• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W03
管理番号 1393381 
総通号数 13 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2023-01-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-03-22 
確定日 2023-01-05 
異議申立件数
事件の表示 登録第6493114号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6493114号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6493114号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和3年4月21日に登録出願、第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,つけまつ毛用接着剤,口中清涼剤,口臭用消臭剤,動物用防臭剤,塗料用剥離剤,靴クリーム,靴墨,つや出し剤,せっけん類,入れ歯洗浄剤,歯磨き,洗口液,化粧品,薫料,香料,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として、同年11月24日に登録査定され、同年12月28日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する登録商標は、以下の4件の商標であり、いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第5496224号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様 別掲2のとおり
指定商品 第3類 「洗濯用漂白剤,洗濯用剤,洗浄剤(煙突用化学洗浄剤を除く。),つや出し剤,クレンザー,研磨剤(研磨用補助液及び歯科用のものを除く。),せっけん類,精油,化粧品,頭髪用化粧品,歯磨き」
登録出願日 平成23年11月1日
優先権主張 2011年5月4日 域内市場における調和のための官庁(商標及び意匠)
設定登録日 平成24年5月25日
2 登録第6208454号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様 別掲3のとおり
指定商品 第3類「洗剤その他の洗濯用剤(「洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり」を除く。),洗濯用添加剤(「洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり」を除く。),洗濯用漂白剤,しみ抜き剤,洗浄剤(煙突用化学洗浄剤を除く。),つや出し剤,擦り磨き剤及び研磨剤,織物の美しさと質感を持続させるための洗濯用剤(「洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり」を除く。),織物柔軟剤,洗濯用仕上げ剤(「洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり」を除く。),洗濯用青み付け剤,家庭用せっけん」
登録出願日 平成30年9月3日
設定登録日 令和元年12月20日
3 登録第6216635号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の態様 別掲3のとおり
指定商品 第5類「消毒剤,医療用の消毒用洗浄剤,家庭用又は衛生用の消毒剤,洗濯用殺菌剤」
登録出願日 平成30年9月3日
設定登録日 令和2年1月16日
4 登録第6425554号商標(決定注:登録第6425444号商標の誤りと思われる。)(以下「引用商標4」という。)
商標の態様 別掲4のとおり
指定商品 第3類「洗濯用洗浄剤及び洗濯用剤(洗濯用でん粉のり・洗濯用ふのりを除く),洗濯用添加剤(洗濯用でん粉のり・洗濯用ふのりを除く),洗濯用漂白剤,しみ抜き剤,洗浄剤(煙突用化学洗浄剤を除く。)、つや出し剤、擦り磨き剤及び研磨剤,布の美しさ及び質感を維持するための洗濯用剤(洗濯用でん粉のり・洗濯用ふのりを除く),織物柔軟剤,洗濯用仕上げ剤(洗濯用でん粉のり・洗濯用ふのりを除く),洗濯用青み付け剤,家庭用せっけん,家庭用消毒効果を有する洗浄剤,衛生用消毒効果を有する洗浄剤」及び第5類「消毒剤,医療用消毒効果を有する洗浄剤,洗濯用殺菌剤」
登録出願日 令和2年9月3日
設定登録日 令和3年8月5日
以下、引用商標1ないし引用商標4をまとめていうときは、「引用商標」という。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第10号、同項11号及び同項15号に該当し、商標登録を受けることができないものであるから、商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものである旨申立て、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第12号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)指定商品の類否について
本件商標の指定商品のうち、「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,つけまつ毛用接着剤,口中清涼剤,口臭用消臭剤,動物用防臭剤,靴クリーム,靴墨,つや出し剤,せっけん類,入れ歯洗浄剤,歯磨き,洗口液,化粧品,香料,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙」については、引用商標に係る指定商品と同一又は類似のものである。
