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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W0942 |
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管理番号 | 1396501 |
総通号数 | 16 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2023-04-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2022-05-02 |
確定日 | 2023-03-16 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6516838号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6516838号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第6516838号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、2021年4月27日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、令和3年9月6日に登録出願、第9類「暗号通貨・電子通貨・仮想通貨・ブロックチェーンと交換可能な通貨及び関連資産の売買・授受・両替・取引のためのダウンロード可能なソフトウェア,暗号通貨・電子通貨・仮想通貨・ブロックチェーンと交換可能な通貨・ブロックチェーンやスマートコントラクト及びその関連技術を利用した関連資産による取引のためのダウンロード可能なソフトウェア」及び第42類「暗号通貨・電子通貨・仮想通貨・ブロックチェーンと交換可能な通貨及び関連資産の売買・授受・両替・取引のためのオンラインによるダウンロードが不可能なソフトウェアの提供,暗号通貨・電子通貨・仮想通貨・ブロックチェーンと交換可能な通貨・ブロックチェーンやスマートコントラクト及びその関連技術を利用した関連資産による取引のためのオンラインによるダウンロードが不可能なソフトウェアの提供」を指定商品及び指定役務として、同4年1月18日に登録査定、同年2月21日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立人が引用する商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標(以下、まとめていうときは「引用商標」という。)は次のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。 (1)国際登録第1539158号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の構成:swap point 国際登録出願日:2019年(令和元年)10月24日 優先権主張:2019年4月26日(Switzerland) 設定登録日:令和4年3月25日 指定商品及び指定役務:第9類、第35類、第38類、第39類、第41類ないし第43類及び第45類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務 (2)国際登録第1539123号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の構成:別掲2のとおり 国際登録出願日:2019年(令和元年)10月24日 優先権主張日:2019年4月26日(Switzerland) 設定登録日:令和4年3月25日 指定商品及び指定役務:第9類、第35類、第36類、第38類、第39類、第41類ないし第43類及び第45類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第8条第1項の規定に違反するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第16号証を提出した。 (1)本件商標と引用商標1の類否判断 本件商標は、「SWAP」の文字部分と図形部分の結合商標、引用商標1は、「swap」と「point」の結合商標である。 商標は、その構成が一体をなして識別力を発揮するものなので、全体観察によるのが原則である。しかし、結合商標について、商標の構成部分の一部が取引者、需要者に対し、商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合には、当該部分だけを抽出し他人の商標と比較して商標の類否を判断することも許される(甲4)。 (2)本件商標の要部 本件商標は、図形部分と文字部分は、間隔を空けて配されており、視覚上分離して看取される。また、「SWAP」の文字部分は、普通の活字で読み取りやすく表示されており、十分に目立つものである。 図形部分は、抽象的な図形であり、特定の称呼や観念は生じない。また、指定商品・役務との関係において、図形部分が文字部分と一体となって特別な意味を有することになるなど、文字部分と関連性を有しているともいえない(甲5参照。)。 「SWAP」の文字部分からは、その構成文字に相応して、語呂よく一気に称呼しうる「スワップ」の称呼が生じる。 観念についてみると、「SWAP」は、英語で「交換(する)」の意味する動詞・名詞であるが(甲6)、我が国において、一般的に知られているとはいえない。