ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード![]() |
審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W09 |
---|---|
管理番号 | 1393382 |
総通号数 | 13 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2023-01-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2022-03-24 |
確定日 | 2022-12-22 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6495307号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6495307号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第6495307号商標(以下「本件商標」という。)は「perse」の文字を標準文字で表してなり、令和3年6月30日に登録出願、第9類「コンタクトレンズ,眼鏡」を指定商品として、同年12月2日に登録査定、同4年1月5日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立人が引用する商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は次のとおりであり(以下、まとめていうときは「引用商標」という。)、いずれも現に有効に存続しているものである。 (1)登録第631704号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の構成 別掲1のとおり 登録出願日 昭和37年10月25日 設定登録日 昭和38年12月11日 指定商品 第9類「眼鏡,眼鏡の部品及び附属品」(平成17年2月2日 に書換登録) (2)登録第1766767号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の構成 「PERSOL」の欧文字を横書きしてなる 登録出願日 昭和49年9月26日 設定登録日 昭和60年5月30日 指定商品 第9類「眼鏡」及び第14類「時計」(平成18年9月6日に 書換登録) (3)登録第2577312号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の構成 別掲2のとおり 登録出願日 平成2年12月4日 設定登録日 平成5年9月30日 指定商品 第9類「眼鏡,眼鏡用フレーム,眼鏡用レンズ,眼鏡用ケース ,その他の眼鏡の部品及び附属品」(平成16年10月6日に書換登録) 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第15号、同項第16号、同項第19号及び同項第7号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証を提出した。 (1)申立人について 申立人は、イタリア・ミラノに本拠を置き、世界最大の眼鏡・アイウェアメーカーであり、ヨーロッパやアメリカ合衆国を中心に多くの有力ブランドを保有している。 申立人は、欧米の有力眼鏡メーカーを続々買収し、2010年代に入るとラテンアメリカの眼鏡メーカーも買収、2014年にアメリカのWellPoint,Inc.からアイウェア販売サイトGlasses.comを買収している。1999年にシャネルと、2003年にプラダ及びヴェルサーチを始め、ファッションブランドとのライセンス契約を結び、ファッションブランドへの関与も強化している。 申立人の売上高は、2016年9086百万ユーロ、2017年9157百万ユーロに達している(甲3)。 この結果、申立人の英文サイトに紹介されているように、申立人は、多くの世界的に著名なファッションブランドの元、アイウェア製品・サングラスを世界的に製造・販売するに至っている。そのほとんどが、いずれもファッション商品・アパレル商品等の世界においては、誰でもが知っている著名な商標であることは明らかである。 (2)「Persol(ペルソール)」について ア 「Persol(ペルソール)」は、サングラス、フレーム等のアイウェアについて広く使用されている申立人の著名な商標である。 第三者のサイトから「Persol」(ペルソール)を紹介した記事で紹介されている(甲4)ように、「Persol」(ペルソール)は、イタリア発祥のブランドである。 写真家で眼鏡店オーナーのジュゼッペ・ラッティが、1917年にアイウェア会社「ラッティ・オプティカル・インダストリーズ」を設立、使いやすく壊れにくいラッティのメガネは、空軍パイロットやカーレーサーに重宝され、1938年にはブランド名を「Persol」に変更した。 「Persol」は、イタリア語の「Per il Sol(太陽のため)」に由来するブランド名であり、太陽光線から目を守れるアイウェアを作りたいというラッティの情熱がこめられていた。 その後、例えば、世界で初めてサングラスに強化ガラスやUVカットレンズを採用し、人々を驚かせ、また、しなやかに曲がるテンプル、小さく折りたためるギミックなど、革新的でユニークな構造を次々と発表した。 さらに、Googleの「persol celebrities」(persol著名人)の画像検索結果(甲4)からも示されるように、「Persol」(ペルソール)のサングラスは、演劇・映画界を中心に世界のスター・セレブたちの間で大人気となっており、申立人が所有する「Ray−Ban」(レイバン)にも匹敵する有名ブランドとなっている。 イ 日本国内において、検索エンジンを用いて「Persolサングラス」を検索したところ、Google検索結果:2,240,000件検出、Yahoo検索結果:2,280,000件検出、AMAZON検索結果、楽天市場検索結果(甲5)のように、ネット通販においても申立人の「Persol」(ペルソール)サングラスが広く取り扱われていることは明らかである。 