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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W09 |
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管理番号 | 1396514 |
総通号数 | 16 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2023-04-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2022-06-17 |
確定日 | 2023-04-08 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6544078号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6544078号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第6544078号商標(以下「本件商標」という。)は、「SportsPods」の文字を標準文字により表してなり、令和3年8月2日に登録出願、第9類「眼鏡,オーディオミキサー(音響機器),パーソナルステレオ,トランシーバー,音響式警報器,腕時計型携帯情報端末,音声用カセットプレーヤー,音声再生装置,音響式警報器,ヘッドホーン,警笛音発生型警報器,スピーカー,音声送信装置,教育用映像・音声周波機械器具及び電子応用機械器具,録音装置」を指定商品として、同4年1月4日に登録査定され、同年4月13日に設定登録されたものである。 第2 登録異議申立人が引用する商標 1 使用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件登録異議の申立ての理由において引用する商標は、「AirPods」の欧文字を横書きした構成からなり、申立人の業務に係る「ワイヤレスイヤホン」について使用するものである(以下「使用商標」という。)。 2 登録商標 申立人が、本件登録異議申立ての理由において引用する登録商標は、以下の4件であり、いずれも現に有効に存続しているものである。 (1)登録第5907574号商標 商標の構成:「AIRPODS」の欧文字を横書きしてなるもの 登録出願日:平成27年9月24日(2015年3月23日にジャマイカにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張) 設定登録日:平成28年12月22日 指定商品:第9類「イヤホン」 (2)登録第5907578号商標 商標の構成:「AIRPODS」の欧文字を横書きしてなるもの 登録出願日:平成28年3月14日(2015年3月23日にジャマイカにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、平成27年9月24日に登録出願された商願2015−92390号(上記(1))の商標法第10条第1項の規定による商標登録出願) 設定登録日:平成28年12月22日 指定役務:第41類「娯楽の提供,通信ネットワークを利用した音声・音楽・静止画・動画の提供(ダウンロードされるものを除く。),娯楽の提供に関する情報・批評及び個人的評価の提供,娯楽の提供に関する情報の提供・助言及び指導」 (3)登録第6202769号商標 商標の構成:「AIRPODS」(標準文字) 登録出願日:平成30年11月2日(2018年5月4日にジャマイカにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張) 設定登録日:令和元年11月29日 指定商品:第10類、第14類及び第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品 (4)登録第6217419号商標 商標の構成:「AIRPODS」(標準文字) 登録出願日:平成31年4月16日(2018年10月16日にジャマイカにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張) 設定登録日:令和2年1月17日 指定商品:第18類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品 以下、使用商標、及び上記(1)ないし(4)の登録商標をまとめて「引用商標」という。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条1項第15号に該当し商標登録を受けることができないものであるから、その登録は、同法第43条の2第1号により取り消されるべきものである旨申立て、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第30号証を提出した。 