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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W30
管理番号 1395344 
総通号数 15 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2023-03-31 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2021-11-01 
確定日 2023-02-09 
事件の表示 上記当事者間の登録第5496661号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5496661号商標の指定商品中、第30類「大福」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5496661号商標(以下「本件商標」という。)は、「弁財天」の文字を標準文字で書してなり、平成24年1月10日に登録出願、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、同年5月25日に設定登録、令和3年12月3日に存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判請求の登録日は、令和3年11月18日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の期間(平成30年11月18日〜令和3年11月17日)を以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中、第30類「大福」(以下「取消請求商品」という。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)「株式会社さいわい」なる法人が本件商標の通常使用権者であることの立証は何らなされていないが、この点をおくとしても、本件審判の請求は成り立たないとする被請求人の主張は失当であることから、以下にその理由を詳述する。
まず、取消請求商品は「菓子及びパン」や「米菓」ではなく、「大福」であり、商標法第50条2項では、「前項の審判の請求があった場合においては、その審判の請求の登録前三年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れない。ただし、その指定商品又は指定役務についてその登録商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを被請求人が明らかにしたときは、この限りでない。」と規定されている。すなわち、商標法第50条第1項の取消審判は、指定商品の一部について請求することも認められており、同審判を請求された商標権者は、その審判請求の対象となった指定商品(本件審判での「大福」)についての商標登録の取消しを免れるためには、当該商標登録に係る指定商品の使用ではなく、その審判請求に係る指定商品(取消請求商品)の使用を証明する必要があることは条文上も明らかである。
(2)被請求人は、前述の「その請求に係る第30類の指定商品「菓子及びパン」の範ちゅうに係る「米菓」について本件商標を使用している」との主張に加え、商品「大福」は、第30類「菓子及びパン」の範ちゅうに属するものであり、30A01に整理されていること、及び、商品「もち」は、第30類の商品「穀物の加工品」(32F03)に属する商品であり、「もち菓子」は、「和菓子」(30A01)の範ちゅうに属すると述べるとともに、さらに、「もち」と「和菓子」は備考類似の関係にもないことから、「大福」の概念に含まれる商品「菓子及びパン」中、「米菓」について使用を証明すれば、指定商品「菓子及びパン」について、取消請求を免れることになる旨を主張している。
このような状況において、取消請求商品は、審判請求書からも明らかなように、「菓子及びパン」ではなく「大福」である。
そして、被請求人は、「もち」、「大福」、「もち菓子」、「和菓子」、「米菓」、「菓子」の関係について種々述べているものの、「菓子及びパン」が「大福」の概念に含まれるといったことはないばかりか、取消請求商品「大福」と被請求人が本件商標の使用を主張する「米菓」とは同一の商品ではない。
したがって、いずれにしても、「その請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れない。」とする法第50条2項からも明らかなとおり、本件審判においては、取消請求商品「大福」についての本件商標の使用の証明の可否のみに基づいて判断すべきといえる。