(2)商標の類否について
ア 外観上の類否について
本件商標は、別掲1のとおり、縦方向、左下から右上方向、及び左上から右上(決定注:「右下」の誤りと思われる。)方向にそれぞれ広がる3つの楕円形の輪の図形を有し、中央部分には球体を有する図形により構成されている。
引用商標1及び引用商標2ないし引用商標4の図形部分(以下、これらをまとめていうときは、「引用図形商標」という。)は、別掲2ないし別掲4のとおり、本件商標と同様に縦方向、左下から右方向にそれぞれ広がる3つの楕円形の輪の図形を有し、中央部分は白色の円形の図形と、円形図形から放射状に線が伸びて光を表している図形により構成されている。
両者を比較すると、本件商標は中央部が球体、引用図形商標は中央部が光を表す図形という違いは有しているものの、両者はともに3つの楕円形の輪の図形を有している点で共通している。
そして、両者はともに輪の太さを一定にするのではなく、輪の奥側を細く、輪の手前側を太くすることで、輪の形状を立体的に表している点も共通している。
このように、本件商標と引用図形商標は多くの点で共通点を有しており、引用図形商標は、特に「洗濯用洗剤」をはじめとした洗濯用の商品との関係において、申立人の出所を表す商標として需要者の間に広く認識されている商標であることから、本件商標に接した需要者は、多くの共通点を有する引用図形商標とは、外観において相紛れるおそれがあると認識されるべきものである。
以上より、本件商標と引用図形商標は、外観上、類似する商標である。
イ 称呼上及び観念上の類否について
本件商標は、特に文字要素をその構成要素に含んでいないことから、特段の称呼及び観念を有していない。
引用商標のうち、本件商標と類似する引用図形商標は文字を有していないことから、本件商標と同様に特段の称呼及び観念を有していない。
そのため、本件商標と引用図形商標は、称呼及び観念において対比できるものではない。
類否判断まとめ
本件商標は、申立人が保有する引用図形商標との関係で、称呼及び観念において対比することはできないものの、外観上、出所混同が生じる程度に類似するため、全体としても類似する商標に該当する。
(3)本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について
上述のとおり、本件商標と申立人が保有する引用図形商標は、商標が互いに相紛れて、需要者の間に出所が混同する程度に類似する商標であり、かつ、同一又は類似の指定商品について使用をするものであることから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたことは明らかである。
2 商標法第4条第1項第10号について
(1)本件商標(決定注:「引用商標」の誤りと思われる。)の著名性について
引用図形商標は、アメリカの企業で、世界最大の一般消費財メーカーである申立人が世界中で販売する洗濯用洗剤のブランドである「アリエール、ARIEL(以下「アリエール」という。)」とともに使用するロゴマークである。
「アリエール」は、1967年(昭和42年)にヨーロッパで販売が開始された後、1986年(昭和61年)からは我が国においても販売が開始され(甲3)、販売から35年以上経過した今日、多種多様な洗濯用洗剤が販売される中、市場シェアは3割近くと、第2位のシェアを有しており(甲4)、需要者の間に広く認識されている「洗濯用洗剤」のブランドの一つである。
「アリエール」は、1967年(昭和42年)の販売開始時から、原子をイメージし、原子核を取り巻く電子の輪として、3つの輪の図形を用いた図形をブランドロゴとしており(甲5)、我が国においても1986年(昭和61年)に販売開始された当初から使用している(甲6)。その後、ブランドロゴは2013年(平成25年)から引用図形商標を採用しており(甲7)、現在においても「アリエール」ブランドの様々な「洗濯用洗剤」の製品に使用されている(甲6)。そして、引用図形商標を使用した「アリエール」ブランドは、2015年(平成27年)から第2位の市場シェアを有しており、それは2020年(令和2年)においても同様である(甲8)。
また、申立人は、自社のウェブサイトのみならず、他社のウェブサイトやテレビコマーシャル等で広告を行い、各種ECサイトで「アリエール」ブランドを販売しているが、いずれの媒体においても、必ず引用図形商標が「アリエール」の文字とともに使用されている(甲9〜甲12)。
上記の点を踏まえると、引用図形商標は、需要者の間に認識されている「アリエール」とともに広告や商品パッケージに2013年(平成25年)から必ず使用されているため、引用図形商標は、「アリエール」と同様に、早ければ2015年(平成27年)、遅くとも2020年(令和2年)には既に「洗濯用洗剤」との関係で需要者の間に広く認識されている商標であると判断されて然るべきものである。
(2)本件商標の商標法第4条第1項第10号該当性について
上述のとおり、引用図形商標は「洗濯用洗剤」との関係において、需要者の間に広く認識されており、本件商標と引用図形商標は出所が混同するおそれがある程度に類似する商標である。
また、本件商標は2021年(令和3年)に登録出願されているが、引用図形商標は、遅くとも2020年(令和2年)には需要者の間に広く認識されていた商標である。
そうすると、本件商標は、申立人の業務に係る「洗濯用洗剤」を表示するものとして需要者の間に広く認識されている引用図形商標と類似する商標であり、本件商標に係る指定商品である「せっけん類」について使用をするものであることから、本件商標は、引用図形商標との関係で商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたことは明らかである。
