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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W28374041
管理番号 1396518 
総通号数 16 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2023-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-07-25 
確定日 2023-03-17 
異議申立件数
事件の表示 登録第6555764号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6555764号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6555764号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和3年10月18日に登録出願、第28類「運動用具」、第37類「運動用具の修理又は保守,運動用具の修理又は保守に関する情報の提供」、第40類「ゴルフクラブの加工,運動用具の加工,運動用具の加工に関する情報の提供」及び第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授及びそれらに関する情報の提供,セミナーの企画・運営又は開催及びこれらに関する情報の提供,電子出版物の提供,オンラインによる映像・画像の提供,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),スポーツの興行の企画・運営又は開催,運動用具の貸与並びにこれに関する情報の提供」を指定商品及び指定役務として、同4年4月11日に登録査定、同年5月13日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する商標は、申立人の二輪自動車事業に係るコーポレートマークとして、二輪自動車事業に関連する商品及びサービスに使用され、著名であると主張する別掲2のとおりの構成からなる商標(以下「申立人商標」という。)である。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証から甲第78号証を提出した。
(1)申立人の歴史について
申立人は、戦後間もない1948年(昭和23年)に創業者である本田宗一郎が静岡県浜松市に創立した自転車用補助エンジンの製造会社として始まって以来、二輪自動車、汎用エンジン及びそれを搭載した農機用機械(パワープロダクツ)、船外機、四輪自動車、ヒューマノイドロボット、航空機などの多岐にわたる分野において、常に自由な発想・イノベーションで研究開発に努め、目覚ましい実績・業績を継続的に挙げつつ日本の高度経済発展を強力に牽引してきた世界的に著名な国際的企業である(甲3)。
(2)申立人商標に係る「ウィングマーク」の歴史について
申立人商標に係るいわゆる「ウィングマーク」は、申立人の二輪自動車事業に係るコーポレートマークとして、二輪自動車事業に関連するあらゆる商品・サービスに使用されてきている。「ウィングマーク」の始まりは、申立人会社創業以前の1947年に遡り、現在の「ウィングマーク」に至る(甲4、甲5)。
(3)申立人商標の著名性について
申立人商標は、既に「日本国周知・著名商標」として認定済であり、その著名性は特許庁においても顕著な事実である。
ア 使用態様及び使用地域
申立人商標の具体的な使用態様は、申立人のウェブサイトに表示され、使用地域としては、日本全域にとどまらず、全世界にわたり、申立人商標が日本及び海外の取引者・需要者の目に触れる機会は極めて多い(甲6、甲7)。
申立人商標は、申立人による二輪自動車関連の商品・役務全てとの関係において使用されている。二輪自動車車体に表示されている申立人商標の使用地域としては、申立人による二輪自動車が走行する日本全域にわたる(甲8〜甲15)。
二輪自動車カタログには、申立人商標が付されており、その頒布範囲は、日本全国である。さらに、申立人商標が付された二輪自動車以外のグッズ商品も幅広く手掛けており、現在においても様々なグッズがインターネット上のオンラインショップで閲覧・オーダー可能で、申立人商標が取引者・需要者の目に触れる機会は極めて多い(甲16〜甲44)。
申立人の二輪車正規取扱店は、日本全国47都道府県全てに存在し、その総数は4,600件を超える(甲45)。
イ 広告宣伝広報活動の実績
