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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W123739
管理番号 1393392 
総通号数 13 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2023-01-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-04-19 
確定日 2023-01-10 
異議申立件数
事件の表示 登録第6512258号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6512258号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6512258号商標(以下「本件商標」という。)は、「Qolo」の欧文字を標準文字で表してなり、令和3年9月7日に登録出願、第12類「自動車並びにその部品及び附属品」、第37類「自動車の修理又は整備,乗物の整備,乗物のバッテリーの充電,電気自動車への充電」、第39類「自動車の貸与,乗物の貸与」を含む第9類、第10類、第12類、第20類、第37類、第39類、第42類及び第44類に属する商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同4年2月3日に登録査定され、同月10日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する登録第600030号の2商標(以下「引用商標」という。)は、「POLO」の文字を横書きしてなり、昭和36年5月12日に登録出願、同37年10月29日に設定登録された登録第600030号商標の商標権の分割に係るものであって、第12類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同63年5月30日に商標権の分割移転の登録がされ、その後、平成15年11月5日に指定商品を第12類「自動車並びにその部品及び附属品(自動車のタイヤ・チューブを除く)」とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第12類「自動車並びにその部品及び附属品」、第37類「自動車の修理又は整備,乗物の整備,乗物のバッテリーの充電,電気自動車への充電」及び第39類「自動車の貸与,乗物の貸与」(以下「申立商品・役務」という。)について、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきものである旨申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第27号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標と引用商標の類否
本件商標も引用商標も一連で書された欧文字4文字からなる商標であるから、商標全体で類否は判断されるべきである。
ア 外観
本件商標は、語頭の「Q」のみが大文字、続く「olo」は小文字で書されている。一方、引用商標は、全て大文字で「POLO」と書されている。両商標は、語頭の「Q」「P」は異なるが、続く「olo」及び「OLO」は大文字か小文字かの違いにすぎないから、両者は互いに近似する。
イ 称呼
本件商標は、「Q」から始まる4文字構成の造語である。我が国で一番馴染みのある外国語である英語には、「Q」から始まる単語は非常に少なく、例えば、研究社の新英和大辞典に「Q」の項は9頁しかない。英語で「Q又はq」の後ろに「U又はu」以外のアルファベットがくるのは、ほぼ略語か外来語の発音を英語表記したものである(甲3)。「Qo」で始まる単語は新英和大辞典に4つしか採用がなく、それらは、それぞれ略語、イランの地名、ヘブライ語及びアラビア語を英語表記した、用いられることが極めて稀なつづりである(甲3〜甲5)。そうなると、本件商標を目にする需要者は、よく知られている英単語を基に称呼すると考えるのが自然である。「Queen(クイーン)」「question(クエスチョン)」「quick(クイック)」「quiz(クイズ)」等、いずれも語頭の「Q/q」は無声音(のど仏が震えない音)であるから、アクセントは「クイーン(決定注:クは小さい文字。以下、この段落の下線部分について同様。)」「クエスチョン」「クイック」「クイズ」のように第2音にきて、「ク」は息と共に吐き出すように発音される。よって、本件商標からは、2番目に位置するアルファベット「o」にアクセントを置き母音が強調された「コオロ」又は「クオロ」の称呼が生じる。一方、引用商標の語頭に位置する「P」はやはり無声音であるから、のどの震えはない。そこで、2番目に位置するアルファベット「o」にアクセントを置き母音が強調された「ポオロ」と称呼される。よって、両商標を比較すると、一般的には聞き取りやすいといわれている語頭音がどちらも無声音であり、かつ、アクセントが次の音にあるために聞き取りにくく(甲6)、続く音である「オロ」が共通するから、称呼において両商標は類似する。