(3)被請求人は、自社のホームページ上や、「幸煎餅ネット本店」等において、商品を識別する標識として、「弁財天」の表示を、商品「七福神あられ」との関係で継続的に使用していると述べた上で、その使用の証拠として乙第1号証ないし乙第15号証を提出している。
この点、乙第2号証、乙第3号証の2、乙第5号証、乙第6号証の2、乙第7号証、乙第8号証の2、乙第9号証では、「七福神あられ 弁財天」なる商品が「在庫切れ」、「売り切れ」と表示されていることから、これらが実際に商取引の目的をもってホームページ等に掲載されていたか疑問ではあるが、仮に商取引がなされていたといった事実があったとしても、「あられ」との関係で標章「弁財天」が付されていたにすぎず、「あられ」が「米菓」の一種であると否とにかかわらず、取消請求商品「大福」ではない。
また、乙第11号証及び乙第12号証に関しても、被請求人の主張するとおり、これらは「あられ」の商品パッケージであることから、同様に、「大福」について本件商標の使用を立証する証拠たり得ない。
したがって、答弁書における被請求人の主張及び乙第1号証ないし乙第15号証からは、要証期間に、本件商標が、取消請求商品「大福」について使用がなされたとの証明は何ら立証されていない。
(4)むすび
以上詳述したとおり、取消請求商品は「大福」であり、被請求人は、本件商標を、「大福」について使用していることを証明する必要があるところ、要証期間に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者による、取消請求商品との関係での本件商標の使用は何ら具体的に立証されておらず、要証期間に、本件商標をその指定商品「菓子及びパン」に含まれる「米菓」に関する広告について使用する行為をなしているとし、本件審判の請求は成り立たないとする被請求人の主張は、商標法第50条2項を誤って解釈したものといわざるを得ない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第15号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 答弁書における主張
(1)答弁の概要
被請求人は、商品「米菓」について、「株式会社幸煎餅」及び通常使用権者「株式会社さいわい」によって、要証期間に、我が国において、第30類「菓子及びパン」の範ちゅうに係る「米菓」について本件商標を使用している。
(2)商標の使用者
本件商標の使用者である株式会社さいわい(本社所在地:群馬県佐波郡玉村町大字上之手1549番1)は、被請求人(株式会社幸煎餅)の関係会社であり、被請求人は、株式会社さいわいに対し、本件商標の使用を含む全商標権の使用を黙示で許可し、使用を継続させている。
株式会社さいわいは、被請求人の関係会社であって、被請求人の工場に当たる会社であり,この会社は、被請求人の製造部門を担っている関係会社で100%被請求人のための仕事をしており、製品も全て被請求人(株式会社幸煎餅)に納品している。
なお、商標権者「株式会社幸煎餅」と、通常使用権者「株式会社さいわい」とは、代表取締役・取締役等が同じ株式会社法人である。
(3)商標の使用
被請求人は、本件商標を2015年10月15日頃には、被請求人のホームページに、「七福神あられ パック型」の商品を「AK−4 七福神あられ 弁財天」として掲載し、これ以降、更新を反復継続し、そのホームページ上において、本件商標を、被請求人の販売する指定商品である米菓の商品識別標識として使用してきた(乙1〜乙15)。「弁財天」の態様に少々の変化はあるが、使用に係る「弁財天」は、本件商標と社会通念上同一である。
また、被請求人のホームページにおいて、「弁財天」の表示を使用することは、商品を表示するために登録商標を使用する行為である(商標法第2条第3項)。
(4)商品「七福神あられ」と商品「弁財天」について
一般的に、企業は、代表的出所標識(ハウスマーク)といわれる商標とその取扱いに係る個々の商品に付される個別商標(ペットマーク)といわれる商標を採択、使用している。
被請求人の本件商標「弁財天」は、代表的出所標識である周知な商標「七福神あられ」と、その取扱いに係るハウスマークを冠するペットマークとの関係にあるが、「七福神あられ」を商品の中心商標として商品展開を開始していることから、商品は、「AK−4(品番)七福神あられ 弁財天(商品名)」のように商品名を展開しているものもある。
商品の内容物は、商標「七福神あられ」の商標中の商品名「あられ」を含んでいるために、後述のとおり、全て米菓(煎餅・あられ)である。
(5)「幸煎餅ネット本店」における本件商標の使用
