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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W09
管理番号 1396524 
総通号数 16 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2023-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-08-05 
確定日 2023-03-24 
異議申立件数
事件の表示 登録第6563634号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6563634号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6563634号商標(以下「本件商標」という。)は、「MONSTER HUNTER RISE: SUNBREAK」の欧文字を横書きした構成よりなり、2021年9月15日に大韓民国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張して、令和4年1月7日に登録出願、第9類及び第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年4月19日に登録査定され、同年5月30日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
1 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する、申立人の使用に係る商標(以下「引用商標1」という。)は、「MONSTER」の欧文字を横書きした構成よりなり、申立人が、申立人の業務に係る商品「イヤホン,ヘッドホン,ダウンロード可能なスマートフォン用のアプリケーションソフトウェア,ケーブル」に使用し、需要者の間に広く認識されていると主張するものである。
2 上記の引用商標1以外の、申立人主張に係る商標は、以下の8件の登録商標であり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第2095756号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:MONSTER
登録出願日:昭和54年12月12日
設定登録日:昭和63年11月30日
指定商品 :第9類「電線,ケーブル」(平成21年3月11日書換登録)
(2)登録第2697721号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:モンスター
登録出願日:平成元年5月24日
設定登録日:平成6年10月31日
指定商品 :第9類「電線,ケーブル」(平成18年2月8日書換登録)
(3)登録第2715891号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:別掲のとおり
登録出願日:昭和59年7月30日
設定登録日:平成8年8月30日
指定商品 :第9類「スピーカー用接続コード,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極」(平成20年3月5日書換登録)
(4)登録第4585355号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の構成:MONSTER MOBILE(標準文字)
登録出願日:平成13年11月1日
優先権主張:アメリカ合衆国、2001年5月14日
設定登録日:平成14年7月12日
指定商品 :第9類「電池を充電するための電気機器,電池用充電器,その他の配電用又は制御用の機械器具,充電式電池,その他の電池,電線及びケーブル」
(5)登録第4605487号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の構成:MONSTER POWER(標準文字)
登録出願日:平成12年5月17日
設定登録日:平成14年9月20日
指定商品 :第9類「配電用又は制御用の機械器具,電線及びケーブル」
(6)登録第4679679号商標(以下「引用商標7」という。)
商標の構成:MONSTER(標準文字)
登録出願日:平成13年7月16日
優先権主張:アメリカ合衆国、2001年1月18日
設定登録日:平成15年6月6日
指定商品 :第9類「ケーブル,電気コネクター,配電用又は制御用の機械器具」
(7)登録第5107654号商標(以下「引用商標8」という。)
商標の構成:MONSTER BASS(標準文字)
登録出願日:平成16年11月26日
優先権主張:アメリカ合衆国、2004年5月28日
設定登録日:平成20年1月25日
指定商品 :第9類「電線及びケーブル」
(8)登録第5579974号商標(以下「引用商標9」という。)
商標の構成:MONSTER DNA(標準文字)
登録出願日:平成24年11月2日
優先権主張:アメリカ合衆国、2012年5月4日
設定登録日:平成25年5月2日