1 申立人について (1)米国カリフォルニア州に本社を置く申立人は、GAFAと称されるデジタル市場における巨大企業の4つのうちの一社であり、「MacBook」、「iMac」等のパーソナルコンピュータ、スマートフォン「iPhone」、デジタルオーディオプレーヤー「iPod」、タブレット型コンピュータ「iPad」、腕時計型コンピュータ「Apple Watch」等を製造販売し、音楽・映像配信サービス「Apple Music」、映画・動画配信サービス「Apple TV」、データ保管サービス「iCloud」等を提供する米国の法人である。 (2)申立人は、世界のブランド価値ランキング「Best Global Brands 2021」で第1位(9年連続)を獲得している(甲6)。 2 申立人の引用商標の周知著名性について (1)申立人は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、デジタルオーディオプレーヤー、タブレット型コンピュータ等の商品を製造・販売しており、それらの機器で使用するオーディオ用の純正アクセサリーとして、2012年に有線方式のイヤホン「EarPods」、2016年にワイヤレスイヤホン「AirPods」を発売している。ワイヤレスイヤホン「AirPods」については、2019年に「AirPods2(第二世代)」及び「AirPods Pro」、2020年に「AirPods Max」、2021年に「AirPods3(第三世代)」の後継製品を発売している(甲7)。 (2)申立人の上記製品に係る商標「AirPods」が、本件商標の出願時及び査定時において周知であることは、新聞記事情報(甲8〜甲14)、インターネット記事(甲15〜甲19)、ヘッドホン・イヤホン売れ筋ランキング(甲20〜甲25)、テレビ及びインターネットCM、国内におけるワイヤレスイヤホンのメーカー別販売台数シェア(甲26)、「AIRPODS」の引用各商標登録、全世界でのAirPods製品の売上げ(甲27)からも確認できる。 (3)小括 上記のとおり、引用商標は、申立人のイヤホンを表示する商標として、本件商標の出願時及び登録時にて日本において広く知られた標章である。 3 本件商標が取り消されるべき理由 (1)引用商標の周知性について 申立人の引用商標について周知性があることは前記のとおりである。 (2)本件商標と引用商標との類似性の程度 申立人は、「AirPods」の商標をイヤホン・ヘッドホンについて使用しており、商標「AirPods」が、「Pods」の語の先頭に「Air」の語を結合した構成であることは、各単語の頭文字が大文字で表されていることから容易に認識される。 一方、本件商標についても、各単語の頭文字が大文字で表され、「Pods」の語の先頭に「Sports」の語が結合されたものであることは明らかであり、これら構成上の共通点は需要者にとっても明白に看取され、また、本件商標中の「Sports」の語は、「スポーツ、運動、競技」等を意味する極めて平易な英単語であるが、申立人の商品は、スポーツの分野で使用されることも多い。例えば、引用商標が使用されている商品AirPods(ワイヤレスイヤホン)は、ワイヤレスという特性も相まって、運動時に着用するイヤホンとして人気が高い(甲28)。また、申立人の商品である腕時計型携帯情報端末のアップルウォッチは、脈拍や心拍数を測定し、記録することができることから、運動時に着用されることも多い(甲29)。 さらに、引用商標が周知であることは前記のとおりであるが、申立人は、引用商標の他にも、「EarPods」、「HomePod」、「iPod」のような「Pod」又は「Pods」を語尾に配した商標についても長年にわたり継続的に使用している。 このような、引用商標の周知性、申立人商品とスポーツとの高い関連性及び申立人の「Pods」シリーズの商標の周知性を鑑みれば、本件商標に接した需要者は、申立人の商品と誤解する可能性が高いことは明らかである。 (3)引用商標の独創性について 引用商標は、申立人による独創的な商標である。「Pod」は、豆科植物の鞘や、蚕などの繭、家庭用調理器における着脱式の容器、航空機の着脱式の補助燃料タンクなどを指す言葉(甲29)であり、「Pods」はその複数形と理解されるが、イヤホン・ヘッドホン等の商品とは本来的な関連性のない言葉であって、当該「Pods」の語の先頭に「空気」を意味する「Air」を結合させた「AirPods」の語は辞書等に掲載のない、申立人によって創作された独創性のある完全な造語である。 (4)本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品の関連性、需要者の共通性 本件商標の指定商品は、申立人の周知著名商標に係る商品「イヤホン又はヘッドホン」と同一あるいは非常に関連性が高く、需要者を共通にする。 (5)出所の混同のおそれについて 以上のことから、本件商標がその指定商品に使用された場合には、申立人の商品ないし商標を想起させ、需要者はそれらの商品が申立人の業務に係る商品であるか、あるいは経済的又は組織的な関係がある者や公式の許可を受けた者に係る商品であると誤認するおそれがあるため、商標法第4条第1項第15号に該当する。 第4 当審の判断 1 商標法第4条第1項第15号該当性 申立人の主張及び提出した証拠及び職権調査によれば、次の事実が認められる。 (1)申立人について 米国カリフォルニア州に本社を置く申立人は、GAFAと称されるデジタル市場における巨大企業の4つのうちの一社であり、「MacBook」、「iMac」等のパーソナルコンピュータ、スマートフォン「iPhone」、デジタルオーディオプレーヤー「iPod」、タブレット型コンピュータ「iPad」、腕時計型コンピュータ「Apple Watch」等を製造販売し、音楽・映像配信サービス「Apple Music」、映画・動画配信サービス「Apple TV」、データ保管サービス「iCloud」等を提供する米国の法人である。同社は、世界のブランド価値ランキング「Best Global Brands 2021」で第1位(9年連続)を獲得している(甲6)。 (2)引用商標及び「Pods」の文字のみからなる商標の周知著名性について 申立人は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、デジタルオーディオプレーヤー、タブレット型コンピュータ等の商品を製造・販売しており、それらの機器で使用するオーディオ用の純正アクセサリーとして、2016年12月にワイヤレスイヤホン「AirPods」を発売している。ワイヤレスイヤホン「AirPods」については、2019年に「AirPods2(第二世代)」及び「AirPods Pro」、2020年に「AirPods Max」、2021年に「AirPods 3(第三世代)」の後継製品を発売している(甲7)。 また、申立人が提出した新聞記事情報(甲8〜甲14)、インターネット記事(甲15〜甲19)、ヘッドホン・イヤホン売れ筋ランキング(甲20〜甲25)、テレビ及びインターネットCM、国内におけるワイヤレスイヤホンのメーカー別販売台数シェア(甲26)、全世界でのAirPods製品の売上げ(甲27)によれば、「AirPods」の文字からなる使用商標は、申立人が販売する商品「ワイヤレスイヤホン」に使用する商標であって、遅くとも2016年末頃から継続して使用するものであり、現在も当該商品に使用されていることが認められ、我が国における出荷台数、販売台数ランキングや我が国における市場シェアからすると、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品「ワイヤレスイヤホン」を表示する商標として、我が国の取引者、需要者の間で一定程度知られていることがうかがえる。 しかしながら、本件商標の語尾と共通する使用商標の語尾「Pods」の文字のみからなる商標(以下「Pods商標」という。)が、独立した商標として申立人の業務に係る商品「ワイヤレスイヤホン」に使用されていることは確認できないし、我が国における当該商標を使用した商品の販売数量、売上高等の量的規模を示す証拠や宣伝広告の回数や広告費の額等の広告実績など、商標の周知性を具体的かつ客観的に示す証拠も見当たらず、商標の周知性の程度を推し量ることもできないから、提出された証拠によっては、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、Pods商標が申立人の業務に係る商品「ワイヤレスイヤホン」を表すものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。 (3)本件商標と引用商標の類否について ア 本件商標は、上記第1のとおり、「SportsPods」の文字を標準文字で表してなるところ、第1文字の「S」と、第7文字の「P」を大文字とし、他の文字を小文字で表記してなるものであるが、その構成は、同じ大きさ、同じ書体で、等間隔にまとまりよく表されており、視覚上一体的に看取されるものである。 また、本件商標の構成文字に相応して生じる「スポーツポッズ」の称呼も、格別冗長というべきものでなく、無理なく一連に称呼し得るものである。 さらに、本件商標は、その構成中「Sports」の文字が「スポーツ、運動、競技」の意味を有する英語であり、「Pods」の文字が「豆などの鞘や、蚕などの繭」等の意味を有する英語「Pod」(甲29)の複数形であるところ、「Sports」又は「Pods」のいずれかの文字が、取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるもの、又は商品の出所識別標識としての機能を果たし得ないものとみるべき事情はない。 してみれば、本件商標は、その構成文字全体をもって、一体的に認識、把握されるものとみるのが相当である。 そして、「SportsPods」の文字は、辞書類に載録された既成語とは認められないものであるから、本件商標は、特定の意味合いを想起させるものではなく、一種の造語として理解されるものである。 そうすると、本件商標は、「スポーツポッズ」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。 イ 他方、引用商標は、上記第2のとおり、「AirPods(AIRPODS)」の欧文字を表してなるところ、第1文字の「A」と、第4文字の「P」を大文字とし、他の文字を小文字で表記する場合があるとしても、その構成は、同じ大きさ、同じ書体で、等間隔にまとまりよく表されており、視覚上一体的に看取されるものである。 