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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W03
管理番号 1393375 
総通号数 13 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2023-01-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-02-25 
確定日 2023-01-05 
異議申立件数
事件の表示 登録第6481373号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6481373号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6481373号商標(以下「本件商標」という。)は、「ELLAPLEX」の文字を標準文字により表してなり、令和3年3月30日に登録出願、第3類「頭髪用化粧品,パーマネント用液,パーマネント用中和剤,染毛剤,化粧用過酸化水素(毛髪脱色用),ヘアスタイリング剤,ヘアシャンプー,ヘアートリートメント,ヘアーローション」(以下「本件指定商品」という。)を指定商品として、同年11月16日に登録査定され、同年12月6日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
1 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する国際登録第1187399号商標(以下「引用商標1」という。)は、「Olaplex」の欧文字を横書きした構成からなり、2013年(平成25年)11月27日に国際商標登録出願、第3類「Hair care preparations; hair coloring preparations; hair relaxing preparations; hair styling preparations; preparations for permanent hair waves.」を指定商品として、平成26年9月12日に日本国において設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。
2 申立人が、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するとして引用する商標は、引用商標1及び申立人の主張の全趣旨から合議体が引用商標と認めた「OLAPLEX」の欧文字を横書きした構成からなる商標(以下「引用商標2」という。以下、引用商標1と引用商標2をまとめていうときは「引用商標」という。)である。
そして、引用商標は、申立人が「頭髪用化粧品,染毛剤,毛髪用のストレート剤,ヘアスタイリング剤,毛髪用のパーマネントウエーブ剤」(以下「申立人商品」という。)に使用し、本件指定商品の分野の取引者、需要者間において広く認識されている商標と主張するものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同条第1項第15号に該当するものであるから、同法第43条の3第2項の規定により取り消されるべきである旨申立て、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第37号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 申立人及び引用商標の周知性について
申立人は、2013年(平成25年)に、アメリカのカリフォルニアでヘアケア商品等の製造発売を開始した企業であり、引用商標にかかる「OLAPLEX」(オラプレックス)は、世界初の特許技術により、ヘアケア業界に革命を起こしたアメリカのブランドである(甲4の70)。このブランドのキー成分を採用したスタイリング剤は、2014年(平成26年)にアメリカで発売されるや5年足らずで「世界150か国以上のスタイリストに支持されるブランド」へと成長した(甲4の70、甲28)。
日本には2018年(平成30年)2月に上陸し(甲3)、日本に上陸する際には、大々的に日本での発売が報じられた(甲4の5、甲6)。日本の販売は、GAMO(ガモウ)グループ(甲6)を通して、全国3,500店のヘアサロンに「OLAPLEX」が導入されている(甲4の70)。そして、年1回の恒例企画である「WWDJAPAN2021ヘアサロン版ベストコスメ」において、都内の人気ヘアサロン50軒の美容師148人に、各カテゴリーで「2020年下半期〜21年上半期に実際に使ってみて良かった製品」についてアンケート調査を実施したところ、トリートメント部門(アウトバス)では、「オラプレックス(OLAPLEX)」の“No.6ボンドスムーサー”が首位を獲得した(甲22)。
また、ヘアサロン用(プロ用)だけでなく、2018年(平成30年)10月から、ホームケア製品(ヘアオイル、シャンプー、コンディショナー、等)が登場したことにより(甲4の75、甲17)、日本の一般の需要者への認知度もさらに高まり、例えば、2019年(平成31年〜令和元年)の話題になり業界をにぎわせた商品として一番に紹介され(甲4の8)、2021年(令和3年)には、「今知っておきたい!HAIRトレンドNEWS!」として、「OLAPLEX」が紹介され(甲4の36)、2020年(令和2年)12月に楽天市場全店舗の中で、毎月消費者より高評価の上位1%の店舗に送られる月間有料ショップ賞を「OLAPLEX」は受賞した(甲23)。
そして、申立人は、「OLAPLEX」の日本での周知を図るために、2018年(平成30年)の上陸以降、有名な数多くの女性誌において宣伝広告をしている(甲4の1〜88)。
そのほか、TikTok、Twitter、Pinterest、InstagramやYoutube等のSNSを利用した宣伝広告(甲7〜甲11)やYoutubeにより「OLAPLEX」の使用の仕方について日本の需要者にむけた解説がなされている(甲5)。Instagarmでは230万人以上のフォロワー数を抱え(甲13の11頁)、ヘアケアの類似ブランドのなかでフォロワー数は第1位である。
