ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W12273539 |
---|---|
管理番号 | 1395512 |
総通号数 | 15 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2023-03-31 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2022-06-01 |
確定日 | 2023-03-10 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6536125号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6536125号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第6536125号商標(以下「本件商標」という。)は、「VOLTA ZERO」の文字を横書きしてなり、第12類、第27類、第35類及び第39類に属する別掲に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、2020年9月11日に英国(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して令和3年3月11日に登録出願、同4年3月7日に登録査定され、同月29日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由に該当するとして引用する商標は、以下のとおりの登録商標であり、その商標権は、現に有効に存続しているものである。 1 登録第477334号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の構成:「VOLVO」 登録出願日:昭和30年5月14日 設定登録日:昭和31年2月25日 書換登録日:平成19年12月26日 指定商品:第7類、第11類及び第12類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 2 登録第4659499号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の構成:「VOLVO」(標準文字) 商標登録出願日:平成14年6月21日 設定登録日:平成15年4月4日 指定商品:第12類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 3 登録第4729933号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の構成:「VOLVO」(標準文字) 商標登録出願日:平成15年4月25日 設定登録日:平成15年11月28日 指定役務:第35類、第36類、第37類、第39類及び第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務 引用商標1ないし引用商標3をまとめていう場合は、以下「引用商標」という。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第14号証を提出した。 1 引用商標の著名性について (1)「VOLVO」の歴史 引用商標は、申立人の母体である世界企業エービーボルボ(以下「ボルボ社」という。)が、1927年の会社創設以来、車輌、船舶、その他運搬用機械器具に使用している商標であり、ボルボ社及び申立人のハウスマークとして長きにわたって使用され続けている商標である。 特に、「VOLVO」を冠した自動車が、「VOLVO」ブランドとして不動の地位を築いていることは誰もが知るところである。 ボルボ社の2018年の年間平均正社員数は43,000人にものぼり、スウェーデン、ベルギー、米国及び中国に主な生産拠点を置いて、世界中で商品の製造及び販売を行う規模を誇っており、ハウスマークである「VOLVO」は世界中で広く使用され続けている。 さらに、ボルボ社は、20年間という長きにわたって、世界一周のヨットレース「ボルボ・オーシャン・レース」を主宰しており(甲5)、1940年から現在に至るまで、スウェーデンラリー、ヨーロッパラリー選手権、世界ツーリングカー選手権等の世界中の自動車レースに参戦し、華々しい成績を収め続けている(甲6)。 このように、引用商標は「VOLVO」ブランドを築くとともに、ボルボ社及び申立人のハウスマークとして、長年にわたって世界中にその名を知られる存在となっている。 (2)「VOLVO」のランキング 「VOLVO」ブランドがどれほど高い人気を誇っているかは、様々なランキングにおいて、「VOLVO」が常に上位を占めることからも明らかである。 