• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W12
管理番号 1393361 
総通号数 13 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2023-01-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-05-26 
確定日 2022-11-21 
異議申立件数
事件の表示 登録第6360461号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6360461号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6360461号商標(以下「本件商標」という。)は、「Volo」の文字を標準文字で表してなり、令和2年2月25日に登録出願、第12類「自動車用シガーライター,原動機付きのスクーター,自動車用灰皿,オートバイ,自転車のタイヤ用空気ポンプ,自転車用空気ポンプ,キックスケーター(乗物),電動自転車,自動平衡機能付きスクーター,自動平衡機能付きボード,原動機付きスクーター,折りたたみ式電動自転車,自動平衡機能付き電動二輪式スクーター,自動平衡機能付き電動式スクーター,折り畳み式自転車,自動平衡機能付き電動式一輪車,乗物用タイヤ用空気入れポンプ,自転車用車輪,自動平衡機能付き一輪車,電動式一輪車」を指定商品として、同3年2月26日に登録査定され、同年3月8日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
1 登録異議申立人(ボロコプター ゲー・エム・ベー・ハー)(以下「申立人1」という。)が、登録異議の申立ての理由に該当するとして引用する商標は、以下の(1)ないし(6)のとおりである。
(1)国際登録第1251865号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:「Volocopter」
国際商標登録出願日(事後指定日):2020年1月16日
設定登録日:令和3年12月17日
指定商品:第7類、第9類及び第12類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品
(2)国際登録第1472635号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:「Volocopter」
国際商標登録出願日:2019年4月4日
優先権主張:2018年12月20日(Germany)
設定登録日:令和3年5月21日
指定役務:第37類、第39類及び第42類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの役務
(3)国際登録第1491756号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:「VOLODRONE」
国際商標登録出願日:2019年7月16日
優先権主張:2019年7月1日(EUIPO)
設定登録日:令和3年7月21日
指定商品及び指定役務:第12類、第39類及び第44類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務
(4)国際登録第1486889号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:「VOLOCITY」
国際商標登録出願日:2019年7月12日
優先権主張:2019年7月1日(EUIPO)
設定登録日:令和4年1月28日
指定商品:第12類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品
(5)国際登録第1481657号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の構成:「Voloport」
国際商標登録出願日:2019年6月7日
優先権主張:2019年5月23日(EUIPO)
設定登録日:令和3年1月15日
指定役務:第37類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの役務
(6)国際登録第1585130号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の構成:「VoLoIQ」
国際商標登録出願日:2020年10月21日
指定商品及び指定役務:第9類、第12類、第36類、第37類、第38類、第39類及び第42類に属する国際商標登録出願に係る国際登録簿に記載の商品及び役務
引用商標1ないし引用商標5の商標権は、現に有効に存続しているものである。
なお、引用商標1ないし引用商標6をまとめていう場合は、「申立人1引用商標」という。
2 登録異議申立人(ボルボ トレードマーク ホールディング アーベー)(以下「申立人2」という。)が、登録異議の申立ての理由に該当するとして引用する商標は、以下の(1)及び(2)のとおりの登録商標であり、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
