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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W18 |
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管理番号 | 1396497 |
総通号数 | 16 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2023-04-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2022-03-28 |
確定日 | 2023-04-06 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6520717号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6520717号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第6520717号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和3年7月9日に登録出願、第18類「旅行用トランク,ハンドバッグ,ブリーフケース,札入れ,革製かばん,バックパック,肩掛けかばん,家具用張り革,幼児連れ歩き用安全ひも,傘」を指定商品として、令和4年2月24日に登録査定され、同年3月1日に設定登録されたものである。 第2 申立人が引用する商標 1 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議申立ての理由として商標法第4条第1項第11号において引用する商標は、以下の3件であり、いずれも現在有効に存続しているものである。以下、引用商標1ないし引用商標3をまとめていうときは、「引用商標」という。 (1)登録第1463447号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の態様:「ウィルソン」及び「WILSON」の文字を2段書きしたもの 指定商品 :第18類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 登録出願日:昭和47年7月28日 設定登録日:昭和56年5月30日 書換登録日:平成13年10月10日 (2)登録第1811624号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の構成:別掲2のとおり 指定商品 :第18類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 登録出願日:昭和54年12月21日 設定登録日:昭和60年10月31日 書換登録日:平成19年5月23日 (3)登録第5287137号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の構成:別掲3のとおり 指定商品 :第9類、第18類、第24類、第25類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 登録出願日:平成19年9月10日 設定登録日:平成21年12月11日 2 申立人が、登録異議申立ての理由として商標法第4条第1項第15号及び同項第19号において引用する商標は、「WILSON(ウイルソン)(大文字、小文字及び片仮名並びに書体にデザインを施したものを含む。)」(以下「申立人商標」という。)の文字からなり、スポーツ用品(以下「申立人商品」という。)に使用して周知、著名であると主張するものである。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号又は同項第19号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第50号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 申立人商標の周知著名性について (1)申立人について 申立人である「ウィルソン・スポーティング・グッズ・カンパニー」は、「Wilson(ウィルソン)」のブランド名で知られる、アメリカ合衆国イリノイ州シカゴに本社を置くスポーツ用品メーカーである。申立人は、現在、1989年よりフィンランドの多国籍企業である「アメアスポーツ(Amer Sports)」の子会社となっている。「Wilson(ウィルソン)」の社名(ブランド名)は、1916年には使用を開始している(甲6〜8)。 申立人が申立人商標の下で商品を提供する主なスポーツ競技との関わりは、例えば、申立人が、テニス用品の製造を開始したのは1916年であり、実に多くの有名プレーヤーがテニスラケットなどテニス用品を使用し、また、申立人のバスケットボールは、NBA(National Basketball Association)の公式ボールや2020年東京オリンピックにおいても採用、使用されている(甲15〜19)。 (2)申立人商品について アメアスポーツジャパン株式会社が運営する「ウィルソン公式オンラインストア」のウェブサイトでは、申立人商品が購入可能となっている(甲20〜32)。 (3)申立人商品の販売個数及び販売額 2015年から2022年の間の、我が国において「Wilson(ウィルソン)」ブランドの下で販売された申立人商品の販売個数及び販売額は、コロナ禍により若干の落ち込みが2020年、2021年とみられるものの、例年150万から180万個の商品が我が国で販売され、およそ40億円の販売額を記録している。申立人の主力商品でもあるテニスラケットは、世界市場シェア1位となっている(甲33)。 (4)申立人商標について 申立人商標は、申立人の提供する商品、商品パッケージ及び商品パンフレットに、非常に顕著で目立つ態様で表示してある(甲37〜41)。 (5)申立人所有の防護標章について 申立人は、防護標章登録を所有している(甲42、43)。 (6)申立人所有の商標登録・出願について 申立人における積極的な権利保護及びブランディング活動の結果(甲45)、申立人商標は、申立人の業務に係る商品・役務を表示するものとして、取引者、需要者の間で広く認識される結果となっている。 (7)小括 以上、(1)ないし(6)に鑑みると、申立人商標が、本件商標の出願時及び登録査定時において、既に我が国の取引者、需要者の間で、申立人の業務に係る商品、役務を表示するものとして広く認識されていたことは明らかである。 2 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標について 本件商標は、欧文字「Werwilson」を横一列に表示してなり、語頭の「W」が大文字で、残りの文字は、略中央に位置する「w」の文字以外、小文字のありふれた書体で表してあり、左記「w」の文字は、黒丸を背景にした白抜き文字である上、図案化が施してあり、一見して顕著に目立つ態様で表されている。 上記のとおり、「w」の文字は、顕著に目立つ態様で表示されているため、本件商標は、「Wer」部分と「wilson」部分とに視覚的に分断される。したがって、本件商標全体では、「We are Wilson」、「We’re Wilson」等(私たちはウィルソンです。)と解釈され(甲46、47)、「Wilson(ウィルソン)」の語の周知著名性を考慮すれば、結局、本件商標からは、「申立人ブランド名としての「ウィルソン」」との観念が生じる。 最後に、称呼について検討すると、本件商標中、「Wer」の部分には出所識別標識としての働きはなく、申立人ブランド「Wilson」を明示する機能を有するにとどまるので捨象され、結局、要部となる後半の「wilson」から「ウィルソン」との称呼が生じる。 (2)引用商標について 引用商標1は、片仮名「ウィルソン」と欧文字「WILSON」の二段併記の構成であり、「申立人ブランド名としての「ウィルソン」」との観念が生じ、構成文字に相応して「ウィルソン」との称呼が生じる。 引用商標2及び3は、欧文字「Wilson」を筆記体で書したものであり、「申立人ブランド名としての「ウィルソン」」との観念が生じ、構成文字に相応して「ウィルソン」との称呼が生じる。 (3)本件商標と引用各商標の類否について 本件商標と引用商標1は、片仮名の有無により外観において相違する。しかしながら、本件商標の要部(「wilson」)と、引用商標1からは、「申立人ブランド名としての「ウィルソン」」との観念が生じる。したがって、両者は観念において相紛れるものである。 また、本件商標の要部及び引用商標1からはいずれも「ウィルソン」との称呼が生じるので、称呼においても相紛らわしい。 そうすると、本件商標と引用商標1とは、外観において相違するものの、観念及び称呼において相紛らわしいものであるから、類似の商標というべきものである。 次に、本件商標と引用商標2及び3は、全体の外観においては相違するものの、本件商標の要部と、引用各商標を構成する「Wilson」とは、大文字と小文字の表記の差異はあれど、「Wilson」の文字を共通にするので、外観において近似するものである。 さらに、本件商標の要部並びに引用商標2及び3からは、いずれからも、「申立人ブランド名としての「ウィルソン」」との観念が生じる。したがって、本件商標並びに引用商標2及び3は観念において相紛れるものである。 また、本件商標の要部並びに引用商標2及び3からはいずれも「ウィルソン」との称呼が生じるので、称呼においても相紛らわしい。 そうすると、本件商標と引用商標2及び3とは、外観において近似し、観念及び称呼においても相紛らわしいものであるので類似の商標というべきものである。 (4)指定商品の類否について 引用各商標の指定商品と本件商標の指定商品は、同一又は類似の商品である。 (5)小括 以上のとおり、本件商標は、引用商標に類似する商標であり、その指定商品と同一又は類似の商品に使用するものであるので、商標法第4条第1項第11号に該当する。 3 商標法第4条第1項第15号該当性について (1)混同を生ずるおそれの各要件についての検討 ア 本件商標と申立人商標との類似性の程度について 本件商標と申立人商標とは、上述2(3)でも説明したとおり、全体の外観においては相違するものの、本件商標及び申立人商標のいずれからも、「申立人ブランド名としての「ウィルソン」」との観念が生じ、称呼も「ウィルソン」と共通するので、本件商標と申立人商標は類似性の程度が非常に高い。 イ 申立人商標の周知度について 上述1で説明したとおり、申立人商標は、申立人又は申立人ブランドを指称するものとして、我が国及び海外の取引者、需要者に広く認識されている。 ウ 申立人商標の独創性等について 申立人商標の由来は人名ではあるが、申立人の主たる事業分野であるスポーツ用品、アパレル分野において、申立人商標はその商標の採択において非常に独創性が高いものであるといえる。 エ 申立人商標がハウスマークであるかについて 申立人商標は、申立人の略称であり、申立人のハウスマークである。 オ 申立人における多角経営の可能性 申立人は、スポーツ用品だけでなく、スポーツ用品と親和性の高いアパレル事業に進出しており、被服(甲48)や帽子(甲49)、バッグ(甲50)など様々な商品を展開している。そして、これらの商品は、本件商標の指定商品の範ちゅうと重複するものである。 カ 商品間の関連性、商品等の需要者の共通性について 本件商標に係る指定商品(アパレル分野の商品)と、申立人商標に係る商品(スポーツ用品)との間には密接な関連性があり、さらに、両者の需要者は、一部共通するものである。 (2)商標法第4条第1項第15号該当性についての小括 以上をまとめると、本件商標は、その指定商品に使用された場合、商品の出所について混同を生じるおそれがある。