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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W30
管理番号 1396384 
総通号数 16 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2023-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-12-22 
確定日 2023-03-06 
事件の表示 商願2019−111756拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 第1 手続の経緯
本願は,令和元年8月21日の出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。
令和2年8月25日付け:拒絶理由通知書
令和2年10月21日 :意見書の提出
令和3年9月22日付け:拒絶査定
令和3年12月22日 :審判請求書の提出

第2 本願商標
本願商標は,別掲1のとおりの構成からなり,第30類「パン,菓子,菓子パン,サンドイッチ,ハンバーガー,ピザ」を指定商品として,登録出願されたものである。

第3 原査定の拒絶の理由(要点)
本願商標は「黒コッペ」の文字からなるところ,その構成中の「黒」の文字は,「色の名」を表すものであり,また,「コッペ」の文字は,「紡錘形のパン。」を意味する「コッペパン」の略称として一般に使用されているものである。
そして,パンを取り扱う業界において,「黒色のコッペパン」を「黒コッペ」と称して販売されている実情があるから,本願商標全体として「黒色のコッペパン」程度の意味合いを容易に理解,認識させるものである。
そうすると,本願商標は,「黒コッペ」の文字を普通に書してなるにすぎないものであるから,これをその指定商品に使用しても,これに接する取引者,需要者は「黒色のコッペパン」程の意味を認識,理解するにとどまり,単に,商品の品質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものである。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,「黒色のコッペパン」以外の商品に使用するときは,商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから,同法第4条第1項第16号に該当する。