指定商品 :第9類「ヘッドホン及びその構成部品,オーディオスピーカー,ノートブック型パーソナルコンピュータの機能拡張用接続器,携帯型音楽プレーヤーの機能拡張用接続器,スマートフォンの機能拡張用接続器,ケーブル,AV機器用ケーブル及び動力ケーブル,コネクタ,その他の電気的および電磁気的信号伝送装置・増幅装置・受信装置・変換装置,その他の電線及びケーブル,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」及び第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、その指定商品中、第9類「携帯電話機用ストラップ,スマートフォン用ストラップ,スマートフォン用のカバー,スマートフォン用のケース,スマートフォン用保護フィルム,ダウンロード可能な携帯電話機用及びスマートフォン用のスクリーンセーバー及び壁紙用ソフトウェア,腕時計型携帯情報端末,スマートフォン」(以下「申立に係る商品」という。)について、商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号の規定により、その登録は取り消されるべきものである旨申立て、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第20号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第10号について
(1)申立人の引用商標1が使用された商品の周知性
申立人は、1979年に設立された米国法人であり、申立人の製品「MONSTER CABLE」は、高性能・高品質のオーディオ用ケーブルであり、ハリウッド映画の製作現場にも使用されている。
さらに、申立人は、事業・製品の多角化の一環として2009年から「イヤホン・ヘッドホン」市場に参入しており、引用商標1を付して販売されたイヤホン・ヘッドホンは、マイルス・デイヴィスなどの世界的ミュージシャンや、シャネルなどのファッションメーカーだけでなく、近年ではスポーツメーカーのアディダスや、世界的サッカー選手クリスティアーノ・ロナウドとのコラボレーションモデルにより、日本を含む世界中の需要者等に幅広く受け入れられている(甲14〜甲17)。
また、申立人は、引用商標1が使用された、イヤホン等の設定・調整などを行うためのダウンロード可能なスマートフォン用アプリを提供しており(甲18)、申立人の商品は、キクタニミュージック株式会社、完実電気株式会社、オンキヨーマーケティング株式会社(2022年2月8日より事業停止)などの正規輸入・販売業者並びにそれを介した日本全国の取り扱い店舗及びオンライン販売サイトにより国内正規品として、又は並行輸入品等として、日本で販売されている(甲14、甲17〜甲20)。
(2)商品の類似性
申立に係る商品は、引用商標1が付された商品「イヤホン,ヘッドホン,ダウンロード可能なスマートフォン用のアプリケーションソフトウェア」に類似する。
(3)商標の類似性(本件商標と引用商標1)
本件商標「MONSTER HUNTER RISE: SUNBREAK」は、4個の単語、26個の文字からなる文字商標であり、「モンスターハンターライズサンブレイク」の18音(長音含む)の称呼が生じ、これは商標の称呼として決して短いとされるものではなく、冗長とされるものである。
欧文字の言語は左側から認識・把握されるため、我が国の商取引では、本件商標のように、単語数等の多い欧文字からなる名称は、需要者等に与える印象、記憶、連想等の影響は、相対的に最左端の単語が高く、またそれより後の単語を省略して称呼することなどが慣行されている。
そうすると、本件商標において、最初に認識・把握される単語であるその構成中の「MONSTER」は、「怪物、化け物」などの意味を有する平易な英語であるとしても汎用されるものではないことから、需要者等に与える印象、記憶、連想等に大きな影響を与え、一般的に需要者等に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるといえる。
このように単語数等の多い本件商標は、簡易、迅速をたっとぶ取引の実際においては、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であるとされるものではなく、これに接する需要者等が最左端の「MONSTER」のみに着目して取引に資する場合もあることから、本件商標は、その構成中の「MONSTER」が要部として抽出され得るといえる。
また、本件商標の構成中の「MONSTER」は、引用商標1と、外観が同一、称呼が「モンスター」で同一、観念が「怪物、化け物」等で同一である。
さらに、申立人の名称が「モンスター・ケーブル・プロダクツ,インコーポレイテッド」から「モンスター,インコーポレイテッド」に変更されており、また申立人の製品・業務が多角化していることから、現在では、引用商標2、引用商標3及び引用商標7の「MONSTER」又は「モンスター」はハウスマーク、引用商標4ないし引用商標6、引用商標8及び引用商標9は、「monSTER/MONSTER」の後部にそれぞれ「CABLE」、「MOBILE」、「POWER」、「BASS」、「DNA」の文字が付加された、ファミリーネーム又はペットネームという関係にあるともいえる。
