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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W35
管理番号 1394251 
総通号数 14 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2023-02-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-09-27 
確定日 2022-10-26 
異議申立件数
事件の表示 登録第6412840号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6412840号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6412840号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和2年8月6日に登録出願、第35類「オンラインによる広告及びマーケティング,オンラインによる広告物の出版,ダイレクトメールによる広告,デジタル広告,ウェブサイト上における商品及びサービスに関する広告用スペースの提供,アフィリエート広告,競売の運営,あっせんに関するマーケティング,輸出入に関する事務の代理又は代行,インターネットのウエブサイトの広告による商品及び役務の販売促進・提供促進のための企画及びその実行の代理」を指定役務として、同3年5月27日に登録査定され、同年7月7日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する国際登録第1516855号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、2019年(令和元年)5月21日に英国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、同年8月9日に国際商標登録出願、第35類「Advertising services provided via the Internet, opinion polling, compilation of information into computer databases, provision of business information, business information services, namely data feeds, auctioneering, all relating to the travel and hospitality sectors.」、第39類「Travel information and arrangement services provided from an Internet website; providing travel information via means of a global computer network; travel information provided online from a computer database; travel information accessible via a mobile phone utilising wireless application protocol technology; travel agency services; travel booking agencies; booking of airport parking.」、第42類「Providing search engines for the Internet relating to the travel and hospitality sectors.」及び第43類「Booking of temporary accommodation; agency services for booking temporary accommodation; information and booking services in relation to temporary accommodation provided from an Internet website; providing information relating to temporary accommodation via means of a global computer network; information relating to temporary accommodation provided online from a computer database; information relating to temporary accommodation accessible via a mobile phone utilising wireless application protocol technology; restaurant booking services; provision of information relating to restaurants and bars.」を指定役務として、令和3年10月29日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由
1 申立ての根拠