このInstagramは、260万件の「いいね!」を獲得し、1日平均約13,500件のストーリー閲覧がある(甲13の11頁)。このような申立人のオンライン上での需要者とのかかわりにより、2021年(令和3年)12月31日現在、「OLAPLEX」のハッシュタグは、プロのヘアスタイリストや「OLAPLEX」に関する独自のコンテンツを作成する需要者により、ソーシャルメディアプラットフォーム上で1,290万回以上使用されている(甲13の11頁)。さらに、TikTokでは、2021年(令和3年)10月から12月までの間に、「OLAPLEX」の動画が1,060万回以上視聴され、「OLAPLEX」の熱狂的な需要者層が実証されている(甲13の11頁)。2021年(令和3年)12月現在、「OLAPLEX」のハッシュタグを使用した動画は、ハッシュタグの登場以来、5億4,200万回以上視聴されている(甲13の11頁)。
過去3年間の全世界の売上高は、2019年(平成31年〜令和元年)は148百万ドル(日本円で188億円)、2020年(令和2年)は、282百万ドル(日本円で358億円)、2021年(令和3年)は598百万ドル(日本円で748億円)(甲12の12頁)となっている。さらに、2020年度の売上高で、セフォラ(フランスのLVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン傘下で、化粧品や香水を扱う専門店で幅広いブランドが揃えられており、78,000種類の商品を扱っている)(甲21)において売上No.1であり(甲14)、類似ブランドのなかでInstagamのフォロワー数がN0.1であり(甲14)、76%のスタイリストが、「OLAPLEX」が他のブランドより高品質な製品を提供していると信じており(甲14)、ボンドビルディング(毛髪内部の壊れた結合を修復する)ブランドでNo.1である(甲14、甲20)。「OLAPLEX」の売上が順調に伸び申立人の事業の評価の高まっていることは、申立人が2021年(令和3年)9月30日、米ナスダックに上場し、約18億ドル(約1,980億円)を調達、時価総額は160億ドル(約1兆7,600億円)となっていることからも裏付けられる(甲19)。
以上によれば、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、「OLAPLEX」の語は、申立人の業務にかかるヘアケア商品に使用される商標として、我が国の取引者、需要者において高い周知著名性を有していたというべきである。
2 商標法第4条第1項第11号該当性
(1)指定商品の類否
本件指定商品は、引用商標1の指定商品と同一又は類似する商品であり、生産部門、販売部門、流通経路、用途、及び需要者の範囲がすべて一致する。
(2)本件商標と引用商標1の類否
本件商標は、「ELLAPLEX」の欧文字を書したものであるところ、「ELLAPLEX」に相当する既成の語は外国語としても存在しないものの、本件商標は、引用商標1の構成中、語頭の「O」以外の、実に「L」、「A」、「P」、「L」、「E」、「X」の6文字が共通する。また、両商標は、その称呼も共に7音であるところ、語頭の1音を除く「〇ラクレックス」(決定注:「○ラプレックス」の誤りと思われる。)も共通する。「LAPLEX」の語の独自性は高く、第3類において当該「LAPLEX」を有する語である場合たとえ、本件商標と引用商標との間に「O」(オ)と「E」(エ)の語頭の一音相違があるとしても、誤認のおこる可能性が強い「オ」と「エ」の母音同士であり、「オ」と「エ」の音はともに舌面位置を中位とする半開き母音という近似音であるから、申立人の「OLAPLEX」商標の語頭を除く6文字「LAPLEX」を本件商標が共通にする以上全体的印象が共通し外観・称呼上相紛れるおそれが高いというべきである。
したがって、本件商標は、引用商標1とは、外観及び称呼において類似性が極めて高い。
引用商標1は、それ自体が意味を有する言葉として定着しているものではないとしても、上述のとおり、我が国においてヘアケア分野で周知著名なブランドとして広く知られており、本件商標と引用商標1とは、語頭の一音が相違するにすぎず、外観上においても中間・語尾の「LAPLEX」が共通するものであるから、その造語性の程度は、引用商標1から生じる申立人の業務にかかるヘアケア分野において著名な「OLAPLEX(オラプレックス)」ブランドの観念を完全に打ち消すほど強いものとはいえない。
したがって、本件商標は、引用商標1とは、申立人の業務にかかるヘアケア分野において周知著名な「OLAPLEX」ブランドの観念を共通にする類似性を有するものである。
以上のとおり、本件商標は、引用商標1とは、外観、称呼、観念のいずれの要素についても互いに類似性を有するものであるから、商標全体としても互いに類似するものである。
(3)小括
以上のとおり、本件商標は、引用商標1とは商標全体として互いに類似するものであり、引用商標1の指定商品と同一又は類似する指定商品を含むものであって、かつ、引用商標1の後願に係るものであるから、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
3 商標法第4条第1項第15号該当性
(1)引用商標の周知著名性
引用商標は、上記1のとおり、申立人が2014年(平成26年)の発売から現在に至るまでハウスマークとして、そして世界初の特許技術によりヘアケア業界に革命を起こしたヘアケア処理剤のブランド名として使用してきたものであり、現在において申立人の業務にかかる商品を表すものとして広く知られており、高い周知著名性を維持・向上させてきている。
(2)商標の類似性の程度