ア 2020年秋 輸入車ランキング【新車ベスト5】において、「VOLVO XC40」は堂々のランキング1位を獲得している(甲7)。 イ 2021年最新版 人気の外車・輸入車おすすめランキングTOP20のSUV編において、「VOLVO XC40」は堂々のランキング1位を獲得している(甲8)。 ウ 輸入車販売台数ランキングTOP10 2020年度に売れた輸入車は?において、「VOLVO 60シリーズ」は前年度8位からランクアップされ、5位にランキングしている(甲9)。 エ 外車メーカーランキング!おすすめ輸入車メーカーとは?において、6位にランキングしている(甲10)。 (3)「VOLVO」の受賞歴 ボルボ社の製造する自動車は、華々しい受賞歴を誇っている。 ア 「VOLVO XC40」「VOLVO XC60」「VOLVO XC90」は、「日本カー・オブ・ザ・イヤー」、「グッドデザイン賞」等様々な賞の受賞歴があり、XC90は国内外で100を超える賞を受賞している(甲11〜甲13)。 イ まとめ このように、ボルボ社が製造する自動車は、毎年数多くの賞を受賞し続けており、これらの受賞歴からも、「VOLVO」が広く知られる存在であることは疑う余地なく明らかである。 (4)ボルボ社の販売台数 ボルボ社の自動車の世界販売台数は、6年連続で過去最高記録を更新し続けており、2018年と2019年を比較するだけでも、前年比を大きく上回る台数が売り上げられたことが分かる(甲14)。 (5)上記(1)ないし(4)を考慮すると、ボルボ社及び申立人のハウスマークである「VOLVO」は創業時から現在まで、長きにわたって使用され、近年になっても販売台数は各国で過去最高記録を更新し続けているという事実や、様々な賞を世界中で受賞している事実、人気ランキングのトップを独走している事実から、「VOLVO」は人気が全く衰えないブランドとして、日本及び世界中で揺るぎない知名度を誇っていることは明らかである。 さらに、申立人が申立てを行った、異議2004−90746では、「VOLVO」の著名性を認めたうえで異議申立ての対象商標が商標法第4条第1項第15号に違反すると認定された。 (6)小括 これらの事実を総合すると、引用商標は、我が国及び世界中で著名性を獲得しており、本件商標の登録出願時である令和3年3月11日当時に、引用商標が著名であったことは疑う余地がない。 2 本件商標と引用商標の類似性 (1)本件商標について 本件商標は、欧文字「VOLTA ZERO」から構成されるが、構成文字の「ZERO」は、型番、品番等に使用され、識別力を備えない数字「0」の欧文字表記であることは容易に認識されるものであり、それが故に、「ZERO」部分は、識別力が弱いと認識される。 なお、商願2008−018699「ZERO/ゼロ」及び商願2010−17424「ZERO」に対しては、商標法第3条各号該当性を根拠とする拒絶理由通知書が発せられ、その後、拒絶査定が確定している。 一方、「VOLTA」部分は、辞書等に掲載される成語ではなく、特段の意味を看取させない造語であることから、強い識別力を備えているといえる。 したがって、本件商標は「VOLTA」部分が商標全体において強く支配的な印象を与えるものであり、要部として認識されることが相当であるから、本件商標は、要部の構成文字に即して「ボルタ」と称呼されることが自然である。 (2)引用商標について 引用商標は、欧文字「VOLVO」から構成され、構成文字に即して「ボルボ」と称呼されることが自然である。 (3)本件商標と引用商標の比較 本件商標の要部「VOLTA」(称呼:ボルタ)と引用商標「VOLVO」(称呼:ボルボ)は、何れも5文字から構成され、5文字のうち、頭3文字「VOL」の配列が一致している。したがって、両商標は、全体的な外観において共通する文字の割合が高いものであり、時と処を異にして本件商標と引用商標を比較観察した場合、商品に接する取引者及び需要者は、両商標が紛らわしいゆえに混同し、同一視するおそれがあるといえる。よって、両商標の外観は相紛らわしいものとなる。 また、両商標の称呼は、何れも3音から構成され、語尾の音が「夕」又は「ボ」であるかの違いはあるものの、第一音及び第二音の「ボル」の音を共通とするものであり、3音中2音が一致する。したがって、両商標は、称呼全体において共通する音の割合が高いものであり、語調語感が相紛らわしいものとなる。 したがって、本件商標と引用商標は、外観及び称呼において類似性の程度が極めて高い関係である。 (4)指定商品役務の類似関係について ア 本件商標の第12類及び第27類の商品と、引用商標1の第12類の商品及び引用商標2の第12類の商品は、類似関係にある。 イ 本件商標の第35類の役務と、引用商標3の第35類及び第39類の役務は、類似関係にある。 したがって、本件商標と引用商標は、商品役務において類似関係にあることが明らかである。 (5)小括 以上より、本件商標と引用商標は、商標において極めて類似性の程度が高く、指定商品役務においても類似関係にあることは明らかである。 