3 商標法第4条第1項第15号について
(1)本件商標と引用図形商標との類似性の程度について
本件商標と引用図形商標は、上述のとおりその外観が類似し、文字要素を含んでいないことから、その称呼と観念は対比することができない。
そのため、両者は全体として、一定の類似性を有する商標である。
(2)引用図形商標の著名性及び独創性について
上述のとおり、引用図形商標は、少なくとも「洗濯用洗剤」との関係において需要者の間に広く認識されている商標である。
加えて、引用図形商標は、特段の意味を有していない、申立人が創作した図形であることから、独創性を有していると容易に認識することができる。
(3)商品の関連性、商品等の取引者及び需要者の共通性について
本件商標に係る指定商品は、一般家庭で日常的に使用される、馴染みのある商品を指定している。
対して、引用図形商標は「洗濯用洗剤」について使用され、需要者の間に広く認識されている商標である。同商品は、本件商標に係る指定商品と同様に、一般家庭で日常的に使用される、馴染みのある商品である。また、「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,せっけん類」については、本件商標に係る指定商品の中でも、特に「洗濯用洗剤」と密接な関連性を有する「洗濯」に関連する商品である。
そのため、本件商標に係る指定商品及び引用図形商標に係る「洗濯用洗剤」は、それが家庭用の製品、及び業務用であっても、一般需要者にも馴染みがある商品であって、特に一部の指定商品は「洗濯」に関連する商品ということを考慮した場合には、両商品の間には、取引者、需要者が共通しており、強い関連性を有するといった取引の実情を有している。
(4)本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について
上記の諸点を踏まえると、まず、本件商標と引用図形商標は、一定の類似性を有し、引用商標は、「洗濯用洗剤」との関係で、我が国で需要者の間に広く認識されており、申立人が創作した図形であるため、独創性を有している。
また、引用図形商標は2013年(平成25年)から「アリエール」のブランドロゴとして採用されているが、本件商標が出願された2021年(令和3年)より前、つまり少なくとも2015年(平成27年)、遅くとも2020年(令和2年)には、需要者の間に広く認識されていた商標であることは明らかである。
そして、本件商標の指定商品及び引用図形商標に係る商品「洗濯用洗剤」は、取引者、需要者が一般需要者で共通し、また、互いに密接な関連性を有しているといった取引の実情を有している。
これらの点に照らすと、両者は共通点を多く有していることから、本件商標及び引用図形商標の需要者である一般需要者において普通に払われる注意力を基準として総合的に考慮した場合であっても、混同を生ずるおそれを有していると判断されるべきものである。
しがたって、本件商標は、引用図形商標との間で出所を混同するおそれを有しているため、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたことは明らかである。

第4 当審の判断
1 引用図形商標の周知著名性について
申立人の提出した証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
(1)引用図形商標は、アメリカの企業である申立人が、世界中で販売する洗濯用洗剤のブランド「アリエール」とともに使用するロゴマークである(申立人の主張)。
(2)「アリエール」は、1967年(昭和42年)にヨーロッパで販売が開始された後、1986年(昭和61年)からは我が国においても販売が開始された(甲11、申立人の主張)。我が国における「アリエール」の洗濯用洗剤の市場シェアは、2020年(令和2年)6月ないし2021年(令和3年)5月の期間において22.4%であり、第2位である(甲4)。
(3)「アリエール」は、1967年(昭和42年)の販売開始時には、3つの輪を用いた図形をロゴマークとしていた(申立人の主張)。その後、ロゴマークは、2013年(平成25年)から引用図形商標を採用しており(申立人の主張)、引用図形商標は、現在「アリエール」の様々な「洗濯用洗剤」の製品に使用されている(甲7、甲8)。
(4)申立人は、テレビコマーシャルや他社のウェブサイト等において「アリエール」に係る広告を行っているが、いずれの媒体においても、引用図形商標が「アリエール」の文字とともに使用されている(甲9、甲11、甲12)。
(5)上記(1)ないし(4)によれば、引用図形商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人が販売する洗濯用洗剤に使用されていたと認められる。
しかしながら、引用図形商標が、単独で使用されている例は見いだせず、テレビコマーシャル等において引用図形商標が使用されていることが見受けられるものの、それらは、いずれも「アリエール」の語とともに使用されていることから、引用図形商標のみが需要者に対し、強く印象付けられるものとはいえないものである。
さらに、引用図形商標が単独で使用された申立人に係る商品の売上高や宣伝広告等については確認できない。
したがって、引用図形商標が単独で、商品の出所標識として、格別に強い印象を与えるものとはいえないことから、引用図形商標が単独で、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとまでは認めることができないものである。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、別掲1のとおり、頂点部分につやのある緑色の球体状図形と、そこを中心として、周囲に電子軌道を描くように、一部をやや太くした3つの緑色の楕円形を配置した構成からなる図形である。