また、申立人の商標における「MONSTER」の文字は、「怪物、化け物」などの意味を有することから、使用される商品との関係から、需要者等に強い印象を与える構成上顕著な特徴であるといえるため、「MONSTER」の文字を構成の最左端に含む、欧文字のみからなる本件商標は、あたかも引用商標1「MONSTER」のファミリーネーム又はペットネームであるとの印象又は連想を需要者等に与え得るものであるといえる。
そうすると、本件商標は、申立に係る商品に使用した場合、本件商標の要部として抽出される「MONSTER」が引用商標1と外観、称呼、及び観念が同一であることから、需要者等において出所混同を生じるおそれがあるほど、引用商標1と類似するといえる。
(4)小括
したがって、本件商標は、申立人の業務に係る商品「イヤホン,ヘッドホン,ダウンロード可能なスマートフォン用のアプリケーションソフトウェア」を表示するものとして需要者の間に広く認識されている引用商標1と類似する商標であって、その商品に類似する申立に係る商品に使用するものであることから、商標法第4条第1項第10号の規定に違反して登録されている。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)申立人の業務及び引用商標1の周知性
申立人の業務及び引用商標1の周知性については、上記1(1)のとおりであり、本件商標の登録出願前より需要者の間に広く認識されているものである。
(2)商品の類似性及び取引の実情
申立に係る商品は、引用商標1を付した商品「イヤホン,ヘッドホン,ダウンロード可能なスマートフォン用のアプリケーションソフトウェア」と類似する。
そして、申立人の引用商標1、引用商標2及び引用商標7「MONSTER」が使用される商品「ケーブル」は、携帯電話やスマートフォンの部品又は付属品であり、また、今日ではスマートフォンが個人用音響機器としても頻用されている。
そのため、申立に係る商品は、引用商標1を付した上記の商品と取引の実情より密接な関係があるといえる。
(3)商標の特性及び類似性(本件商標と引用商標1)
上記1(3)のとおり、本件商標は、その構成中の「MONSTER」が要部として抽出され得るといえ、引用商標1と、外観が同一、称呼が「モンスター」で同一、観念が「怪物、化け物」等で同一である。
また、「MONSTER」の文字を構成の最左端に含む、欧文字のみからなる本件商標は、あたかも引用商標1「MONSTER」のファミリーネーム又はペットネームであるとの印象又は連想を需要者等に与え得るものであるといえる。
したがって、本件商標は、申立に係る商品に使用した場合、本件商標の要部として抽出される「MONSTER」が引用商標1と外観、称呼、及び観念が同一であることから、需要者等において申立人又は申立人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、その出所について混同するおそれがあるほど、引用商標1と類似しているといえる。
(4)小括
したがって、本件商標は、申立に係る商品に使用する場合、申立人等の他者の業務に係る商品と混同を生じるおそれがある商標であるから、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されている。
3 商標法第4条第1項第19号について
(1)申立人の業務及び引用商標1の周知性
申立人の業務及び引用商標1の周知性については、上記1(1)のとおりであり、本件商標の登録出願前より需要者の間に広く認識されているものである。
(2)商標の特性及び類似性(本件商標と引用商標1)
上記1(3)のとおり、本件商標は、その構成中の「MONSTER」が要部として抽出され得るといえ、引用商標1と、外観が同一、称呼が「モンスター」で同一、観念が「怪物、化け物」等で同一である。
また、「MONSTER」の文字を構成の最左端に含む、欧文字のみからなる本件商標は、あたかも引用商標1「MONSTER」のファミリーネーム又はペットネームであるとの印象又は連想を需要者等に与え得るものであるといえる。
加えて、申立に係る商品は、引用商標1を付した商品「イヤホン,ヘッドホン,ダウンロード可能なスマートフォン用のアプリケーションソフトウェア」と類似し、申立人の引用商標1、引用商標2及び引用商標7「MONSTER」が使用される「ケーブル」は、携帯電話やスマートフォンの部品又は付属品であり、また、今日ではスマートフォンが個人用音響機器としても頻用されている。
そのため、申立に係る商品は、需要者の範囲が一致し、その多くが同一の売り場・店舗内で販売されるなどの取引の実情より、引用商標1を使用するものとして需要者の間で広く知られた商品「ヘッドホン,イヤホン,ダウンロード可能なスマートフォン用のアプリケーションソフトウェア,ケーブル」と類似し又は密接な関係があるといえる。
したがって、本件商標は、申立に係る商品に使用した場合、本件商標の要部として抽出される「MONSTER」が引用商標1と外観、称呼、及び観念が同一であることから、需要者等において申立人又は申立人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、その出所について混同するおそれがあるほど、引用商標1と極めて類似しているといえる。