申立人は、二輪自動車に関連する商品・役務の全てに申立人商標の使用を継続してきたのである。昨今においてはソーシャルネットワークも駆使し、日本国内のみならず海外においても申立人商標を使用した積極的かつ大規模な宣伝広告広報活動を展開している(甲46〜甲48)。
ウ 使用期間
申立人商標とほぼ同一のウィングマークの使用が開始されたのは1988年であり、以降、現在に至るまでの34年間、二輪自動車に関連する商品・役務の全てにおいて申立人商標は広範囲かつ継続的に使用されてきた。
エ 申立人の事業規模及び業績
2015年度から2021年度における申立人商標に係る二輪事業の日本売上台数実績は、156千台から244千台であり、申立人による二輪自動車の国内シェアは、41.8%から58.7%である(甲49〜甲56)。
そして、世界における二輪自動車に係る2016年の申立人のシェアは、インド27%、インドネシア74%、ベトナム69%、タイ79%、フィリピン49%、ブラジル71%、EU16%、アメリカ15%と圧倒的に高い水準を誇る(甲57)。また、自動車産業ポータルマークラインズの統計によれば、インドにおける2014年〜2019年の二輪車生産台数の申立人シェアは25%前後、中国における2015年〜2017年の二輪自動車生産台数の申立人シェアは合計で10%前後、インドネシアにおける2014年〜2018年の二輪車販売台数の申立人シェアは65%〜75%近く、タイにおける2014年〜2018年の二輪自動車販売台数の申立人シェアは78%〜80%以上を維持している(甲58)。
オ 小括
以上のように、申立人商標が既に「日本国周知・著名商標」として認定されていることに加え、日本国内及び海外における申立人商標の使用態様、使用期間、使用地域、申立人の事業規模、申立人による宣伝広告広報活動の実績等に、日本及び世界における実績及びシェアを併せ鑑みれば、申立人商標が引き続き日本において全国的に著名であって、かつ、外国においても著名であるということは確固たる事実である。
(4)商標法第4条第1項第15号について
ア 本件商標と申立人商標との類似性の程度
本件商標において、申立人商標に係る構成上の顕著な特徴は少しも失われておらず、本件商標と申立人商標は、図形部分において、着想・構図等その構成の軌を一にし、外観上同一に近いほど極めて酷似した印象を与えるものであり、その類似性は相当高いというべきである。
イ 申立人商標の周知度
申立人商標は日本及び外国において著名な商標である。
ウ 申立人商標が構成上顕著な特徴を有するものであるか
申立人商標は、独創性にあふれた唯一無二の商標で他に類を見ないものであり、構成上の顕著な特徴をもって申立人の業務に係る商品等の出所を表示する著名商標として日本及び世界に広く認識されるに至ったのである。
エ 申立人商標がハウスマークであるか
申立人商標は申立人に係る二輪事業のコーポレートマークであり、ハウスマークと同等のものである。
オ 申立人企業における多角経営の可能性
申立人が、二輪自動車や四輪自動車の他にも多岐にわたる分野における商品、役務を取り扱う多角経営を行う企業である。
また、スポーツ事業への参画・貢献は、申立人の創立以来の企業文化の重要な柱の一つとして大切にされてきた。ゴルフとの関係については、ゴルフ大会への協賛・主催に加えて、プロゴルファーとスポンサー契約(甲74)や所属契約(甲75)を締結し、ゴルフ選手の応援を積極的に行っている。
カ 商品間、役務間又は商品と役務間の関連性
本件商標の指定商品・役務は、運動用具(ゴルフクラブ)やスポーツに関連するものである(甲1、甲77、甲78)。一方で、申立人は、二輪自動車や四輪自動車を中心に様々な分野の商品・役務を取り扱う多角経営企業であり、ゴルフを含めスポーツの分野においても積極的に事業の展開を行っている。
キ 商品等の需要者の共通性その他取引の実情
本件商標の指定商品等の需要者はゴルファーやゴルフ愛好家であると考えられる。一方で、申立人は様々な分野における多角経営企業であり、ゴルフを含むスポーツ事業も積極的に展開していることから、その需要者には、二輪自動車・四輪自動車の需要者や一般需要者、さらには、ゴルファーやゴルフ愛好家などが幅広く含まれ、需要者は共通する。
ク 以上の事実を総合勘案すれば、本件商標は、本件商標に係る商標権者(以下、単に「商標権者」という。)が申立人商標の存在を承知の上でそれと近似した商標を登録出願したものであると捉えるのが自然であり、商標権者が、申立人商標の著名性へのただ乗り(いわゆるフリーライド)や稀釈化(いわゆるダイリューション)を意図していたものと判断せざるを得ないものである。そして、本件商標をその指定商品・役務について使用した場合には、これに接する取引者・需要者をして、申立人商標又は申立人を連想・想起させ、申立人の業務に係る商品等であると誤認させ、その商品等の需要者が商品等の出所について混同するおそれがあるのみならず、その商品等が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品・役務の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(5)商標法第4条第1項第19号について
