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審決分類 |
審判 査定不服 外観類似 取り消して登録 W0942 |
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管理番号 | 1396415 |
総通号数 | 16 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2023-04-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2022-05-20 |
確定日 | 2023-03-27 |
事件の表示 | 商願2020−122680拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1 本願商標及び手続の経緯 本願商標は、「ARVO」の文字を標準文字で表してなり、第9類及び第42類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和2年10月5日に登録出願されたものである。 なお、本願は、令和3年8月25日付けで拒絶理由の通知がされ、同年10月4日に意見書及び手続補正書が提出され、同4年2月14日付けで拒絶査定がされたものである。 これに対して、令和4年5月20日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。 本願の指定商品及び指定役務については、原審における上記手続補正書にて、別掲1のとおりの指定商品及び指定役務に補正されたものである。 2 引用商標 原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第4278894号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、平成9年12月2日に登録出願、第9類、第16類及び第28類に属する別掲3のとおりの商品を指定商品として、同11年6月4日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 3 当審の判断 (1)本願商標について 本願商標は、上記1のとおり、「ARVO」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は「午後」の意味を有するオーストラリアの英語として辞書に掲載されている(「ジーニアス英和辞典 第5版」(株式会社大修館書店))としても、我が国においてその意味が広く一般に知られている語とは認められないから、一種の造語として認識されるというのが相当である。 そして、本願商標のような一種の造語といえる欧文字は、我が国において広く親しまれている英語読み又はローマ字読みに倣って称呼されることが多いから、本願商標は、その構成文字に相応して、「アルボ」、「アーボ」の称呼が生じるものである。 そうすると、本願商標は、「アルボ」、「アーボ」の称呼が生じ、特定の観念を生じないものである。 (2)引用商標 引用商標は、別掲2のとおり、とぐろを巻いた蛇をモチーフとしたとおぼしき図形(以下、「図形部分」という。)とその下にやや間隔を空けて「アーボ」の片仮名(以下、「文字部分」という。)を横書きしてなるものである。 そこで、構成中の図形部分をみるに、当該図形部分は、我が国において特定の意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないものであるから、これよりは直ちに特定の称呼及び観念は生じない。 また、構成中の文字部分は、一般的な辞書等に載録された成語ではなく、特定の意味合いを想起させる語として知られているというような事情も見いだせないものであることから、特定の意味合いを有しない、一種の造語として認識されるものである。 そして、本願商標の構成中の図形部分と文字部分とは、上下に離れて配置され、大きさも異なるため、これらは、視覚上分離して看取されるばかりでなく、これらが常に一体不可分のものとしてのみ看取、把握されなければならない特段の事情も見いだせないものである。 そうすると、引用商標は、その構成中の図形部分及び文字部分とが、それぞれ独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るといえるものであるから、引用商標の構成中の「アーボ」の文字部分を要部として抽出し、本願商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。 したがって、引用商標は、その要部たり得る「アーボ」の文字部分に相応して「アーボ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 (3)本願商標と引用商標の類否 ア 本願商標と引用商標との類否を検討するに、両者は、外観については、全体の比較において、図形の有無により両商標の構成が大きく異なるばかりか、要部の比較においても、本願商標を構成する「ARVO」が欧文字4文字からなり、引用商標の要部である「アーボ」は片仮名3文字からなり、その文字種や文字数の差異によって、両者の外観の印象は大きく異なるから、両商標は、外観上、判然と区別し得るものである。 イ 次に、称呼においては、本願商標からは、「アルボ」、「アーボ」の称呼が生じ、引用商標からは、「アーボ」の称呼が生じるものであるところ、両商標は「アーボ」の称呼を共通にする場合があるが、本願商標から生じる「アルボ」と引用商標から生じる「アーボ」との称呼の比較においては、少ない音構成である3音中の第2音において、「ル」と「ー(長音)」の音の差異を有し、当該差異音が称呼全体に及ぼす影響は決して小さいものとはいえないから、それぞれを一連に称呼するときは、語調や語感の相違により容易に聴別できるものである。 ウ さらに、観念においては、本願商標と引用商標とは、特定の観念を生じないから、比較することができない。 エ してみれば、本願商標と引用商標とは、観念において比較することができず、本願商標から生じる称呼のうち1つを共通にする場合があるとしても、もう1つの称呼は容易に聴別できるものであり、また、外観上、判然と区別し得るものであって、その外観上の差異は称呼上の類似性を凌駕するといえるものであるから、その外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両商標は、商品及び役務の出所について誤認混同を生じさせるおそれのない非類似の商標と判断するのが相当である。 (4)まとめ 以上のとおり、本願商標と引用商標とは非類似の商標であるから、本願商標の指定商品及び指定役務と引用商標の指定商品との類否について判断するまでもなく、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1 本願の指定商品及び指定役務 第9類「電子計算機用プログラム,電子計算機,電子回路(「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路」を除く。),タブレット型コンピュータ,電子書籍リーダー,電子応用機械器具及びその部品,スマートフォン,スマートフォンのカバー及び附属品,携帯電話機,携帯電話機のカバー及び附属品,電気通信機械器具,業務用テレビゲーム機用プログラム,家庭用テレビゲーム機用プログラム,テレビゲーム機用メモリーカード,携帯用液晶画面ゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,メトロノーム,電気又は電子楽器用フェイザー,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル,ダウンロード可能な音楽又は音声,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,ダウンロード可能な画像・映像又は映画,レコード,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,記録済み及び未記録のビデオカセットテープ・DVD・オーディオディスク及びコンパクトディスク,電子出版物,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,3D眼鏡,製図用又は図案用の機械器具,製図用又は図案用の機械器具の部品及び附属品,理化学機械器具,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,測定機械器具,測定用ガラス器具,教育用映像周波機械器具・教育用音声周波機械器具・教育用電子応用機械器具,機械の誤作動・故障等の検知・分析装置」 第42類「電子計算機用プログラムの提供,電子計算機用プログラムの提供に関する相談・指導・助言・コンサルティング又は情報の提供,電子計算機用プログラムの貸与,電子計算機用プログラムの貸与に関する相談・指導・助言・コンサルティング又は情報の提供,電子計算機の貸与,電子計算機の貸与に関する相談・指導・助言・コンサルティング又は情報の提供,クラウドコンピューティング,クラウドコンピューティングに関する相談・指導・助言・コンサルティング又は情報の提供,ウェブサイト又はサーバーのホスティング,ウェブサイト又はサーバーのホスティングに関する相談・指導・助言・コンサルティング又は情報の提供,ウェブサーバーの貸与,ウェブサーバーの貸与に関する相談・指導・助言・コンサルティング又は情報の提供,電子計算機用プログラムの開発・設計・作成又は保守,電子計算機用プログラムの開発・設計・作成又は保守に関する相談・指導・助言・コンサルティング又は情報の提供,コンピュータシステムの開発・設計・作成又は保守,コンピュータシステムの開発・設計・作成又は保守に関する相談・指導・助言・コンサルティング又は情報の提供,ウェブサイトの開発・設計・作成又は保守,ウェブサイトの開発・設計・作成又は保守に関する相談・指導・助言・コンサルティング又は情報の提供,コンピュータデータベース・コンピュータプログラム又はコンピュータネットワークへのアクセスタイムの賃貸,コンピュータデータベース・コンピュータプログラム又はコンピュータネットワークへのアクセスタイムの賃貸に関する相談・指導・助言・コンサルティング又は情報の提供,建築又は都市計画に関する研究,建築又は都市計画に関する研究に関する相談・指導・助言・コンサルティング又は情報の提供,公害の防止に関する試験又は研究,公害の防止に関する試験又は研究に関する相談・指導・助言・コンサルティング又は情報の提供,電気に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究に関する相談・指導・助言・コンサルティング又は情報の提供,土木に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究に関する相談・指導・助言・コンサルティング又は情報の提供,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究に関する相談・指導・助言・コンサルティング又は情報の提供,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究に関する相談・指導・助言・コンサルティング又は情報の提供,製図用具の貸与」 別掲2 引用商標 ![]() 別掲3 引用商標の指定商品 第9類「家庭用テレビゲームおもちゃ,家庭用テレビゲームおもちゃ用のゲームプログラムを記憶させたROMカートリッジ・同磁気ディスク・同光ディスク,家庭用テレビゲームおもちゃ専用光ディスク記録再生装置,家庭用テレビゲームおもちゃ用のジョイスティック,これらの部品及び付属品,物指し,電池,写真機械器具,光学機械器具,眼鏡,電気通信機械器具,レコード,データ入力装置,その他の電子応用機械器具及びその部品,遊園地用機械器具,スロットマシン,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,浮袋」 第16類「紙類,紙製包装用容器,家庭用食品包装フィルム,紙製タオル,型紙,紙製テーブルクロス,紙製のぼり,紙製幼児用おしめ,荷札,印刷物,書画,写真,写真立て,遊戯用カード,文房具類,事務用又は家庭用ののり及び接着剤,製図用具,タイプライター,観賞魚用水槽及びその附属品」 第28類「遊戯用器具,ビリヤード用具,囲碁用具,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,マージャン用具,おもちゃ,人形,愛玩動物用おもちゃ,運動用具,スキーワックス,釣り具」 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。 |
審決日 | 2023-03-15 |
出願番号 | 2020122680 |
審決分類 |
T
1
8・
261-
WY
(W0942)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
森山 啓 |
特許庁審判官 |
小林 裕子 青野 紀子 |
商標の称呼 | アルボ、アーボ、アルヴォ、アーヴォ |
代理人 | 渡部 仁 |