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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W4144
管理番号 1396517 
総通号数 16 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2023-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-07-22 
確定日 2023-04-03 
異議申立件数
事件の表示 登録第6559816号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6559816号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6559816号商標(以下「本件商標」という。)は、「トリートメントコーディネーター」の文字を標準文字で表してなり、令和3年6月3日に登録出願、第41類及び第44類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同4年4月18日に登録査定、同年5月23日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第3条第1項第1号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第62号証を提出した。
(1)本件商標を取り消すべき理由
本件商標は、「トリートメントコーディネーター」という文字を普通に用いられる方法で横書きし、「職業訓練」等が属する第41類及び「歯科医業」が属する第44類を指定商品又は役務として、登録されているものである。
そもそも、歯科医療に関する「トリートメントコーディネーター」という名称は、欧米やシンガポールなどの地域では古くから歯科医療にかかわる職務の名称として認識されており、日本国内でも既に特別な資格を必要としない職務の名称として広く認知されている(甲1〜甲5)。実際、googleなどの検索サイトで検索を行うと、「dental treatment coordinator」という名称は1,190万件、「トリートメントコーディネーター」という名称は112万件もの検索結果が一般的な歯科医療にかかわる職務の名称として表示される(甲6、甲7)。
また、日本国内における「トリートメントコーディネーター」という名称は、歯科医院で勤務する「歯科衛生士、歯科助手、受付」等と並ぶ一般的な「職種名」の一つとして認知されているか、あるいは、歯科衛生士・歯科助手・歯科技工士・保育士・臨床心理士等が担うべき「業務名」の一般名称として認識されるに至っており、実際に公共職業安定所(ハローワーク)や医療系の有名民間求人媒体では「トリートメントコーディネーター」という「職種名」もしくは「業務名」として既に数多くの求人募集が行われている(甲8〜甲55)。中には、「トリートメントコーディネーター」が未経験であっても、特定の機関・団体による育成を必ずしも必要とせず、各歯科医院で用意された独自システムによる育成支援が提供されることが明記されている求人内容も存在している。
さらには、トリートメントコーディネーターという職種あるいは業務に対するスキルアップを目的としたセミナーは、国内や海外の歯科医院や民間企業によって数多く主催されており(甲56〜甲62)、「トリートメントコーディネーター」という名称が、特定の機関や団体によってのみ使用される役務名ではなく、一般的な「職種名」や「業務名」の一つとして広く認知されていることは明らかである。
かかる「トリートメントコーディネーター」という名称の商標登録が取り消されない場合、歯科医院や歯科医院に関係する事業者は同名称を用いることができなくなり、歯科業界の正常な取引に著しい支障が出ることになる。
以上のとおり、本件商標は普通名称化しているため、商標法第3条第1項第1号に該当する。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第1号該当性について
ア 商標法第3条第1項第1号は、「その商品又は役務の普通名称普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」については商標登録を受けることができない旨定めているところ、その「普通名称」とは、取引者において、その商品又は役務の一般的な名称(略称及び俗称等を含む。)であると認識されるに至っているものをいうと解される。
そして、本件商標が該号に該当するか否かの判断時は、登録査定時又は審決時である。
イ 本件商標は、上記1のとおり、「トリートメントコーディネーター」の文字を標準文字で表してなり、第41類及び第44類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務とするものである。なお、第41類には「セミナーの企画・運営又は開催」が、第44類には「歯科医業」が、それぞれ含まれている。
ウ 申立人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(ア)公共職業安定所(ハローワーク)や求人募集企業等のウェブサイトにおいて、「トリートメントコーディネーター」の文字が、例えば「歯科助手(トリートメントコーディネーター)」、「受付・助手(トリートメントコーディネーター)」のように、表示されているものが見受けられるが、これらはいずれも本件商標の登録査定後のもの(甲8〜甲23)、又は日付が不明なもの(甲2、甲3、甲24〜甲55、甲58、甲59、甲61、甲62)である。
(イ)2020年8月3日付け「WHITECROSS株式会社」のウェブサイトにおいて(甲1)、2017年2月27日付け「エン・ジャパン株式会社」のウェブサイトにおいて(甲4)、2020年3月10日付け「株式会社船井総合研究所」のウェブサイトにおいて(甲5)、「トリートメントコーディネーター」について、例えば、歯科医師の先生と患者さんの間に立って、お互いが納得できるように説明をする旨の記載がされていること、また、2021年1月14日付け「中田歯科クリニック」のウェブサイト(甲60)においては、「トリートメントコーディネーター」を目指す人向けのセミナーが開催されたことが、それぞれ確認できる。
エ 以上ウ(ア)からすれば、公共職業安定所(ハローワーク)や求人募集企業等のウェブサイトにおいて、「トリートメントコーディネーター」の文字が表示されていることは見受けられるものの、いずれも本件商標の登録査定後のものか、日付が不明なものである。
そして、ウ(イ)のとおり、本件商標の登録査定前において、「トリートメントコーディネーター」の表示が確認できるウェブサイトは、僅か4件しかなく、これらの証拠から、本件商標の登録査定時(令和4年(2022年)4月18日)において、「トリートメントコーディネーター」の文字が、本件商標に係る指定役務の取引者によって、「職種」又は「業務」を表す一般的な名称として認識されるに至っている事実は何ら見いだせない。
さらに、提出された全ての証拠によっても、本件商標の登録査定時において「トリートメントコーディネーター」の文字が、本件商標に係る指定役務の普通名称であるというべき事情は見いだせない。
してみると、「トリートメントコーディネーター」の文字からなる本件商標は、「その商品及び役務の普通名称普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」に該当するとはいえない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第1号に該当しない。
(2)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第1号に違反して登録されたものではなく、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
異議決定日 2023-03-24 
出願番号 2021068321 
審決分類 T 1 651・ 11- Y (W4144)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 旦 克昌
特許庁審判官 馬場 秀敏
岩崎 安子
登録日 2022-05-23 
登録番号 6559816 
権利者 松尾 通
商標の称呼 トリートメントコーディネーター 
代理人 弁理士法人タナベ・パートナーズ国際特許事務所 
代理人 田辺 恵 
代理人 田辺 敏郎 

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