• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W09
管理番号 1394256 
総通号数 14 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2023-02-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-03-25 
確定日 2023-01-19 
異議申立件数
事件の表示 登録第6500610号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6500610号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6500610号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和2年1月22日に登録出願され、第9類「乗物運転技能訓練用シミュレーター並びにその部品及び附属品,地上載置型及び航空機搭載型の航空機の操縦技能訓練用シミュレーター,信号灯,回転式信号灯,交通信号機,バッテリー」を指定商品として、同3年8月30日に登録査定、同4年1月18日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
(1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する商標は次のとおりであり(以下、それらをまとめて「引用各商標」という。)、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
ア 登録第1593165号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:「ENERGIZER」の欧文字及び「エナジャイザー」の片仮名を二段に横書きしてなるもの
登録出願日:昭和55年9月19日
設定登録日:昭和58年6月30日
指定商品 :第9類「乾電池,蓄電池」(平成15年8月20日書換登録)
イ 登録第4639403号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:ENERGIZER(標準文字)
登録出願日:平成14年3月7日
設定登録日:平成15年1月24日
指定商品 :第9類「電池」及び第11類「電球類及び照明用器具」
ウ 登録第5304447号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:ENERGIZER(標準文字)
登録出願日:平成21年5月28日
設定登録日:平成22年2月26日
指定商品 :第9類「太陽電池,太陽電池パネル,その他の電池」
エ 登録第5413453号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
登録出願日:平成21年7月15日
設定登録日:平成23年5月20日
指定商品 :第9類「バッテリーチャージャー,電池,電線及びケーブル,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM」
オ 登録第5413458号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の構成:別掲3のとおり
登録出願日:平成21年10月27日
設定登録日:平成23年5月20日
指定商品 :第9類「バッテリー,その他の電池,バッテリーチャージャー」
カ 登録第6409758号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の構成:エナジャイザー(標準文字)
登録出願日:令和元年8月15日
設定登録日:令和3年7月1日
指定商品 :第9類「バッテリー,バッテリーチャージャー,パワーインバーター,無停電電源装置,コネクター,太陽電池,ソーラーバッテリー,ソーラーパネル,バッテリーパック及びその充電器,電池,充電ケーブル,ケーブルコネクタ,電線及びケーブル,通信ケーブル用コネクター,光コネクター,USB充電ケーブル,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,家庭用テレビゲーム機用プログラム,携帯用液晶画面ゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM」
キ 登録第6414733号商標(以下「引用商標7」という。)
商標の構成:別掲4のとおり
登録出願日:平成31年4月10日(優先権主張:ジャマイカ、2018年(平成30年)10月24日)
設定登録日:令和3年7月12日
指定商品 :第9類「蓄電池,電池,バッテリーチャージャー」及び第11類「懐中電灯,電気式ランタン,携帯用ヘッドランプ,電球類及び照明用器具」
