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審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない W03
管理番号 1394121 
総通号数 14 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2023-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-03-10 
確定日 2023-01-04 
事件の表示 商願2021− 37928拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 手続の経緯
本願は、令和3年3月30日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年 8月 3日付け:拒絶理由通知
令和3年 9月16日 :意見書の提出
令和3年12月13日付け:拒絶査定
令和4年 3月10日 :審判請求書の提出

2 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第3類「化粧品,化粧水,乳液,脱毛剤,シャンプー,せっけん類」を指定商品として登録出願されたものである。

3 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第530789号商標(以下「引用商標」という。)は、二段に横書きしてなる「IDEAL」及び「アイデアル」の文字よりなり、昭和32年10月16日登録出願、第3類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同33年11月30日に設定登録され、その後、平成21年4月1日に指定商品を第3類「香料類(薫料・香精・天然じゃ香・芳香油を除く。),吸香,におい袋,香水類,フケ取り香水,人造じゃ香,香油,髪膏,おしろい,化粧下」及び第30類「食品香料(香精のもの・精油のものを除く。)」とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。

4 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり、ゴシック体様書体の太字で書された「IDEAL」の欧文字と、やや縦長書体の細字で書された「HOMME」の欧文字を横一列に配した構成よりなるものである。
そして、本願商標を構成する文字は、上記のとおり、各文字の書体及び太さが異なるため、外観上、「IDEAL」の文字と「HOMME」の文字とからなるものと容易に看取される上に、構成中の「IDEAL」の文字は、太字で表されていることから、他の構成部分である「HOMME」の文字に比して看者に強い印象を与えるものである。
また、「IDEAL」の文字は、「理想、究極の目標」等の意味を有する(出典:株式会社研究社 新英和中辞典)英単語と理解されるところ、指定商品の品質を表したものとは認められない。一方、「HOMME」の文字は、「男、男性」等を意味する(出典:株式会社小学館 プログレッシブ仏和辞典 第2版)フランス語の単語であるところ、別掲2のインターネット情報によれば、本願指定商品を含む様々な分野において、「男性用」であることを表示するものとして一般に使用されている実情が確認できるものである。そうすると、本願商標の構成中「HOMME」の文字部分は、本願の指定商品との関係において、自他商品識別標識としての機能が極めて弱い又はその機能を果たさないものとみるのが相当である。
以上よりすると、本願商標は、これをその指定商品に使用するときは、構成中の「IDEAL」の文字部分が強く支配的な印象を与えるものとみるのが相当であって、該文字部分をもって取引にあたる場合も決して少なくないものといえるから、本願商標から該文字部分を要部として分離、抽出し、他人の商標と比較することも許されるものといえる。
したがって、本願商標は、これをその指定商品に使用するときは、要部である「IDEAL」の文字部分に相応した「アイディアル」の称呼及び「理想、究極の目標」の観念を生じるものである。
(2)引用商標について
引用商標は、上段に「IDEAL」の欧文字を、下段に「アイデアル」の片仮名を配した構成よりなるところ、下段の片仮名部分は、上段の欧文字部分の読みの一つを表したものと理解されるものであって、上段の欧文字部分が、出所識別機能を有する特徴のある部分であるといえる。そうすると、引用商標は、「IDEAL」及び「アイデアル」の各文字に相応して、「アイディアル」及び「アイデアル」の称呼が生じ、「IDEAL」の文字に相応して、「理想、究極の目標」の観念を生じるものである。
(3)本願商標と引用商標の類否について
本願商標と引用商標の類否について検討するに、外観においては、いずれも「IDEAL」の欧文字をその構成中に含む点を共通にするものであって、かかる欧文字は本願商標の要部であり、引用商標の出所識別機能を有する特徴のある部分であるから、両商標は、外観上、共通の印象を与えるものである。
称呼においては、上記(1)及び(2)からすれば、「アイディアル」の称呼を同一にする。また、本願商標より生じる「アイディアル」の称呼と、引用商標より生じる「アイデアル」の称呼とは、称呼において識別上重要な要素を占める語頭音を含む「ア」「イ」「ア」「ル」の音を共通にし、異なるところは中間に地位する「ディ」と「デ」の音の相違であるところ、該差異音中「ディ」に含まれる「ィ」の音は、前音の「デ」の音に吸収され、「デ」の音に近似した音として聴取されるものであり、これが比較的聴取されがたい中間に位置することからすれば、該差異音が称呼全体に及ぼす影響は決して大きいものとはいえず、「アイディアル」と「アイデアル」の称呼をそれぞれ一連に称呼したときは、全体の語調、語感が近似し、互いに聞き誤るおそれがある類似のものと判断するのが相当である。
そして、観念においては、上記(1)及び(2)からすれば、「理想、究極の目標」の観念を同一にするものである。
そうすると、本願商標と引用商標は、称呼を同一又は類似にし、観念を同一にするものであって、外観も共通の印象を与えるものであるから、これらを総合的に勘案すると、両商標は、互いに相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
(4)本願商標の指定商品と引用商標の指定商品
本願商標の指定商品中「化粧品,化粧水,乳液,脱毛剤」は、引用商標の指定商品中の「香水類,フケ取り香水,香油,髪膏,おしろい,化粧下」と同一又は類似するものであると認められる。
(5)小括
以上のとおり、本願商標は、先願に係る他人の登録商標である引用商標と類似する商標であり、かつ、引用商標に係る指定商品と類似する商品について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(6)請求人の主張について
請求人は、本願商標は全体観察されることが自然な商標であるとして、以下のとおり主張している。
ア 本願商標は、「IDEAL」の文字部分が取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるとは認められない。
しかしながら、上記(1)のとおり、本願商標は、その構成各文字の書体及び太さが異なることから、「IDEAL」と「HOMME」の文字よりなるものと容易に看取されるものであり、「IDEAL」の文字部分が太字で表されている上、指定商品の品質を表す語でもないことからすれば、本願商標中の「IDEAL」の文字部分は看者に強い印象を与えるものとみるのが相当である。
イ 本願商標の需要者等には、必ずしも英語やフランス語に精通していない一般消費者を含み、当該需要者等は、「HOMME」の文字を、フランス語で男性用であることを表す語としては認識しないことから、本願商標構成中の「HOMME」の文字部分が、自他商品識別標識としての機能がない又は弱い文字と認識されるとは直ちに認められない。
しかしながら、上記(1)のとおり、本願指定商品を含む様々な分野において、「HOMME」の文字が「男性用」であることを表示するものとして一般に使用されている実情が確認できることからすれば、たとえ一般消費者がフランス語に精通していないとしても、「HOMME」の文字については、「男性用」であることを表示したものと認識されるものであって、本願商標構成中の「HOMME」の文字部分は、自他商品識別標識としての機能が極めて弱い又はその機能を果たさないものとみるのが相当である。
ウ 昨今、インターネットを利用した商取引が広く一般に浸透しているところ、インターネットを介した商取引では、特に視覚情報が商標の識別標識としての大きな機能を担っており、本願商標の出所表示機能を有する文字を「IDEAL」と認定することは、本願商標を構成する文字に即しておらず、商標使用者や需要者等に混乱をもたらす恐れがある。
しかしながら、本願指定商品の分野の取引がインターネットによるものに限られているわけではなく、かつ、商標の類否判断において考慮することのできる取引の実情とは、単に当該商標が現在使用されている商品についてのみの特殊的、限定的なそれを指すものではなく、その指定商品全体についての一般的・恒常的な実情を指すものと解すべきであるところ(最高裁昭和47年(行ツ)第33号参照)、請求人の主張する上記実情は、取引における一場面を抽出した特殊的、限定的なものといわざるを得ないものであり、商標の類否判断にあたり考慮すべき一般的、恒常的な取引の実情ということはできない。なお、本願商標の構成において、視覚上、「IDEAL」の文字部分が太字で書され強い印象を与えること、当該「IDEAL」の文字部分が、他の部分との対比において自他商品識別標識としての機能が強い部分といえることからすれば、仮にインターネットを介した商取引の場面について検討したとしても、本願商標から「IDEAL」の文字部分を要部として認定することが需要者等に混乱をもたらすとみるのは相当でない。
よって、本願商標から「IDEAL」の文字部分を要部として分離、抽出し、他人の商標と比較することも許されるものであり、かつ、該文字部分と引用商標を比較したときには類似するものである。
エ 以上のとおり、請求人の主張は採用できない。
(7)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。