しかし、本件商標の指定商品・役務に関連する暗号通貨・電子通貨・仮想通貨・ブロックチェーンと交換可能な通貨及び関連資産などの金融分野では、「SWAP」を片仮名で表記した「スワップ」を用いた用語が広く使用されているから、本件商標の「SWAP」の文字部分は、「交換」を意味する(甲7)。そのため、本件商標の「SWAP」の文字部分は、指定商品・役務の取引者、需要者にとって「交換」という意味を持つ用語として親しみ深いものであり、注意を強く惹きつける部分である。 以上より、本件商標は、文字部分の「SWAP」が、出所識別標識として強く支配的な印象を与える部分である。図形部分からは、出所識別標識としての称呼、観念は生じない。 したがって、本件商標は、「SWAP」の文字部分を要部として抽出し、当該要部のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することができる。 (3)引用商標1の要部 引用商標1は、「swap」と「point」の間には、1文字程度の間隔があり、外観上分離して看取することができる。 引用商標1から生じる「スワップポイント」の称呼は、やや冗長であり、常に一連のものとして称呼されるということはできない。 引用商標1は、その構成中「swap」が「交換(する)」という意味を有すること自体は、一般的には、我が国において知られているとはいえない。また、片仮名「スワップ」が「交換」という意味で用いられていることからも、取引者、需要者は、欧文字「swap」と指定商品・役務と関連を容易には想定できないため、かえって独特の印象を与える。 他方で、「point」は、英語で「先端、小さな点」などの意味を有する名詞であり(甲12)、これを片仮名で表記した「ポイント」が「点、要点、点数」などの意味を有する外来語として広く用いられるなど、我が国において、一般的に知られた語である(甲13)。 そして、「point」は、特定の商標と組み合わせて、「○○点」、「○○地点」などの意味合いで用いられることが多く、我が国において登録例・出願例が多数ある(甲14)。この場合には、「○○」商標と同じ商品・役務の出所を表示するものとして用いられているものと認められ、取引者、需要者は、「point」自体を出所識別標識としては認識しない。また、指定商品・役務との関連で、「swap point」という一つの言葉が存在するわけではないため、全体として不可分一体の観念も生じない。 以上から、需要者、取引者が、引用商標1に接した場合、専ら「swap」を主たる出所識別標識として認識し、「point」の部分のみでは、出所識別標識として認識しない。 したがって、引用商標1は、「swap」の文字部分を要部として抽出し、当該要部のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することができる。 (4)引用商標2の要部 引用商標2は、その図形部分、「swap」及び「point」の文字部分は、横並びに、それぞれ1文字程度の間隔で離れて配されていることから、視覚上分離して看取し得る。 そして、図形部分は、抽象的な図形であり、特定の文字や物、意味合いを表すものとして認識することは困難である。したがって、図形部分から、特定の称呼や観念は生じない。また、指定商品・役務との関係において、図形部分が、文字部分と一体となって特別な意味を有することになるなど、文字部分と関連性を有しているともいえない。 文字部分の「swap」及び「point」については、上記(3)と同様である。 以上のとおり、「swap」の文字部分が、引用商標2の出所識別標識として強く支配的な印象を与える部分である。図形部分及び「point」の文字部分からは、出所識別標識としての称呼、観念が生じない。 したがって、引用商標2は、「swap」の文字部分を要部として抽出し、当該要部のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することができる。 (5)本件商標と引用商標の類否 以上から、本件商標の「SWAP」の文字部分と、引用商標の「swap」の文字部分を、それぞれ要部として抽出し比較することによって、商標そのものの類否を判断することができる。 本件商標の「SWAP」の文字部分と、引用商標の「swap」の文字部分は、外観において、字体や大文字・小文字の相違はあるものの、同一の英語の単語である「swap」から採られたもので、同じつづりであることからすれば、ほぼ同一といえる。また、いずれも「スワップ」という同一の称呼が生じる。 したがって、引用商標について指定商品・役務との関連で必ずしも特定の観念が生じないとしても、本件商標と引用商標とは類似するものといえる。 (6)まとめ 前記したとおり、本件商標は、引用商標と類似のものであり、また、その指定商品・役務も類似のものである。 したがって、本件商標の登録は、商標法第8条第1項の規定に違反するものである。 4 当審の判断 (1)商標法第8条第1項該当性について ア 本件商標 本件商標は、別掲1のとおり、記号の「×」を基調としたような形状の図形と「SWAP」の欧文字を表してなるところ、その構成態様から「SWAP」の文字部分が独立して自他商品役務の識別標識としての機能を果たし得るものであって、該文字に相応し「スワップ」の称呼、「交換」の観念を生じるものと判断するのが相当である。 イ 引用商標 (ア)引用商標1は、前記2のとおり、「swap point」の欧文字を横書してなるところ、「swap」の文字と「point」の文字の間に1文字の空間があるとしても、構成文字は、いずれも同書、同大で、まとまりよく一体的に表され、これから生じる「スワップポイント」の称呼も、格別冗長というべきものでなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。 