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 4 商標法第4条第1項第19号該当性について 上述のとおり、申立人及び申立人ブランドは、世界中で広く認識されており、本件商標の出願人は、本件商標の出願前より、申立人の周知著名商標である「Wilson」を知しつしていたことは明らかである。すなわち、本件商標の出願人は、申立人の周知著名商標の顧客吸引力を利用(フリーライド)することを意図して、本件商標を取得したことは明らかであって、不正の目的をもって使用をするものである。このように、本件商標の出願人が、申立人の周知著名商標の顧客吸引力を利用し、申立人の周知著名な略称と酷似する商標を、自己の商品について使用する行為は、申立人が長年の営業努力によって築いた当該周知著名商標に化体した信用、名声、顧客吸引力等の毀損を招来させる。 すなわち、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。 第4 当審の判断 1 申立人商標の周知性について (1)申立人の提出した証拠及び同人の主張によれば、次のとおりである。 ア 申立人は、1913年に創業した米国シカゴに本社を置くスポーツ用品(申立人商品)を製造、販売する法人であって、1916年頃テニス用品の製造を開始し、その後現在に至るまで長年にわたり申立人商品を製造、販売し、また、申立人は、同年頃から社名のほかにテニス用品などに標章「Wilson(書体にデザインを施したものを含む。」(以下「申立人使用商標」という。)を使用している(甲6〜8)。 イ 申立人使用商標は、テニスラケットを始めとする申立人商品及びそのパッケージに使用されている(甲34、35、36の1、37〜40)。 ウ 申立人の業務に係る申立人商品(これより以下「申立人の業務に係る申立人商品」を単に「申立人商品」という。)は、プロスポーツ選手による使用、公式ボールとして採用、さらに東京オリンピックにおいても採用、使用されている(甲9〜19)。 エ 申立人商品は、アメアスポーツ株式会社によって、「ウィルソン公式オンラインストア」で販売されたり(甲20〜32)、「2021年版製品カタログ」によって広告されている(甲41)。 オ 申立人商品の販売額は、コロナ禍である2020年及び2021年は若干の落ち込みがみられるものの、2015年から2019年にかけては約40億円といった高い金額で推移している。 特に申立人商品のうちテニスラケットは世界市場シェア1位とされる(甲33)。 (2)申立人使用商標の周知性の判断 上記(1)からすれば、申立人は、スポーツ用品の製造、販売などを主な業務とする米国の企業であって、1916年頃から、申立人使用商標を、社名のほかに、テニスラケットを始めとする申立人商品(以下「申立人の業務に係る商品」という場合がある。)やそのパッケージに、現在に至るまで長年にわたり使用している。そして、申立人商品は、プロスポーツ選手や東京オリンピックなどに採用、使用されて需要者の注目を浴びているといえ、また、申立人の公式オンラインストアで販売されたり、カタログによる広告も行われている。特に、申立人商品のうちテニスラケットは、2019年頃世界市場シェア1位又はそれに準じる地位であったことがうかがえる。 さらに、申立人商品の販売金額が2015年から高い金額で推移しているところ、そのうち申立人使用商標に係る売上げは明らかではないものの、提出された証拠からすれば、申立人商品の大半に申立人使用商標が表示されていること、その中でもテニスラケットの世界市場シェアが1位又はそれに準じる地位であったことがうかがえることなどからすれば、申立人使用商標を表示した申立人商品の売上げは相当程度の金額を占めるものと推認することができる。 以上を総合して勘案すれば、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人使用商標は申立人の業務に係る商品を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることができる。 2 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標について 本件商標は、「Wer」の欧文字と「ilson」の欧文字の間に、白抜きの幾何図形を内包する黒塗りの円(以下「円形図形」という。)を介した別掲1のとおりの構成よりなるところ、その構成中、欧文字は語頭の「W」のみを大文字にしてそれ以外は小文字で、円形図形はその高さを「W」及び「il」の欧文字とほぼ同じ高さで、それぞれ表している。そして、「Wer」の欧文字は、円形図形との間に余分なスペースを設けることなく、隣接して配置されていることも併せて考慮すれば、外観上「Wer」の欧文字部分が分離して看取されるものとはいえない。 また、本件商標構成中の、「Wer」の欧文字は、「we are(私達は)」などの意味合いを表す場合はあるが、円形図形内に内包した幾何図形は、その形状から直ちに何らかの文字を理解させるものではなく、「ilson」の欧文字にしても辞書等に載録のない造語であるから、本件商標全体として何らかの意味合いを理解させるものではない。 そして、「Wer」の部分が上記のような意味合いを表す場合があるとしても、本件商標の指定商品との関係において、出所識別標識としての機能を果たさないといったものではなく、またそれ以外の部分が、取引者、需要者に対して強く支配的な印象を与えるといった事情も見いだせない。 そうすると、本件商標は、その構成全体として何らかの意味合いを理解させるものではないが、その構成中の「Wer」の部分を捨象して取引に資するというよりはむしろ、かかる構成もあいまって、構成全体をもって一体のものと看取されるとみるのが相当である。 したがって、本件商標は、その構成文字に相応して、「ウイアーイルソン」又は「ウイリルソン」の称呼を生じ、特定の観念は生じない。 (2)引用商標について 引用商標は、第2、1のとおりの構成からなり、いずれもその構成文字に相応して「ウイルソン」の称呼を生じる。