3 商標法第4条第1項第10号の該当性 (1)引用商標が広く認識されていること 上記1のとおり、引用商標は、ボルボ社及び申立人のハウスマークとして我が国を含む世界中において著名性を獲得している。 よって、引用商標は広く認識されているといえる。 (2)本件商標と引用商標の類似性 上記2(3)のとおり、本件商標と引用商標の類似性の程度が極めて高いことは明らかである。 また、本件商標と引用商標の指定商品役務は、類似関係にある。 (3)小括 以上より、本件商標は、ボルボ社及び申立人のハウスマークとして広く認識されている引用商標と類似性の程度が極めて高く、本件商標と引用商標の指定商品は類似関係にあることは明らかである。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。 4 商標法第4条第1項第11号の該当性 引用商標は、本件商標の登録出願日前の商標登録出願に係る登録商標であり、上記2(3)のとおり、本件商標と引用商標の類似性の程度は極めて高い。 また、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品役務とは類似関係にある。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 5 商標法第4条第1項第15号の該当性 (1)「混同を生ずるおそれ」について 商標法第4条第1項第15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」は、最高裁平成10年(行ヒ)第85号同12年7月11日第三小法廷判決のとおり、総合的に判断されるべきものである。 (2)本件商標と引用商標の類似性の程度 上記2(3)のとおり、本件商標と引用商標の類似性の程度は極めて高い。 (3)引用商標の周知性の程度 上記1のとおり、引用商標が、ボルボ社及び申立人のハウスマークとして我が国を含む世界中において著名性を獲得している事実は、明らかである。 (4)商品の関連性の程度 上記2(4)のとおり、本件商標の指定商品役務と引用商標の指定商品役務が類似関係にあることは、明らかである。 したがって、本件商標に係る指定商品役務と、引用商標に係る指定商品役務とは、高い関連性を有している。 (5)小括 以上より、本件商標は、ボルボ社及び申立人のハウスマークとして広く認識されている引用商標と類似性の程度が極めて高く、本件商標と引用商標の指定商品は類似関係にあることは明らかである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 6 商標法第4条第1項第19号の該当性 (1)引用商標が広く認識されていること 上記1のとおり、引用商標がボルボ社及び申立人のハウスマークとして、我が国を含む世界中において広く認識されていることは明らかである。 (2)商標の類似性 上記2(3)のとおり、本件商標と引用商標の類似性の程度は極めて高いことは明らかである。 (3)不正の目的について 上記1のとおり、引用商標は、我が国のみならず、世界において著名性を獲得しているので、本件商標の権利者(以下「本件商標権者」という。)も引用商標を当然に認識していたことが自然である。 それにも関わらず、引用商標の指定商品役務と類似する商品役務に対して、引用商標と類似性の程度が極めて高い本件商標を偶然選択したとは考え難く、本件商標権者が、引用商標が有する信用力、顧客吸引力にフリーライドする意図をもって「VOLTA」をあえて選択し、使用していることは明らかである。 よって、本件商標の使用に不正の目的があることは明らかである。 (4)小括 以上より、本件商標は、我が国及び世界において著名性を備えた引用商標と類似性の程度が極めて高い関係にあり、不正の目的をもって使用されたことは明らかである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。 7 商標法第4条第1項第7号の該当性 本件商標は、我が国を含む世界中において著名性を備えた引用商標と類似性の程度が極めて高い関係にある。 また、本件商標が、引用商標の著名性にフリーライドする意図をもって登録出願されていることは明らかであるため、本件商標が不正の目的をもって登録出願されたものである。 よって、本件商標の登録出願の経緯は社会的相当性を欠くものであり、このような登録出願を認めることは、公正な市場の秩序を乱すことに他ならない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。 8 結語 以上の理由により、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当する。 