(1)登録第477334号商標(以下「引用商標7」という。)
商標の構成:「VOLVO」
登録出願日:昭和30年5月14日
設定登録日:昭和31年2月25日
書換登録日:平成19年12月26日
指定商品:第7類、第11類及び第12類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(2)登録第4659499号商標(以下「引用商標8」という。)
商標の構成:「VOLVO」(標準文字)
商標登録出願日:平成14年6月21日
設定登録日:平成15年4月4日
指定商品:第12類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
なお、引用商標7及び引用商標8をまとめていう場合は、以下「申立人2引用商標」といい、申立人1引用商標及び申立人2引用商標をまとめていう場合は、以下「引用商標」という。

第3 登録異議の申立ての理由
1 登録異議の申立ての理由1について
申立人1は、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同項第19号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第59号証(枝番号を含む。)を提出した。
なお、申立人1が提出した証拠を表示する場合は、以下、「甲第○号証A」と記載し、これを略すときは「甲○A」のように記載する。
(1)申立人1について
申立人1は、2011年にドイツで設立された航空機メーカーであり、主に、エアモビリティ及びエアタクシー用の電動垂直離陸着陸機(eVTOL)の設計・開発等を行い、都市型のエアモビリティ及びエアタクシーに係るサービスを提供する会社である(甲2A)。
申立人1は、2011年10月に電動マルチコプターの世界初の有人飛行に成功した後(甲3A)、2016年2月には2人乗りの自動操縦ドローンの有人での初試験飛行(甲4A)、2017年にはドバイで無人エアタクシーの試験飛行を行い(甲5A)、2019年10月にはシンガポールでの有人飛行実証実験を成功させ(甲6A)、世界初のエアタクシー用のインフラストラクチャを発表する等(甲7A)、エアモビリティ及びエアタクシーのパイオニアとして広く知られている。
昨今、エアモビリティ及びエアタクシー事業は、交通量の多い大都市の混雑を解消し、かつ、排出物のない交通手段として、世界中で注目されており、物流サービスや災害時の移動・物資輸送手段としての活用も大いに期待されているところ、当該事業には、安定した飛行能力と高次元の安全性はもとより、通信機能や万が一の落下に備えたバックアップ機能や着陸支援機能等も求められることから、高度な技術力が必要である。
申立人1は、2019年に欧州航空安全機関(EASA)より、最高レベルの安全保護を保証する設計組織承認(DOA)を受けたことから、申立人1の航空機の開発と製造において実施してきたプロセスが、商用レベルでeVTOL事業を推進できるまでに至ったことが証明されることとなり、これは、eVTOLスタートアップ企業において初めてのことである(甲8A、甲9A)。
申立人1のeVTOLの技術開発力は、多くの企業や投資家等から高い関心を寄せられており、2017年にはドイツの自動車メーカーであるダイムラー社を含む数社から、2500万ユーロ(約30億円)の出資、2019年には中国の自動車メーカーの吉利汽車とスウェーデンの自動車メーカーのボルボ・カーズの親会社である浙江吉利控股集団有限公司(Geely)の主導により、5000万ユーロ(約60億円)の出資を受けている他(甲10A、甲11A)、2019年7月には、世界経済フォーラムの最も有望な「テクノロジーパイオニア」の1つとして数百の候補者の中から選定されたことなどからも(甲12A)、当該事業における申立人1の注目度が高いことがわかり、世界的に申立人1が周知・著名であるといえる。
(2)申立人1引用商標について
申立人1は、ドローン等、並びにエアモビリティ及びエアタクシー事業に必要な設備等に申立人1引用商標を付して商品・役務を提供しており、我が国を含む世界各国を指定した国際商標登録出願を行っている(甲13A)。
ア 引用商標1及び引用商標2は、2011年より、申立人のいわゆる商号商標としてドローン等に使用されている(甲14A、甲15A)。
イ 引用商標3は、2019年より、主にドローンについて使用され、当該商標を付したドローンは、米国の大手農業機械メーカーであるジョンディア・カンパニーとの協業により開発されたものであり、最大200kgの積載が可能な大型の仕様であることから、農業分野における農作物の運搬や作物保護剤の噴霧等の他、物流・災害救援・航空救助等、様々な用途での活用が期待される点で高い注目を集めている(甲18A)。
ウ 引用商標4は、2019年より、主に都心部で用いることができる2人乗りのエアタクシーに使用されている(甲20A)。
当該商標を付したドローンは、申立人1の最初の商用機として、世界的に広く知られている。
