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審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない W41
管理番号 1397268 
総通号数 17 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2023-05-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-12-13 
確定日 2023-04-05 
事件の表示 商願2020−138880拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 手続の経緯
本願は、令和2年3月19日に登録出願された商願2020−30362に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、同年11月10日に登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年 3月 4日付け:拒絶理由通知書
令和3年 6月 1日受付:意見書、手続補正書
令和3年 9月30日付け:拒絶査定
令和3年12月13日受付:審判請求書

2 本願商標
本願商標は、別掲1のとおり、やや図案化された「JoyPac」の欧文字を横書きしてなり、第9類、第41類及び第42類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として登録出願されたものであり、その後、指定商品及び指定役務については、上記1の手続補正により、第41類「オンラインによるゲームの提供」と補正されたものである。

3 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第5295499号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおり、「ジョイパック」の片仮名及び「JOYPACK」の欧文字を上下二段に普通に用いられる方法で横書きしてなり、平成21年7月14日登録出願、第41類、第43類及び第44類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務を指定役務として、同22年1月22日に設定登録され、令和元年11月19日に商標権の存続期間の更新登録が第41類についてされた結果、その指定役務は第41類「運動施設の提供,運動施設の提供に関する情報の提供,娯楽施設の提供,娯楽施設の提供に関する情報の提供」とされ、現に有効に存続しているものである。

4 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、本願商標と引用商標は、「ジョイパック」の称呼を共通にし、これらは特定の観念を生じないものであることから、観念上比較し得ず、それぞれの外観を異にするとしても、称呼における類似性をしのぐほどの特段の差異を取引者、需要者に印象付けるものとはいいがたく、これらを総合勘案すれば、本願商標と引用商標とは、類似の商標であると判断するのが相当である。
また、本願に係る指定役務「オンラインによるゲームの提供」と、引用商標に係る指定役務中「娯楽施設の提供,娯楽施設の提供に関する情報の提供」は、いずれも娯楽関連の役務であることから、一般的に同一の事業者によって提供されるものであり、需要者の範囲も一致しているから、これらは類似する役務であると判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するとしたものである。