第4 当審の判断 1 引用商標及び「VOLVO」の文字の周知著名性について 申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、引用商標及び「VOLVO」の文字は、申立人の母体であるボルボ社が、1927年の会社創設以来、現在に至るまで、車輌、船舶、その他運搬用機械器具に使用している商標であり、ボルボ社及び申立人のハウスマークとして使用しているところ、自動車の分野においては、輸入車や外車ランキングにおいて、「VOLVO」が常に上位を占める人気ブランドであること(甲7〜甲10)、ボルボ社の製造する自動車は、様々な受賞歴を有していること(甲11〜甲13)、ボルボ社の自動車の世界販売台数は、6年連続で過去最高記録を更新し続けており、2018年と2019年を比較するだけでも、前年比を大きく上回る台数が売り上げられたこと(甲14)、が確認できる。 そうすると、引用商標及び「VOLVO」の文字は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、ボルボ社が製造、販売する自動車のブランド名を表示するものとして、我が国及び外国の需要者の間において、広く知られているといい得るものである。 2 本件商標と引用商標の類似性について (1)本件商標について 本件商標は、上記第1のとおり、「VOLTA ZERO」の欧文字を横書きしてなるものであり、同じ書体、同じ大きさで横一列にまとまりよく表されており、「VOLTA」と「ZERO」間に半文字程度のスペースを有するとしても、外観上一体的に看取されるものである。また、本件商標の構成全体から生じる「ボルタゼロ」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。そして、たとえ「ZERO」の文字が、「(数の)零」(広辞苑第七版)を意味する語であるとしても、本件商標のかかる構成及び称呼においては、その構成全体をもって一体のものとして把握されるとみるのが相当である。 また、本件商標の構成中「VOLTA」の文字のみが取引者、需要者に対し、商品及び役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものというべき事情は見いだせず、さらに、それ以外の文字部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないというべき事情も見いだせない。 そうすると、本件商標はその構成が一体不可分のものであるといえるから、「ボルタゼロ」のみの称呼を生じ、「VOLTA ZERO」の文字は、辞書等に載録されている成語ではなく、ただちに何らかの意味合いを理解させるものでもないから、特定の観念を生じないものである。 (2)引用商標について 引用商標1は、上記第2の1のとおり、「VOLVO」の欧文字を横書きしてなるものであり、引用商標2及び3は、上記第2の2及び3のとおり、「VOLVO」の文字を標準文字で表してなるものであるから、これらの構成文字に相応して、「ボルボ」の称呼を生じるものである。 また、「VOLVO」の文字は、上記1のとおり、我が国及び外国の需要者の間において広く知られているものであるから、ボルボ社が製造、販売する自動車のブランド名を表示するものと認識されるものである。 よって、引用商標は、「ボルボ」の称呼を生じるものであり、「ボルボ社が製造、販売する自動車のブランド名」の観念を生じるものである。 (3)本件商標と引用商標の類否について ア 外観について 本件商標は、「VOLTA ZERO」の欧文字を普通に横書きしてなり、他方、引用商標1は、「VOLVO」の欧文字を横書きしてなり、引用商標2及び3は、「VOLVO」の文字を標準文字で表してなるところ、本件商標と引用商標とは、構成文字数が相違し、「VOL」に続く「TA」及び「VO」の文字の相違及び「ZERO」の文字の有無において相違するものであるから、両者の外観は、明らかに相違するものである。 また、時と処を異にして離隔的に観察した場合においても、外観上、相紛れることのない、別異のものとして認識し、把握されるというべきである。 イ 称呼について 本件商標から生じる「ボルタゼロ」の称呼と引用商標から生じる「ボルボ」の称呼とは、音数が明らかに相違する上に、本件商標は5音、引用商標は3音と短い音の構成において、後半の「タゼロ」と「ボ」の相違が称呼全体に及ぼす影響は大きいものであるから、これらの語調語感は相違したものとなり、互いに紛れるおそれはない。 ウ 観念について 本件商標は、特定の観念を生じないものであり、引用商標は、「ボルボ社が製造・販売する自動車のブランド名」の観念が生じるものであるから、本件商標と引用商標とは、観念において相紛れるおそれはない。 エ 小括 以上から、本件商標と引用商標とは、外観及び称呼において相違し、観念において相紛れるおそれはないものであるから、これらを総合して判断すれば、両商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標である。 