第4 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は,別掲1のとおり,「黒コッペ」の漢字と片仮名を筆書き風の文字で横書きしてなるところ,その構成中「黒」の文字は「色の名。墨のような色。」等の意味を有する語(「広辞苑第七版」株式会社岩波書店)であり,「コッペ」の文字は「やや細長い小山形の白パン」の意味を有する「コッペパン」の語の略称である(「大辞泉第2版」株式会社小学館)。
そして,当審における職権調査によれば,本願の指定商品を取り扱う業界においては,「黒○○」(○○にはパンの種類を示す文字が入る)の文字は,例えば,「黒蒸しパン」,「黒ロールパン」,「黒食パン」のように「黒色又は黒っぽい色の○○」の意味合いで一般に使用されている(別掲2)。
また,「黒コッペ」の文字は,原審において示した例のほか,「黒色又は黒っぽい色のコッペパン」を指称する語として使用されているものである(別掲3)。
さらに,当審における職権調査によれば,「コッペ」の文字は,例えば「チョココッペ」,「おかずコッペ」のように,「○○コッペ」の形で「コッペパン」を指称する語として,一般に使用されている(別掲4)。
以上からすれば,本願商標は,構成全体として「黒色又は黒っぽい色のコッペパン」程の意味合いを容易に認識させるものであり,これをその指定商品について使用するときは,これに接する取引者,需要者は,当該商品が「黒色若しくは黒っぽい色のコッペパン」又は「黒色若しくは黒っぽい色のコッペパンを原材料とする商品」であるという商品の品質,原材料を普通に用いられる方法で表示したものと認識するにとどまり,自他商品の識別標識としては認識し得ないというのが相当である。
また,本願商標を,その指定商品中,「黒色又は黒っぽい色のコッペパン」及び「黒色又は黒っぽい色のコッペパンを原材料とする商品」以外の商品に使用するときは,商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるというべきである。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は,「黒コッペ」の文字が,コトバンクのウェブサイトにおけるデジタル大辞泉プラスにおいて,「フジパンが製造・販売するコッペパンのブランド名。」として掲載されていることを挙げ,「特定の辞書とはいえ,「黒コッペ」を一体として捉え,その「黒コッペ」自体の意味・解説として,まさに請求人の提供による商品である旨が掲載されているのであるから,「黒コッペ」は「黒コッペ」として一体不可分の語として認識されていると判断すべき」旨を主張している。
しかしながら,当審において職権をもって調査するも,前記デジタル大辞泉プラス以外の辞書等で同様の記載は見あたらないし,前記デジタル大辞泉プラスに掲載されていることだけをもって,本願の指定商品を取り扱う業界における取引者,需要者が,本願商標が請求人の業務に係る商品を示すものとして認識しているとはいいがたく,また,他に本願商標が,これに接する取引者・需要者に請求人の業務に係る商品であることを示すものとして認識されているというべき事情も見あたらない。
(2)請求人は,「本願商標の構成中の「黒」の文字は,特に焼成食品等の分野においては,ともすれば「焦げ」などをイメージさせ,ネガティブな印象を与えかねない中,わざわざ「黒」をうたうパン自体が少ないことなどから,本願商標における「黒」は,「色の名」というより,やや異様・異例な印象を与えるものとして機能しているとみるのが相当である」旨を主張している。
しかしながら,前記1のとおり,本願の指定商品を取り扱う業界においては,「黒○○」(○○にはパンの種類を示す文字が入る。)の文字は,「黒色又は黒っぽい色の○○」の意味合いで一般に使用されており(別掲2),「黒コッペ」の文字も「黒色又は黒っぽい色のコッペパン」を指称する語として少なからず使用されている(別掲3)ことからすれば,本願商標をその指定商品について使用するときは,その構成中「黒」の文字は,これに接する取引者,需要者に,当該商品が「黒色又は黒っぽい色の商品」であることを認識させるものと判断するのが相当である。
(3)請求人は,「本願商標構成中の「コッペ」が,「コッペパン」の略として知られているとしても,例えば,よくある町のパン屋などにおいて,あえて「コッペください」とはいわず,やはり「コッペパンください」というのが普通であるように,「コッペパン」を指すときはそのまま「コッペパン」という場合が多いのが実情である」旨を主張している。
しかしながら,前記1のとおり,本願の指定商品を取り扱う業界においては,「コッペ」の文字は,「○○コッペ」の形で「コッペパン」を指称する語として,一般に使用されている(別掲4)ことからすれば,本願商標をその指定商品について使用するときは,本願商標の構成中「コッペ」の文字は,これに接する取引者,需要者に,当該商品が「コッペパン」又は「コッペパンを原材料とする商品」であることを認識させるものと判断するのが相当である。
(4)請求人は,「原審における引用情報には,いずれも「ブラックココアの黒コッペ〜」,「富山県産竹炭を使用した〜」,「“栄養パン”とは黒パンをベースに〜」という説明的な記載が添えられているものであり,こうした説明的な記載により補われてようやく商品の具体的,直接的な品質等が理解されているものといえる」旨を主張している。
しかしながら,より詳細な商品の品質等を特定するような説明を行うことは可能であるとしても,商品の紹介等において,商品の特長をより詳細に説明することは一般に見受けられるものであるから,説明が加えられているということをもって直ちに,説明的な記載がない限り「黒コッペ」の文字から商品の品質を認識できないとはいい難い。そして,前記1のとおり,本願商標は,これをその指定商品について使用しても,これに接する取引者,需要者は,当該商品が「黒色若しくは黒っぽい色のコッペパン」又は「黒色若しくは黒っぽい色のコッペパンを原材料とする商品」であるという,商品の品質,原材料を表したものと認識するにすぎず,本願商標を自他商品の識別標識としては認識し得ないものと判断するのが相当である。
(5)請求人は,「「黒コッペ」が,「取引に際し必要適切な表示」であるなら,既に多々使用されているのが自然であるにも関わらず,「黒コッペ」の使用が長きにわたって請求人によるもの以外ほぼ見られなかったという実情は,本願商標が,これまでだけでなく将来においても,「取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するもの」ではないことを示し,それ故に,「特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でない」ものには該当せず,「一般的に使用される標章であって,多くの場合自他商品識別力を欠くものであることによるもの」にも,該当しないことを示すものである」旨を主張している。
しかしながら,当該主張は,請求人の独自の主張であって,これを裏付ける証拠等の提出はない。そして,本願商標は,その構成文字である「黒」と「コッペ」の文字の語義,及び別掲2ないし別掲4の事実からすれば,これをその指定商品について使用するときは,取引者,需要者は,当該商品が「黒色若しくは黒っぽい色のコッペパン」又は「黒色若しくは黒っぽい色のコッペパンを原材料とする商品」であるという商品の品質,原材料を普通に用いられる方法で表示したものと認識するにとどまり,自他商品の識別標識としては認識し得ないものであることは,前記1の判断のとおりである。
(6)したがって,請求人の主張はいずれも採用できない。
3 まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。

