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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W3643
管理番号 1396522 
総通号数 16 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2023-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-08-03 
確定日 2023-04-08 
異議申立件数
事件の表示 登録第6561726号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6561726号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6561726号商標(以下「本件商標」という。)は、「ecolab」の文字を標準文字で表してなり、令和3年10月8日に登録出願、第36類「建物内のスペースの貸与」及び第43類「会議室の貸与,飲食物の提供」を指定役務として、令和4年3月29日に登録査定、同年5月26日に設定登録されたものである。

第2 引用商標等
1 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、「本件商標は商標法第4条第1項第15号及び同項第19号に該当する。」として引用する登録商標は、以下1ないし8であり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである(以下、これらをまとめていう場合は「引用商標」という。)。
(1)登録第2429614号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様:別掲1のとおり
指定商品:第7類、第11類及び第19類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
登録出願日:平成元年1月25日
設定登録日:平成4年6月30日
書換登録日:平成16年7月21日
(2)登録第3337505号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様:「ECOLAB」
指定役務:第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務
登録出願日:平成4年9月28日
設定登録日:平成9年8月8日
(3)登録第5436659号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の態様:「ECOLAB」及び「エコラボ」の文字を上下二段に書してなる
指定商品:第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
登録出願日:平成22年10月8日
設定登録日:平成23年9月9日
(4)登録第5448154号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の態様:「ECOLAB」及び「エコラボ」の文字を上下二段に書してなる
指定役務:第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務
登録出願日:平成22年10月8日
設定登録日:平成23年11月4日
(5)登録第5456578号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の態様:「ECOLAB」及び「エコラボ」の文字を上下二段に書してなる
指定役務:第35類及び第45類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務
登録出願日:平成22年10月8日
設定登録日:平成23年12月9日
(6)登録第5470955号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の態様:「ECOLAB」及び「エコラボ」の文字を上下二段に書してなる
指定役務:第35類、第37類、第40類、第42類及び第45類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務
登録出願日:平成22年10月8日
設定登録日:平成24年2月17日
(7)登録第5470957号商標(以下「引用商標7」という。)
商標の態様:「ECOLAB」及び「エコラボ」の文字を上下二段に書してなる
指定役務:第37類、第40類及び第44類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務
登録出願日:平成22年10月8日
設定登録日:平成24年2月17日
(8)登録第5435065号商標(以下「引用商標8」という。)
商標の態様:「ECOLAB」及び「エコラボ」の文字を上下二段に書してなる
指定商品:第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
登録出願日:平成22年10月8日
設定登録日:平成23年9月2日