申立人商標は、申立人の業務に係る商品等を表示するものとして日本及び外国における需要者の間で著名であり、また、本件商標と申立人商標は、図形部分において構成上の顕著な特徴を共通にし、外観上同一に近いほど極めて酷似した印象を与えるもので、その類似性は相当高い。このような状況においては、商標権者が本件商標の出願前に申立人商標を知らず、かつ、偶然に申立人商標と酷似する本件商標を考案・採用するに至ったというのは甚だ不自然であり、むしろ、日本及び世界で著名性を誇る強力な識別性を有する申立人商標にフリーライドする不正の目的をもって本件商標を使用する意図が推認できる。
このような本件商標の登録を維持することは、申立人商標の出所表示機能を希釈化させ、また、申立人の名声等を毀損させるものであり、容認できない。
よって、本件商標は、申立人の業務に係る商品等を表示するものとして日本及び外国における需要者の間に広く認識されている申立人商標と類似の商標であって、不正の目的をもって使用をするものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(6)商標法第4条第1項第7号について
本件商標については、商標権者は申立人商標が著名であることを知り、意図的に申立人商標とほぼ同一の態様によるウィングマークを部分的に用い、申立人商標の構成中下2枚の羽根図形を文字に置き換え、全体として類似判断を回避しつつも申立人商標に酷似した構成態様に仕上げることにより、本件商標に接する取引者・需要者に申立人商標を連想・想起させ、申立人商標に化体した信用・名声及び顧客吸引力にただ乗りフリーライド)する不正な目的で採択・出願し登録を受けたものと認められることが妥当である。さらに、本件商標は、申立人商標と外観上の印象が相当似通った類似性の程度が高いものであって、出所の誤認混同のおそれのあるものであるから、本件商標をその指定商品・役務に使用する場合には、申立人商標の出所表示機能が希釈化(ダイリューション)され、申立人商標に化体した信用・名声及び顧客吸引力、ひいては申立人の業務上の信用を毀損させるおそれがあるというべきである。
そうすると、本件商標は、たとえ申立人商標に変更を加えているとしても、申立人商標に化体した信用・名声及び顧客吸引力に便乗して不当な利益を得る等の目的をもって申立人商標の特徴を模倣して出願し登録を受けたものといわざるを得ず、商標を保護することにより、商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り、需要者の利益を保護するという商標法の目的(商標法第1条)に反するものであり、商標法の予定する秩序に反し、公正な取引秩序を乱し、商道徳に反するものというべきであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

4 当審の判断
(1)申立人商標の周知著名性の程度について
ア 申立人の提出に係る証拠によれば、次の事実が認められる。
(ア)申立人商標は、2001年(平成13年)から使用をされており(甲4)、申立人の二輪自動車のウェブサイト(甲6、甲7)及びカタログ(甲18〜甲20)に申立人商標が表示されたり、二輪自動車の燃料タンクの側面に申立人商標(左右反転したものも含む。)が表示されたりしている(甲9〜甲15)。
(イ)申立人商標は、二輪自動車以外に、例えば、ジャケット、Tシャツ、帽子、マスク、ゴーグル、ベルト、タンブラー、マグカップ、タオル、ブランケット、カードケース、キーホルダー、スマートフォン用アプリなどにも、使用されている(甲21〜甲44)。
(ウ)申立人の二輪車正規取扱店は、日本全国に4,600店以上存在する(甲45)。
(エ)申立人は、フェイスブック、インスタグラム、YouTubeといったSNSにおいて、申立人商標を使用して、広告宣伝を行っている(甲46〜甲48)。
(オ)申立人の我が国における二輪事業の売上台数は、2015年度(平成27年度)は180千台、2016年度(平成28年度)は156千台、2017年度(平成29年度)は167千台、2018年度(平成30年度)は207千台、2019年度(平成31年度・令和元年度)は205千台、2020年度(令和2年度)は215千台及び2021年度(令和3年度)は244千台である(甲50〜甲55)。