また、国内での広報・宣伝活動の一環を示すために、「2017年 春−秋 国内雑誌での紹介記事」(甲6)、広く世界的に販売している事業活動の一環を示すために、申立人の広告の例示(甲7)、定期的に世界に向けてプレスリリースを発行・頒布(甲8)、様々なサイト記事からの抜粋(甲9)のように、申立人の商標「Persol」(ペルソール)は、サングラスについて日本国内のみならず世界的にも広く知られている。 (3)商標法第4条第1項第15号について ア 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品を検討してみると、「コンタクトレンズ,眼鏡」に対して、それぞれ「眼鏡,眼鏡の部品及び附属品」(引用商標1)、「眼鏡」(引用商標2),「眼鏡,眼鏡用フレーム,眼鏡用レンズ,眼鏡用ケース,その他の眼鏡の部品及び附属品」(引用商標3)であるから、両者の指定商品が抵触することは明確である。 イ 本件商標「perse」は、「ペルセ」又は「ペルーセ」と称呼され、引用商標の称呼は、「ペルソール」であるから、両者は近似している。 また、本件商標は、引用商標の「PERS(Pers)」の4文字部分が完全に一致し、相違は、最後の1文字「e」と2文字「OL(ol)」でしかない。 そうすると、申立人が永年にわたり使用してサングラス等につき周知となっている引用商標に近似した本件商標を、サングラスを含む指定商品「コンタクトレンズ,眼鏡」につき使用されてしまうと、申立人の業務に係る商品であると誤認し商品の需要者が商品の出所について混同するおそれがあるだけでなく、申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し商品の需要者が商品の出所について混同するおそれもあるから、本件商標が商標法第4条第1項第15号に違反することは明らかである。 (4)商標法第4条第1項第16号について 申立人が永年にわたり使用してサングラス等につき周知となっている引用商標と近似した本件商標がサングラス等に使用されると、申立人が厳しい品質管理のもと製造販売している商品であるかのごとく誤解を与えることから、品質の誤認を招き、商標法第4条第1項第16号に違反する。 (5)商標法第4条第1項第7号及び同項第19号について 申立人が永年にわたり使用してサングラス等につき周知となっている引用商標と近似した本件商標は、申立人の商標に化体した信用・名声にフリーライドするために使用しようとするものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当するとともに、そのような行為は信義誠実を旨とする国際商取引秩序を危うくする行為であるから、本件商標は商標法第4条第1項第7号にも違反する。 4 当審の判断 (1)引用商標の周知性 申立人の提出に係る証拠及び申立人の主張によれば、以下のとおりである。 ア 申立人は、イタリア・ミラノに本拠を置く眼鏡メーカーであり、ファッションブランドとのライセンス契約を結び、ヨーロッパやアメリカ合衆国を中心に多くの有力ブランドを保有している(甲3:ウィキペディア記事)。 申立人の2017年決算資料(甲3)には、グループの売上高が2016年には、9086百万ユーロ、2017年には、9157百万ユーロとなっているが、有力ブランドを保有するグループ全体のものであって、引用商標を使用している商品の売上高は明らかにされておらず、かつ、市場シェアも確認できないものであるから、当該売上高についての評価はできない。 イ 甲第4号証には、「OmgPres.メガネスタイルマガジン」のウェブサイトに、「【ここなら買える!】都内で人気のPersol(ペルソール)取扱店9選」(2018.07.26)の見出しの下、「特にサングラスは絶大な人気を誇り、Ray−ban(レイバン)と並ぶ2大ブランドとして知られています。でも、いざ買おうと思ってメガネショップをめぐっても、なかなか見つからない・・・そんな声にこたえ、今回は、Persolのアイウェアを買える都内のメガネショップをたっぷり9店補ピックアップしました。」の記載、「ちょこっとおさらい!『Persolってどんなブランド?』」の項には、「イタリアが生んだ、機能美アイウェアブランド」の記載の下、サングラスを着用している写真と共に引用商標3が表示されている。 同「ミナミメガネ」のウェブサイトは、2021年10月26日の内容であって、本件商標の登録出願後のものである。また、「EYEWEAR/MEBIUS」のウェブサイト及びGoogleの「persol celebrities」の画像検索結果」は、引用商標3が表示されているものの、掲載日が確認できない。 ウ Google、Yahooにおける「Persolサングラス」及びAMAZON、楽天市場における「Persol」の検索結果(甲5)は、本件商標の登録出願時及び登録査定時のものとはいえない。 エ 「2017年 春−秋 国内雑誌での紹介記事」(甲6)は、発行日も確認できない各雑誌の抜粋であって、一部不鮮明なものがある。そして、ファッション関連雑誌にPersolのサングラスが他の商品とともに紹介されているものの、引用商標に関する特集記事でもないものである。 申立人の広告の例示(甲7)とするものは、眼鏡やサングラスに主に引用商標3が表示された英語版のものであって、その発行年、発行部数、頒布先などについては、不明である。 申立人製品のプレスリリースの例示(甲8)は、引用商標3が表示され、「RERSOL COLLECTION 2017」とする表題の英語版のものであるが、これがどこへ配信したものであるか不明である。 Persolに関するサイト記事からの抜粋(甲9)は、英語版で主にPersolの歴史を紹介しているものである。 オ 以上からすると、眼鏡やサングラスに引用商標3を表示し、我が国及び外国で販売されていることから、引用商標3は、サングラスの需要者の間には一定程度知られていることはうかがえるとしても、引用商標1及び引用商標2について、眼鏡やサングラスに表示している事実は見出せない。加えて、引用商標に係る広告宣伝の実施規模、各国別の市場シェア等を裏付ける証拠の提出がない。 