5 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり、やや図案化された「JoyPac」の欧文字を横書きしてなり、その構成文字に相応して、「ジョイパック」の称呼が生じるものである。また、当該文字は辞書等に載録されている既成の語ではなく、本願商標の指定役務との関係で直ちに特定の意味合いを想起させるともいい難いから、造語として看取されるものである。
したがって、本願商標からは、その構成文字に相応して、「ジョイパック」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標について
引用商標は、別掲2のとおり、「ジョイパック」の片仮名及び「JOYPACK」の欧文字を上下二段に普通に用いられる方法で横書きしてなり、上段の片仮名は、下段の欧文字の読みを表記したものといえるところ、その構成文字に相応して、「ジョイパック」の称呼が生じるものである。また、当該文字は辞書等に載録されている既成の語ではなく、本願商標の指定役務との関係で直ちに特定の意味合いを想起させるともいい難いから、造語として看取されるものである。
したがって、引用商標からは、「ジョイパック」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
ウ 本願商標と引用商標との類否について
本願商標と引用商標を比較すると、外観について、両商標は、全体としては差異を有するものの、本願商標と、引用商標の欧文字部分の構成中、語頭から6文字目までの「JoyPac(JOYPAC)」のつづりを共通にし、引用商標の片仮名部分は欧文字部分の読みを示すために表されたものと容易に認識されるから、両者は外観上、近似した印象を与えるというのが相当である。
そして、称呼については、両者は「ジョイパック」の称呼を共通にするものである。
また、観念については、両者は、いずれも特定の観念が生じないから比較することができない。
したがって、本願商標と引用商標とは、観念において比較できないとしても、称呼を共通にし、外観上近似した印象を与えるため、これらの外観、称呼及び観念によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合勘案すれば、両者は、相紛れるおそれのある類似の商標というのが相当である。
エ 本願に係る指定役務と引用商標に係る指定役務との類否について
指定商品又は指定役務が類似のものであるかどうかは、商品又は役務が、通常、同一営業主により製造若しくは販売又は提供されている等の事情により、それらの商品又は役務に同一又は類似の商標を使用する場合には、同一営業主の製造若しくは販売又は提供に係る商品又は役務と誤認されるおそれがあると認められる関係があるか否かによって判断すべきである(最高裁昭和33年(オ)第1104号、知財高裁平成27年(行ケ)第10096号参照)旨判示されているところである。
本願に係る指定役務「オンラインによるゲームの提供」と、引用商標に係る指定役務中「娯楽施設の提供,娯楽施設の提供に関する情報の提供」について、これらの役務の提供の目的は、コンピューターネットワークを通じて、あるいは現実の遊戯場、遊園地等の娯楽施設において、いずれも娯楽を提供することであり、一致する。
そして、本願に係る指定役務の提供に関連する物品は、ゲームソフトウェア、テレビゲーム機、電気通信機械器具、コンピューターを含む、電子応用機械器具であるところ、引用商標に係る指定役務中「娯楽施設の提供,娯楽施設の提供に関する情報の提供」においても、ゲームソフトウェア、テレビゲーム機、電気通信機械器具、コンピューターを含む、電子応用機械器具が用いられることがあるため、一致する場合がある。
また、需要者の範囲は、いずれも娯楽を求める一般需要者であり、一致する。
さらに、別掲3のとおり、原審において提示した事実によれば、これらの役務は、同一の事業者によって提供されることがあるものである。
したがって、本願に係る指定役務「オンラインによるゲームの提供」と、引用商標に係る指定役務中「娯楽施設の提供,娯楽施設の提供に関する情報の提供」は、役務の提供の目的、提供に関連する物品及び需要者の範囲が一致することに加え、現実に同一の事業者によって提供されることがあることも踏まえると、これらの指定役務に同一又は類似する商標が使用された場合には、同一営業主の提供に係る役務と誤認されるおそれがあると認められる関係があるから、両者は類似の役務であるというのが相当である。
オ 小括
以上より、本願商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、その指定役務も引用商標に係る指定役務と類似の役務であるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標と引用商標は、「ジョイパック」の称呼を共通にするものであるが、本願商標と引用商標は特定の観念を生じないものであることから、観念上比較し得ず、商標を構成する文字が異なり、外観上十分に識別でき、類似しない旨主張する。
しかしながら、上記(1)ウのとおり、両商標は、全体としては差異を有するものの、本願商標と、引用商標の欧文字部分の構成中、語頭から6文字目までの「JoyPac(JOYPAC)」のつづりを共通にし、引用商標の片仮名部分は欧文字部分の読みを示すために表されたものと容易に認識されるから、両者は外観上、近似した印象を与えるというのが相当である。
イ 請求人は、引用商標の商標権者のホームページに公開されている運営施設は、パチンコ、ゲームセンター、温浴施設、ボウリング場等であり、主にレジャー施設であって、その需要者は一般顧客であり、業種は娯楽業である。
一方、請求人は、ゲームタイトルを企画し、宣伝広報や販売、リリースを中心に行っている企業であることから、その需要者はゲームデベロッパであり、業種は情報・広告業であって、本願商標が使用される場所もオンラインという仮想空間である。
つまり、引用商標が使用されている役務と本願商標が使用されている役務は、提供の手段、目的又は場所、提供に関連する物品、需要者の範囲、業種、当該役務に関する業務や事業者を規制する法律が大きく異なることが明らかであり、同一の事業者が提供するものとは言えない旨主張する。
しかしながら、商標の類否判断において参酌されるべき取引の実情とは、その指定商品全般についての一般的、恒常的なそれを指すものであって、当該商標が現在使用されている商品についてのみの特殊的、限定的なそれを指すものではない(最高裁昭和47年(行ツ)第33号参照)ところ、役務についても、同様に解されている(知財高裁平成26年(行ケ)第10144号参照)。この点、請求人の主張は、いずれも、現在の取引の実情の一側面を今後も変化する余地のないものとして挙げているにとどまるものであって、指定役務全般についての一般的、恒常的な事情とは異なるものといわざるを得ず、これを取引の実情として商標の類否判断に当たり考慮することはできない。
また、上記(1)エのとおり、本願に係る指定役務「オンラインによるゲームの提供」と、引用商標に係る指定役務中「娯楽施設の提供,娯楽施設の提供に関する情報の提供」は、役務の提供の目的、提供に関連する物品及び需要者の範囲が一致することに加え、現実に同一の事業者によって提供されることがあることも踏まえると、これらの指定役務に同一又は類似する商標が使用された場合には、同一営業主の提供に係る役務と誤認されるおそれがあると認められる関係があるから、両者は類似の役務であるというのが相当である。
ウ したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲





別掲1(本願商標)


別掲2(引用商標)


別掲3(原審が提示した事実)
1 「Wonderland Wars(ワンダーランド ウォーズ) セガ」のウェブサイト
「ワンダーランドウォーズとは?」の見出しの下、「ゲームセンターに登場!オンライン協力対戦アクションゲーム!」との記載がある。
https://wonder.sega.jp/guide/
2 「バンダイナムコアミューズメント」のウェブサイト
「ポーカースタジアム」の見出しの下、「互いの手札と心を読み合い、騙し合う全く新しい本格ネットワーク対戦ゲームが最新のグラフィックスと大画面2モニターの専用筐体で登場!!」との記載がある。
https://bandainamco-am.co.jp/am/vg/pokerstadium/about/


(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。

審判長 大森 友子
出訴期間として在外者に対し90日を附加する。
審理終結日 2022-10-27 
結審通知日 2022-11-01 
審決日 2022-11-21 
出願番号 2020138880 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (W41)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 大森 友子
特許庁審判官 清川 恵子
浦崎 直之
商標の称呼 ジョイパック 
代理人 奥野 彰彦 
代理人 SK弁理士法人 
代理人 伊藤 寛之 

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