2 申立人が、手指の消毒剤等に使用する商標は、「エコラボ」の片仮名からなる商標(以下「使用商標1」という。)及び別掲2からなる商標(以下「使用商標2」という。)である(なお、「使用商標1及び同2」と「引用商標」をまとめていう場合は、「引用商標等」という。)。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第62号証(枝番号を含む。)を提出した。
なお、以下、甲各号証の表記にあたっては、甲第1号証を「甲1」のように表示する。
1 商標法第4条第1項第15号について
(1)引用商標の周知著名性について
引用商標は、申立人が、1923年に創業して以降、レストランやホテルを中心とした公共施設におけるサニテーション及びクリーニング、それに関連して提供される手指の消毒剤や各種洗浄剤等について、今日に至るまで継続して使用している世界的な著名商標である(甲4〜60)。申立人は、1923年にアメリカ合衆国ミネソタ州セントポールにおいて、ホテルやレストラン向けの業務用洗浄剤を製造販売する会社として創業し、100年以上にわたる功績が世界中で認められた結果、現在では、水、食品安全、公衆衛生の技術とサービスにおけるグローバルリーダーとなり、なかでも業務用クリーニングとサニテーションの世界的なリーディングカンパニーとして広く知られている(甲4、6、23、24、26、40)。ニューヨークの株式市場にも上場しており(甲7)、食品安全に関する世界最大の国際会議「世界食品安全会議(GFSC)」の公式パートナーでもある(甲9〜11、15)。主力事業は、ホテルや外食産業関連向けに食品衛生を中心とした衛生管理全般を提供する事業と、食品・飲食加工工場の衛生管理をトータルでサポートする事業であり、宿泊産業ではグローバルチェーンの衛生管理に高いシェアを持ち、レストランの衛生管理では世界で年間450億食に貢献するといわれている(甲6、7、30)。申立人の事業活動は、北米、欧州、アフリカ、アジアを含む全世界170か国以上に広がっており、2017年時点での総売上げは、約1兆5千億円、従業員は4万8000人、研究開発者は約1600人、世界での特許登録件数は、8600件を超えるものである(甲4、6〜9、22、28、31)。申立人は、米国連邦政府・州政府・保健所公認の食品衛生に関する認証プログラムである「サーブセーフ」セミナーを定期的に実施し、申立人のサポートスタッフは全員、この認定を受けていることでも有名である(甲4、6、14、32、35)。申立人は、その事業活動における目標の核となるものの一つに「サステナビリティ」を掲げており、2021年には、世界160か国12,000以上の参加企業を擁する世界最大の企業持続可能性イニシアチブである「国連グローバル・コンパクト」において、申立人は、僅か37社だけが認められた「国連グローバル・コンパクト・リード企業」のうちの1社に選ばれ(甲55)、その他にもサステナビリティに関連する数々の賞を受賞している(甲56、57)。そして、申立人が世界中で展開するこのような事業活動において、引用商標は、創業時から今日に至るまで継続して使用されている。
(2)引用商標の日本における周知性
日本においては、1969年にエコラボ合同会社(以下「エコラボ社」という。)を設立して事業を開始して以来、フードサービス向けのビジネスや食品工場向けのビジネスを中心とした2つの主要分野を中心に全国的に事業活動を展開し、北海道から沖縄に至るまでのセールスネットワークを有する企業に発展した(甲10)。エコラボ社の売上高は、2018年3月時点で300億円を超えている(甲4、9)。高品質な科学洗浄システム、環境衛生、サニテーション関連製品を開発し、日本各地の工場拠点やホテルやレストラン、ランドリー・クリーニング施設、老人ホームなどのケア施設など多種多様な業界及び施設に対して、衛生管理に関するコンサルティングを提供しながら、施設の各所に必ず設置されている各種衛生管理商品を提供している(甲4、10)。具体的には、例えば、美容院等の施設において、入口に設置される手指消毒剤のディスペンサー、手洗所に置かれるハンドソープ、席に置かれる消毒ジェル等に引用商標が表示されたエコラボ社の商品が用いられるなどしており(甲58)、当該施設利用者であれば必ずこれらの商品を利用し、引用商標を目にしている実情がある。そして、同社が提供するサービスはいずれも、大規模多機能ホテルから小規模な和風旅館まで、業態や施設規模の大小を問わず対応できるプログラムとして知られており、それ故に、需要者層は極めて広範囲にわたる(甲6)。2018年には、国内のニーズにフレキシブルに対応した製品の供給を見込んで、千葉県野田市に製造設備を新設したことが話題を呼んだ(甲12、13、17、22)。石川県に拠点を置くエコラボ社志賀工場は、国内の飲料工場向け殺菌剤の業界では、トップシェアの約50%を誇る(甲16)。2019年には、食器洗浄機の洗浄供給システムの新サービス「SMARTPOWER」やエアコンベア用クリーナー「Track CARE」、ノロウィルスに対して即効性のある除菌・洗浄剤「TBクワット」などの新製品の発表が話題となり、各種の新聞やインターネット記事で多く紹介されている(甲18〜22、29、34、37〜39)。特に、「SMARTPOWER」は、日本最大級のホテル・レストラン展示会である「国際ホテル・レストラン・ショー」(四日間の来場者数は67,171人)にて展示され、話題を呼んだ(甲36)。新型コロナウィルスが世界中を襲った2020年頃から、エコラボ社が、日本に所在するホテルやレストランなどに対して包括的な衛生管理プログラムを提供する機会はより一層増えている(甲43)。