イ 前記アによれば、申立人商標は、平成13年から申立人の二輪自動車に使用されているものであり、申立人の二輪車正規取扱店は日本全国に4,600店以上存在すること、平成27年度から令和3年度までの申立人の我が国における二輪事業の売上台数は相当程度あること、申立人はフェイスブック、インスタグラム、YouTubeといったSNSにおいて申立人商標を使用して広告宣伝を行っていること、申立人商標は二輪自動車以外にも様々な商品に使用されていることが認められる。
そうすると、申立人商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る「二輪自動車」を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていたものと認められ、その周知著名性の程度は高いとみるのが相当である。
(2)本件商標と申立人商標との類似性の程度について
ア 本件商標について
本件商標は、別掲1のとおり、平仮名の「く」の字状に折れ曲がった黒塗りの帯と、その帯のくぼんだ部分に、2本の細長の略四角形状の黒塗りの帯を、「く」の字状に折れ曲がった黒塗りの帯の上部と平行になるように配した図形、並びにその右下に、上下3段に表した「FORCEONE」、「―フォースワン カスタムフィッティング―」及び「CUSTOM FITTING」の文字を配した構成からなるものである。
そして、本件商標の図形部分と文字部分とは、図形と文字との違いから、視覚上分離して観察されるものであり、また、両者を常に不可分一体のものとして認識しなければならない特段の事情は見いだせない。
そうすると、本件商標は、その図形部分と文字部分とを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとは認められない。
してみると、本件商標は、その構成中、図形部分を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標の類否を判断することも許されるといえる。
そして、本件商標の図形部分は、特定の事物を表わしたものと直ちに認識されるものとはいえないから、特定の称呼及び観念は生じないとみるのが相当である。
イ 申立人商標について
申立人商標は、別掲2(1)のとおり、平仮名の「く」の字状に折れ曲がった赤塗りの帯と、その帯のくぼんだ部分に、3本の平仮名の「く」の字状に折れ曲がった赤塗りの帯(折れ曲がった下部の部分が極端に短い。)及び赤塗りの四角を、外側の帯に沿うように配した図形からなるものであり、また、別掲の2(2)のとおり、当該図形を黒塗りにした図形からなるものである。
そして、申立人商標は、特定の事物を表わしたものと直ちに認識されるものとはいえないから、特定の称呼及び観念は生じないとみるのが相当である。
ウ 本件商標の図形部分と申立人商標との比較について
本件商標の図形部分と申立人商標とを比較すると、外観においては、両者はいずれも外側に平仮名の「く」の字状に折れ曲がった帯を有する点において共通している。
しかしながら、当該帯のくぼんだ部分に、本件商標は、2本の細長の略四角形状の帯を、「く」の字状に折れ曲がった帯の上部と平行になるように配されているのに対し、申立人商標は、3本の平仮名の「く」の字状に折れ曲がった帯(折れ曲がった下部の部分が極端に短い。)及び四角を、外側の帯に沿うように配されているから、この点において、両者は明らかな差異を有するものである。
そうすると、このような明らかな差異によって、取引者、需要者に与える外観上の印象が大きく異なるため、本件商標の図形部分と申立人商標とを時と所を異にして離隔的に観察したとしても、外観において相紛れるおそれはないとみるのが相当である。
また、本件商標の図形部分と申立人商標とは、いずれも特定の称呼及び観念を生じないものであるから、称呼及び観念において比較することはできない。
してみると、本件商標の図形部分と申立人商標とは、称呼及び観念において比較できないとしても、外観において相紛れるおそれはないから、両者は商品又は役務の出所について誤認混同を生ずるおそれのないものというべきである。
エ 小括
以上のとおり、本件商標の図形部分と申立人商標とは、商品又は役務の出所について誤認混同を生ずるおそれのないものであるから、本件商標と申立人商標についても、商品又は役務の出所について誤認混同を生ずるおそれのない非類似の商標である。
そして、本件商標と申立人商標とは非類似の商標であり、その図形部分において、外側に平仮名の「く」の字状に折れ曲がった帯を有する点において僅かに共通するのみであるから、本件商標と申立人商標との類似性の程度は、極めて低いといわなければならない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