(2)申立人が、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するとして引用する商標は、「Energizer」(エナジャイザー)の文字からなる商標である(以下「引用商標」という。)。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第11号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号
ア 本件商標と引用各商標の類否
本件商標は、「Tera35」「Battery Energizer」「バッテリーエナジャイザー」の文字を三段に横書きで表した構成からなるところ、その構成上「Tera35」と「Battery Energizer」は、一連一体の商標と捉えるには冗長であって、それぞれ個別に認識され、識別力を発揮するとみるのが自然である。なお、「バッテリーエナジャイザー」は「Battery Energizer」のフリガナ表記と解される。
「Battery Energizer」「バッテリーエナジャイザー」の文字中、「Battery」(バッテリー)の語は「電池」を意味する英単語であるところ(甲1)、我が国においても「バッテリー交換」「モバイルバッテリー」のように日常的に使用され、その意味は我が国の需要者・消費者によく知られている。そして、本件指定商品中「バッテリー」との関係においては、当然に「電池」の意味で理解されるから識別力がない。よって、要部は、「Energizer」(エナジャイザー)部分と解される。一方、「Energizer」は、「元気づける人(もの)」を意味する英単語であって(甲2)、同語は日常一般的に使用されているとはいえず、我が国においてはあまり馴染みのない英単語であって、強い識別力を有すると解される。
一方、引用各商標は、「ENERGIZER」の欧文字、「エナジャイザー」の片仮名、ないしこれらの組合せ又は図形要素との組合せからなる。いずれの構成においても、商標に含まれる文字は「ENERGIZER」又は「エナジャイザー」であるから、それに応じて「エナジャイザー」の称呼及び「元気づける人(もの)」の観念を想起させる。
本件商標と引用各商標は、商標全体としては外観において異なる。しかしながら、上述のとおり、本件商標は、その構成中、「Energizer」(エナジャイザー)を要部として認識・把握されるところ、要部となる「Energizer」(エナジャイザー)と引用各商標を比較すると、両者はいずれも「エナジャイザー」の称呼及び「元気づける人(もの)」の観念を共通にする類似商標である。
イ 本件商標と引用各商標の指定商品の類否
本件指定商品中、第9類「バッテリー」は、引用各商標の指定商品中、第9類「乾電池」「蓄電池」「電池」等と同一又は類似関係にある。
したがって、本件商標は、引用各商標との関係で、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号
ア 申立人及び引用商標の周知著名性について
申立人の関連会社であるエナジャイザー・ホールディングス(Energizer Holdings,Inc.)はアメリカ合衆国のコンシューマー製品メーカーであって、電池の他、懐中電灯等の製品を販売している(甲3)。エナジャイザーは、1896年、世界で最初に消費者向けの乾電池を発明しており、現在、世界150か国以上で乾電池、ヘッドライト、ハンドライト、ランタン等の販売を行っている(甲4)。
引用商標は、申立人のハウスマークとして長年にわたり使用され、我が国において周知であると考える。甲第5号証及び甲第6号証のとおり、我が国においてもパンフレット、チラシに使用され、甲第7号証ないし甲第10号証のとおり、実店舗及びオンライン販売も大々的に行われている。また、甲第11号証のとおり、取引書類(請求書)についても使用されている。
混同を生じるおそれについて
上記のとおり、引用商標は、申立人がその商品(電池、ライト等)について長年にわたり使用してきた周知商標であるところ、本件商標は「Energizer」の語を独立して識別標識として認識される態様にて、その構成要素に含んでいる。そして、本件指定商品中「電池」は申立人の主要製品である。また、「信号灯,回転式信号灯,交通信号機」はいずれも光を発する商品であって、申立人が製造・販売するライト製品と関連深い。したがって、本件商標を本件指定商品に使用した場合には、申立人と何らかの関係があるかのように誤認・混同させるおそれが高い。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。
また、特許庁審査基準において「他人の著名な商標と他の文字又は図形等と結合した商標は、その外観構成がまとまりよく一体に表されているもの又は観念上の繁がりがあるものなどを含め、原則として、商品又は役務の出所の混同を生ずるおそれがあるものと推認して、取り扱うものとする。」(「商標審査基準〔改訂第15版〕第3 十三、第4条第1項第15号 2.」)と規定されていることから考えても、申立人の著名な「Energizer」(エナジャイザー)商標の語をそのまま構成要素に含む本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当することが明らかである。