東京ステーションホテルでは、感染症拡大への対応策として、2020年5月よりエコラボ社と総合パートナシップを締結したことを大々的に宣伝し、ホテル衛生管理の強化を様々なメディアでアピールしている(甲25、42)。また、ハイアットリージェンシー京都やグランドハイアット東京等の一流ホテルに至っては、創業時から食器洗浄機用洗浄剤、リンス剤、食器・調理用器具洗浄剤、カトラリー浸漬剤、除菌・漂白剤など、エコラボ社の製品で統一していることで知られている(甲48、49)。2020年には、エコラボ社は「世界約300万か所に及ぶ顧客の現場で、水、衛生、感染防止のソリューションとサービスを提供する「有力企業」として紹介されている(甲41)。このほか、エコラボ社が提供するサービスは、様々な形でメディアに取り上げられている(甲33、44、45、50〜52)。また、エコラボ社は、持続可能な社会の実現を推進しており、そのサステナビリティに関連する取組は日本において高く評価されている。例えば、プラスチック使用量を大幅に削減する取組は広く報道されるなどして注目を集めている(甲12、13、17)。そして、引用商標は、エコラボ社が日本全国で展開するこのような事業活動において、今日に至るまで継続して使用されている。
以上のとおり、申立人及びその日本法人であるエコラボ社は、レストランやホテルなどの公共施設を中心に、業務用クリーニングとサニテーションの分野に加えて、サステナビリティに関する取組においても世界的なリーディングカンパニーとして知られ、引用商標は、申立人を表す商標として、日本国を含む世界中で、1923年の創業時から現在に至るまで、広く継続的に使用されているものである。
したがって、引用商標は、本件商標の出願時及び登録査定時において、世界的に広く知られた周知著名商標であったことは明白である。
(3)本件商標と引用商標の類似性について
本件商標は、「ecolab」の文字よりなるところ、これより生じる「エコラボ」の称呼は、引用商標より生じる「エコラボ」の称呼と同一である。また、本件商標と引用商標とは、各々アルファベット文字の構成文字が大文字か小文字か、アルファベット文字がロゴ化されているか否か、片仮名文字が併記されているか否かという僅かな差異はあるものの、商標を構成するアルファベットの文字が同一であることから、外観において明らかに類似する。さらに、本件商標と引用商標はいずれも造語であり、他の商標との比較となる観念が何ら生じないものであるから、観念上の対比ができない。したがって、本件商標は、引用商標との類似性が極めて高いものである。
(4)本件商標の指定役務と申立人の業務に係る商品及び役務等との関連性の程度、取引者・需要者の共通性等
引用商標は、レストランやホテルなどの公共施設におけるサニテーション及びクリーニングについて周知著名性を獲得したのに対し、本件商標の第36類の役務は「建物内のスペースの貸与」であり、第43類の指定役務は、「会議室の貸与、飲食物の提供」である。公共施設におけるサニテーション及びクリーニングは、「飲食物の提供」「建物内のスペースの貸与」「会議室の貸与」それ自体とは、一般には、商品や役務として互いに類似しないものとされているが、こうした役務は、特定の業種に対して提供されるものではなく、全業種に対して横断的に提供されるものであって、その取引者や需要者は、ホテルやレストラン、工場といった施設から一般消費者まで、極めて広範にわたる。一方、「飲食物の提供」や「会議室の貸与」「建物内のスペースの貸与」の需要者は、年齢、性別、職種等を問わず、あらゆる分野の広汎な一般消費者であり、その中には当然、申立人の商標に係る上記役務の取引者・需要者も含まれている。また、昨今の新型コロナウィルスの影響により、感染防止対策として消毒液等の衛生用品や衛生管理の需要は高まり、公共施設の利用客は、ほぼ確実に、かつ、かなりの頻度で、手指消毒剤やそのディスペンサーといった商品に接している。そして、どのような衛生管理がなされているか、どの程度衛生管理が徹底されているかといった点が、需要者の最も高い関心事項の一つとなっており、日本全国に所在する多数のホテルやレストランが、申立人が提供する消毒剤を取り扱い、自社のブランド価値を高め、集客力を上げるべく、申立人が提供する衛生管理のサポートを受けて事業を運営している事実を、顧客向けの宣伝広告として大々的に使用している。したがって、本件商標の指定役務と、申立人が提供する上記役務とが、密接な関連性を有し、本件商標と引用商標の取引者・需要者の共通性も極めて高い。
2 商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、その出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る衛生管理のサポート及びコンサルティング、それに関連して提供される手指の消毒剤や各種洗浄剤等として世界的に周知著名な「ECOLAB」に類似する商標であり、商標権者の不正の目的によって出願されたものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。

第4 当審の判断
1 引用商標等の周知、著名性について
(1)申立人提出の証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