そして、当該図形は、我が国において特定の事物を表したもの又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないから、本件商標からは、特定の称呼及び観念は生じないものである。
(2)引用図形商標について
引用図形商標は、別掲2ないし別掲4のとおり、縦方向、左下から右上方向、及び左上から右下方向にそれぞれ広がる黒い3つの光沢のある楕円形の輪を組み合わせ、その中央部分を光がほとばしったように白くぼかした構成からなる図形であるところ、該図形は、我が国において特定の事物を表したもの又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないから、引用図形商標からは、特定の称呼及び観念は生じないものである。
(3)本件商標と引用図形商標との類否について
そこで、本件商標と引用図形商標とを比較するに、本件商標は、全体が緑色で描かれているのに対し、引用図形商標は黒色で描かれており、また、中央部の図形要素も、本件商標は球体状の図形を配置しているのに対し、引用図形商標は中央部を白くぼかしていることから、一見して印象が大きく異なっている。
さらに、本件商標と引用図形商標を構成する3つの楕円形の輪も、本件商標は緑色で比較的細く描かれ、後部がぼかされているのに対し、引用図形商標は光沢のある黒く太い輪で描かれており、色彩や太さの相違などから看者に与える印象がかなり異なるものである。そして、その細部についても、両者は、3方向にそれぞれ広がる楕円の輪の向きが異なっているから、両者は、時と所を異にして観察するとしても、異なる商標であると看取されるというのが相当であり、外観において類似するということはできない。
また、本件商標と引用図形商標からは、いずれも特定の称呼及び観念を生じないものである。
してみると、本件商標と引用図形商標は、称呼及び観念において、比較できないとしても、外観において、類似するとはいえないから、その外観、称呼及び観念によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して考慮すれば、両者は、非類似の商標というべきである。
また、本件商標は図形のみからなるものであるから、引用商標2ないし引用商標4の文字部分とは、共通する部分がなく、明らかに異なるものである。
したがって、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念において非類似の商標というべきであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第10号該当性について
引用図形商標は、上記1(5)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできず、また、本件商標と引用図形商標又は引用商標とは、上記2(3)のとおり、非類似の商標である。
そうすると、本件商標は、他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって、その商品又はこれに類似する商品について使用するものということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第15号該当性について
引用図形商標は、上記1(5)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができないものであり、また、本件商標と引用図形商標又は引用商標とは、上記2(3)のとおり、非類似の商標であって別異の商標というべきである。
そうすると、本件商標は、本件商標権者が、これをその指定商品について使用をしても、取引者、需要者が引用図形商標を連想又は想起することはなく、その商品が申立人又は同人らと経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が引用図形商標又は引用商標と出所の混同を生ずるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
5 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号のいずれにも該当するものではなく、その登録は、同法第4条第1項の規定に違反してされたものとはいえないものであり、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
別掲1 本件商標(色彩は原本を参照。)


別掲2 引用商標1


別掲3 引用商標2及び引用商標3


別掲4 引用商標4


(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
異議決定日 2022-12-22 
出願番号 2021048688 
審決分類 T 1 651・ 25- Y (W03)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 豊瀬 京太郎
特許庁審判官 小俣 克巳
石塚 利恵
登録日 2021-12-28 
登録番号 6493114 
権利者 小林製薬株式会社
代理人 猿山 純平 
代理人 宮嶋 学 
代理人 本宮 照久 
代理人 高田 泰彦 
代理人 柏 延之 
代理人 中村 行孝 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