エ 引用商標5は、2019年より、エアタクシーの拠点となる場所として、エアタクシーの搭乗・離着陸、バッテリーの交換や充電、メンテナンス等を行う役務の商標として使用されている(甲22A)。
オ 引用商標6は、2020年より、エアタクシー事業を支える人工知能を活用したソフトウェアプラットフォームについて使用されている(甲24A)。
これは、例えば、「VoloCity」(決定注:「VOLOCITY」の誤記と認める。)と「Voloport」との連携や顧客対応サービスなど、エアタクシー事業全般を支える統合システム(コンピュータソフトウェア)である。
カ 以上のとおり、申立人1は「Volo」を基軸とした申立人1引用商標を永年にわたって使用し、かつ、登録しており、また、当該語は辞書等に掲載されていない造語であることから、「Volo」の語を冠する申立人1引用商標は、いわゆる「Volo」ファミリー商標として認識されているということができる。そして、「Volo」の語自体も申立人1の商品・役務を示すものとして周知・著名であるということができる。
(3)インターネットにおける紹介事例
申立人1の事業は高い注目を浴びていることから、我が国及び本件商標の権利者の所在地である中国等においてもインターネット記事等で紹介されている(甲26A〜甲59A)。
以上から、我が国や中国を含む世界各国において、申立人1引用商標が「Volo」ファミリー商標として、また、「Volo」の語自体も申立人1の商品・役務を示すものとして、本件商標の登録出願時及び査定時において周知・著名であったといえる。
(4)本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当すること
申立人1引用商標は、すべて語頭部分に「Volo」の語を有しており、「Volo」は申立人1の名称である「Volocopter GmbH」の一部でもある。
申立人1引用商標が本件商標の登録出願時及び登録査定時において、ドイツをはじめ、我が国及び外国において周知・著名であったことからすると、「Volo」の語は、申立人1引用商標に共通して用いられる重要なファミリー商標の要部として認識され、また、当該文字に相応して生じる「ボロ」の称呼は、申立人1の略称として認識され得るものである。
よって、本件商標は、申立人1の「Volo」ファミリー商標の要部と同一であり、かつ、申立人1引用商標の商品・役務であるエアモビリティ及びエアタクシー事業と極めて関連性の高い「ドローン」と、本件商標の指定商品とは近似するものであることも考慮すると、本件商標がその指定商品に使用された場合、これに接する需要者・取引者は、本件商標が申立人1の「Volo」ファミリー商標の一つであるかのごとく誤認し、当該商品が申立人1の業務に係るもの、または、申立人1と何等かの関係がある者の業務に係る商品などと誤認混同するおそれがあることは明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(5)本件商標が商標法第4条第1項第19号に該当すること
申立人1引用商標及びその要部である「Volo」は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、ドイツをはじめ、本件商標の権利者(以下「本件商標権者」という。)の所在地である中国を含む外国において周知・著名であったものである。
よって、本件商標権者が、申立人1引用商標と類似する本件商標をその指定商品に使用した場合、申立人1引用商標に化体した信用、名声、顧客吸引力を毀損させるおそれがあることは明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(6)本件商標が商標法第4条第1項第10号に該当すること
ア 本件商標と申立人1引用商標との比較
本件商標「Volo」と申立人1の周知・著名な「Volo」ファミリー商標である申立人1引用商標の要部とは同一であって、全体として類似する。
イ 本件商標と申立人1引用商標の商品の比較
申立人1引用商標の商品は「ドローン」を中心とした、エアモビリティ及びエアタクシー事業に関連する商品・役務であるから、本件商標の指定商品中の「乗物用タイヤ用空気入れポンプ」とは、指定商品が同一又は類似である。
ウ 小括
以上より、申立人1の「Volo」ファミリー商標である申立人1引用商標及びその要部である「Volo」の語は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において我が国の需要者・取引者によって広く認識されており、これらと本件商標とは同一又は類似である。
加えて、その指定商品は同一又は類似である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(7)結論
以上より、本願商標は、商標法第4条第1項第15号、同項第19号及び同項第10号に該当するから、その登録は取り消されるべきものである。
2 登録異議の申立ての理由2について
申立人2は、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第15号証を提出した。
