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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W09
管理番号 1396516 
総通号数 16 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2023-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-07-19 
確定日 2023-04-03 
異議申立件数
事件の表示 登録第6553055号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6553055号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6553055号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、令和3年10月26日に登録出願、第9類、第35類、第37類及び第40類に属する商標登録原簿記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同4年4月22日に登録査定され、同年5月9日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は、次のとおりであり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
(1)登録第5173178号商標(以下「引用商標1」という。)
商標:HID(標準文字)
指定商品:第9類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
登録出願日:平成18年4月6日
設定登録日:平成20年10月10日
(2)登録第5535811号商標(以下「引用商標2」という。)
商標:別掲2のとおり
指定商品・指定役務:第9類、第35類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務
登録出願日:平成22年6月23日
設定登録日:平成24年11月16日

以下、これらをまとめて「引用商標」という場合がある。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第9類「全指定商品」について、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第14号証(なお、表記にあたっては、「甲○」(「○」部分は数字)のように省略して記載する。)を提出した。
(1)本件商標について
ア 本件商標の態様について
本件商標は、図形と「HID−Labs」文字の組み合わせからなる商標である。語末の「Labs」の語は、一般に「研究所、研究機関、実験室」との意味合いを有するものと理解される(甲5)。
デジタル化の進展とともに、製品の更なる高度化が進んでおり、デジタル機器等の電子応用機械器具等を製造する会社等が、研究部門を示すものとして、識別力を有する語の後に、「Labs」と付記した語を使用している。電子応用機械器具を研究・開発する、末尾に、「Labs」を付した団体の名称は、多数存在している状況である(甲6〜甲11)。
そして、本件商標に係る指定商品である電子応用機械器具等が、そうした研究・開発部門・会社・団体で研究・開発されたことを示す具体例が存在する(甲6〜甲10)。
このように、研究機関や実験室において研究・開発された、電子応用機械器具等が多く存在するから、需要者は「Labs」の語について、本件商標第9類の指定商品との関係では、自他商品識別力を有しているとは認識しない。
「Labs」の文字は商品の特徴、つまり、商品が研究・開発された機関・部門・場所の名称を示していると認識するにすぎず、識別力を有さないものと解するのが自然であると思料する。
イ 電子応用機械器具等の業界における「Labs」の文字の需要者の認識に関する特許庁の先例について
第9類の電子応用機械器具等を扱う業界における実情、第9類の指定商品との関係上、「Lab」、「LAB」等の文字は、識別力が欠如していると認定された事例が存在する。
以上より、「HID−Labs」の文字に接した需要者・取引者は、語末の「Labs」について商品の特徴、特に開発がされた施設、機関を表した表示にすぎないと認識し、「HID」の部分を本件商標における独立した要部として認識する(甲12〜甲14)。
(2)引用商標について
引用商標はいずれも、「HID」の英文字からなるものであり、その構成文字全体から「エイチアイディ」の称呼が生じる。「HID」の文字は特定の意味を有さない造語であり、特定の観念を生じさせない。
(3) 本件商標と引用商標の類似性について
本件商標の独立した識別力を有する要部「HID」と引用商標の「HID」は、外観、称呼において同一であり、観念は比較できない。
そして本件商標と引用商標の指定商品は、同一又は類似のものである。
(4)むすび
本件商標と引用商標とは、観念については比較することができないものである。しかしながら、その称呼については全体的印象が相紛らわしく、さらに外観において非常に相紛らわしいものである。
したがって、本件商標の登録は商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものである。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、欧文字「H」、「I」及び「D」をモチーフに青色で、略円形の外形からなる図形(以下「本件図形部分」という。)とその右側に本件図形部分と同色の青色で「HID−Labs」の欧文字及び記号を横書きしてなる(以下「本件文字部分」という。)ところ、本件図形部分と本件文字部分とは、視覚上、分離して看取されるばかりでなく、これらが常に一体不可分のものとしてのみ看取、把握されなければならない特段の事情も見いだせないものであるから、それぞれが独立して自他商品及び自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものというのが相当である。
そして、本件文字部分「HID−Labs」は、「HID」と「Labs」の文字の間に「−(ハイフン)」を介して表示されているものの、同じ色彩、同じ書体、同じ大きさで軽重の差なくまとまりよく一体的に表されており、殊更に、「HID」と「Labs」とを分離して称呼し観念しなければならない特段の事由が存するものとは認め得ないものである。
また、これより生ずると認められる「エイチアイディラブス」の称呼も格別冗長というべきものではなく、一気一連に称呼し得るものである。
さらに、本件文字部分「HID−Labs」中、「Labs」が、「研究所、研究機関、実験室」等の意味を有する「Lab」の複数形であるとしても、本件商標の構成態様からすれば、特定の意味合いを有するものとして理解されない造語と認識され、一体で把握されるものとみるのが相当である。
そうすると、本件文字部分「HID−Labs」は、上述のとおり、一体的に看取され、その構成文字全体に相応して「エイチアイディラブス」の称呼のみを生じるものであり、かつ、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標
引用商標1は、「HID」の欧字を標準文字で表してなるところ、その構成文字に相応して「エイチアイディ」の称呼を生じるものである。
また、引用商標2は、別掲2のとおり、黒色長方形内に太字白色で「HID」の欧文字を横書きした構成よりなるところ、当該黒色長方形の図形部分からは特定の称呼及び観念を生じるものではなく、その「HID」の文字部分に相応して「エイチアイディ」の称呼を生じるものである。
そして、引用商標を構成する「HID」の文字は、辞書等に載録されている語ではなく、特定の意味合いをもって認識されている事情も見いだせないことから、一種の造語として認識されるものとみるのが相当であって、特定の観念を生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標の類否について検討すると、両者の外観については、図形の有無あるいは、「−Labs」の記号及び文字の有無など、構成態様が明らかに異なり相紛れるおそれのないものである。
次に、称呼については、本件商標から生ずる「エイチアイディラブス」の称呼と、引用商標から生ずる「エイチアイディ」の称呼とは構成音数や「ラブス」の音の有無における相違から、語調語感が明らかに異なり、両者は、明瞭に聴別できるものである。
そして、観念については、本件商標と引用商標は、いずれも特定の観念を生じない造語であることから、観念において比較することはできない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのないものであるから、両者の外観、称呼及び観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は非類似の商標というのが相当である。
エ 小括
上記ウのとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であるといえるから、本件及び引用商標の指定商品について、論ずるまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、その取消に係る指定商品について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
別掲1 本件商標(色彩は原本参照。)


別掲2 引用商標2



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異議決定日 2023-03-24 
出願番号 2021133280 
審決分類 T 1 652・ 261- Y (W09)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 旦 克昌
特許庁審判官 馬場 秀敏
山田 啓之
登録日 2022-05-09 
登録番号 6553055 
権利者 株式会社ビーエリア
商標の称呼 ヒドラブズ、ヒドラボズ、ヒッドラブズ、ヒッドラボズ、ヒド、ヒッド、エイチアイデイ、エッチアイデイ、ラブズ、ラボズ 
代理人 弁理士法人Toreru 
代理人 辻本 依子 
代理人 弁理士法人浅村特許事務所 
代理人 小林 健一郎 
代理人 宮崎 超史 
代理人 眞田 忠昌 
代理人 土野 史隆 

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