ウ 観念
本件商標は造語であるから、特定の観念は生じない。一方、引用商標は後述するように申立人の商標として我が国において周知であるから、「フォルクスワーゲン社が製造・販売する自動車であるPOLO」の観念が生じる。よって、比較することはできない。
エ まとめ
前記のとおり、本件商標と引用商標は、その外観において近似し、称呼において類似する。たとえ観念を比較することができないとしても、両商標は互いに類似する商標である。
(2)本件商標と引用商標の指定商品・役務の類否
本件商標は、第12類の指定商品中「電動式乗物,自動車並びにその部品及び附属品」、第37類の指定役務中「自動車の修理又は整備,乗物の整備,乗物のバッテリーの充電,電気自動車への充電」、及び第39類の指定役務中「自動車の貸与,乗物の貸与」が、引用商標の指定商品等と同一又は類似する。
(3)結論
本件商標は、引用商標と類似する商標であり、その指定商品等も同一又は類似するものを含んでいる。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)引用商標の周知著名性について
ア 引用商標は、申立人が商品「自動車」について長年使用し、本件商標登録出願時には、既に需要者・取引者間において、申立人の取扱いに係る商品「自動車」を表示する商標として既に広く認識され周知著名となっており、かつ、本件商標の登録査定時にもその周知著名性が継続していたものである。
イ 自動車「POLO」は、1975年に欧州で初代が発売され、我が国には1982年に二代目が輸入され、1996年より本格的に輸入されて現在に至るまで、継続的に日本国内において販売されている(甲7〜甲12)。
ウ 日本自動車輸入組合が発表する外国メーカー車モデル別新車登録台数順位では、「POLO」は、2003年以降2021年まで常に年間で上位7位以内に入っており、2022年第1四半期は第3位であって、2003年1月〜2021年12月の19年間で総合第5位(計216,247台)の新車が登録され、1996年以降では総計30万台以上が我が国に輸入・販売されている(2022年6月時)、我が国で大変人気の高い申立人の主力車種の一つである(甲9〜甲12)。
エ また、世界的にはこれまで累計2050万台を超えるセールスを記録している、ワールドワイドなベストセラーカーである(甲9)。
オ 申立人が製造・販売する「POLO」は、モデルチェンジを繰り返しながら現在に至っている大変息の長い商品であるが、その間に多くの賞を国内・国外を問わず受賞している。我が国においては、市販を前提として日本国内で発表された乗用車の中から年間を通じて最も優秀な車を日本カー・オブ・ザ・イヤー(略称「COTY」)が選定する、日本における二大カー・オブ・ザ・イヤーの1つでもある「日本カー・オブ・ザ・イヤー」において、第31回(2010−2011年次)の「日本カー・オブ・ザ・イヤー」は僅差で次点、「インポート・カー・オブ・ザ・イヤー」を過去最高点で受賞し、第39回(2018−2019年次)は「日本カー・オブ・ザ・イヤー」の第3位を獲得すると同時に「10ベストカー」にも選出された(甲13)。
カ また、二大カー・オブ・ザ・イヤーの他方であるNPO法人日本自動車研究者ジャーナリスト会議(略称「RJC」)が選定する「RJCカー・オブ・ザ・イヤー」においては、第6回(1996−1997年次)、第10回(2000−2001年次)、第20回(2010−2011年次)に「RJCカー・オブ・ザ・イヤー=インポート」、第24回(2014−2015年次)及び第28回(2018−2019年次)に「RJCカー・オブ・ザ・イヤー=インポート」ベスト6等の受賞歴がある(甲14)。COTYとRJC双方のカー・オブ・ザ・イヤーを同時に獲得したのは、「POLO」が初めてであった(甲15)。これらの受賞歴は新聞・雑誌等で広く報道されるから、「POLO」の優れたデザイン性や高品質な性能を取引者・需要者が認識することに寄与する。さらに、NPO法人日本自動車殿堂の「インポート・カー・オブ・ザ・イヤー」を2010−2011年次に受賞し、三冠を達成している(甲15、甲16)。
キ 全国40万人の登録ユーザーが提供するデータを基にして燃費の優秀な車に与えられる「e燃費アワード」では、申立人の「POLO」シリーズは、第5回(2010−2011年次)に輸入車部門と新型車部門双方で第1位を受賞、第7回(2012−2013年次)にも輸入車部門で第1位、5位及び6位を獲得し、国土交通省と独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)が実施した自動車アセスメントにおいて、平成22年度(2010年度)に衝突安全性能総合評価で輸入車初となる最高の「六つ星+」を、2019年度には予防安全性能評価でこれも輸入車初となる最高評価の「ASV+++」(トリプルプラス)を獲得している(甲17、甲18)。