(3)不正の目的
上述のとおり、引用商標1は、需要者の間に広く知られているという事実があり、申立人は高品質・高性能なケーブルから、イヤホン・ヘッドホンなど様々な製品・事業の多角化を図ってきている。
また、本件商標は、その所有者が申立に係る商品に使用した場合、引用商標1を使用するものとして需要者の間で広く知られた商品「ヘッドホン,イヤホン,ダウンロード可能なスマートフォン用のアプリケーションソフトウェア,ケーブル」と類似又は密接な関係があることから、引用商標1と出所混同を生じるおそれがあるほど極めて類似し、引用商標1に化体した信用、名声、顧客吸引力等を毀損させるおそれがある。
さらに、申立人は、構成中に「MONSTER」を含む商標に係る国際商標登録出願をしていることからも、事業規模の拡大の計画があるといえる(甲10〜甲13)。
(4)小括
したがって、本件商標は、申立人の業務に係る商品として日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と類似の商標であって、不正の目的をもって使用するものと推認されることから、商標法第4条第1項第19号の規定に違反して登録されている。

第4 当審の判断
1 引用商標1の周知性について
申立人の提出に係る甲各号証及び同人の主張によれば、申立人は、1979年に設立された米国法人であり、申立人の製品「MONSTER CABLE」は、オーディオ用ケーブルであって、ハリウッド映画の製作現場にも使用されていること、さらに、申立人は、2009年から「イヤホン・ヘッドホン」市場に参入しており、引用商標1を付したイヤホン、ヘッドホンは、ミュージシャンや、シャネルなどのファッションメーカーだけでなく、近年ではスポーツメーカーのアディダスや、世界的サッカー選手とのコラボレーションモデルも販売されていることが認められる(甲14〜甲17)。
また、申立人の当該商品は、完実電気株式会社などの正規輸入・販売業者並びにそれを介した日本全国の取り扱い店舗及びオンライン販売サイトにより国内正規品として、又は並行輸入品等として、日本で販売されていることがうかがえる(甲14、甲17〜甲20)ほか、Appleのウェブサイトにおいて、申立人のイヤホン等に使用される申立人のダウンロード可能なスマートフォン用アプリが掲載、提供されている(甲18)。
以上によれば、引用商標1は、申立人の業務に係る「イヤホン,ヘッドホン,ダウンロード可能なスマートフォン用のアプリケーションソフトウェア,ケーブル」に使用されていることがうかがえるものの、引用商標1の使用開始日や当該商品に関する広告宣伝の規模や販売状況を示す客観的な証拠の提出はなく、我が国及び外国における、申立人の業務に係る商品の売上高、シェア、広告宣伝の程度などが明らかではないことから、引用商標1の周知性の程度を推し量ることはできない。
また、証拠として提出された請求書(甲19)は、引用商標1が付された商品に係る取引であるかが不明であり、また、2018年のわずか1年の間における取引にすぎない。
さらに、申立人の提出に係る甲各号証を総合してみても、引用商標1が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国及び外国の取引者、需要者の間で、申立人の業務に係る商品を表示するものとして広く認識されていたと認めるに足る事実は見いだせない。
そうすると、申立人提出の証拠によっては、引用商標1が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国及び外国の需要者の間に広く認識されていたものということはできない。
2 商標法第4条第1項第10号について
(1)本件商標
本件商標は、上記第1のとおり、「MONSTER HUNTER RISE: SUNBREAK」の欧文字を横書きしてなるところ、欧文字よりなる4つの単語と記号の「:」(コロン)を、空白(スペース)を介して結合したやや長い構成といえ、構成文字に相応して生じる「モンスターハンターライズサンブレイク」の称呼も18音と、やや冗長といえるものであるから、本件商標に接する需要者は、その外観上、区切りとなり得る記号「:」(コロン)の前までを1つのまとまった部分であるものと看取し、「MONSTER HUNTER RISE」の文字部分をもって取引に資する場合もあるといえるものである。
また、本件商標は、構成全体から特定の意味合いを生じないといえるところ、その構成中の「MONSTER」及び「HUNTER」の文字は、それぞれ「怪物、化け物」等、「狩りをする人、狩猟家、ハンター」等の意味を有するものであって(いずれも「新英和中辞典」株式会社研究社)、これらの語より「怪物のハンター」ほどの意味合いを容易に想起させ得ることから、1つのまとまった意味合いを認識することができる「MONSTER HUNTER」の文字部分をもって取引に資する場合も決して少なくないとみるのが相当である。
そうすると、本件商標は、その構成全体から生じる「モンスターハンターライズサンブレイク」の称呼に加え、「モンスターハンターライズ」及び「モンスターハンター」の称呼を生じるものとみるのが相当であり、また、「怪物のハンター」ほどの観念を生じる場合があるものである。