別掲

別掲1 本願商標


別掲2 インターネット情報
(1)「OPPEN COSMETICS」のウェブサイト
「OPPEN HOMME オッペン オム」の見出しの下、男性用化粧品が紹介されている。
https://www.oppen.co.jp/item/homme-concept/
(2)「DIOR」のウェブサイト
「メンズスキンケア」の見出しの下、「DIOR HOMME DERMO SYSTEM」として、男性用化粧品が紹介されている。
https://www.dior.com/ja_jp/beauty/%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B1%E3%82%A2/%E8%A3%BD%E5%93%81%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%8A%E3%83%83%E3%83%97/%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%82%BA%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B1%E3%82%A2
(3)「COSMETIC TIMES」のウェブサイト
「ビオテルム」、「BIOTHERM」の見出しの下、「ビオテルム オム<男性専用スキンケア>シリーズ」、「ビオテルムの男性向け化粧品シリーズ「ビオテルム オム(Biotherm Homme)」」の記載がある。
https://www.cosmetic-times.com/brandseries/list?brandSeriesCD=202&stock=00
(4)「FASHION PRESS」のウェブサイト
「ジェラート ピケ オム初のコスメライン誕生、“シトラスミント香る”スキン&ボディケア」の見出しの下、「ジェラート ピケ(gelato pique)のメンズコレクション「ジェラート ピケ オム(GELATO PIQUE HOMME)」から、初のコスメラインが登場。」の記載がある。
https://www.fashion-press.net/news/79204
(5)「YAHOO!JAPANショッピング ビューティーファイブ」のウェブサイト
「ブランド:KENZO」の見出しの下、「アクア ケンゾー プールオム オーデトワレ スプレータイプ 50ml KENZO 香水 AQUA KENZO POUR HOMME」の記載があり、男性用化粧品が紹介されている。
https://store.shopping.yahoo.co.jp/beautyfive/fr3274872357211.html


(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
審理終結日 2022-10-25 
結審通知日 2022-11-01 
審決日 2022-11-15 
出願番号 2021037928 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (W03)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 豊瀬 京太郎
特許庁審判官 鯉沼 里果
板谷 玲子
商標の称呼 アイデアルオム、アイデアル 
代理人 中川 慶太 
代理人 樋口 頼子 
代理人 辻田 朋子 
代理人 下田 一徳 

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