その他、本件商標と引用商標とが類似するというべき特段の事情は見いだせない。 したがって、本件商標と引用商標とは非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。 3 商標法第4条第1項第11号について 上記2(3)のとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから、本件商標の指定商品及び指定役務と引用商標の指定商品及び指定役務が類似するとしても、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。 4 商標法第4条第1項第10号及び同項第15号該当性について 上記1のとおり、引用商標及び「VOLVO」の文字は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、ボルボ社が製造、販売する自動車のブランド名を表示するものとして、我が国の需要者の間において、広く知られているといい得るものであるとしても、上記2(3)のとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であり、別異の商標というべきものである。そうであれば、本件商標をその指定商品及び指定役務に使用しても、需要者において、ボルボ社及び申立人並びにボルボ社の取り扱う商品及び役務を連想、想起するということはできず、よって、その商品及び役務がボルボ社及び申立人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品及び役務であるかのように、商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれがある商標とはいえない。 したがって、本件商標は、その指定商品及び指定役務が申立人の業務に係る商品及び役務と同一又は類似であるとしても、商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に該当しない。 5 商標法第4条第1項第19号及び同項第7号該当性について 上記1のとおり、引用商標及び「VOLVO」の文字は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、ボルボ社が製造、販売する自動車のブランド名を表示するものとして、我が国及び外国の需要者の間において、広く知られているといい得るものであるとしても、上記2(3)のとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であるから、本件商標をその指定商品及び指定役務に使用しても、需要者において、ボルボ社及び申立人並びにボルボ社の取り扱う商品及び役務を連想、想起するということはできないものである。 そうすると、本件商標は、引用商標及び「VOLVO」の文字の知名度や名声にただ乗りするなど不正の目的をもって使用をするものと認めることはできない。 また、本件商標が、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標というべき事情は見いだせず、その登録出願の経緯に社会的相当性を欠くなど、公序良俗に反するものというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号及び同項第7号のいずれにも該当するものではない。 6 まとめ 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に違反してされたものではなく、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 本件商標の指定商品及び指定役務 第12類「自動車及びその部品・構成部品・附属品(ただしタイヤを除く。),電動式乗物及びその部品・構成部品・附属品(ただしタイヤを除く。),無人の自動車及びそれらの部品・構成部品・附属品(ただしタイヤを除く。),自律走行式自動車及びそれらの部品・構成部品・附属品(ただしタイヤを除く。),自律走行式車両及びその部品・構成部品・附属品(ただしタイヤを除く。),ハイブリッド車及びその部品・構成部品・附属品(ただしタイヤを除く。),コネクティッド車及びその部品・構成部品・附属品(ただしタイヤを除く。),リモートコントロール車(おもちゃを除く。)