(3)まとめ
以上より、本件商標の要部は「Energizer」(エナジャイザー)であって、引用各商標とは称呼、観念において共通する類似する商標であって、本件指定商品中「バッテリー」は、引用各商標の指定商品と抵触するから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
また、本件商標が本件指定商品に使用されると、その出所について混同を生ずるおそれがあることから、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断
(1)申立人及び引用商標の周知性について
ア 申立人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
(ア)申立人の関連会社とされるエナジャイザー・ホールディングス(Energizer Holdings,Inc.)は、アメリカ合衆国のコンシューマー製品メーカーであって、電池の他、懐中電灯等を販売している(甲3)。
(イ)「小泉成器」の「Energizer(エナジャイザー)【公式サイト】」(印刷日:2022年6月22日)には、「1世紀以上前の1896年、世界で最初に消費者向けの乾電池を発明したエナジャイザーは2年後の1898年、今度は世界で最初に手に携帯するタイプのライト(いわゆる懐中電灯)を発明しました。現在、製造拠点は世界中に広がり、その販売国は世界150カ国以上に上る電池・ライトのグローバルメーカーです。」との記載と共に、「Energizer」及び「エナジャイザー」の表示が付された乾電池、ヘッドライト、ハンドライト、ランタン等の商品画像が掲載されている(甲4)。
(ウ)「小泉成器株式会社」の「Energizer/エナジャイザー」と題するパンフレット(2021年10月作成)には、「Energizer」の文字が付された「ランタン」、「リチウム乾電池」、「アルカリ乾電池」等の商品画像の表示がある(甲5)。
また、「暗闇を照らせ/ライトがつけばおばけも怖くない/豪華アウトドア用品を当てよう」と題するチラシ(作成日不明)には、「キャンペーン期間中にエナジャイザー製品を3,000円(税抜)以上お買い上げの方対象」の記載と共に「Energizer/エナジャイザー/LIGHTS」の文字及び「エナジャイザライト」の文字の表示、「Energizer」の文字が付された乾電池を擬人化して表したとおぼしきキャラクターの表示がある(甲6)。
(エ)店舗写真とされる画像(撮影日:2022年6月21日。店舗名は不明。)には、「Energizer/エナジャイザー」の文字が付された「乾電池」、「懐中電灯」、「ランタン」等の商品が陳列されている様子が撮影されている(甲7)。
また、「Amazon.co.jp」(印刷日:2022年6月21日)、「ヨドバシ.com」(印刷日:2022年6月23日)、「ソフマップ 楽天市場店」(印刷日:2022年6月23日)の各通販サイトには、「Energizer」の文字が付された商品の画像と共に「エナジャイザー 防災セット 折りたたみ式ランタン ヘッドライト リチウム乾電池 ELH2020」、「エナジャイザー ENERGIZER E96−B2 「アルカリ乾電池 単6形 AAAA電池2本・・・2009/5/12」、「エナジャイザー 【単4形】 リチウム乾電池(2本) 「エナジャイザー」LIT BAT AAA 2PK LITBATAAA2PK」等の記載がある(甲8〜甲10)。
(オ)「Energizer Trading Limited」から「Seiwa Co.,Ltd」に宛てた「2021年12月14日」付けの2通の「Invoice」には、いずれも「Energizer」の表示が付されている(甲11)。
イ 上記アによれば、申立人の関連会社とされるエナジャイザー・ホールディングス(Energizer Holdings,Inc.)は、アメリカ合衆国において電池、懐中電灯等を販売している企業であり、同社及び申立人の社名に含まれる「Energizer」及び「エナジャイザー」の文字からなる引用商標は、我が国では2021年10月には「小泉成器株式会社」のウェブサイト、パンフレットにおいて、ランタン、乾電池等に使用されていることが確認できる。また、引用商標を付したランタン、乾電池等は「Amazon.co.jp」、「ヨドバシ.com」、「ソフマップ 楽天市場店」の通販サイト及び店舗名不明の実店舗で販売されていたこともうかがえる。
さらに、引用商標は、「Energizer Trading Limited」から「Seiwa Co.,Ltd」に宛てた取引書類に付されていることが確認できる。
しかしながら、申立人の取扱いに係る引用商標を付した商品(以下「申立人使用商品」という。)について、我が国における販売数、売上高、市場シェアなどの販売実績、使用地域、並びに広告宣伝の方法、期間、地域及び規模を示す具体的な証左は見いだせない。