別掲

別掲1 本願商標


別掲2 「黒○○」(○○にはパンの種類を示す文字が入る)が「黒色又は黒っぽい色の○○」の意味合いで一般に使用されている例
1 Rakutenのウェブサイトにおける「黒蒸しパンミックス 500g」という商品のページには,「昔ながらの懐かしい素朴な黒蒸しパンが作れます」の記載とともに,黒っぽい色の蒸しパンの写真が掲載されている。


(https://item.rakuten.co.jp/ktfoodlab/10000235/)
2 animate cafeのウェブサイトにおいて,「コラボ作品」として紹介されている「『池袋月野亭』〜やよいパン〜」のページには,「特典コースター2枚つき メインが選べるランチ 日替わりパンおかわりパスポートセット」の見出しの下,「選べるメインディッシュ(A:ビーフシチュー&オムレツ&サラダ/B:トマトソースのフィッシュフライ&コンソメスープ&サラダ)+パン2個(炭パウダー入り黒ロールパン+クロワッサン)+日替わりパンおかわりパスポート付き」の記載があり,黒色のロールパンの写真が掲載されている。

(https://cafe.animate.co.jp/event/tsukinotei2003/foods/)
3 石窯パン工房 Pan De Parkのウェブサイトにおける「石窯焼き高級黒食パン」という商品のページには,その説明として「食用竹炭パウダー,黒ゴマに加え栃木県産小麦「ゆめかおり」を各々生地に配合し,まっ黒に仕上げました。トーストはもちろん,和そうざいと合わせたサンドイッチにもおすすめ!」の記載があり,黒色の食パンの写真が掲載されている。


(https://www.pandepark.com/menu/1311/U05.html?TB_iframe=true&height=600&width=350)
4 OSAKA STYLEのウェブサイトにおける2021年3月10日付けの「トリッパのトマト煮込みと黒バゲットの交錯」というタイトルのページには,黒色のバゲットの写真が掲載されている。

(https://osaka.style/news/13248/3-443/)
5 58DINERのウェブサイトには「黒バンズとトマトソースのチーズバーガー」の記載とともに,黒色のバンズで作られたハンバーガーの写真が掲載されている。

(http://58diner.com/service/979.php)

別掲3 「黒コッペ」の文字が「黒色又は黒っぽい色のコッペパン」を指称する語として一般に使用されている例
1 完全感覚ベイカーのウェブサイトにおける2021年2月14日付け更新の「白コッペと黒コッペ焼き方を変えて作ってみよう!」というタイトルの記事において「1.焼き色をなるべくつけないようにする材料の配合」の見出しの下,「テーマとしては,一つの生地から白いパンと焼き目のついたパンを作っていきます。白いパンを仕上げるのに一番大切なのは焼き方ですが,それと同じくらい焼き色がつきにくい生地を作ることが大切になります。」の記載とともに,「ひとつの生地から白コッペ・黒コッペ」という見出しの付けられた白い色のコッペパンと黒っぽい褐色のコッペパンのそれぞれの加工パンの写真が掲載されている。

(https://myhomebread.com/%E7%99%BD%E3%82%B3%E3%83%83%E3%83%9A%E3%81%A8%E9%BB%92%E3%82%B3%E3%83%83%E3%83%9A%E7%84%BC%E3%81%8D%E6%96%B9%E3%82%92%E5%A4%89%E3%81%88%E3%81%A6%E4%BD%9C%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%BF%E3%82%88%E3%81%86/)
2 栃ナビ!のウェブサイトにおける「さあ,コッペパンか食パンか。注目の2大パン対決!コッペパンor食パン」というタイトルの記事において,「最先端を行く!罪悪感のないデザートコッペは乙女の味方」の項に「イチゴサンド … 410円※5月頃まで,数量限定。」の見出しの下,「デトックス効果のある竹炭入りの黒コッペに,真っ白なクリームがたっぷり。」の記載があり,生クリームとイチゴが間に入った黒色のコッペパンの写真が掲載されている。