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号に該当するから、その登録は同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証から甲第16号証を提出した。
2 申立ての具体的理由
(1)申立人の著名性
申立人は、航空券の価格を比較するサービスの提供を目的として、2003年に設立、2009年にはサービスをグローバル展開、2014年にはホテル検索が可能、2019年にはサービスの月間利用者が1億人に到達した(甲3)。
日本においても、申立人のサービスは広く活用されており、オリコン株式会社によるアンケート調査を基にした顧客満足度ランキングの格安航空券比較サイト総合ランキングにおいて、2018年度総合第1位(甲4)、2019年度総合第2位(甲5)、2020年度総合第2位(甲6)と、連続してトップランキングに位置している。
また、2012年5月11日に配信されたウェブサイト「PRWire」によると、申立人は、世界中で数多の受賞歴がある(甲7〜甲9)。
(2)引用商標の著名性
申立人のサービスは月間1億人以上ものユーザーに利用されているが、申立人のサービスを利用するためにダウンロードする際の画面には、引用商標が大きく使用されている(甲10)。
申立人が提供するアプリケーションプログラムの日本でのダウンロード回数を月毎にまとめた資料(甲11)によれば、日本において700,000回近くのダウンロード回数に上っており、また、当該資料に表示されている日本における月毎の広告費によれば、申立人は2億円を超す高額な宣伝広告費を払っている。
さらに、日本における申立人のウェブサイトの閲覧者を分析した資料(甲12)によれば、申立人のウェブサイトの総閲覧者数は4億人を越えており、非常に多くの人々がウェブを活用しており、ウェブサイト上で使用される引用商標を目にしている。
また、航空券比較サイトのランキングや、各サイトの比較が複数のウェブサイトで行われているが、申立人のサイトは人気サイトとして頻繁に紹介され、紹介の中では引用商標も使用されている(甲13、甲14)。
したがって、引用商標は、著名である。
(3)本件商標と引用商標の類似関係
ア 本件商標について
本件商標は、放射状の5本線、アーチ状の横線の中央部上部に緩やかな半円を配し、下側は半円状に膨らんだ構成からなり、全体として、地平線から太陽が昇るとおぼしき外観を備えている。
イ 引用商標について
引用商標は、青字に、放射状の白色5本線、アーチ状の横線の中央部下側が緩やかな三角形状に膨らんだ構成からなり、全体として、地平線から太陽が昇るとおぼしき外観を備えている。
ウ 本件商標と引用商標の比較
本件商標と引用商標の構成要素の中で、大きな割合を占めている要素は、放射状の5本線、アーチ状の横線であり、本件商標と引用商標は、これらの目立つ要素の形状が、同一といえるほどに一致しており、アーチ状の中央部下側が緩やかに膨らんでいる構成も一致する。また、本件商標は、アーチ状の横線の中央部上側に半円を配してはいないものの、放射状の5本線に囲まれた空白部分が半円の形状に見える構成になっている。
したがって、本件商標と引用商標は、その構成が非常に近似しており、かつ、全体として地平線から太陽が昇るとおぼしき外観を備えている点においても一致している。
よって、両商標の外観は非常に紛らわしく、外観において類似しており、また、地平線から昇る太陽を想起させる点において一致するから、両商標は、観念においても類似関係にある。
エ 指定役務の類似
本件商標の指定役務「インターネット経由で提供される広告」と、引用商標の指定役務「オンラインによる広告,オンラインによる広告物の出版,ダイレクトメールによる広告,デジタル広告,アフィリエート広告」は、類似関係にある。
(4)商標法第4条第1項第10号該当性
ア 引用商標は、上記(2)のとおり、申立人のハウスマーク、かつシンボルマークとして日本を含む世界中において著名性を獲得しており、広く認識されている。
イ 本件商標と引用商標は、上記(3)のとおり、類似関係にあり、その指定役務は、類似関係にある。
ウ 以上より、本件商標は、申立人のハウスマークかつシンボルマークとして広く認識されている引用商標と類似関係にあり、本件商標と引用商標の指定商品は類似関係にある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(5)商標法第4条第1項第11号該当性
引用商標は、本件商標の登録出願日前の商標登録出願に係る登録商標であり、上記(3)のとおり、本件商標と引用商標が類似関係にあり、指定役務において類似関係にある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(6)商標法第4条第1項第15号該当性
ア 本件商標と引用商標は、上記(3)のとおり、類似性の程度は極めて高い。
イ 引用商標は、上記(2)のとおり、申立人のハウスマークかつシンボルマークとして、著名性を獲得している。
ウ 本件商標と引用商標の指定役務が類似関係にあることは、上記(3)のとおりであるから、本件商標の指定役務と、引用商標の指定役務とは、高い関連性を有している。
エ 申立人は、上記(1)のとおり、航空券の価格を比較するサービスに加え、ホテル検索サービスを提供しており、広告スペースの提供も行っている(甲15)。申立人は、新型コロナウイルスの影響を受けた観光地を支援するために広告枠を無料提供するという活動も行っているが、この活動には大阪観光局、関西観光本部、京都市観光協会等が参画し、米国、シンガポールの政府観光局といった世界20以上の団体が参画している(甲16)。
