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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W30
管理番号 1396515 
総通号数 16 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2023-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-06-24 
確定日 2023-04-10 
異議申立件数
事件の表示 登録第6545968号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6545968号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6545968号商標(以下「本件商標」という。)は、「COCOA CREATIONS」の文字を標準文字で表してなり、令和3年11月5日に登録出願、第30類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同4年4月5日に登録査定され、同月18日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
(1)登録第1867964号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様 「クリエーション」の片仮名と「CREATION」の欧文字を2段に横書きしてなるもの
指定商品 第30類に属する商標登録原簿に記載の商品(平成18年11月8日書換登録)
登録出願日 昭和59年5月25日
設定登録日 昭和61年6月27日
(2)国際登録第1116728号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様 別掲のとおり
指定商品 第30類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の商品
国際商標登録出願日 2012年(平成24年)2月16日
優先権主張日 2011年(平成23年)12月5日(Switzerland)
設定登録日 平成25年6月28日

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第13号証を提出した。
(1)商品の抵触について
本件商標の全指定商品は、引用商標1の全指定商品又は引用商標2の一部の指定商品と同一又は類似である。
(2)本件商標と引用商標1の類似性
ア 称呼について
本件商標「COCOA CREATIONS」の「COCOA」とは、カカオ豆及びカカオ豆を原料とするチョコレートの各種中間製品(カカオペースト、ココアバター等)又は粉末状にしたココアパウダーを意味するものである。したがって、本件商標中の「COCOA」部分は、指定商品との関係においては原材料を表示したものと認識されるから、自他商品識別標識として機能しない又はその機能が極めて弱い。そうすると、本件商標は、これをその指定商品について使用するときは、その構成中の「CREATIONS」の文字が、商品の出所識別標識として、取引者、需要者に対し、強く支配的な印象を与えるといえるから、本件商標の構成中の要部である「CREATIONS」の文字に相応して、「クリエーションズ」の称呼が生じる。
そこで、本件商標から生じる称呼「クリエーションズ」と、引用商標1の文字に相応して生じる称呼「クリエーション」の類否について検討する。
両称呼は、「クリエーション」の音を共通にし、語尾における「ズ」の有無が異なるところ、当該差異音「ズ」は、明瞭に聴取され難い語尾に位置することから、この差異が両称呼全体に及ぼす影響は小さく、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときには、全体としての音調・音感が類似する。よって、称呼上両商標は類似する。
イ 外観について
本件商標の「CREATIONS」の部分と引用商標1とは、「CREATION」の文字のつづりを共通にし、本件商標の末尾の「S」の文字の有無の違いにすぎないため、外観上両者は類似する。
ウ 観念について
本件商標の「CREATIONS」の部分と引用商標1とは「創造、創作」等の観念を共通にする。よって、観念上両者は類似する。
エ 小括
したがって、本件商標と引用商標1は称呼・外観・観念を総合的に判断すると互いに相紛らわしい類似の商標である。
(3)本件商標と引用商標2の類似性
ア 称呼について
上述のとおり本件商標からは「クリエーションズ」の称呼が生ずる。一方、引用商標2は、「Lindt」の文字、図形、直線、「Lindt」とは異なる書体の「CREATION」の文字からなる商標である。その構成から「CREATION」の文字に相応して「クリエーション」の称呼が生ずる。「クリエーションズ」と「クリエーション」が称呼上類似することは上述のとおりである。
イ 外観について
本件商標の「CREATIONS」の部分と引用商標2の「CREATION」部分とは、「CREATION」の文字のつづりを共通にし、本件商標の末尾の「S」の文字の有無の違いにすぎないため、外観上両者は類似する。
ウ 観念について
本件商標の「CREATIONS」の部分と引用商標2の「CREATION」部分とは、「創造、創作」等の観念を共通にする。よって、観念上両者は類似する。
エ 小括
したがって、本件商標と引用商標2は称呼・外観・観念を総合的に判断すると互いに相紛らわしい類似の商標である。
(4)審決例等
過去の異議申立、不服審判及び無効審判においても、語尾において「s」、「ス」及び「ズ」の有無の違いのみを有する商標が互いに類似するものと判断された例がある(甲4〜13)。
(5)むすび
以上から明らかなように、本件商標と引用商標は称呼・外観・観念を総合的に判断すると類似する商標であるというべきであり、本件商標をその指定商品について使用した場合、引用商標と出所混同のおそれがある。
すなわち、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