ア 引用商標は、申立人が、1923年に創業して以降、レストランやホテルを中心とした公共施設におけるサニテーション及びクリーニング、それに関連して提供される手指の消毒剤や各種洗浄剤等について、今日に至るまで継続して使用し、日本においては、1969年に「エコラボ社」を設立して、日本各地の工場拠点やホテルやレストラン、ランドリー・クリーニング施設、老人ホームなどのケア施設など多種多様な業界及び施設に対して、衛生管理に関するコンサルティングを提供したとされる(申立人の主張)。
イ エコラボ社は、千葉県・野田工場、石川県・志賀工場及び埼玉県・テクニカルセンターの工場拠点において、ホテルやレストラン、食品工場などで衛生管理を行っており(甲10)、食品衛生管理の国際基準であるHACCP導入などの取組をサポートしている(甲14、15、35)。
ウ 2019年には、食器洗浄機の洗浄供給システムの新サービス「SMART POWER」やエアコンベア用クリーナー「TrackCARE」、ノロウィルスに対して即効性のある除菌・洗浄剤「TBクワット」など各種の新聞やインターネット記事で紹介されている(甲18〜21、29、34)。当該「SMART POWER」は、日本最大級のホテル・レストラン展示会とされる「国際ホテル・レストラン・ショー」にて展示された(甲36)。
エ 申立人は、2020年に主に食品等の衛生管理に関する事業で、雑誌に紹介された(甲40、42〜45)。
オ 申立人の提出に係る新聞、雑誌等には、使用商標1及び使用商標2が使用されている。
(2)判断
上記(1)の事実及び申立人の主張によれば、申立人は、1923年にアメリカ合衆国ミネソタ州セントポールにおいて、業務用洗浄剤を製造販売する会社として創業し、主に手指の消毒剤や各種洗浄剤を製造、販売し、また、公共施設におけるサニテーションやクリーニング等の衛生管理全般のサポート又はそのコンサルティング事業を行っていることがうかがえる。
また、2019年には、食器洗浄機の洗浄供給システムの新サービス「SMART POWER」が「国際ホテル・レストラン・ショー」で展示されたり(甲36)、2020年には、主に食品等の衛生管理に関する事業で、雑誌に紹介されている(甲40、42〜45)ことがうかがえる。
しかしながら、申立人の提出に係る証拠によっては、申立人の使用に係る商品「手指の消毒剤や各種洗浄剤」及び同役務「公共施設におけるサニテーションやクリーニング等の衛生管理に関するコンサルティング」(以下「申立人の業務に係る商品又は役務」という。)に係る売上高、販売数量、シェアなどの販売又は提供実績及び広告宣伝の期間・規模等など、引用商標等の周知・著名性を数量的に判断し得る具体的な証拠は提出されていないから、申立人に係る引用商標等が、需要者の間に広く認識されるに至ったかをうかがい知ることができない。
その他、申立人の提出に係る甲各号証を総合してみても、引用商標等が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間で、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして広く認識されていたと認めるに足りる事実は見いだせない。
そうすると、引用商標等を付した申立人の業務に係る商品又は役務について、新聞や雑誌等のメディアに紹介された事実のみにより、申立人の業務に係る商品又は役務に係る引用商標等の周知性の認定を基礎付けることもできない。
したがって、申立人が提出した証拠からは、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標等が、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていたものと認めることができない。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用商標等の周知性について
上記1のとおり、引用商標等は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、我が国及び外国の需要者の間に広く認識されているものとは認められないものである。
(2)本件商標と引用商標等の類似性の程度について
ア 本件商標について
本件商標は、上記第1のとおり、「ecolab」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「lab」の文字は、「ラブ」と発音される(「小学館プロレッシブ英和中辞典」(https://dictionary.goo.ne.jp/word/en/Lab/))ことより、「エコラブ」の称呼が生じるものであり、特定の観念は生じない。
イ 引用商標等について
(ア)引用商標1及び使用商標2は、別掲1及び2のとおり、引用商標1は、ややデザイン化された「ECOLAB」の欧文字(「O」及び「A」がややデザイン化され、「L」と「A」は、モノグラム状に表されている。)を、使用商標2は、青色で「ECOLAB」の欧文字(「O」がややデザイン化されている。)をそれぞれ表してなり、また、引用商標2は、「ECOLAB」の欧文字を表してなるところ、それらの構成中「LAB」の文字は、「ラブ」と発音されること上記アのとおりであって、それぞれが「エコラブ」の称呼が生じるものであり、特定の観念は生じない。
(イ)引用商標3ないし同8は、「ECOLAB」の欧文字と「エコラボ」の片仮名を上下二段に書してなり、使用商標1は、「エコラボ」の文字を書してなるものであり、それぞれ下段の片仮名又は構成文字に相応して「エコラボ」の称呼を生じるものであり、特定の観念は生じない。
ウ 本件商標と引用商標等の比較について