また、上記通販サイトに掲載された申立人使用商品と申立人との関係を確認することはできないし、ウィキぺディアに記載された「エナジャイザー・ホールディングス(Energizer Holdings,Inc.)」(甲3)、ウェブサイト及びパンフレットに記載された「小泉成器株式会社」(甲4、甲5)、「Invoice」に記載された「Energizer Trading Limited」(甲11)と申立人との関係についても確認することもできない。
さらに、申立人使用商品が掲載されたとするパンフレットやチラシについては、作成部数や頒布数及び頒布先、同じくウェブサイトについてはそのアクセス数等を客観的に示す証拠はない。
加えて、我が国において引用商標が申立人のハウスマークとして長年使用され、我が国の需要者の間で著名なものであることを裏付ける証拠も見いだせない。
その他、申立人使用商品が、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、申立人及びその業務に係る商品を表示するものとして、周知性を獲得していると認めるに足りる証左は見いだせない。
そうすると、具体的な使用事実に基づいて、申立人及びその業務に係る商品の出所表示としての引用商標の使用状況を把握し、その周知性の程度を客観的に推し量ることができないから、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人及びその業務に係る商品を表すものとして、我が国における需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、ややデザイン化した書体で「Tera35」の文字及び「Battery Energizer」の欧文字を二段に横書きし、最下段の三段目に標準的な書体で小さく一連に横書きした「バッテリーエナジャイザー」の片仮名を配してなるところ、一段目の「Tera35」の文字は我が国の一般的な辞書等に採録のないものであって、特定の意味を認識させない造語であり、二段目の「Battery Energizer」の文字は「電池,バッテリー電池」及び「元気づける人(もの)」の意味を有する英語であって(甲1、甲2)、「バッテリーを元気づける人(もの)」程の意味合いを認識させるものである。また、最下段の「バッテリーエナジャイザー」の片仮名は二段目の「Battery Energizer」の読みを表示したものと理解できる。
そして、一段目の「Tera35」及び二段目の「Battery Energizer」の各文字部分は、上下二段に分かれて表示され、文字数(文字列の幅)が相違することから、視覚上、分離して把握されるものであって、全体から生じる「テラサンジュウゴバッテリーエナジャイザー」の称呼は冗長であることに加え、一段目と二段目の文字部分の間には、観念的なつながりもないといえるものであり、ほかにこれらの各文字を常に一体のものとして把握しなければならない事情も見いだせない。
また、最下段の「バッテリーエナジャイザー」の文字は、上段の「Battery Energizer」の読み仮名として小さく表示され、「バッテリーを元気づけるもの」程の意味合いも上下で共通し、さらに、その構成文字から生じる「バッテリーエナジャイザー」の称呼は、格別冗長でもなく、無理なく一連に称呼し得るものであるから、当該「Battery Energizer」の文字部分と一体のものとして認識、把握されるものとみるのが相当である。
そうすると、本件商標は、一段目の「Tera35」の文字と、二段目及び最下段の「Battery Energizer」及び「バッテリーエナジャイザー」の各文字が、それぞれ独立して自他商品の識別機能を果たし得るものというべきであり、「Battery Energizer」の文字部分及び「バッテリーエナジャイザー」の文字部分を要部として抽出し、引用各商標と比較することが許されるものである(以下、「Battery Energizer」の文字部分及び「バッテリーエナジャイザー」の文字部分を併せて「下段部分」という。)。
したがって、本件商標は、全体の構成文字から生じる称呼及び要部である「Tera35」の構成文字から生じる「テラサンジュウゴ」称呼の外に、下段部分の構成文字に相応して「バッテリーエナジャイザー」の称呼を生じ、全体の構成文字及び「Tera35」の構成文字から特定の観念は生じないものの、下段部分の構成文字から「バッテリーを元気づける人(もの)」程の観念を生ずるものである。
なお、申立人は、「Energizer」(エナジャイザー)の文字が本件商標の要部として認識・把握される旨主張する。
しかしながら、「Energizer」(エナジャイザー)の文字については、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人及びその業務に係る商品を表すものとして、我が国における需要者の間に広く認識されていたと認めることはできないことから、本件商標については、上記のとおり判断するのが相当であり、他に、本件商標の構成中、「Energizer」(エナジャイザー)の文字部分のみが取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであると認めるに足りる事情は見いだせない。