そして、引用商標1は、その構成中「swap」又は「point」の文字部分のいずれかが、取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるもの、又は出所識別標識としての称呼、観念が生じないものと認めるに足る事情は見出せない。 そうすると、引用商標1は、一体不可分のものであって、該文字に相応して「スワップポイント」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。 (イ)引用商標2は、別掲2のとおり、欧文字「C」を2つ組み合わせたような形状の図形と「swap point」の欧文字からなるところ、その構成態様から「swap point」の文字部分が独立して自他商品役務の識別標識としての機能を果たし得るものであって、該文字に相応し「スワップポイント」の称呼を生じ、当該文字は辞書等に掲載が認められないから、特定の観念を生じない。 ウ 本件商標と引用商標との類否 本件商標と引用商標の類否を検討すると、まず、外観においては、本件商標と引用商標1とは、図形の有無に差異を有し、文字部分においても「point」の文字の有無に差異を有するものであり、また、本件商標と引用商標2とは、それぞれの図形の形状が異なり、文字部分においても「point」の文字の有無に差異を有するから、本件商標と引用商標とは、外観上、明らかに相違し、相紛れるおそれはない。 次に、称呼においては、本件商標から生じる「スワップ」の称呼と引用商標から生じる「スワップポイント」の称呼は、構成音数及び「ポイント」の音の有無に差異を有するから、明らかに聴別し得るものであり、称呼上、相紛れるおそれはない。 さらに、観念においては、本件商標からは、「交換」の観念が生じるのに対し、引用商標からは、特定の観念が生じないので、観念上、相紛れるおそれはない。 そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれがない非類似の商標というべきである。 その他、両商標が類似するというべき事情は見出せない。 エ 申立人の主張について 申立人は、引用商標の構成中「point」の文字は、我が国において、一般的に知られた語であり、当該文字を特定の商標と組み合わせた場合、取引者、需要者は「point」自体を出所識別標識としては認識しない、指定商品等との関連で、「swap point」という一つの言葉が存在するわけではないため、全体として不可分一体の観念も生じないなどとして、引用商標は「swap」の文字部分を要部として抽出し、当該要部のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することができる旨主張している。 しかしながら、引用商標の文字部分「swap point」は、同じ書体、同じ大きさでまとまりよく一体に表され、これから生じる「スワップポイント」の称呼は無理なく一連に称呼し得るものであって、「swap」の文字が他の文字(point)と比べ極めて大きく又は目立つ態様で表されているなど外観上特徴的な部分として看取されるものとはいえず、また、「point」の文字に「先端、点」などの意味があるとしても、それをもって引用商標の指定商品の品質及び指定役務の質等を表示したものとして認識される事情も見出せないから、その構成文字全体が一体不可分のものとして認識、把握されるものとみるのが相当である。 そして、他に、引用商標の構成中「swap」の文字部分を分離抽出し、他人の商標と比較検討すべきとする事情は見出せない。 したがって、申立人の主張は、採用できない。 オ 小括 以上によれば、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であるから、両商標の指定商品及び指定役務の類否について判断するまでもなく、本件商標は、商標法第8条第1項の規定に違反して登録されたものとはいえない。 (2)むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第8条第1項の規定に違反して登録されたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見出せないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲1(本件商標) 別掲2(引用商標2) (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。 |
異議決定日 | 2023-03-07 |
出願番号 | 2021110474 |
審決分類 |
T
1
651・
4-
Y
(W0942)
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最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
森山 啓 |
特許庁審判官 |
鈴木 雅也 小松 里美 |
登録日 | 2022-02-21 |
登録番号 | 6516838 |
権利者 | エーディーエックス ホールディングス ピーティーイー リミテッド |
商標の称呼 | エックススワップ、スワップ、エックス |
代理人 | 橋本 良樹 |
代理人 | 竹田 萌子 |
代理人 | 小出 俊實 |
代理人 | 幡 茂良 |
代理人 | 小川 浩賢 |
代理人 | 豊島 真 |
代理人 | 蔵田 昌俊 |