また、「Wilson」の語は、申立人も述べるようにそもそも人名であるから「人名」ほどの観念を生じる。 (3)本件商標と引用商標との類否について 本件商標と引用商標の外観を比較してみるに、本件商標と引用商標の構成はそれぞれ上記(1)及び(2)のとおりであり、円形図形の有無や構成文字に差異を有するものであるから、両者は判然と区別することができ、外観において相紛れるおそれはない。 次に、称呼については、上記(1)及び(2)のとおり、本件商標からは「ウイアーイルソン」又は「ウイリルソン」の称呼を生じるのに対し、引用商標からは「ウイルソン」の称呼を生じるものであるから、両者は語調、語感が明らかに異なり明瞭に聴別でき、称呼において相紛れるおそれはない。 さらに、観念については、上記(1)及び(2)のとおり、本件商標は特定の観念を生じないのに対して、引用商標は「人名」ほどの観念を生じるものであるから、両者は、観念において区別することができ、相紛れるおそれはない。 してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標である。 したがって、本件商標は、引用商標とは非類似の商標であるから、両者の指定商品の類否について検討するまでもなく、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第15号について (1)本件商標と申立人使用商標の類似性の程度について 本件商標は、別掲1のとおりの構成からなり、上記2(1)のとおり、「ウイアーイルソン」又は「ウイリルソン」の称呼を生じ、特定の観念は生じない。 一方、申立人使用商標は、上記1(1)アのとおり、「Wilson(書体にデザインを施したものを含む。)」の文字からなるところ、構成文字に相応して「ウイルソン」の称呼を生じ、また上記1(2)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く認識されていたものであるから、「申立人のブランド」ほどの観念を生じる。 そこで、本件商標と申立人使用商標の類否を検討するも、上記2に倣えば、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきである。 (2)出所の混同のおそれについて 申立人使用商標は、上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く認識されていたものではあるが、上記(1)のとおり、本件商標と申立人使用商標とは、非類似の商標であって別異の商標であるから、申立人における多角経営の可能性や需要者の共通性等を考慮したとしても、本件商標の指定商品の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として総合的に判断すれば、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者をして申立人使用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。 このほかに、申立人のいずれの主張を検討しても、本件商標が出所の混同を生ずるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 (3)小括 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 4 商標法第4条第1項第19号について 本号は、「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもって使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)」と規定されている。 そして、上記1のとおり、申立人使用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く認識されていたと認められるとしても、上記2のとおり、本件商標は申立人使用商標とは非類似の商標である。 また、申立人が提出した証拠からは、本件商標権者が、本件商標を不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用するものと認めるに足りる具体的事実は見いだせない。 そうすると、本件商標は、商標法第4条第1項第19号を適用するための要件を欠くものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 5 むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反して登録されたものではなく、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 1 本件商標 ![]() 2 引用商標2 ![]() 3 引用商標3 ![]() (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。 |
異議決定日 | 2023-03-29 |
出願番号 | 2021086102 |
審決分類 |
T
1
651・
222-
Y
(W18)
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最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
大橋 良成 |
特許庁審判官 |
山田 啓之 岩崎 安子 |
登録日 | 2022-03-01 |
登録番号 | 6520717 |
権利者 | 广州威尓遜服飾有限公司 |
商標の称呼 | ウエルウイルソン、ワーウイルソン、ウエル、ワー、ダブリュウイイアアル、ウイルソン |
代理人 | 杉村 光嗣 |
代理人 | 叶野 徹 |
代理人 | 門田 尚也 |
代理人 | 長嶺 晴佳 |
代理人 | 杉村 憲司 |