本件商標を指定商品に係る「米菓」の数々の商品に使用していた証拠は、被請求人が行っているインターネット販売、すなわち「幸煎餅ネット本店」が、インターネットアーカイブ「http://web.archive.org/」に逐次保管され、これらが常時掲載されている。
ア 乙第1号証は、代理人が2020年9月8日にパソコンより打ち出した結果シートであり、シートの下に日付の表示がある。下部に「HS−4 ハートと七福神 弁財天」、「税込500円」の表示がある。左側下の「Calender」には、2020年9月(黒字)8日(ブルー字)の打出日が一致している。
イ 乙第2号証も同様のシートであるが、打出日が、1日後の2020年9月9日の印字があり、パソコンより打ち出した本件商標「弁財天」の使用をしている結果シートの左側下の「Calender」には、2020年9月(黒字)9日(ブルー字)と打出日が同日である。内容は、商品「HS−8 弁財天」が、手で持ちやすいようにバック状になっている(乙13)。
商品の紙製バック袋上に、「弁財天○R」(審決注:「○R」は、「R」を丸囲みしたもの。以下同様。)の表示があり、「価格500円」、「七福神あられ 7種×2枚 おいしいハート 6種×2枚」と表示され、商品は、「米菓」が入っている。商品の説明として、「七福神あられ」名称/米菓 原材料名/米(国産)・・・以下略。おいしいハート「名称/米菓」の記載がある。
パソコンより打ち出したシートの2葉目には、関連商品「HS−4 ハートと七福神 弁財天」と記載され、バック状の紙製袋の商品であり、「500(税込) 購入数 0個」の表示がある。おいしいハートは、ハート状の米菓(おせんべい)である。
ウ 乙第3号証の1は、ウェブページのアーカイブによる「幸煎餅ネット本店」のトップページである。シートの左側下の「Calender」には、2020年9月(黒字)29日(ブルー字)と表示がある。
エ 乙第3号証の2は、ウェブページのアーカイブによる「幸煎餅ネット本店」の「七福神」のページである。シートの左側下の「Calender」には、2020年9月(黒字)29日(ブルー字)と同日の日付が表示されている。商品「HS−8 弁財天」が手で持ちやすいようにバック状になっており、その上に「七福神」の表示がある。また、商品「HS−8 弁財天」の下に、「価格500円」の表示がある。
オ 乙第4号証は、ウェブページのアーカイブによる「幸煎餅ネット本店」のトップページである。シートの左側下の「Calender」には、2020年10月(黒字)5日(ブルー字)と表示されている。「世界モンドセレクション」、「12年連続」、「最高金賞受賞」等の表示がある。これは、その年に認定された商品「七福神あられ」、「AC−1」の品質についての賞である。12年連続受賞が、2020年に該当し、カレンダーと照合可能である。
カ 乙第5号証は、ウェブページのアーカイブによる「幸煎餅ネット本店」の「七福神」のページである。シートの左側下の「Calender」には、2020年10月(黒字)8日(ブルー字)と日付表示されている。「商品一覧」中、商品「HS−8 弁財天」が手で持ちやすいようにバック状になっており、「弁財天」の表示、「価格500円」の表示がある。商品一覧の三段目に、「HS−4 ハートと七福神 弁財天」バック状の商品「500円(税込)」の表示がある。
キ 乙第6号証の1は、ウェブページのアーカイブによる「幸煎餅ネット本店」のトップページである。シートの左側下の「Calender」には、2020年11月(黒字)24日(ブルー字)と表示されている。シートの左側「Calender」の直上の「七福神」の文字をクリックすると、「七福神」のページとなる。「七福神○R」の特大文字表示と船に乗った七福神の図(登録商標)のページとなる。
ク 乙第6号証の2の左下の「Calender」には、2020年11月(黒字)24日(ブル一字)と表示されている。商品一覧には、商品「HS−8 弁財天」が手で持ちやすいようにバック状になっており、「弁財天」、「価格500円(税込)」の表示がある。商品一覧の三段目に「HS−4 ハートと七福神 弁財天」バック状の商品「500円」の表示がある。商品一覧中の「HS−4 ハートと七福神 弁財天」の「弁財天」のバック状の図柄をクリックすると、「ハートと七福神○R」のページとなる。
ケ 乙第6号証の3は、「HS−4 ハートと七福神 弁財天」バック状の商品の紹介である。
シートの左側下の「Calender」には、2020年11月(黒字)25日(ブルー字)と表示されている。手持ちバック型図柄の上に大きな文字で「弁財天」の表示と、「愛情の(小文字)/弁財天(際だった大きな文字)」の表示がある。バック中の商品は、七福神あられの7種類のあられの図、6種類のハート型「ひとくちサイズのおせんべい」の表示がある。また、関連商品として、商品「HS−8弁財天」、「500円(税込)」とバック状の図柄の表示がある。商品一覧中の、商品「HS−8 弁財天」の「弁財天」のバック状の図柄をクリックすると商品「HS−8 弁財天」、「弁財天」及びバック状の図柄「弁財天○R」、「価格500円(税込)」の表示がある。