イ 引用各商標
(ア)引用商標1
引用商標1は、上記2(1)アのとおり、「ENERGIZER」の欧文字及び「エナジャイザー」の片仮名を二段に横書きしてなるところ、構成中の「ENERGIZER」の文字は、「元気づける人(もの)」の意味を有する英語であり(甲2)、下段の「エナジャイザー」の片仮名は、上段の「ENERGIZER」の欧文字の読みを特定したものと理解されるものである。
そうすると、引用商標1は、その構成文字に相応して、「エナジャイザー」の称呼を生じ、「元気づける人(もの)」の観念を生じるものである。
(イ)引用商標2、引用商標3及び引用商標6
引用商標2、引用商標3及び引用商標6は、上記2(1)イ、ウ及びカのとおり、「ENERGIZER」の文字又は「エナジャイザー」の文字を標準文字で表してなるところ、当該「ENERGIZER」又は「エナジャイザー」の文字は、「元気づける人(もの)」の意味を有する英語又はその片仮名表記を理解させるものである(甲2)。
そうすると、引用商標2、引用商標3及び引用商標6は、いずれもその構成文字に相応して、「エナジャイザー」の称呼を生じ、「元気づける人(もの)」の観念を生じるものである。
(ウ)引用商標4
引用商標4は、別掲2のとおり、右斜めに傾いた書体で表した「Energizer」の欧文字と、白抜き及び黒塗りの三日月状の図形を重ねた図形部分とを組み合わせた構成よりなるところ、当該図形が特定の事物や意味合いを表すものとして認識されているような事情は見いだせないことからすると、これより特定の観念を生じるものとはいえない。
そして、引用商標4の構成中「Energizer」の文字は、図形部分とは視覚上分離して看取し得るものであり、また、図形部分は特定の観念を生じるものではなく、「Energizer」の文字部分は「元気づける人(もの)」の意味を有する語(甲2)であるところ、図形部分と文字部分に観念上のつながりは見いだせない。
そうすると、引用商標4に接する取引者、需要者は、図形部分と文字部分のそれぞれを出所識別標識としての機能を有する要部として認識、理解するというのが相当である。
したがって、引用商標4は、その構成文字に相応して「エナジャイザー」の称呼が生じ、「元気づける人(もの)」の観念を生じるものであり、また、図形部分からは、特定の称呼及び観念は生じないものである。
(エ)引用商標5及び引用商標7
引用商標5及び引用商標7は、別掲3及び4のとおり、いずれも乾電池を擬人化して表したとおぼしきキャラクター(胴体部分に「Energizer」の欧文字が表示されている。)からなるところ、当該キャラクターが特定の事物を表すものとして認識されているような事情は見いだせないことからすると、これより特定の観念を生じるものとはいえない。
そして、当該キャラクターに表された「Energizer」の欧文字は、キャラクターの胴体部分に目立つように配置されたものであって、図形部分とは視覚上分離して看取し得るものである。また、図形部分は特定の観念を生じるものではなく、「Energizer」の文字部分は「元気づける人(もの)」の意味を有する語(甲2)であるところ、図形部分と文字部分に観念上のつながりは見いだせない。
そうすると、引用商標5及び引用商標7に接する取引者、需要者は、図形部分と文字部分のそれぞれを出所識別標識としての機能を有する要部として認識、理解するというのが相当である。
したがって、引用商標5及び引用商標7は、構成中の文字部分からは、構成文字に相応して「エナジャイザー」の称呼が生じ、「元気づける人(もの)」の観念を生じるものであり、また、図形部分からは、特定の称呼及び観念は生じないものである。
ウ 本件商標と引用各商標との類否
(ア)外観
本件商標と引用各商標の外観を比較すると、両者はそれぞれ上記ア及びイのとおりであって、いずれも全体の外観においては、構成文字の相違又は図形の有無という著しい差異を有することから、明確に区別でき、また、本件商標の要部である下段部分と引用各商標の構成文字との比較においても、「Battery」及び「バッテリー」の文字の有無等において判然と区別し得るものである。
(イ)称呼
本件商標から生じる「テラサンジュウゴバッテリーエナジャイザー」及び「テラサンジュウゴ」の称呼と、引用各商標から生じる「エナジャイザー」の称呼を比較すると、構成音数、構成音の差異等から、両者は明瞭に聴別でき、また、本件商標の要部である下段部分から生じる「バッテリーエナジャイザー」の称呼との比較においても、「バッテリー」の音の有無により両者は明瞭に聴別し得るものである。
(ウ)観念
本件商標は、その構成全体及び要部である「Tera35」の文字部分から特定の観念を生じないものであるのに対し、引用各商標は、いずれも文字部分から「元気づける人(もの)」程の観念を生じるものであるから、両者は観念において相紛れるおそれのはなく、また、本件商標の要部である下段部分から生じる「バッテリーを元気づける人(もの)」程の観念と、引用各商標から生じる「元気づける人(もの)」程の観念とを比較しても、両者は明確に異なり相紛れるおそれのないものである。