なお、申立人2が提出した証拠を表示する場合は、以下、「甲第○号証B」と記載し、これを略すときは「甲○B」のように記載する。
(1)申立人2引用商標の著名性について
申立人2引用商標「VOLVO」は、その名を世界中で広く知られた著名な商標である。
ア 「VOLVO」の歴史
申立人2引用商標は、申立人2の母体である世界企業エービーボルボ(以下「ボルボ社」という。)が、1927年の会社創設以来、現在に至るまで、車輌、船舶、その他運搬用機械器具に使用している商標であり、かつ、ボルボ社及び申立人2のハウスマークとして長きにわたって使用され続けている商標である。
特に、「VOLVO」を冠した自動車が、「VOLVO」ブランドとして不動の地位を築いていることは誰もが知るところである。
ボルボ社の2018年の年間平均正社員数は43,000人にものぼり、スウェーデン、ベルギー、米国及び中国に主な生産拠点を置いて、世界中で商品の製造・販売を行う規模を誇っており、ハウスマークである「VOLVO」は世界中で広く使用され続けている。
さらに、ボルボ社は、20年間という長きにわたって、世界一周のヨットレース「ボルボ・オーシャン・レース」を主宰しており(甲4B)、1940年から現在に至るまで、スウェーデンラリー、ヨーロッパラリー選手権、世界ツーリングカー選手権等の世界中の自動車レースに参戦し、華々しい成績を収め続けている(甲5B)。
このように、申立人2引用商標は「VOLVO」ブランドを築くとともに、ボルボ社及び申立人2のハウスマークとして、長年にわたって世界中にその名を知られる存在となっている。
イ 「VOLVO」のランキング
「VOLVO」ブランドがどれほど高い人気を誇っているかは、様々なランキングにおいて、「VOLVO」が常に上位を占めることからも明らかである。
以下のランキングは、自動車関連の様々なランキングの一例にすぎないが、「VOLVO」がどれほど人気のあるブランドであり、広く知られる存在であるかを、十分に示している。
(ア)2020年秋 輸入車ランキング【新車ベスト5】において、「VOLVO XC40」は堂々のランキング1位を獲得している(甲6B)。
(イ)2021年最新版 人気の外車・輸入車おすすめランキングTOP20のSUV編において、「VOLVO XC40」は堂々のランキング1位を獲得している(甲7B)。
(ウ)輸入車販売台数ランキングTOP10 2020年度に売れた輸入車は?において、「VOLVO 60シリーズ」は前年度8位からランクアップされ、5位にランキングしている(甲8B)。
(エ)外車メーカーランキング!おすすめ輸入車メーカーとは? において、6位にランキングしている(甲9B)。
ウ 「VOLVO」の受賞歴
ボルボ社の製造する自動車は、華々しい受賞歴を誇っている。
(ア)「VOLVO XC40」の受賞歴
「VOLVO XC40」は、「2018−2019年日本カー・オブ・ザ・イヤー」、「2018年度グッドデザイン賞」、「2018年欧州カー・オブ・ザ・イヤー」及び「2018年のユーロNCAPテストにおいて最高評価を獲得」の受賞歴がある(甲10B)。
(イ)「VOLVO XC60」の受賞歴
「VOLVO XC60」は、「2017−2018年日本カー・オブ・ザ・イヤー」、「2018年ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー」、「2017年ユーロNCAPテスト「ベスト・イン・クラス」獲得」及び「北米SUB・オブ・ザ・イヤー2018」の受賞歴がある(甲11B)。
(ウ)「VOLVO XC90」の受賞歴
「VOLVO XC90」は、「2017年次RJCカーオブザイヤー・インポート受賞」、「日本カー・オブ・ザ・イヤー10ベストカーに選定」、「2016年度グッドデザイン・ベスト100」及び「2016トップセーフティピック+(プラス)を獲得」の受賞歴がある(甲12B)。
(エ)その他
XC90は国内外で100を超える賞を受賞している。
(オ)まとめ
このように、ボルボ社が製造する自動車は、毎年数多くの賞を受賞し続けており、これらの受賞歴からも、「VOLVO」が広く知られる存在であることは疑う余地なく明らかである。
エ ボルボ社の販売台数
ボルボ社の自動車の世界販売台数は、6年連続で過去最高記録を更新し続けており、2018年と2019年を比較するだけでも、前年比を大きく上回る台数が売り上げられたことが分かる(甲13B)。
オ 「VOLVO」の使用実績及び事業の多角化の可能性について
「VOLVO」は、自動車を始めとする乗物、船舶、その他運搬用機械器具に使用されるのみならず、自動車等に搭載されたり、又は車内で使用される、マット、チャイルドシート、ドライブレコーダー、車内インテリア等にも広く使用されている(甲14B)。
また、申立人が過去の申立てを行った、異議2004−90746では、「VOLVO」がファッション関連商品である被服、かばん、帽子、マフラー、手袋等に使用され、商品が販売されていることも認められている。