ク 雑誌「GQ」が主催する「GQカー・オブ・ザ・イヤー」のコンパクトカー部門で、2018年の「GQカー・オブ・ザ・イヤー」を受賞し、雑誌やインターネット等で報道された(甲19)。
ケ 国外では、23か国59人のモータージャーナリストによって選ばれる「欧州カー・オブ・ザ・イヤー2010」を受賞し(甲20)、世界25か国59名の審査員の投票で「ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー2010」と「ワールド・グリーン・カーアワード」を同時受賞し、2018年には、世界24か国80名以上の国際的な選考委員により、特に大都市圏の交通量の多い地域における使い勝手に優れた車に授与される「ワールド・アーバン・カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞するなど、申立人が製造・販売する「POLO」が世界的にも高く評価されていることが分かる(甲21)。また、このような受賞歴は、需要者が新たに自動車を購入する際に、どの車種にするかを決定するための大きな要因の一つとなり、販売台数を伸ばすサポートとなり、ひいては「POLO」の周知著名性を高める後押しとなる。
コ 「POLO」は欧州で自動車アセスメントを手掛けるEuroNCAPの衝突安全性試験で、2009年、2017年及び2022年にいずれも最高評価の5つ星を獲得している(甲22〜甲24)。これにより、「POLO」が最も安全性の高いコンパクトカーの1台であることが認定された。
サ 申立人の製造・販売する市販車「POLO」を改良したワールドラリーカーは、主要日本自動車メーカーのほとんどが参戦しているFIA世界ラリー選手権(略称「WRC」)で申立人が活動していた2013年から2016年の4年間、すべてのシーズンで総合優勝を達成するという偉業を成し遂げ、「POLO」の名は更に高まった(甲25)。
シ 「POLO」を含む申立人の自動車を扱う申立人の国内正規代理店は全国にあり(甲26)、その他の販売店(中古車販売店も含む)も全国に存在し、また「POLO」はファミリー層を始めとするあらゆる購買層向けの車種であって、上記したように優れた品質を有していることで知られ、引用商標「POLO」を使用する申立人の業務上の信用をも高めている。
ス 以上の事実からしても、引用商標は、本件商標の登録出願時には、既に申立人の業務に係る商品「自動車」を表示する商標として、自動車関連業界の取引者、需要者のみならず、一般人においても周知著名であり、その周知著名性は、本件商標の登録査定時においても継続していたことは疑念のないところである。
(2)申立人の商品との混同を生ずるおそれについて
ア 引用商標は、申立人の商標として周知著名なものであるところ、申立人は、自動車の製造販売のみならず、自転車やアウトドア用品、スーツケース、ゴルフ用品、衣類、事務用品などの商品をも製造・販売しており、その事業は自動車に限るものでなく広範囲にわたっている(甲27)。また、本件商標は、前記したように、自動車に関連する商品・役務を指定して登録となっている(甲1)。
イ 本件商標は、申立人の周知著名な引用商標に類似する商標であるから、本件商標に接する需要者・取引者は、引用商標を容易に連想又は想起し、本件商標に係る商品及び役務が申立人又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に関わる商品及び役務であると捉えるから、その商品の出所及び役務の提供について混同を生じさせるおそれがある。
ウ 本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標は、その外観において近似し、称呼において類似するから、たとえ観念を比較することができないとしても、両商標は互いに類似する商標である。
(3)結論
前記のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
3 むすび
上記のとおり、本件商標登録は、商標法第4条第1項第11号及び/又は同項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである。

第4 当審の判断
1 引用商標の周知著名性について
(1)申立人の提出した証拠、同人の主張及び職権調査によれば、以下のとおりである。
ア 申立人及び使用する商品について
(ア)申立人は、世界有数の自動車メーカーであって、「POLO」の文字(引用商標)を自動車について使用している(甲12、職権調査)。