前記(1)イのとおり、申立人商標の周知著名性の程度は高く、また、前記(2)イのとおり、申立人商標は、特定の事物を表わしたものと直ちに認識されるものとはいえない図形からなるものであるから、その独創性の程度は高いといえる。
しかしながら、前記(2)エのとおり、本件商標と申立人商標との類似性の程度は、極めて低いものである。
また、申立人の業務に係る商品は「二輪自動車」であるから、本件商標の指定商品及び指定役務とは明らかに異なり、その関連性はなく、需要者も共通するとはいえない。
そうすると、申立人商標が「二輪自動車」以外の様々な商品に使用されていることを考慮したとしても、本件商標に接する取引者、需要者が、申立人又は申立人商標を連想又は想起することはないというべきである。
してみると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品又は指定役務について使用しても、取引者、需要者によって、その商品又は役務が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品又は役務の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
その他、本件商標について、商品又は役務の出所について混同を生ずるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第19号該当性について
前記(1)イのとおり、申立人商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る「二輪自動車」を表示するものとして、日本国内における需要者の間に広く認識されていたものと認められるものの、前記(2)エのとおり、本件商標と申立人商標とは、非類似の商標である。
また、申立人の提出に係る証拠によっては、本件商標が不正の目的をもって使用をするものというべき事情は何ら認められない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(5)商標法第4条第1項第7号該当性について
申立人は、本件商標は、申立人商標に化体した信用・名声及び顧客吸引力にただ乗りフリーライド)する不正な目的で採択・出願し登録を受けたものである旨主張するが、当該主張を認めるに足る具体的の証拠は何ら提出していない。
また、申立人は、本件商標は、申立人商標と外観上の印象が相当似通った類似性の程度が高いものであって、出所の誤認混同のおそれのあるものであるから、本件商標をその指定商品・役務に使用する場合には、申立人商標の出所表示機能が希釈化(ダイリューション)され、申立人商標に化体した信用・名声及び顧客吸引力、ひいては申立人の業務上の信用を毀損させるおそれがある旨主張している。
しかしながら、前記(2)エのとおり、本件商標と申立人商標とは非類似の商標であり、その類似性の程度は極めて低いものであるから、申立人の当該主張は、その前提において採用できない。
他に、本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標というべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(6)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第15号及び同項第19号に該当するとはいえず、その登録は同項の規定に違反してされたものとはいえない。
他に、本件商標の登録が商標法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲
別掲1 本件商標


別掲2 申立人商標
(1)

(色彩については原本参照。)

(2)



(この書面において著作物の複製をしている場合の御注意)
特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分に御注意ください。
異議決定日 2023-03-09 
出願番号 2021129141 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (W28374041)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 馬場 秀敏
山田 啓之
登録日 2022-05-13 
登録番号 6555764 
権利者 株式会社ゴルフパフォーマンス
商標の称呼 フォースワンカスタムフィッティング、フォースワン、フォース、カスタムフィッティング、フィッティング、エフ 
代理人 シュワルツ 知子 
代理人 齊藤 誠一 

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