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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W25
管理番号 1393366 
総通号数 13 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2023-01-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-12-28 
確定日 2023-01-07 
異議申立件数
事件の表示 登録第6456521号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6456521号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6456521号商標(以下「本件商標」という。)は、「SMARTin」の欧文字と「スマートイン」の片仮名を2段に書してなり、令和3年4月23日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下留め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊靴,運動用特殊衣服」を指定商品として、同年10月1日に登録査定、同月14日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するとして引用する国際登録第1386379号(以下「引用商標」という。)は、「MARTIN」の欧文字を横書きしてなり、2018年(平成30年)7月26日に国際商標登録出願(事後指定)、第25類「Footwear, namely shoes and boots except golf shoes.」を指定商品として、令和2年4月17日に設定登録され、その商標権は現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証(枝番号を含む。)を提出した。
以下、証拠の表記にあたっては、「甲第○号証」を「甲○」のように省略して記載する。
1 申立人と申立人ブランドの周知著名性について
申立人は、ドイツ国の法人であり、世界中で周知著名な靴・ブーツのブランド「ドクターマーチン(Dr.Martens)」(以下「申立人ブランド」という。)に関連する商標を、我が国を含む世界中で保有しており、我が国では、「MARTIN」(国際登録第1386379号:第25類)、「マーティン」(登録第6418051号:第25類)、「DR MARTIN」(登録第6206967号:第25類)、「DOCTOR MARTIN」(登録第6206966号:第25類)、「ドック マーティンズ」(登録第6331124号:第25類)の商標登録を保有している。
申立人ブランドは、1945年に、ドイツ人医師のクラウス・マルテンス博士及びヘルベルト・フンクによって開発された、エアークッションの効いた靴底(通称:バウンシングソール)や、靴底を一周する黄色の縫い目(ステッチ)を特徴とした靴・ブーツのブランドである(甲3)。
申立人ブランドは、英国を拠点としつつ、イタリア、ドイツ、米国など製品を販売する国際的なブランドであるが、我が国においても、51個の直営店及びオンラインにて全国規模で販売され(甲4)、申立人ブランドの製品は、上記のデザインに加え、耐久性が強く、耐熱・耐寒・耐摩耗性に優れていることから、世界中で人気を集め、我が国においても、ファッションアイテムの一つとして、若者を中心に人気を得ている。
申立人ブランドは、1960年に一番最初のモデル「1460」が誕生し、2020年に60周年を迎え、定番のデザインだけでなく、人気ファッションブランドとのコラボアイテムも多く展開するなどして、ファッションの分野でも高い地位を獲得している(甲5、甲6)。
現に、我が国での2019年3月期の売上高は、60億3,700万円、前年比42%拡大と発表されている(甲7)。
2 商標法第4条第1項第11号又は同項第15号該当性について
本件商標は、「SMARTin」の欧文字と、「スマートイン」の片仮名を2段に配した構成よりなる。
本件商標は、申立人の引用商標「MARTIN」と同一の文字を含むものであり、外観上近似した印象を与える。
また、本件商標の欧文字部分からは、「スマートイン」のほかに、「スマーティン」の称呼が生じ、一方で、引用商標からは、「マーティン」の称呼が生じる。
そこで、本件商標の「スマーティン」の称呼と引用商標の「マーティン」の称呼とを比較すると、本件商標の称呼は引用商標の称呼をそのまま含むものであり、称呼上紛らわしい。
さらに、本件商標は、特定の観念が生じない造語であり、引用商標と観念において比較することはできない。
本件商標と引用商標の指定商品は、同一又は類似である。
加えて、本件商標は、「MARTIN」の欧文字及び「マーティン」の称呼を含むものであり、申立人ブランドの製品である履物を含むものである。
そして、上記の申立人の周知著名性を考慮すると、本件商標が、その指定商品「履物」に使用された場合、取引者、需要者は、その欧文字及び称呼から、申立人及び申立人ブランドを想起する。
以上より、本件商標と引用商標は、外観、観念及び称呼において、互いに相紛れるおそれがある類似の商標と解される。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号又は同項第15号に該当する。