オ 以上より、本件商標は、申立人のハウスマークかつシンボルマークとして広く認識されている引用商標と商標及び指定役務において類似関係にあり、申立人の事業が多角性を有している。
したがって、本件商標を指定役務に使用した場合、役務の出所について混同を生ずるおそれがあるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第10号及び同項第11号について
(1)本件商標と引用商標の類否
ア 本件商標について
本件商標は、別掲1のとおり、両端がわずかに下方に湾曲している円弧状の横線(中央近辺に下向きの半円状の膨らみがある。)と、その上部に接して半円状の線を配し、さらにその上に5本の放射状の線よりなる図形を描いてなる。
そして、上記図形の構成態様から、地平線や水平線などから上端部をのぞかせる円形の発光物をモチーフにした図形を描いてなるとの漠然とした印象を与え得るが、簡易な線を組み合わせた簡略な構成よりなるから、具体的に何を描いてなるかは判然としない。
そうすると、本願商標は、特定の称呼及び観念は生じない。
イ 引用商標について
引用商標は、別掲2のとおり、青色の横長長方形の枠内中央に、両端がわずかに下方に湾曲している円弧状の横線(中央近辺に下向きの三角形状の膨らみがある。)と、その上部には5本の放射状の線よりなる図形を、いずれも白抜きで描いた構成よりなる。
そして、上記図形の構成態様から、何らかの発光物をモチーフにした図形を描いてなるとの漠然とした印象を与え得るが、簡易な線を組み合わせた簡略な構成よりなるから、具体的に何を描いてなるのかは判然としない。
そうすると、引用商標は、特定の称呼及び観念は生じない。
ウ 本件商標と引用商標の比較
本件商標と引用商標を比較すると、いずれも特定の称呼及び観念は生じないから、それらは比較できず、外観においては、いずれも円弧状の線や5本の放射状の線を有する点で共通するものの、その他の構成要素の差異(色彩、半円状の線の有無など)により、全体として印象も異なるから、判別は可能である。
そうすると、両商標は、外観及び称呼は比較できないが、外観において判別可能だから、類似性の程度は高くなく、同一又は類似の商品又は役務について使用するときも、出所の誤認混同を生じるおそれはないもので、非類似の商標といえる。
(2)小括
以上のとおり、本件商標は、引用商標とは類似する商標ではないから、その他の要件について検討するまでもなく、商標法第4条第1項第10号及び同項第11号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)引用商標の周知性について
申立人提出の証拠によれば、申立人は、「スカイスキャナー」の名称で、ウェブサイトやアプリを用いて航空券の情報提供をしており(甲3)、インターネット上の記事情報(格安航空券比較サイトランキングとして、当該サービスを上位に位置づけるものを含む。)なども掲載され(甲4〜甲9、甲13、甲14)、当該サービスのダウンロード画面には引用商標とおおむね共通する構成態様(外枠を角を丸めた正方形としている点を除き、その枠内の図形及び色彩は同一の構成からなる。)を備えるロゴが表示されている(甲10)。
しかしながら、引用商標は、航空券の情報提供という役務との関係において、申立人のサービス利用者を中心とした需要者にはある程度認知されている可能性があるとしても、一般的なメディアを通じた具体的な広告宣伝実績も明らかではないから、本件商標の指定役務(広告やマーケティングなど)に係る一般の需要者及び取引者の間において、広く知られるに至っているとは認められない。
(2)検討
本件商標は、上記1(1)ウのとおり、引用商標とは類似性の程度は高くなく、その引用商標も、上記(1)のとおり、一般の需要者及び取引者の間において広く知られているものではないもので、また、本件商標の指定役務(広告やマーケティングなど)は、広告宣伝や事業支援を必要とする事業者に向けたサービスであるのに対し、引用商標の使用に係る役務(航空券の情報提供)は、一般の旅行者に向けたサービスであるから、役務の内容及び業種において関連性は乏しく、需要者層も異なる。
そうすると、本件商標をその指定役務に使用しても、その取引者及び需要者において普通に払わされる注意力を基準として総合的に判断すれば、その役務が申立人あるいは申立人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのようにその出所について混同を生じさせるおそれはない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲
別掲1(本件商標)



別掲2(引用商標。色彩は原本を参照。)




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異議決定日 2022-06-17 
出願番号 2020098110 
審決分類 T 1 651・ 251- Y (W35)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 豊田 純一
特許庁審判官 阿曾 裕樹
杉本 克治
登録日 2021-07-07 
登録番号 6412840 
権利者 佛山市睡精霊家居有限公司
代理人 田中 克郎 
代理人 両部 奈穂子 
代理人 石田 昌彦 
代理人 稲葉 良幸 

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