(https://www.tochinavi.net/feature/home.shtml?id=8401)
3 7net shoppingのウェブサイトにおける「iacoupeのコッペパン 白コッペ,茶コッペ,黒コッペに,ブリオッシュコッペ。4つのコッペパンでおやつ,ランチ,おもてなしにおいしい!」という本のページにおいて,その本の表紙の左上には,「白コッペ,茶コッペ,黒コッペに,ブリオッシュコッペ。4つのコッペパンでおやつ,ランチ,おもてなしにおいしい!」の記載とともに黒色のコッペパンの写真が掲載されている。

(https://7net.omni7.jp/detail/1106742360)

別掲4 「コッペ」の文字が「○○コッペ」の形で「コッペパン」を指称する語として,一般に使用されている例(下線は合議体による。)
1 Bakery PENNY LANEにおける,「チョココッペ」という商品のページにおいて,その説明として,「紡錘形の細長いコッペパンは,しっとりとして,ほんのり甘く,ミルキーな『ミルクハース』の生地を使用。コーンフレーク入りのチョコクリームの軽く,サクサクした食感をお楽しみください。」の記載がある。
(https://shop.pennylane.company/SHOP/kp027.html)
2 icottoのウェブサイトにおける2018年1月28日付けの「惣菜系“おかずコッペ”が絶品!全国のコッペパン専門店14選」というタイトルの記事において,「コッペパン人気が再燃しています。甘いフィリングが思い浮かぶコッペパンですが,実はおかず系コッペパンも充実しているんです!ボリュームもあってお腹も満足するおかず系コッペパン。焼きそばやコロッケ,玉子といった定番のフィリングのほか,ナポリタンやからあげといったちょっぴり変わったものも!全国にあるコッペパン専門店をご紹介してきましょう。」の記載がある。
(https://icotto.jp/presses/13377)
3 セブンイレブンのウェブサイトにおける「7プレミアム ミニコッペ ピーナッツ3本入」という商品のページにおいて,商品説明として「ふんわりとしたミニサイズのコッペパンに粒入りのピーナッツクリームをサンドしました」の記載がある。
(https://www.sej.co.jp/products/a/item/290565/)
4 加藤牧場の手づくりアイス バッフィのウェブサイトにおける「揚げミルクコッペ」という商品のページにおいて,「加藤牧場の牛乳,埼玉県産小麦粉【ハナマンテン】国産粗製糖を使ったコッペパンを揚げました。」の記載がある。
(https://www.baffi.ne.jp/menu-detail/19)
5 新潟の使い方のウェブサイトにおける2022年9月26日付けの「新潟県の隠れたご当地グルメ!B級からソウルフードまで 地元情報誌が選ぶ県民熱愛グルメ9選」というタイトルの記事において,「【 県民熱愛グルメ1 】」の項に「昭和初期創業のパン屋さんがつくる懐かしの惣菜パン〈栄軒ベーカリー〉」の見出しの下,「こちらの名物はふっくらとした食感がヤミツキになるコッペパン。・・・シンプルなコッペパンはもちろん,ナポリタンや納豆コロッケなどを挟んだ惣菜コッペも評判。」の記載がある。
(https://howtoniigata.jp/article/jimoto/38821/)

(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは,この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は,その日数を附加します。)以内に,特許庁長官を被告として,提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は,著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては,著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
審理終結日 2022-12-26 
結審通知日 2023-01-06 
審決日 2023-01-19 
出願番号 2019111756 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W30)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 豊瀬 京太郎
特許庁審判官 須田 亮一
板谷 玲子
商標の称呼 クロコッペ、コッペ 
代理人 秋元 正哉 
代理人 吉澤 大輔 

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