第4 当審の判断
1 引用商標の周知性について
(1)申立人の主張及び同人提出にかかる甲各号証によれば、以下のとおりである。
ア 申立人は、ドイツ国の法人であり、申立人ブランドに関連する商標を、我が国では、「MARTIN」(国際登録第1386379号)ほか4件の商標登録を保有し、靴類をオンラインショップにて販売している(甲4)。
また、申立人ブランドは、1960年に最初のモデル「1460」が誕生し、2020年に60周年を迎え、ファッションブランドとのコラボアイテムも展開し(甲3、甲5、甲6)、申立人の我が国での2019年3月期の売上高は、60億3,700万円、前年比42%拡大と発表されている(甲7)ことは確認できる。
イ しかしながら、申立人提出に係る証拠を参照すると、「ドクターマーチン」、「DR.MARTENS」又は「Dr.Martens」の表示及び靴の画像はウェブサイトの写し(甲3〜甲5)に掲載されていることは認められるものの、これらに引用商標が表示されていること及び引用商標が申立人の取扱いに係る商品に使用されていることは確認できない。
また、申立人が、申立人の業務に係る商品について、我が国及び外国おいて引用商標の使用を開始した時期、使用期間、使用地域等、その商品の売上高、シェアなどの販売実績及び営業規模、並びに引用商標に係る広告宣伝の費用、方法、回数及び期間などについては、その事実を客観的かつ具体的に把握することができる証拠は何ら提出されていない。
ウ そうすると、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国及び外国における取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、「SMARTin」の欧文字と、「スマートイン」の片仮名を2段に書してなるところ、本件商標は、「SMARTin」の欧文字の下に「スマートイン」の片仮名を配置しているため、外観上まとまりのよい印象を与えるものである。
そして、本件商標の構成中の「スマートイン」の片仮名は、「SMARTin」の欧文字の読みを特定したものと認められ、また、「SMARTin」の欧文字は、「頭のよい。利口な。」を意味する英語「smart」と「・・の中に・・」を意味する英語「in」(いずれも「ベーシックジーニアス英和辞典 第2版」大修館書店)を結合したものと容易に認識、理解されるものの、これらを一連に表した「SMARTin」の欧文字及び「スマートイン」の片仮名は一般の辞書等に載録のないものであり、特定の語義を生じない一種の造語と認識されるというべきである。
したがって、本件商標は、その構成文字に相応して「スマートイン」の称呼が生じ、特定の観念は生じないものである。
(2)引用商標について
引用商標は、「MARTIN」の欧文字を横書きしてなるものであるから、その構成文字に相応して「マーチン」又は「マーティン」の称呼が生じ、当該文字は、「マーチン(ニシイワツバメ・ショウドウツバメなど)」及び「マーティン(男性名)」を意味する英語(前掲書)であることから、「ニシイワツバメ・ショウドウツバメなどのマーチン」及び「男性名のマーティン」の観念が生じるものである。
(3)本件商標と引用商標の比較
本件商標と引用商標の類否を検討すると、外観においては、これらの全体の構成文字が異なることから、両者は、明確に区別できるものであるから、外観上、判然と区別し得るものである。
また、称呼においては、本件商標から生じる「スマートイン」の称呼と引用商標から生じる「マーチン」及び「マーティン」とは、語頭部における「ス」の有無並びに語尾部における「トイン」と「チン」及び「ティン」の差異を有し、これらの差異が両商標の称呼全体に及ぼす影響は大きく、両者をそれぞれ一連に称呼しても、称呼上、明瞭に聴別し得るものである。
さらに、観念においては、本件商標は特定の観念を生じないものであるのに対して、引用商標は「ニシイワツバメ・ショウドウツバメなどのマーチン」及び「男性名のマーティン」の観念を生じるものであるから、両商標は相紛れるおそれがないものである。
そうすると、本件商標と引用商標は、外観において、判然と区別し得るものであり、称呼においても、明瞭に聴別し得るものであり、観念において、相紛れるおそれがないものであるから、両者の外観、観念、及び称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似のものであって、別異のものというべきものである。
(4)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否について
本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と類似の商品を含むものである。
(5)小括
以上のとおり、本件商標と引用商標は、非類似の商標であるから、本件商標の指定商品に引用商標の指定商品と類似する商品が含まれるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
上記1のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、取引者・需要者の間に広く認識されていると認めることはできないものである。
また、上記2(3)のとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であるから、その類似性は高いものとはいえない。
そうすると、たとえ本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品とは関連性があり、その需要者を共通にする場合があるとしても、本件商標に接する取引者・需要者が、引用商標を連想又は想起することはないというのが相当である。
してみれば、本件商標は、その権利者が本件商標をその指定商品について使用しても、取引者・需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも該当するものとはいえないものであり、ほかに同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲

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異議決定日 2022-12-16 
出願番号 2021050170 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W25)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 矢澤 一幸
特許庁審判官 杉本 克治
豊田 純一
登録日 2021-10-14 
登録番号 6456521 
権利者 グンゼ株式会社
商標の称呼 スマートイン 
代理人 弁理士法人大島・西村・宮永商標特許事務所 
代理人 弁理士法人大島・西村・宮永商標特許事務所 

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