そうすると、申立人の提出に係る証拠からは、引用商標が、申立人の業務に係る商品について使用する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国又は外国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとは認めることができないというべきである。 (2)商標法第4条第1項第15号該当性について ア 本件商標と引用商標の類似性について (ア)本件商標は、前記1のとおり、「perse」の欧文字を表してなるところ、その構成文字に相応して「パース」の称呼を生じるというべきであり、当該語は辞書等に掲載が認められないことから、特定の観念は生じない。 (イ)引用商標1は、別掲1のとおり、図形と筆記体風の「Persol」の文字の下に左下から右上にかけて細くなる斜め線を配した構成からなり、また、引用商標3は、別掲2のとおり、筆記体風の「Persol」文字の下に左下から右上にかけて細くなる斜め線を配した構成からなり、引用商標2は、「PERSOL」の欧文字からなるものであるから、引用商標は、それぞれの構成文字に相応して、「パーソル」の称呼を生じ、また当該語は辞書等に掲載が認められないことから、特定の観念は生じないというべきである。 (ウ)本件商標と引用商標の外観を比較すると、全体の構成態様を異にし、文字部分だけをみても語尾にある「e」と「ol(OL)」の文字に差異を有するものであるから、両者は、外観において区別できるというべきである。 次に、本件商標から生じる「パース」の称呼と引用商標から生じる「パーソル」の称呼を比較すると、語頭の「パー」の音を共通にするとしても、短い音構成における「ス」と「ソル」の音の差異は、全体の称呼に及ぼす影響は大きく、聴別できるものである。 また、両者の観念については、ともに特定の観念が生じないものであるから、観念において比較することができない。 以上からすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において、相紛れるおそれのないものというべきであるから、その類似性の程度は低いものといえる。 イ 引用商標の周知性について 引用商標は、上記(1)のとおり、申立人の業務に係る商品について使用する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとは認めることができないというべきである。 ウ 出所の混同のおそれについて 上記ア及びイのとおり、本件商標と引用商標の類似性の程度が低く、引用商標は、申立人の取扱いに係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているとは認めることはできないことからすれば、本件商標に接する取引者、需要者が、申立人の業務に係る引用商標を連想又は想起するものということはできない。 そうすると、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者が、引用商標を連想又は想起することはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。 エ 小括 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第7号及び同項第19号該当性について 引用商標は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国又は外国の需要者の間で、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、広く認識されていたとは認められないものである。 また、本件商標は、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるようなものでないことは、明らかであり、さらに、社会の一般的道徳観念に反するなど、公序良俗に反するものというべき証左も見あたらない。 さらに、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、本件商標権者が引用商標にフリーライドするなど不正の目的をもって本件商標を使用するものであると認めるに足りる証拠は見いだせない。 そうすると、申立人が提出した証拠からは、本件商標権者が引用商標の名声を毀損させることを認識し、本件商標を不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用するものと認めることはできない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同項第19号に該当しない。 (4)商標法第4条第1項第16号該当性について 本件商標は、「perse」の欧文字を表してなるところ、申立人の提出に係る証拠をみても該文字が商品の品質等を表示するものとはいえない。 そうすると、本件商標は、商品の品質について誤認するとはいい難いから、商標法第4条第1項第16号に該当しない。 (5)むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第15号、同項第16号及び同項第19号に該当するとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲1(引用商標1) ![]() 別掲2(引用商標3) ![]() (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。 |
異議決定日 | 2022-12-14 |
出願番号 | 2021081553 |
審決分類 |
T
1
651・
22-
Y
(W09)
|
最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
小松 里美 |
特許庁審判官 |
鈴木 雅也 藤村 浩二 |
登録日 | 2022-01-05 |
登録番号 | 6495307 |
権利者 | PIA株式会社 |
商標の称呼 | パース、ペルス |
代理人 | 弁理士法人浅村特許事務所 |