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審決分類 |
審判 一部申立て 登録を維持 W09 |
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管理番号 | 1396511 |
総通号数 | 16 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2023-04-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2022-06-06 |
確定日 | 2023-04-07 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6539495号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6539495号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第6539495号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和3年6月4日に登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同4年3月28日に登録査定され、同年4月1日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する国際登録第1271258号商標(以下「引用商標」という。)は、「EXAGAN」の文字を横書きしてなり、2015年(平成27年)8月3日に国際商標登録出願、第9類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、平成28年10月7日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標はその指定商品中、別掲2の商品について、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきものである旨申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証を提出した。 1 具体的理由 (1)外観については、本件商標「ExGaN」を構成する5文字すべてが、引用商標「EXAGAN」に同じ配列で含まれており、相違する部分は、引用商標「EXAGAN」における3文字目の「A」の有無であり、横書きの欧文字からなる商標の場合、通常左から読まれるため、その左端、語頭からの文字が最重要視されるのであって、6文字という短めとはいえない引用商標の構成にある中央部については見落とされる可能性がある。 すなわち、引用商標「EXAGAN」と本件商標の「Ex」及び「GaN」部分が同一であるため、時と処を異にして離隔的に観察した場合には、外親上かなり近似し、相紛らわしいものといわなければならない。 (2)過去の審決等においても、一文字の相違により、外親上類似と判断された先例があり(甲4〜甲8)、文字商標同士の外観の類否を判断する場合、相違する文字が印象の残り難い位置に配されており、また両商標が全体的に近似した印象を受ける場合などに、類似すると判断されている。 本件についてみれば、相違する一文字は商標の中央部であり、また印象の強く残る語頭及び語末の5文字が一致していることにより、全体的に近似した印象を与えるものと判断する。 よって、両商標は外観上類似すると判断されるべきである。 (3)観念について比較すると、本件商標と引用商標は、いずれも辞書に、そうした単語が掲載されていない(甲9、甲10)ため、造語と認識される。 よって、両商標は観念上比較できない。 (4)称呼について比較すると、「ExGaN」の文字に基づいて本件商標から生じる称呼は、「エクスガン」と読むのが自然であり、「エキスガン」については、そのように称呼される可能性はあるものの、自然とまではいえない。 本件商標権者は、半導体に関する製品を製造する会社であり、「GaN」は半導体を扱う業界においては窒素ガリウムを表すことから、称呼上、ここを境目に前半部と分離し、その前につく「Ex」部分は、我が国において多く用いられている英語の自然な読み方からすれば、「エクス」と読むことが自然である。 他方、引用商標「EXAGAN」についても、我が国において多く用いられている英語の自然な読み方からすれば、「エクサガン」と読むのが自然である。 両者ともその音構成から第1音の「エ」の部分にアクセントを有するところ、まず、差異音「ス」については、舌端を前硬口蓋に寄せて発する無声摩擦音で極めて弱く響き、前音「ク」が明瞭な破裂音であるため、「ク」に吸収されて弱く発音され、「サ」も無声摩擦子音(s)と母音(a)との結合であって弱く響き、明瞭な破裂音である前音「ク」と、後舌面を軟口蓋に接し破裂させて発する音である「ガ」に挟まれ、「サ」は「ク」に吸収されて弱く発音される。 その上、「ス」と「サ」は、共に50音図の同行に属し、比較的明瞭に聴取され難い中間に位置することから、一連に称呼するときは、語感、語調が近似し、互いに聴き誤るおそれがある。 そして、本件商標と引用商標の指定商品は、同一又は類似のものである。 2 むすび 本件商標と引用商標とは、観念については比較することができないものであるが、その称呼については全体的印象が相紛らわしく、さらに外観において非常に相紛らわしいものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。 第4 当審の判断 1 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標 本件商標は、別掲1のとおり、「ExGaN」の文字を横書きしてなるところ、その構成文字は同じ書体で、大文字と小文字が交互に等間隔でまとまりよく一体的に表してなるものであって、当該文字に相応して「エクスガン」又は「エキスガン」の称呼を生じるものである。また、当該文字は辞書等に載録が認められないものであるから、本件商標は特定の観念を生じないものである。 (2)引用商標 引用商標は、「EXAGAN」の文字を横書きしてなるところ、その構成文字は同じ書体、同じ大きさ、等間隔でまとまりよく一体的に表してなるものであって、当該文字に相応して、「エクサガン」の称呼を生じるものである。また、当該文字は辞書等に載録が認められないものであるから、引用商標は特定の観念を生じないものである。 (3)本件商標と引用商標との類否 ア 外観について 本件商標と引用商標は、上記(1)及び(2)のとおりの構成からなるところ、両者は、5文字と6文字という比較的少ない文字構成にあって、3文字目における「A」の文字の有無で相違するものであり、かつ、本件商標は、大文字と小文字を交互に並べた構成からなるのに対し、引用商標は、全て大文字で構成されているといった差異を有するものであるから、看者に与える印象が明らかに相違し、外観上、両者は判然と区別し得るものというべきである。 