コ 乙第7号証は、商品「HS−8 弁財天」、「弁財天」及びバック状の図柄「弁財天○R」、「価格500円(税込)」、「ポイント還元5ポイント〜」の表示がある。商品「HS−8 弁財天」が、手で持ちやすいようにバック状になっており、その上に「弁財天○R」の白抜きの大きな表示がある。「価格500円」、「七福神あられ 7種×2枚 おいしいハート 6種×2枚」と表示され、商品として、「あられ」、「1ロサイズのおせんべい」が入っている。商品の説明として、「七福神あられ」 名称/米菓 原材料名/米(国産)・・・(以下略。)。シートの左側「Calender」には、2020年11月(黒字)25日(ブルー字)と表示されている。関連商品として、「HS−4 ハートと七福神 弁財天」の「弁財天」のバック状の図柄、「500円(税込)」、「購入数 個」の表示がある。
サ 乙第8号証の1は、乙第4号証と同様である。ウェブページのアーカイブによる「幸煎餅ネット本店」のトップページである。シートの左側下の「Calender」には、2021年1月(黒字)13日(ブルー字)と表示されている。「世界モンドセレクション」、「12年連続」、「最高金賞受賞」の表示がある。2021年1月の13回連続はいまだ受賞していないため、12年連続と「Calender」を証明するためのものである。
シ 乙第8号証の2は、ウェブページのアーカイブによる「幸煎餅ネット本店」の(乙8の1)の「七福神」の文字をクリックした「七福神」のページである。
シートの左下の「Calender」には、トップページと同じ2021年1月(黒字)13日(ブル一字)の日付表示がある。商品一覧内は、商品「HS−8 弁財天」が手で持ちやすいようにバック状になっており、「弁財天」、「価格500円」の表示がある。商品一覧の三段目に、「HS−4 ハートと七福神 弁財天」がバック状の商品であり、「500円」の表示がある。
ス 乙第9号証は、ウェブページのアーカイブによる「幸煎餅ネット本店」の「七福神」のページである。商品「HS−8 弁財天」について、「弁財天」、バック状の図柄、「価格500円(税込)」、「ポイント還元5ポイント〜」と表示されている。商品「HS−8 弁財天」が手で持ちやすいようにバック状になっており、「弁財天」の表示がある。「価格500円」、「七福神あられ 7種×2枚・計14枚、 おいしいハート 6種×2枚・計12枚」と表示され、商品として「あられ」が入っている。商品の説明として、「七福神あられ」 名称/米菓 原材料名/米(国産)・・・と記載されている。シートの左側下の「Calender」には、2021年4月(黒字)24日(ブルー字)と日付表示されている。関連商品として、「HS−4 ハートと七福神 弁財天」の「弁財天」のバック状の図柄、「500円(税込)」の表示がある。
セ 乙第10号証は、「幸煎餅ネット本店」のパソコン画面の打出しである。(株)幸煎餅製造部製造課 T氏が2021年9月6日に打ち出したものである。商品AG−8「七福神あられ[バター味][24枚入り]」、「410円(税込)」、「ポイント還元4ポイント〜」、「コクのある「バター味」 弁財天」の表示及びスタンドパックの包装用袋には、不鮮明ながら「愛情の/弁財天」とある。シートの左側下の「Calender」には、2021年9月(黒字)6日(ブルー字)と表示され、作成者の作成日と一致している。さらにパソコン画面右下部には、「14:13 2021/09/06」の表示があり、日付が作成日カレンダーの日付と一致している。
ソ 乙第11号証は、被請求人より代理人に贈られた弁財天のバック袋である。実物大の紙製バックの写しには、表面「弁財天○R」、「幸煎餅」の表示がある。底の部分には、「幸煎餅 賞味期限20.9.20 https://www.7292.com/」のシールが貼付され、その他の商品情報がある。
タ 乙第12号証は、上記乙号証の現物の写しであり、現在も使用されているバック袋の写しである。実物大のバックコピーには、表面に、「ハートと七福神○R」、「愛情の(小さい文字)/弁財天(3倍程度大きい際だった文字)」、「幸煎餅」等の表示がある。底の部分には、「品名 ハートと七福神○R 弁財天」の表示及びその他の商品情報がある。
チ 乙第13号証は、乙第12号証の現物の紙製「バック袋」であり、組み立てると手持ちできる箱になる。