さらに、ボルボ社はおもちゃ会社に「VOLVO」のライセンスを許諾するなどして、おもちゃ製品にも関連性を有している(甲15B)。
したがって、ボルボ社は、自動車等に関連する輸送機械産業に「VOLVO」を長年にわたって使用し続けているだけでなく、輸送機器以外のチャイルドシート、ドライブレコーダー、被服及びおもちゃ等にも「VOLVO」を広く使用し、多角的に事業を行っていることは明らかである。
カ 小括
上記アないしオを総合すると、ボルボ社及び申立人のハウスマークである「VOLVO」は、創業時から現在まで、長きにわたって使用され、近年になっても販売台数は各国で過去最高記録を更新し続けているという事実や、様々な賞を世界中で受賞している事実、人気ランキングのトップを独走している事実から、「VOLVO」は人気が全く衰えないブランドとして、我が国及び世界中で揺るぎない知名度を誇っていることは明らかである。
さらに、自動車車等の運搬用機械器具以外に対しても、多角的に「VOLVO」を使用し続けていることも明白であり、申立人は、異議2004−90746において、「VOLVO」の著名性を述べたうえで、異議申立ての対象商標が商標法第4条第1項第15号に該当することを主張したところ、「VOLVO」の著名性を認められたうえで、異議申立ての対象商標が、同号に違反すると認定された。
これらの事実を総合すると、申立人2引用商標が、我が国及び世界中で著名性を獲得しており、本件商標の登録出願時に、申立人2引用商標が著名であったことは疑う余地がない。
(2)本件商標と申立人2引用商標の類似性
ア 本件商標について
本件商標は、欧文字「Volo」から構成されるが、構成文字に相応して、「ボロ」又は「ボルオ」と称呼されることが自然である。
イ 申立人2引用商標について
申立人2引用商標は、欧文字「VOLVO」から構成され、構成文字に即して「ボルボ」と称呼されることが自然である。
ウ 本件商標と申立人2引用商標の比較
本件商標「Volo」と、申立人2引用商標「VOLVO」は、中間部分の「V」の有無において異なる。
しかしながら、中間部分は、語頭部分と比較すると印象が薄らぐため、「V」の有無が、外観において与える影響は大きいものではないといえる。
さらに、本件商標は4文字、申立人2引用商標は5文字から構成されているが、構成文字「V」、「O」、「L」及び「O」が共通し、殊に、語頭の「VOL」の配列が一致している。
そうすると、本件商標と申立人2引用商標は、構成文字が非常に近しく、「V」の有無における差異が与える印象は非常にわずかなものであることは明らかである。
よって、時と処を異にして本件商標と申立人2引用商標を比較観察した場合、商品に接する取引者及び需要者は、両商標が紛らわしいゆえに混同し、同一視するおそれがあるといえる。
したがって、本件商標と申立人2引用商標は、外観において類似性の程度が極めて高い関係であるといえる。
次に、本件商標から生じる称呼「ボルオ」と、申立人2引用商標から生じる称呼「ボルボ」は、「ボル」の音が共通する。
また、語尾の音が「オ」と「ボ」で異なるものの、「オ」と「ボ」は母音が「O」の音である点が共通している。
よって、「ボルボ」と「ボルオ」は、類似性の程度が比較的高く、近似した音であり、「ボルボ」と「ボルオ」は称呼において類似性が高いといえる。
したがって、本件商標と申立人2引用商標は、外観において極めて近似し、称呼においても類似性が高い関係にあるため、両商標の類似性の程度が極めて高い関係にあることは明らかである。
エ 指定商品の類似関係について
本件商標の第12類の商品「自動車用シガーライター,原動機付きのスクーター,自動車用灰皿,オートバイ,自転車のタイヤ用空気ポンプ,自転車用空気ポンプ,キックスケーター(乗物),電動自転車,自動平衡機能付きスクーター,自動平衡機能付きボード,原動機付きスクーター,折りたたみ式電動自転車,自動平衡機能付き電動二輪式スクーター,自動平衡機能付き電動式スクーター,折り畳み式自転車,自動平衡機能付き電動式一輪車,乗物用タイヤ用空気入れポンプ,自転車用車輪,自動平衡機能付き一輪車,電動式一輪車」と、申立人2引用商標の第12類の商品「航空機並びにその部品及び附属品,自動車(トラクターを除く。)並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品」等は、類似関係にある。
したがって、本件商標と申立人2引用商標は、商品において類似関係にあることが明らかである。
オ 小括
以上より、本件商標と申立人2引用商標は、商標において極めて類似性の程度が高く、指定商品も類似関係にあることは明らかである。
(3)商標法第4条第1項第10号の該当性
ア 申立人2引用商標が広く認識されていること
申立人2引用商標は、ボルボ社及び申立人2のハウスマークとして我が国を含む世界中において著名性を獲得している。
よって、申立人2引用商標は広く認識されているといえる。
イ 本件商標と申立人2引用商標の類似性
本件商標と申立人2引用商標の類似性の程度が極めて高いことは明らかである。
また、本件商標と申立人2引用商標の指定商品は、類似関係にある。
ウ 小括