及びその部品・構成部品・附属品(ただしタイヤを除く。),電動式の陸上の乗物及びその部品・構成部品・附属品(ただしタイヤを除く。),電動式輸送車両及びその部品・構成部品・附属品(ただしタイヤを除く。),電動式バス・トラック・貨物自動車・自動車(バンタイプ)・重量物運搬車・運搬車及びその部品・構成部品・附属品(ただしタイヤを除く。),電気トラック及びその部品・構成部品・附属品(ただしタイヤを除く。),電動式貨物自動車及びその部品・構成部品・附属品(ただしタイヤを除く。),電気輸送車及びその部品・構成部品・附属品(ただしタイヤを除く。),電気トレーラー及びその部品・構成部品・附属品(ただしタイヤを除く。),乗物用電気駆動装置及びその部品・構成部品・附属品,電動式乗物用電気モーター及びその部品・構成部品・附属品,電動式乗物用パワートレイン・ドライブトレイン及びそれらの部品・構成部品・附属品,電動式乗物用トランスミッション及びその部品・構成部品・附属品,電動式乗物用シャシー及びその部品・構成部品・附属品,乗物用警音器及びその部品・構成部品・附属品,乗物用盗難防止装置・保安装置・安全装置及びそれらの部品・構成部品・附属品,乗物の座席用ヘッドレスト及びその部品・構成部品・附属品,乗物用ヘッドレストカバー及びその部品・構成部品・附属品,自動車用シートカバー及びその部品・構成部品・附属品,乗物用のハンドルカバー及びその部品・構成部品・附属品,乗物用ハンドル及びその部品・構成部品・附属品,自動車用ホイールリム及びその部品・構成部品・附属品,スペアホイール及びその部品・構成部品・附属品,乗物用ハブキャップ及びその部品・構成部品・附属品,自動車用ホイールセンターキャップ及びその部品・構成部品・附属品,乗物用座席及びその部品・構成部品・附属品,乗物用安全座席及びその部品・構成部品・附属品,乗物用安全ベルト及びその部品・構成部品・附属品,乗物用エアバッグ及びその部品・構成部品・附属品,乗物用ラジエーターグリル及びその部品・構成部品・附属品,車体用トリムパネル及びその部品・構成部品・附属品,乗物用扉及びその部品・構成部品・附属品,乗物用窓ガラス及びその部品・構成部品・附属品,乗物用風防ガラス及びその部品・構成部品・附属品,乗物用・風防ガラス用窓ガラス(完成品)及びその部品・構成部品・附属品,自動車用バンパー及びその部品・構成部品・附属品,陸上の乗物用の機械要素,陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。)」 第27類「成形した乗物用マット及びその部品・構成部品・附属品」 第35類「乗物の使用サービスへの加入契約の取次ぎ,乗物の使用に関する請求事務の代行,電動式乗物の販売・充電・充電ポイント・充電ステーションに関する事業の管理,乗物及び乗物の使用に関する事業の管理・助言・運営,乗物のフリートの事業管理,ウェブサイトを介して行う乗物及び乗物の使用に関する事業情報の提供,乗物及び乗物の使用の取次ぎに関する価格比較の調査・情報の提供,乗物及び乗物の使用に関する顧客優待計画の管理・企画,乗物及び乗物の使用に関する広告及びマーケティング,乗物及び乗物の使用に関するサブスクリプションサービスに関する、消費者のための役務の選択における情報の提供,電動式乗物に関する経営の診断又は経営に関する助言,電動式乗物に関する市場調査又は分析,電動式乗物に関する商品の販売に関する情報の提供,電動式乗物に関する広告業,電動式乗物に関するマーケティング,乗物のリース事業及びこれに関する情報の提供・指導・助言」 第39類「輸送及びこれに関する情報の提供・指導・助言,乗物の貸与及びこれに関する情報の提供・指導・助言,故障した乗物の牽引並びにこれに関する情報の提供・指導・助言,乗物の保管及びこれに関する情報の提供・指導・助言,乗物の回収及び配送並びにこれに関する情報の提供・指導・助言,乗物の貸与の予約及びこれに関する情報の提供・指導・助言,旅行の予約及びこれに関する情報の提供・指導・助言,乗物の追跡及びこれに関する情報の提供・指導・助言,カーシェアリング用自動車の貸与及びこれに関する情報の提供・指導・助言,乗物の一時的使用の手配及びこれに関する情報の提供・指導・助言,道路情報の提供及びこれに関する指導・助言,駐車場の貸与に関する情報の提供及びこれに関する指導・助言,駐車場の貸与及びこれ関する指導及び助言,輸送及び旅行に関する情報の提供並びにこれに関する指導・助言」 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。 |
異議決定日 | 2023-03-02 |
出願番号 | 2021029058 |
審決分類 |
T
1
651・
22-
Y
(W12273539)
|
最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
岩崎 安子 |
特許庁審判官 |
茂木 祐輔 大森 友子 |
登録日 | 2022-03-29 |
登録番号 | 6536125 |
権利者 | ボルタ・トラックス・リミテッド |
商標の称呼 | ボルタゼロ、ボルタ、ゼロ |
代理人 | 川本 真由美 |
代理人 | 山尾 憲人 |
代理人 | 右馬埜 大地 |
代理人 | 両部 奈穂子 |
代理人 | 稲葉 良幸 |
代理人 | 石田 昌彦 |
代理人 | 田中 克郎 |