ツ 乙第14号証はウェブページのアーカイブによる「幸煎餅ネット本店」の保存状況表を、2018年と2020年について、画面印刷したものである。2020年10月6日(当審注:「5日」の誤記と認める。)は、「ブルーの円の中に6(当審注:「5」の誤記と認める。)」の数字がある。この数字をクリックすると、この日付の「幸煎餅ネット本店」情報を見ることができる。なお、2009年より2022年1月3日の間に、「幸煎餅ネット本店」のストック情報が53回ある。
テ 乙第15号証は、2022年1月7日の「トップページ」の次にある「七福神」のページである。商品一覧があり、商品「HS−8 弁財天/500円(税込)」、「HS−4 ハートと七福神 弁」(財天・・次ページのため表示無し)のように、継続して「弁財天」を使用しており、広告、販売している。
(6)「幸煎餅ネット本店」における商標の使用
被請求人のホームページ「せんべい造り百年幸煎餅https://www.7292.com/」上、又は、ホームページのトップページの「幸煎餅ネット本店」をクリックすると、「幸煎餅ネット本店」が開く。
「ネット本店」ページの左側には、「商品一覧」があり、「七福神あられ」とその図形商標が表示される。(商品一覧の基本のレイアウトには、2017年より現在までほとんど変更がない。)
この商品一覧の次に、「営業日カレンダー」があり、クリックした際に、打出日(今日)の日付が表示される。
下部の「七福神」の文字列をマウスでクリックすると、「七福神」の文字と、船上の七福神図柄(登録商標の図柄)がアップする。船上の七福神図柄(登録商標の図柄)のページにある商品「HS−8 弁財天」、商品「HS−4 ハートと七福神 弁財天」の図柄をそれぞれクリックすると、商品がそれぞれクローズアップされ、「七福神」関係の米菓、形状の異なる「おいしいハート」(ハート型の米菓)が紹介され、次に「その他商品」が、「七福神」として、区分されている。
(7)本件商標の使用証明に使用するウェブページのアーカイブ情報について
使用証明の説明中のウェブページのアーカイブは、バックデータの集積が2001年より開始され30年間情報を保管し続け、「幸煎餅ネット本店」については、2009年より2022年1月3日までにアドレス「https://www.7292shop.jp/」を入力すると今までに「53回」保存され、ストックされている情報が常時閲覧可能である(乙14)。
(8)使用に係る商標及び商品
ア 被請求人は、菓子の製造販売を目的として、代表取締役であるH氏によって設立された有限会社幸煎餅であり、その後昭和60年に組織変更され株式会社幸煎餅になった。
本件商標の指定商品中、「米菓」は、登録商標「七福神あられ」を冠する全ての商品に使用されている。登録商標「七福神あられ」は、周知商標として、10年以上前に認定され、今なお広告宣伝に努め存在し続けている。
イ 被請求人は、被請求人のホームページを作成してから、更新を反復継続し、そのホームページ上において、インターネット通販による販売を、「幸煎餅ネット本店」、「Yahoo Japan 幸煎餅ヤフー店」及び「楽天 幸煎餅楽天市場店」の3店を開設し、被請求人の販売する指定商品中「菓子」のネット販売窓口として使用している。
商品「米菓」については、被請求人の周知商標「七福神あられ」を冠し、個別にペットネームを付けて、様々な商標、商品米菓を考案し、創業以来、長年販売し続けている。その七福神の1柱の神が、「弁財天」である。
「弁財天」の商標は、従来「七福神あられ」の中のバター味に使用していた1口サイズの小包装図柄が弁財天であったため、これを独立して商品として使用を始めた。独立した文字商標「弁財天」も登録して、これら商品がインターネット通販、店頭にて販売されている。現在も商品「HS−8 弁財天」、「HS−4 ハートと七福神 弁財天」等、他の商品にも使用している(カレンダーの日付2022年1月7日(乙15))。文字商標「弁財天」の使用は、アーカイブの証拠をみると、バック型の包装袋「弁財天」を七福神あられの独立したペットネームとして使用したのは、2015年4月19日に収録されている。「弁財天」の宣伝・販売は、「HS−4「ハートと七福神弁財天」・「弁財天」・「愛情の(小文字)/弁財天(大きく際立たせた文字)」」のように「弁財天」の商標を使用している。
(9)請求人の取消に係る「大福」について
ア 商品「大福」は、平成23年改正商標法においても、第30類「菓子及びパン」の範ちゅうに属するものであり、30A01に整理されている。
商品「もち」は、第30類の商品「穀物の加工品」(類似群コード:32F03)の範ちゅうに属する商品であり、「もち菓子」は、「和菓子」(類似群コード:30A01)の範ちゅうに属する商品であることは明らかである。また、「もち」と「もち菓子」は、備考類似の関係にもない(取消2004−31429より抜粋。)。