イ 称呼について 本件商標は、「エクスガン」又は「エキスガン」の称呼を生じるものであるのに対し、引用商標は、「エクサガン」の称呼を生じるものであるところ、本件商標から生じる「エクスガン」の称呼と引用商標から生じる「エクサガン」の称呼とは、3音目の「ス」と「サ」の音に差異を有するものであり、また、本件商標から生じる「エキスガン」の称呼と引用商標から生じる「エクサガン」の称呼とは、2音目及び3音目において、「キス」と「クサ」の音に差異を有するものである。 そして、本件商標と引用商標は、共に5音という短い音構成であるから、これらの差異音が両称呼全体に与える影響は少なくないといえる。 そうすると、本件商標と引用商標をそれぞれ一連に称呼しても、語調、語感が相違し、互いに聴き誤るおそれはないものといえるから、両者は称呼において、相紛れるおそれはない。 ウ 観念について 本件商標と引用商標は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、両者は観念において、比較することはできない。 (4)まとめ 以上によれば、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれがないものであるから、両者の外観、称呼及び観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標と判断するのが相当である。 その他、本件商標と引用商標とが類似するとすべき理由は見いだせない。 してみれば、本件商標と引用商標は、両者の指定商品は同一又は類似するものの、両者は上述のとおり非類似の商標であるから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。 なお、申立人は過去の審決例を挙げているが、商標の類否の判断は、査定時又は審決時における取引の実情を勘案し、その指定商品の取引者・需要者の認識を基準に対比される商標について個別具体的に判断されるべきものであるから、それらをもって上記判断が左右されるものではない。 2 むすび 以上のとおり、本件商標は、その指定商品中、本件申立てに係る指定商品について、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではなく、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲1 本件商標 ![]() 別掲2 本件申立てに係る指定商品 第9類「ダウンロード可能なコンピュータソフトウエアプログラム,データ処理装置,コンピュータ記憶装置,未記録の磁気ディスク,コンピュータ周辺機器,データ処理装置用カプラー,マイクロプロセッサ,演算装置(中央処理装置),ICカード(スマートカード),ノートブック型コンピュータ,ポケット型計算機,タブレット型コンピュータ,シンクライアント型コンピュータ,眼鏡型携帯情報端末,腕時計型携帯情報端末,時計の形をしたスマートフォン,指輪型携帯情報端末,大画面の液晶ディスプレイ,電気通信用コンピュータハードウエア,パーソナルコンピュータ,コンピュータ端末機,コンピュータマザーボード,ノートをとるための携帯用パーソナルコンピュータ,フラットパネルディスプレイスクリーン,デジタルシグナルプロセッサ,デジタル音声信号処理装置,電子式卓上計算機,電気通信用コンピュータ,マイクロコンピュータ,液晶ディスプレイ,パームトップ型コンピュータ,身体装着式携帯情報端末,電子メモ帳,電子計算機,飛行機用制御装置の管理用のコンピュータ,インターネットサーバー,コンピュータサーバー,コンピュータネットワークサーバー,コンピュータ用の折り曲げ可能なフラットパネルディスプレイ,中央処理装置(演算装置),イントラネットサーバー,ネットブック型コンピュータ,手持式スキャナー,データ管理用のコンピュータ,デスクトップコンピュータ,ネットワークサーバー,銀行業務用のコンピュータ端末機,半導体チップ,半導体デバイス,電気変換器,モノリシックセラミックコンデンサ,集積回路用ウェハー,半導体,単結晶シリコンウェハ,シリコンウェハー,コンピューター用回路基板,高電圧変圧器,プリント回路,集積回路,ICチップ,プリント回路基板,変圧器(電気用のもの),定電圧電源,電源装置,電気スイッチ用プレート,変圧器,変成器,大規模集積回路,集積回路を組み込んだプリント回路基板,電力変換器,電流開閉器,電流変換器,回路基板,電圧監視ユニット,電源アダプター,電子回路,電子回路ボード,電圧電流変換器,コンピュータ用モニター,逓降変圧器,ストラクチャード半導体ウェハー,トランジスター,サイリスター,周波数シンセサイザー,強電用回路,太陽電池用シリコンウエハー,アンテナ用増幅器,周波数安定化装置,ラジオ真空管,液晶ディスプレイ(LCD)パネル,液晶ディスプレイ(LCD)用スクリーン,整流管,直流変換器,周波数変換器,電圧調整器,電源スイッチ,制御器,電子半導体,電子集積回路,誘導電圧調整器,高周波切換器,高周波スイッチング電源,電力増幅器,集積回路モジュール,コンピュータチップ,配電用変圧器,電力供給遮断器,配電用又は制御用の機械器具,自動車用電子制御装置,マイクロチップ(コンピュータハードウェア),電圧安定器,整流器モジュール,集積回路製造用の電子チップ,圧電スイッチ,半導体用ウェハー,窒化ガリウム系発光ダイオード素子,窒化ガリウム系発光ダイオード基板,窒化ガリウム系半導体用ウェハー,炭化ケイ素および窒化ガリウムからなる半導体用ウエハー,炭化ケイ素および窒化ガリウムからなる半導体用素子,炭化ケイ素および窒化ガリウムからなる半導体用デバイス,窒化ガリウム系半導体デバイス,半導体デバイス(窒化ガリウム),ダイヤモンド、サファイア、シリコン、および炭化ケイ素基板をベースにした窒化ガリウムからなる半導体,蓄電池,携帯電話機用バッテリーチャージャー,電子たばこ用充電器,スマートフォン用充電器,バッテリーチャージャー」 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。 |
異議決定日 | 2023-03-29 |
出願番号 | 2021069541 |
審決分類 |
T
1
652・
261-
Y
(W09)
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最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
森山 啓 |
特許庁審判官 |
鈴木 雅也 小松 里美 |
登録日 | 2022-04-01 |
登録番号 | 6539495 |
権利者 | イノサイエンス (チューハイ) テクノロジー カンパニー リミテッド |
商標の称呼 | エキスガン、エクスガン、イイエックスガン、エキスギャン、エクスギャン、イイエックスギャン |
代理人 | 崔 海龍 |
代理人 | 弁理士法人浅村特許事務所 |