(イ)引用商標を使用した自動車(以下「申立人商品」という。)は、1975年に欧州で発売され、我が国には1996年より本格的に輸入され、現在まで継続して、我が国において販売されている(甲8、甲12)。
イ 販売数量について
(ア)申立人商品は、1996年以降、我が国に総計30万台以上輸入・販売されている(甲8、甲9)。
(イ)日本自動車輸入組合の調査によれば、申立人商品は、2003年ないし2021年の間、「外国メーカー車モデル別新車登録台数順位」において、常に年間で上位7位以内に入っている(甲10)。
ウ 受賞歴について
(ア)申立人商品は、「日本カー・オブ・ザ・イヤー」の第31回(2010−2011年次)において第2位を獲得、第39回(2018−2019年次)においては、第3位を獲得すると同時に「10ベストカー」に選出された(甲13)。
(イ)申立人商品は、NPO法人日本自動車研究者ジャーナリスト会議の「RJCカー・オブ・ザ・イヤー」において、第6回(1996−1997年次)、第10回(2000−2001年次)、第20回(2010−2011年次)、第24回(2014−2015年次)及び第28回(2018−2019年次)の5回にわたり、「RJCカー・オブ・ザ・イヤー=インポート」等を受賞した(甲14)。
(ウ)申立人商品は、NPO法人日本自動車殿堂の「インポート・カー・オブ・ザ・イヤー」を2010年に受賞した(甲16)。
(エ)申立人商品は、株式会社イードが行う燃費データベース分析結果に基づく「e燃費アワード2010〜2011」において、輸入車部門で1位及び新型車部門で2位、「e燃費アワード2012〜2013」において、輸入車部門で1位を獲得した(甲17)。
(オ)申立人商品は、国土交通省と独立行政法人自動車事故対策機構が実施した、平成22年度自動車アセスメント(JNCAP)の衝突安全性能総合評価で最高の「六つ星+」を、2019年度自動車アセスメント(JNCAP)予防安全性能評価で最高評価の「ASV+++」をそれぞれ獲得した(甲18)。
(カ)申立人商品は、雑誌「GQカー・オブ・ザ・イヤー」のコンパクトカー部門において、2018年の「GQカー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した(甲19)。
エ 販売地域について
申立人商品を含む申立人の製造に係る自動車を扱う申立人の国内正規代理店が、本件商標の登録出願前から現在まで、全国に存在することがうかがえる(甲26、職権調査)。
(2)上記(1)の事実からすれば、申立人商品は、本件商標の登録出願の日前から登録査定日はもとより、現在まで継続して、我が国の需要者の間に広く認識されているといえるものである。
そうすると、申立人商品について使用されている引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品(自動車)を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているものと判断するのが相当である。
2 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標
本件商標は、上記第1のとおり、「Qolo」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、辞書類に載録されている語ではなく、特定の意味合いをもって親しまれている語でもないことから、特定の観念を有しない一種の造語として認識、把握されるものである。
そして、欧文字からなる特定の観念を生じない造語にあっては、我が国において親しまれているローマ字読み又は英語の読みに倣って称呼するのが自然であるところ、本件商標のように、「Qo」の文字を構成中に有する単語はほとんど見当たらないものの、例えば、「Qatar(カタール)」や「Queen(クイーン)」の語において、「Qa」の文字部分は「カ」、「Qu」の文字部分は「ク」と発音されるように、「Q」の後に母音が続く場合、その部分は、カ行の子音と当該母音をもって発音されるという法則性がうかがえることからすれば、本件商標については、構成中の「Qo」の文字部分を「コ」と発音し、全体として「コロ」と称呼されるものとみるのが相当である。
そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して「コロ」の称呼を生じるものであり、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標
引用商標は、上記第2のとおり、「POLO」の文字を横書きしてなるところ、これは、「馬上球戯」(株式会社大修館書店 ジーニアス英和辞典第5版)の意味を有する語であり、かつ、上記1のとおり、申立人商品が需要者の間に広く認識されていることを考慮すれば、引用商標は、「馬上球戯」及び「申立人の製造・販売に係る自動車のポロ(POLO)」の観念を生じるとみるのが相当である。