(2)引用商標1
引用商標1は、「MONSTER」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成文字に相応して「モンスター」の称呼を生じ、上記のとおり「怪物、化け物」等の観念を生じるものである。
(3)本件商標と引用商標1の類否
本件商標と引用商標1とを比較するに、両者は、外観においては、「MONSTER」の文字を共通にするものの、「HUNTER RISE: SUNBREAK」、「HUNTER RISE」又は「HUNTER」の文字の有無の相違により、外観上、明確に区別できるものである。
次に、称呼においては、「モンスター」の称呼を共通にするものの、「ハンターライズサンブレイク」、「ハンターライズ」又は「ハンター」の音の有無の差異を有するものであるから、該差異が称呼全体に与える影響は決して小さいものということはできず、十分に聴別し得るものである。
さらに、観念においては、本件商標からは「怪物のハンター」の観念を生じる場合があり、引用商標1からは「怪物、化け物」等の観念を生じるから、両者は、観念上、相紛れるおそれがないか、比較できないものである。
そうすると、本件商標と引用商標1とは、外観において明確に区別し得るものであり、称呼において十分に聴別し得るものであって、観念において相紛れるおそれがないか、比較できないものであるから、これらを総合的に勘案すると、両商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標と判断するのが相当である。
(4)小括
上記1のとおり、引用商標1は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできず、かつ、本件商標と引用商標1は、上記(3)のとおり、非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
したがって、申立に係る商品と申立人の業務に係る商品「ヘッドホン,イヤホン,ダウンロード可能なスマートフォン用のアプリケーションソフトウェア,ケーブル」との類否について判断するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号について
上記1のとおり、引用商標1は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているものと認められないものである。
そして、上記2(3)のとおり、本件商標と引用商標1とは、非類似の商標であって、別異の商標というべきものであるから、類似性の程度は低いというべきである。
また、申立に係る商品と引用商標1の使用に係る商品「ヘッドホン,イヤホン,ダウンロード可能なスマートフォン用のアプリケーションソフトウェア,ケーブル」とは、その需要者、販売場所を共通にする場合があるとしても、その用途、目的等において相違する商品というべきであるから、両者の関連性は高いものということはできない。
そうすると、本件商標は、これを本件商標権者が申立に係る商品に使用しても、需要者が引用商標1を想起して、その商品が、申立人又は同人と親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品等であると、その商品の出所について混同を生じるおそれはないというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第19号について
上記1のとおり、引用商標1は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国及び外国における需要者の間に広く認識されているものということはできないものであり、さらに、上記2(3)のとおり、本件商標と引用商標1とは非類似の商標である。
そして、申立人の提出に係る証拠をみても、本件商標権者が、不正の目的をもって本件商標の使用をするものと認めるに足る具体的な事実を見いだすことはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
5 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲

別掲 引用商標4



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異議決定日 2023-03-15 
出願番号 2022001425 
審決分類 T 1 652・ 25- Y (W09)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 森山 啓
特許庁審判官 荻野 瑞樹
小林 裕子
登録日 2022-05-30 
登録番号 6563634 
権利者 株式会社カプコン
商標の称呼 モンスターハンターライズサンブレイク、モンスターハンターライズサンブレーク、モンスターハンターライズ、モンスターハンター、ライズ、サンブレーク 
代理人 古谷 聡 
代理人 弁理士法人深見特許事務所 
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