イ 被請求人は、本件取消請求に係る「大福」の概念に含まれる商品「菓子及びパン」中、「米菓」について、使用を証明すれば、当該取消請求に係る指定商品「菓子及びパン」について、取消しを免れることになる(商標法第50条第2項)。
ウ 商品「もち」の解釈については、別件の取消審判2004−31422号及び同審判2004−31423号事件がある(「餅菓子」は、第30類「菓子、パン」中の「和菓子」に属する「もち菓子」に移行し、同じく、「餅」は、第32類「食肉、卵、食用水産物、野菜、果実、加工食料品(他の類に属するものを除く。)」中の「加工穀物」に属する「もち」に移行した。)。
(10)本件商標「弁財天」を使用する他の物的証拠について
「七福神」の7柱の神(恵比寿天、大黒天、毘沙門天、弁財天、寿老人、福禄寿、布袋尊)が、1柱の神様を個別に独立させた小箱が販売されている。個別の高級紙小箱に「弁財天」他の箱を、要証期間に被請求人の直営店中心に販売している。この紙製小箱は、頭部が三角になった紙製小箱に商標「弁財天」を冠している。他の「大黒天」、「寿老人」等も同様にあり、それぞれ7種類の小箱がある。スタンドパック包装されている7種類の七福神あられの個包装容器面に、個別に味別毎に、「弁財天」、「寿老人」他、恵比寿天、大黒天、毘沙門天、福禄寿、布袋尊等のように表示して使用している。
(11)むすび
以上のとおり、本件商標「弁財天」の商標権者及び通常使用権者による上記商行為は、要証期間にその指定商品「菓子及びパン」に含まれる「米菓」に関する広告について、「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」(商標法第2条第3項第8号)に該当し、使用していることが明らかである。
2 合議体は、被請求人に対し、令和4年7月25日付けで合議体の暫定的な見解を示す審尋を送付するとともに、請求人提出の弁駁書の副本を送付し、期間を指定して、審尋及び弁駁書についての意見を求めたところ、被請求人は、同年10月4日付けで上申書を提出し、要旨次のとおり主張した。
(1)請求人が、被請求人の「弁財天」と類似する出願をしていることに関して、本件審判請求により、「大福」が取り消されたとしても、請求人の出願は、その属する範囲(30A01)については、先の拒絶査定と同様に、商標法第4条第1項第11号の理由により登録できないから、請求人の訴えは、訴えの利益のないものであり不適法として却下されるべきである。
(2)合理的な理由がない本件審判請求は、審判請求権を濫用するものであり、公序良俗にも反し却下されるべきである。
(3)請求人に係る出願中の案件が査定されるまで本件審判請求を中断して頂きたい。

第4 当審の判断
1 被請求人の主張及び同人の提出に係る証拠によれば、以下のとおりである。
(1)被請求人が提出した証拠(乙1〜乙15)について
被請求人は、本件商標を商品「米菓」について使用している旨主張し、その証拠として、「弁財天」と称する商品が掲載された商標権者のウェブサイトを出力した書面(乙1、乙2、乙10、乙15)とそのWayback Machineのウェブページのアーカイブ情報を出力した書面(乙3〜乙9、乙14)、及び「弁財天」と称する商品の包装用外箱の画像を写した書面と当該外箱(乙11〜乙13)を提出した。
(2)被請求人が提出した証拠によれば、以下の事実を認めることができる。
2020年9月9日に出力した商標権者の「幸煎餅 ネット本店」と称するウェブサイト(乙2)には、品番が「HS−8」である「弁財天」と表示された商品が掲載されており、当該商品の外箱の画像及び商品説明などから、外箱には、筆文字風に書した「弁財天」の文字及び「幸煎餅」の文字が付されていること、価格は500円(税込)であり、内容物は、原材料に米、植物油、砂糖、食塩等を使用した「米菓」であることが認められる。
2 上記1によれば、当審の判断は、以下のとおりである。
(1)令和2年(2020年)9月9日の商標権者のウェブサイトには、商標「弁財天」の表示の下、外箱に筆文字風に書した「弁財天」の文字を付した商品「米菓」(以下「使用商品」という。)の外箱の画像及び商品の価格、原材料等の商品情報が掲載されていた。
そして、当該商品は、販売のためにその商品の画像や価格、原材料等の商品情報等を表記して商標権者のウェブサイトに掲載されていたものといえるから、「弁財天」の商標を表記した商品「米菓」は、商標権者により広告されていたものと認められる。
そうすると、商標権者は、要証期間において、商品「米菓」に関する広告を内容とする情報に本件商標と社会通念上同一と認められる商標「弁財天」を付して電磁的方法により提供したといえる。