本件商標と引用商標の類似性については、上記2(2)のとおりであり、本件商標と引用商標は、外観上及び称呼上の類似性の程度は極めて高い。また、本件商標と引用商標とは、極めて強い出所識別機能を有する「OLAPLEX」の語頭以外の「LAPLEX」を共通にし、「オラプレックス」の称呼とは7音中6音の「ラプレックス」の部分が共通するものであり、その類似性の程度は極めて高いというべきである。
(3)本件指定商品と引用商標の使用商品との関連の程度、商品等の取引者及び需要者の共通性
本件指定商品は、申立人商品と同一又は類似する商品である。したがって、両商品の性質等及び商品の取引者及び需要者において互いに共通性が高いことは明らかである。また、両商品は、生産部門、販売部門、流通経路、用途及び需要者の範囲がすべて一致する。
(4)小括
上述のとおり、本件商標と引用商標の外観及び称呼上の類似性、申立人の引用商標が周知著名性を獲得していること、申立人が周知著名性を獲得しているヘアケア分野の商品を本件商標が指定商品としている点等の取引の実情(共通性)などに照らし、当該商標の指定商品の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として総合的に判断した場合、本件商標に接した取引者、需要者は、あたかも申立人若しくは申立人と何等かの関係がある者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれがあることは明白である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
4 結論
以上に述べたとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項によって取り消されるべきものである。

第4 当審の判断
1 引用商標の周知性について
申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
(1)申立人は、2013年(平成25年)にアメリカのカリフォルニアでヘアケア商品等の製造発売を開始した企業である(申立人の主張)。
(2)「OLAPLEX」(オラプレックス)は、ヘアケア業界に革命を起こしたといわれるアメリカのブランドであり、当該ブランドのスタイリング剤は、2014年(平成26年)にアメリカで発売されるや5年足らずで世界150か国以上のスタイリストに支持されるブランドとなった(申立人の主張、甲4の70、甲28)。
(3)申立人商品は、日本には2018年(平成30年)2月に上陸し(甲3、甲17)、その際には、日本での発売が報じられた(甲4の5、甲6)。日本においては、GAMO(ガモウ)グループ(甲6)を通して、全国3,500店のヘアサロンに導入されている(甲4の70)。
(4)「WWDJAPAN2021ヘアサロン版ベストコスメ」において、都内のヘアサロン50軒の美容師148人に、各カテゴリーで「2020年下半期〜21年上半期に実際に使ってみて良かった製品」についてアンケート調査を実施したところ、トリートメント部門(アウトバス)では、「オラプレックス(OLAPLEX)」の“No.6ボンドスムーサー”が首位であった(甲22)。
(5)申立人商品には、ヘアサロン用(プロ用)だけでなく、2018年(平成30年)10月から登場した、ホームケア製品(ヘアオイル、シャンプー、コンディショナー等)が含まれる(甲4の75、甲17)。
(6)「GAMO NEWS vol.94」には、「美賢者たちが注目した BUZZLY ITEM 2019」として、申立人商品が掲載されており(甲4の8)、「Sweet」には、「今知っておきたい!HAIRトレンドNEWS!」として、申立人商品が掲載された(甲4の36)。
(7)申立人商品は2018年(平成30年)の上陸以降、我が国において雑誌記事中に掲載されており、また、申立人は申立人商品について、女性誌において宣伝広告を行ったとされる(申立人の主張、甲4の1〜88)。
(8)TikTok、Twitter、Pinterest、InstagramやYoutube等のSNSを利用して申立人商品の広告宣伝を行ったとされる(申立人の主張、甲7ないし甲11)。
(9)申立人商品の過去3年間の全世界の売上高は、2019年(平成31年〜令和元年)は148百万ドル(日本円で188億円)、2020年(令和2年)は282百万ドル(日本円で358億円)、2021年(令和3年)は598百万ドル(日本円で748億円)であるとされる(申立人の主張)。
(10)上記(1)ないし(9)からすれば、引用商標は、本件商標の登録出願日(令和3年3月30日)前から、申立人商品を表示するものとして、米国における需要者の間には一定程度認識されている商標であって、その状況は本件商標の登録査定日(令和3年12月6日)はもとより、現在まで継続していると推認し得る。
しかしながら、申立人商品について、我が国における販売数、売上高、市場シェアなどを示す客観的、具体的な証左の提出はないから、その販売実績は明らかでなく、SNSなどの広告宣伝記事にしても、外国語で記載されたものであり、宣伝広告主、使用商品、広告時期、サイトの記事へのアクセス数等も不明である。さらに、相当数の女性誌等において、申立人商品が紹介されているとしても、同業他社の商品と一緒に掲載されているものも多くあり、当該雑誌の発行部数、販売地域等も明らかでない。そして、他に広告宣伝の方法、期間、地域及び規模を示す具体的な証左は見いだせない。
そうすると、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国における需要者の間に広く認識されているものとは認めることができない。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、前記第1のとおり、「ELLAPLEX」の文字を表してなるところ、該文字は、辞書等に掲載がなく,特定の意味合いを認識させることのない一種の造語として理解されるとみるのが相当である。
そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して、「エラプレックス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標1について