(エ)以上から、本件商標と引用各商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのないものであるから、これらを総合的に考察すれば、両者は、非類似の商標というのが相当である
その他、本件商標と引用各商標が類似するというべき事情は見いだせない。
エ 指定商品の類否
本件商標の指定商品には、引用各商標の指定商品と同一又は類似の商品が包含されている。
オ 小括
以上のとおり、本件商標の指定商品には、引用各商標の指定商品と同一又は類似の商品が包含されているとしても、本件商標と引用各商標は、非類似の商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 引用商標の周知性
上記(1)のとおり、引用商標は、申立人及びその業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識され、本件商標の登録出願時及び登録査定時に周知性を獲得していたとは認められないものである。
イ 本件商標と引用商標との類似性の程度
本件商標と引用商標とは、上記(2)と同様に、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきであるから、類似性の程度は低いものである。
ウ 商品の関連性、需要者の共通性
本件商標の指定商品と申立人が引用商標を使用しているとする商品(乾電池、ランタン等)とを比較するに、本件商標の指定商品中の第9類「バッテリー」と「乾電池」については、取扱業者が一致する等の関連性を有するものであり、その取引者、需要者を共通にするものといえる。
しかしながら、本件商標は、指定商品中に上記以外の指定商品「乗物運転技能訓練用シミュレーター並びにその部品及び附属品,地上載置型及び航空機搭載型の航空機の操縦技能訓練用シミュレーター,信号灯,回転式信号灯,交通信号機,」をも含むものであるところ、これらに係る取引者又は需要者、流通経路及び販売場所等は、上記「乾電池」や「ランタン」等の照明器具に係るそれと少なからず差異があるものであって、両者間における関連性は高いとはいい難いものであり、需要者の範囲も一致するとはいえないものである。
エ 引用商標の独創性
引用商標を構成する「Energizer」(エナジャイザー)の文字は、本来、「元気づける人(もの)」の意味を有する英語(甲2)及びその表音と理解される片仮名であり、既成の語であって、創作された造語ではないから、独創性が高いとはいえない。
オ 出所混同のおそれ
上記アないしエによれば、引用商標は、申立人及びその業務に係る商品について本件商標の登録出願時及び登録査定時に周知性を獲得していたとは認められないものであり、また、本件商標と引用商標は、明らかな差異を有する別異の商標である。
そして、本件商標の指定商品中の「バッテリー」以外の商品については、両者間における商品の関連性や需要者の共通性が高いとはいい難いこと、また、引用商標を構成する「Energizer」(エナジャイザー)の文字は、「元気づける人(もの)」の意味を有する既成語であること等を総合勘案すれば、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者が、引用商標を想起、連想して、当該商品を申立人の業務に係る商品又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれはないというのが相当である。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)むすび
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
別掲1 本件商標


別掲2 引用商標4


別掲3 引用商標5


別掲4 引用商標7


(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
異議決定日 2023-01-10 
出願番号 2020006690 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W09)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 森山 啓
特許庁審判官 鈴木 雅也
小松 里美
登録日 2022-01-18 
登録番号 6500610 
権利者 大友 慶孝
商標の称呼 テラサンジューゴバッテリーエナジャイザー、テラサンゴバッテリーエナジャイザー、テラサンジューゴ、テラサンゴ、テラ、バッテリーエナジャイザー、エナジャイザー 
代理人 弁理士法人大島・西村・宮永商標特許事務所 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