しかしながら、商標権者が商標「弁財天」を使用した使用商品は「米菓」であるところ、これは「米を原料として焼くか揚げるかした、主に塩味の菓子の総称。せんべい・あられなど。」(広辞苑第七版)であって、取消請求商品である「大福」(「大福餅」の略語。中に餡(あん)を包んだ餅菓子の一種。」広辞苑第七版)とは、商品の内容が異なるものというべきであり、同じ「菓子」の範ちゅうに含まれる商品であるとしても、「米菓」と「大福」が同一の商品であるとはいえず、また、「米菓」が「大福」の範ちゅうに属する商品であるとは認めることもできない。
したがって、被請求人の提出した証拠から、商標権者が、取消請求商品(第30類「大福」)について、本件商標を使用したと認めることはできない。
その他、商標権者が要証期間に、本件商標を取消請求商品について使用したことを認めるに足る証拠は見いだせない。
(2)小括
上記(1)のとおり、被請求人の提出した全証拠によっては、取消請求商品について、商標権者が本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)を商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用行為をした事実を認めることはできない。
3 被請求人の主張
被請求人は、令和4年10月4日付けの上申書において、「(1)請求人が、被請求人の「弁財天」と類似する出願をしていることに関して、本件審判請求により、「大福」が取り消されたとしても、請求人の出願は、その属する範囲(30A01)については、先の拒絶査定と同様に、商標法第4条第1項第11号の理由により登録できないから、請求人の訴えは、訴えの利益のないものであり不適法として却下されるべきである。(2)合理的な理由がない本件審判請求は、審判請求権を濫用するものであり、公序良俗にも反し却下されるべきである。(3)請求人に係る出願中の案件が査定されるまで本件審判請求を中断して頂きたい。」旨を主張している。
しかしながら、取消審判に関して、商標法第50条第1項で規定される審判請求は、「継続して三年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが各指定商品又は指定役務についての登録商標・・・の使用をしていないときは、何人も、その指定商品又は指定役務に係る登録商標を取り消すことについて審判を請求することができる。」と規定されており、この規定において、請求人適格については、「何人も」とされており、商標法上、これを制限する規定はない。
また、登録商標の不使用による取消審判の請求が、専ら被請求人を害することを目的としていると認められる場合などの特段の事情がない限り、当該請求が権利の濫用となることはないと解するのが相当である(知財高裁平成20年(行ケ)第10025号、平成20年6月26日判決)ところ、被請求人の主張及び被請求人の提出した全証拠から、本件審判請求が被請求人を害することを目的としているような特段の事情は見いだせず、本件審判請求が、権利の濫用であるとか、公序良俗に反するということはできない。
加えて、請求人の出願中の案件の査定結果を考慮する必要性も見いだせないから、本件審判の審理を中断すべき事情も見当たらない。
したがって、被請求人のかかる主張は、いずれも採用できない。
4 まとめ
以上のとおり、被請求人は、要証期間に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る商品について、本件商標を使用していたことを証明したものと認めることはできない。
また、被請求人は、その請求に係る商品について本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その指定商品中、第30類「大福」については、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、この審決に係る相手方当事者を被告として、提起することができます。

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審理終結日 2022-12-14 
結審通知日 2022-12-16 
審決日 2022-12-27 
出願番号 2012000822 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (W30)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 小松 里美
特許庁審判官 鈴木 雅也
大山 健
登録日 2012-05-25 
登録番号 5496661 
商標の称呼 ベンザイテン 
代理人 佐々木 奏 
代理人 佐藤 久美枝 
代理人 渡部 彩 
代理人 田中 尚文 
代理人 西村 啓一 
代理人 小島 義博 

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