、審査の都合上審査時を基準とするとしても出願から3年もたった状況で判定するのは不合理である旨主張する。
しかしながら、拒絶査定不服の審判において、登録出願に係る商標が、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かの判断は、審決時を基準として判断されるべきものであることは前記(1)のとおりであるところ、同号が、商標の登録に関する積極的要件ないし一般的登録要件に関する規定であって、その要件がないものについては、商標登録を拒絶すべき旨を定めたものであるから、このような要件の存否の判断は、行政処分一般の本来的性格にかんがみ、一般の行政処分の場合と同じく、特別の規定のない限り、行政処分時、すなわち、拒絶査定不服の審判においては、審決時を基準として判断されるべきであるからである。同法4条3項は、同法4条1項の登録阻却要件について、例外規定を定めたものであって、同法3条に適用されるものではない。また、同条1項3号についてこのような例外規定のないことは、同号該当性の判断に当たって、出願時を基準とすべきではないことの裏付けということができる(東京高裁平成12年8月29日第6民事部判決・平成12年(行ケ)第24号参照)。
イ 請求人は、ハオルシアには最大約1万人程度のマニア的愛好家と、卸市場におけるサボテン多肉の流通量から推定されるおよそ100万人の一般的愛好家がいるが、一般的愛好家は家庭の主婦や学生、OLなど、女性が中心の層で、園芸店やホームセンターで気に入ったハオルシア苗があればたまに買う程度であり、一般的愛好家はネットでハオルシアの記事や商品を検索などしないから、ネット上にあるハオルシアの記事や商品が多数掲載されていても、そのことがハオルシア愛好家全体でその名前が一般的に使用されている証拠とはならない旨主張する。
しかしながら、請求人の主張するハオルシアの一般的愛好家が、インターネットでハオルシアの記事や商品を検索しないことを認め得る証左の提出はない。
ウ 請求人は、過去の審決例や登録例を挙げ、本願商標も同様に判断されるべきである旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かの判断は、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と指定商品の取引の実情等に基づいて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、本願商標については、前記(2)のとおりであるから、判断時期や構成される商標が相違する審決例や登録例を本願商標の登録の適否の判断基準とすることは適切とはいえない。
エ したがって、請求人のアないしウの上記主張は、いずれも採用することができない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲

別掲 本願の指定商品との関係において、「Bayeri」の文字及び該文字の読みを表したものと認識される「バイエリ」及び「ベイエリー」等の文字が、ハオルシアの一種類を表す語として使用されている例(下線は、合議体において付与。)
(1)「園芸ネット本店」のウェブサイトにおいて、「多肉植物 レアハオルチアシリーズ」の見出しの下、「ハオルチア:ベイエリ(No.7) 2.5号」の記載がある。

https://www.engei.net/Browse.asp?ID=191234
(2)「園芸ネット本店」のウェブサイトにおいて、「多肉植物」の見出しの下、「ハオルチア:ベイエリ 3号」の記載がある。

https://www.engei.net/Browse.asp?ID=188895
(3)「kplant」のウェブサイトにおいて、「Bayeri 6.5cm鉢」の記載がある。

https://www.kplant.net/products/sjc056-%E3%83%8F%E3%82%AA%E3%83%AB%E3%83%81%E3%82%A2bayeri-6-5-%E9%89%A2
(4)「【空中庭園+HAWORTHIA.JP+】weblog」のウェブサイトにおいて、「ベイエリー(H.bayeri) 要するにコレクタ。ザラ肌透明窓で極細の白線で条理が入るタイプ。」の記載がある。

http://haworthia.blog55.fc2.com/blog-date-20081226.html
(5)「みんなの趣味の園芸」のウェブサイトにおいて、「bayeri/correcta系」の記載がある。

https://www.shuminoengei.jp/?m=pc&a=page_image_slideshow&target_c_album_image_id=1535172
(6)「GreenSnap」のウェブサイトにおいて、写真中の商品札に「Haworthia/bayeri/ベイエリ−」の記載がある。

https://greensnap.jp/post/7209288
(7)「有限会社ウィルリミテッド」のウェブサイトにおいて、「観葉植物」の項目のもと、「ベイエリ JP286(白雲) 白雲の出るタイプのベイエリ 【多肉植物 Haworthia ハオルチア ハオルシア】」の記載がある。

https://adequate.spacevalue.cfd/index.php?main_page=product_info&products_id=36762
(8)「神畑養魚株式会社」のウェブサイトにおいて、「原種ハオルチア販売のお知らせ」の見出しの下、「ハオルチア バイエリ/Haworthia bayeri」の記載がある。

https://www.kamihata.co.jp/document/Data/20141107_gnews_pth_018.pdf
(9)「うさぎ園芸」のウェブサイトにおいて、「ハオルチア属」の見出しの下、「bayeri」の記載がある。

https://www.usatama.net/succlent/yawahao/bayeri_jdv90_13.htm
(10)多肉植物図鑑(2022年2月20日 株式会社日本文芸社)において、「ベイエリ/Haworthia bayeri」の見出しの下、「棒状に立ち、ざらざらとした質感が特徴。その分類はコレクタの仲間などさまざまな説がある。」の記載がある。
(11)多肉植物サボテン語辞典(2020年7月31日 株式会社主婦の友社)において、「バイエリ(ハオルチア属)/Haworthia bayeri」の見出しの下、「迷路のような白条紋が特徴。オウツフルンからユニオンデールまでのエリアが自生地。かつてはコレクタと呼ばれ、ハオルチアの最高峰としてマニア垂涎の的でした。今もその名前で流通する場合が多い。」の記載がある。
(12)多肉植物全書(2019年4月25日 株式会社グラフィック社)において、「ハオルチア・バイエリ/H.bayeri J.D.Venter&S.A.Hommer」の記載がある(令和2年1月31日付け刊行物等提出書)。
(13)2300種カラー図鑑 世界の多肉植物(2004年5月30日 株式会社誠文堂新光社)において、「Haworthia bayeri/バイエリー」の見出しの下、「コレクタの1タイプ」の記載がある(令和2年1月31日付け刊行物等提出書)。


(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
審理終結日 2023-02-02 
結審通知日 2023-02-10 
審決日 2023-02-28 
出願番号 2019116324 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W31)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 大森 友子
特許庁審判官 飯田 亜紀
小俣 克巳
商標の称呼 バイエリ、ベーエリ 

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