4 当審の判断
(1)本件商標
ア 本件商標は、上記1のとおり「COCOA CREATIONS」の文字を標準文字で表してなり、該文字に相応し「ココアクリエーションズ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
イ なお、申立人は、本件商標の構成中「COCOA」の文字は「カカオ豆」「ココアパウダー」などを意味し、本件商標の指定商品との関係において原材料を表示したものと認識され、自他商品識別標識としての機能がないか極めて弱いとして、本件商標は、その構成中「CREATIONS」の文字が商品の出所識別標識として取引者、需要者に対し、強く支配的な印象を与えるといえ、その要部である「CREATIONS」の文字に相応して、「クリエーションズ」の称呼が生じる旨主張している。
しかしながら、本件商標は、上記アのとおり「COCOA CREATIONS」の文字を標準文字で表してなるものであり、その構成文字は同書同大でまとまりよく一体的に表され、これから生じる「ココアクリエーションズ」の称呼は無理なく一連に称呼し得るものである。
そうすると、本件商標は、たとえ、その構成中「COCOA」の文字が「ココアパウダー」などの意味を有するとしても、かかる構成、称呼においては、看者をして、該文字部分が「チョコレート」など本件商標の指定商品の原材料を表示したものと認識されることなく、「COCOA CREATIONS」の構成文字全体が一体不可分のものとして認識、把握されるとみるのが相当である。
また、本件商標は、その構成中「CREATIONS」の文字部分を分離抽出し他の商標と比較検討すべきとする事情は見いだせない。
したがって、申立人のかかる主張はその前提において採用できない。
(2)引用商標
ア 引用商標1は、上記2(1)のとおり「クリエーション」の片仮名と「CREATION」の欧文字を2段に横書きしてなるものであり、該文字に相応し「クリエーション」の称呼を生じ、「創造、創作」などの観念を生じるものと判断するのが相当である。
イ 引用商標2は、別掲のとおり、直線を挟んで上部に「Lindt」の欧文字と紋章のような図形を表し、下部に「CREATION」の欧文字を表してなるものであり、それら文字に相応し「リンツクリエーション」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
(3)本件商標と引用商標の類否
ア 本件商標と引用商標1
本件商標と引用商標1の類否を検討すると、両者の上記のとおりの外観は、片仮名の有無など構成態様が明らかに異なり、相紛れるおそれのないものである。なお、本件商標の構成文字「COCOA CREATIONS」と引用商標1の構成中「CREATION」の文字との比較においても、両者は、語尾における「S」の文字の有無に加え、語頭における「COCOA」の文字の有無という明らかな差異を有するから、相紛れるおそれのないものである。
また、本件商標の称呼「ココアクリエーションズ」と引用商標1の称呼「クリエーション」の称呼は、語頭部における「ココア」の音及び語尾における「ズ」の音の有無という差異を有するから、明らかに聴別し得るものである。
さらに、観念においては、前者が特定の観念を生じないのに対し、後者は「創造、創作」などの観念を生じるものであるから、両者は相紛れるおそれのないものである。
そうすると、本件商標と引用商標1は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのないものであるから、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。
イ 本件商標と引用商標2
本件商標と引用商標2の類否を検討すると、両者の上記のとおりの外観は構成態様が明らかに異なり、相紛れるおそれのないものである。
また、本件商標の称呼「ココアクリエーションズ」と引用商標2の称呼「リンツクリエーション」の称呼は、語頭部における「ココア」と「リンツ」の音の差異及び語尾における「ズ」の音の有無という差異を有するから、明らかに聴別し得るものである。
さらに、観念においては、両商標は共に特定の観念を生じないものであるから比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標2は、外観、称呼において相紛れるおそれがなく、観念において比較できないものであるから、両者の外観、称呼、観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。
なお、本件商標と引用商標2の構成中「CREATION」の文字との比較においても、両者は、上記アと同様に相紛れるおそれのないものである。
ウ 小括
その他、本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、引用商標のいずれとも相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、両商標の指定商品が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
別掲(引用商標2)



(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
異議決定日 2023-03-31 
出願番号 2021137872 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W30)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 豊瀬 京太郎
特許庁審判官 板谷 玲子
須田 亮一
登録日 2022-04-18 
登録番号 6545968 
権利者 ザ ハーシー カンパニー
商標の称呼 ココアクリエーションズ、クリエーションズ 
代理人 藤倉 大作 
代理人 井滝 裕敬 
代理人 前川 純一 
代理人 中村 稔 
代理人 森田 拓 
代理人 石戸 孝 
代理人 松永 章吾 
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 
代理人 大倉 桂子 
代理人 田中 伸一郎 
代理人 山崎 和香子 
代理人 前川 砂織 

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