(ア)本件商標と引用商標1、2及び使用商標2の比較について
本件商標と引用商標1、2及び使用商標2を比較するに、両者は、観念においては比較できないとしても、外観においては、欧文字の構成部分において、外観上、類似するものといえ、また、「エコラブ」の称呼を共通にする場合があるから、外観及び称呼において、一定程度類似する商標といえる。
(イ)本件商標と引用商標3ないし同8及び使用商標1の比較について
本件商標と引用商標3ないし同8及び使用商標1を比較すると、外観においては、その全体の構成態様が異なるから、相紛れるおそれはなく、本件商標から生じる「エコラブ」の称呼と、引用商標3ないし同8及び使用商標1から生じる「エコラボ」の称呼とは、4音と短い音構成において、末尾において「ブ」と「ボ」の音に差異を有し、この差異音は、母音を異にするばかりか、濁音を伴い明瞭に聴取されるため、それぞれを一連に称呼しても、語調語感が相違し、互いに紛れるおそれはない。また、観念においては、双方、特定の観念は生じないため、観念においては比較できない。
そうすると、本件商標と引用商標3ないし同8及び使用商標1とは、外観、称呼及び観念において、互いに紛れるおそれのない非類似の商標であり、いずれも別異の商標というべきものであるから、これらの類似性の程度は低い。
(3)本件商標の指定役務と申立人の業務に係る商品又は役務の関連性、需要者の共通性等について
本件商標の指定役務は、第36類「建物内のスペースの貸与」及び第43類「会議室の貸与、飲食物の提供」であるのに対して、申立人の業務に係る商品又は役務は、「手指の消毒剤や各種洗浄剤」及び「公共施設におけるサニテーションやクリーニング等の衛生管理に関するコンサルティング」等の役務と認められるところ、本件商標の指定役務と申立人の業務に係る役務とは、役務の提供の場所、目的、内容等が明確に異なるものであり、また、需要者においても、需要者の求める役務の性質や目的が明確に異なるものであるから、その関連性の程度は低く、需要者の共通性の程度も低いものである。
また、本件商標の上記指定役務と申立人業務に係る商品「手指の消毒剤、洗浄剤」とは、業種や事業形態が大きく異なるものであり、また、需要者においても、需要者の求める商品又は役務の性質や目的が明確に異なるものであるから、その関連性の程度は低く、需要者の共通性の程度も低いものである。
(4)出所の混同のおそれについて
上記のとおり、引用商標等は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の使用する商品又は提供する役務を表示するものとして、我が国及び外国の需要者の間に広く認識されているものではなく、本件商標と引用商標等とは、引用商標等の一部に一定程度類似する商標が含まれるとはいえ、本件商標の指定役務と申立人の業務に係る商品又は役務は、密接な関連性はなく、取引者・需要者の共通性の程度は低い。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定役務について使用しても、取引者、需要者が、引用商標等を連想又は想起することはなく、その役務が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、役務の出所について混同を生ずるおそれはない。
その他、本件商標が混同を生ずるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第19号該当性について
上記1のとおり、引用商標等は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、我が国及び外国の需要者の間に広く認識されているものとは認められないものである。その他、商標権者が、本件商標を不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用するものと認めるに足りる具体的な証拠はない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項15号及び同項第19号に該当するとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録は維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(引用商標1)

別掲2(使用商標2)(色彩は申立人提出に係る各証拠を参照)


(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
異議決定日 2023-03-30 
出願番号 2021125420 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W3643)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 大橋 良成
山田 啓之
登録日 2022-05-26 
登録番号 6561726 
権利者 株式会社群成舎
商標の称呼 エコラボ、エコラブ、エコ、イイシイオオ、ラボ、ラブ、エルエイビイ 
代理人 田中 克郎 
代理人 小林 智昭 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 関川 淳子 
代理人 飯田 遥 
代理人 佐藤 力哉 
代理人 佐藤 俊司 

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