また、引用商標の構成文字に相応して生じる「エアーポッズ」の称呼も、格別冗長というべきものでなく、無理なく一連に称呼し得るものである。 さらに、引用商標は、その構成中「Air(AIR)」の文字が「空気」の意味を有する英語であり、「Pods(PODS)」の文字が「豆などの鞘や、蚕などの繭」等の意味を有する英語「Pod」(甲29)の複数形であるところ、「Air(AIR)」又は「Pods(PODS)」のいずれかの文字が、取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるもの、又は商品の出所識別標識としての機能を果たし得ないものと見るべき事情はない。 してみれば、引用商標は、それぞれその構成文字全体をもって、一体的に認識、把握されるものとみるのが相当である。 そして、「AirPods(AIRPODS)」の文字は、辞書類に載録された既成語とは認められないものであるから、引用商標は、特定の意味合いを想起させるものではなく、一種の造語として理解されるものである。 そうすると、引用商標は、「エアーポッズ」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。 ウ そこで、本件商標と引用商標とを比較するに、両者は、後半部における「Pods」又は「PODS」の文字を共通にするとしても、商標の識別上、看者の注意を最も強くひく語頭部における「Sports」の文字と「Air」又は「AIR」の文字に差異を有するものであるから、両商標は、外観上、明確に区別し得るものである。 次に、本件商標から生じる「スポーツポッズ」の称呼と、引用商標から生じる「エアーポッズ」の称呼を比較すると、両者は、前半部の「スポーツ」の音と「エアー」の音に差異を有することから、これらを一連に称呼したときは、聞き誤るおそれはなく、明瞭に聴別できるというべきである。 そして、本件商標と引用商標は、共に特定の観念が生じないから、観念において比較することができない。 してみれば、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのないことが明らかなものであるから、両商標が需要者に与える印象、記憶等を総合してみれば、両商標は、非類似の商標であって、別異のものというのが相当である。 (4)出所の混同のおそれについて 上記(2)のとおり、使用商標は、申立人の業務に係る商品「ワイヤレスイヤホン」を表示する商標として、我が国の需要者等の間で一定程度知られていることがうかがえるものの、本件商標の語尾と共通するPods商標は、申立人の業務に係る商品「ワイヤレスイヤホン」を表すものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、需要者等の間に広く認識されていたものと認めることはできない。 また、上記(3)のとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であって、別異のものであるから、類似性の程度は低いものである。 以上によれば、たとえ本件商標の指定商品中に「ワイヤレスイヤホン」と類似の商品が含まれ、その需要者の範囲を共通にする場合があるとしても、本件商標に接する取引者、需要者が、引用商標を連想又は想起することはなく、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというのが相当である。 申立人は、「EarPods」、「HomePod」、「iPod」のような「Pod」又は「Pods」を語尾に配した商標についても長年にわたり継続的に使用している旨主張するが、上記商標中の語尾の「Pod」と本件商標の語尾「Pods」は「s」の有無において文字構成が異なるほか、使用商標以外の「Pods」の文字を語尾に使用した商標の使用に係る事実も不明であるため、上記主張を採用することはできない。 その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 (5)小括 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 2 むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
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異議決定日 | 2023-03-31 |
出願番号 | 2021096059 |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Y
(W09)
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最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
森山 啓 |
特許庁審判官 |
鈴木 雅也 小林 裕子 |
登録日 | 2022-04-13 |
登録番号 | 6544078 |
権利者 | 深セン市亜潤通科技有限公司 |
商標の称呼 | スポーツポッズ、ポッズ |
代理人 | 中澤 昭彦 |
代理人 | 弁理士法人大島・西村・宮永商標特許事務所 |