引用商標1は、前記第2 1のとおり、「Olaplex」の欧文字からなるところ、該文字は、辞書等に掲載がなく、特定の意味合いを認識させることのない一種の造語として理解されるとみるのが相当である。
してみれば、引用商標1は、その構成文字に相応して「オラプレックス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(3)本件商標と引用商標1との類否について
本件商標と引用商標1とを比較すると、外観においては、それぞれ上記(1)及び(2)のとおりの構成であるから、「LAPLEX(laplex)」のつづり字が共通するとしても、両者は、商標の外観を観察する上で重要な要素である語頭における「EL」と「O」の文字の相違を有するものであるから、外観上、十分に区別し得るものであり、それぞれの全体から受ける印象も大きく異なるものであるから、両商標は相紛れるおそれはない。
また、本件商標から生じる「エラプレックス」の称呼と、引用商標1から生じる「オラプレックス」の称呼とは、聴者に強い印象を与える語頭部分にあって強く明瞭に発音される「エ」と「オ」の音の差異により、それに続く称呼が共通するとしても、明瞭に聴別し得るものである。
さらに、本件商標及び引用商標1は、上記のとおり、いずれも特定の観念は生じないものであるから、両商標は、観念上、比較することができない。
してみれば、本件商標と引用商標1とは、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのないものであるから、両商標は、非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
(4)小括
以上のとおり、本件商標と引用商標1とは非類似の商標であるから、両商標の指定商品が同一又は類似のものであるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用商標について
引用商標は、前記第2のとおり、「Olaplex(OLAPLEX)」の欧文字からなるところ、該文字は、辞書等に掲載がなく、特定の意味合いを認識させることのない一種の造語として理解されるとみるのが相当である。
してみれば、引用商標は、その構成文字に相応して「オラプレックス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標の周知性について
上記1(10)のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表すものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができないものである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標とを比較すると、外観においては、それぞれ上記2(1)及び上記(1)のとおりの構成であるから、「LAPLEX(laplex)」のつづり字が共通するとしても、両者は、商標の外観を観察する上で、重要な要素である語頭における「EL」と「O」の文字の相違を有するものであるから、外観上、十分に区別し得るものであり、それぞれの全体から受ける印象も大きく異なるものであるから、両商標は相紛れるおそれはない。
また、本件商標から生じる「エラプレックス」の称呼と、引用商標から生じる「オラプレックス」の称呼とは、聴者に強い印象を与える語頭にあって強く明瞭に発音される「エ」と「オ」の音の差異により、それに続く称呼が共通するとしても、明瞭に聴別し得るものである。
さらに、本件商標及び引用商標は、上記のとおり、いずれも特定の観念は生じないものであるから、両商標は、観念上、比較することができない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのないものであるから、両商標は、非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
(4)小括
上記(1)ないし(3)からすれば、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商標を表すものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものとはいえず、本件商標と引用商標とは非類似の別異の商標といえるから、本件商標権者が、本件商標をその指定商品について使用しても、取引者、需要者が、引用商標を連想又は想起することはなく、その商品が申立人若しくは同人らと経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が引用商標と出所の混同を生ずるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。

別掲
別掲: 引用商標(国際登録第1187399号商標)


(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
異議決定日 2022-12-22 
出願番号 2021038075 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W03)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 佐藤 淳
特許庁審判官 豊瀬 京太郎
佐藤 松江
登録日 2021-12-06 
登録番号 6481373 
権利者 サムイン ケミカル カンパニー,リミテッド
商標の称呼 エラプレックス 
代理人 田中 克郎 
代理人 佐藤 俊司 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 ▲吉▼川 俊雄 
代理人 池田 万美 

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