(3)本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標を比較すると、両商標の外観については、いずれも少ない4文字構成の冒頭において、「Q」と「P」の文字の差異を有するところ、この差異が両者の外観全体に与える影響は決して少なくないというべきであるから、両者は外観において相紛れるおそれはない。
次に、称呼については、本件商標から生じる「コロ」の称呼と、引用商標から生じる「ポロ」の称呼とは、極めて短い2音の音構成において、称呼の識別上重要な要素である語頭に「コ」と「ポ」の音の差異を有するところ、この差異が両称呼全体に与える影響は大きく、両者は明瞭に聴別できるものである。
さらに、観念については、本件商標は特定の観念を生じないのに対し、引用商標は「馬上球戯」及び「申立人の製造・販売に係る自動車のポロ(POLO)」の観念を生じるものであるから、両者は観念において紛れるものではない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのないものであるから、両者は非類似の商標というのが相当である。
(4)小括
以上のとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから、本件商標の申立商品・役務中に、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品が含まれるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号について
(1)本件商標と引用商標の類似性の程度
本件商標と引用商標は、上記2のとおり、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異のものといえるから、類似性の程度は極めて低い。
(2)引用商標の周知著名性
引用商標は、上記1のとおり、申立人商品を表示するものとして、需要者の間に広く知られていたものと認められる。
(3)引用商標の独創性
引用商標は、上記2のとおり、元来「馬上球戯」の意味を有する成語であるから、その独創性は高いものとはいえない。
(4)引用商標がハウスマークであるかについて
引用商標が、申立人のハウスマークであるといい得る事情は見いだせない。
(5)商品・役務間の関連性
本件商標の申立商品・役務である「自動車並びにその部品及び附属品,自動車の修理又は整備,乗物の整備,乗物のバッテリーの充電,電気自動車への充電,自動車の貸与,乗物の貸与」は、いずれも申立人商品である「自動車」に関連する商品及び役務であるといえるから、商品・役務間の関連性を有するものとみるのが相当である。
(6)出所混同のおそれについて
上記(1)ないし(5)のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品の出所を表示する標章として、我が国の需要者の間に広く知られていたものと認められ、本件商標の申立商品・役務は、申立人商品と関連性を有するものであるといえる。
しかしながら、引用商標は、申立人のハウスマークでもなく、その独創性も高いものとはいえず、何より、本件商標と引用商標は、非類似の商標であって別異のものというべきであり、その類似性は極めて低いものである。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれを申立商品・役務に使用した場合に、他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品・役務の出所について混同を生じさせるおそれはないものと判断するのが相当である。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標は、申立商品・役務について、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも該当するものでなく、その登録は、同条第1項の規定に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
異議決定日 2022-12-28 
出願番号 2021111377 
審決分類 T 1 652・ 261- Y (W123739)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 冨澤 美加
特許庁審判官 森山 啓
小林 裕子
登録日 2022-02-10 
登録番号 6512258 
権利者 Qolo株式会社
商標の称呼 コロ 
代理人 佐久間 洋子 
代理人 高橋 正宏 
代理人 江崎 光史 
代理人 田崎 恵美子 
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