以上より、本件商標は、ボルボ社及び申立人2のハウスマークとして広く認識されている申立人2引用商標と類似性の程度が極めて高く、本件商標と申立人2引用商標の指定商品は類似関係にあることは明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第11号の該当性
申立人2引用商標は、本件商標の登録出願日前の商標登録出願に係る登録商標であり、本件商標と申立人2引用商標の類似性の程度は極めて高い。
また、本件商標の指定商品と申立人2引用商標の指定商品とは類似関係にある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(5)商標法第4条第1項第15号の該当性
ア 「混同を生ずるおそれ」について
商標法第4条第1項第15号は、「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」について、商標登録を受けることができないと規定している。
ここで、商標法第4条第1項第15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」は、当該商標をその指定商品等に使用したときに、当該商品等が他人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品等であると誤信されるおそれ、すなわち、いわゆる広義の混同を生ずるおそれがある商標をも包含するものであり、同号にいう「混同を生ずるおそれ」の有無は、当該商標と他人の表示との類似性の程度、他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や、当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の関連性の程度、取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきものである。
イ 本件商標と申立人2引用商標の類似性の程度
本件商標と申立人2引用商標の類似性の程度は極めて高い。
ウ 申立人2引用商標の周知性の程度
申立人2引用商標が、ボルボ社及び申立人2のハウスマークとして我が国を含む世界中において著名性を獲得している事実は、明らかである。
エ 商品の関連性の程度
本件商標の指定商品と申立人2引用商標の指定商品が類似関係にあることは、明らかである。
よって、本件商標に係る指定商品と、申立人2引用商標に係る指定商品とは、高い関連性を有している。
オ 小括
以上より、本件商標は、ボルボ社及び申立人2のハウスマークとして広く認識されている申立人2引用商標と類似性の程度が極めて高く、本件商標と申立人2引用商標の指定商品は類似関係にあることは明らかであり、さらに、「VOLVO」の著名性を備えていることを前提に、本件商標を指定商品に使用した場合、商品の出所について混同を生ずるおそれがあることは明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(6)商標法第4条第1項第19号の該当性
ア 申立人2引用商標が広く認識されていること
申立人2引用商標がボルボ社及び申立人2のハウスマークとして、我が国を含む世界中において広く認識されていることは、明らかである。
イ 商標の類似性
本件商標と申立人2引用商標の類似性の程度は極めて高い。
不正の目的について
申立人2引用商標は、我が国のみならず、世界において著名性を獲得しているので、本件商標権者も申立人2引用商標を当然に認識していたことが自然である。
それにも関わらず、申立人2引用商標の指定商品と類似する商品に対して、申立人2引用商標と類似性の程度が極めて高い本件商標を偶然選択したとは考え難く、出願人が、引用商標が有する信用力、顧客吸引力にフリーライドする意図をもって「Volo」をあえて選択し、使用していることは明らかである。
よって、本件商標の使用に不正の目的があることは明らかである。
エ 小括
以上より、本件商標は、我が国及び世界において著名性を備えた申立人2引用商標と類似性の程度が極めて高い関係にあり、不正の目的をもって使用されたことは明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(7)商標法第4条第1項第7号の該当性
本件商標は、我が国を含む世界中において著名性を備えた申立人2引用商標と類似性の程度が極めて高い関係にある。
また、本件商標が、申立人2引用商標の著名性にフリーライドする意図をもって登録出願されていることは明らかであるため、本件商標が不正の目的をもって登録出願されたことは明らかである。
よって、本件商標の登録出願の経緯は社会的相当性を欠くものであり、この様な登録出願を認めることは、公正な市場の秩序を乱すことに他ならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

第4 当審の判断
1 引用商標の周知著名性について
(1)申立人1引用商標の周知著名性について
申立人1提出の証拠及び同人の主張によれば、申立人1は、2011年にドイツに設立された航空機メーカーでありエアタクシーサービスの開始方法を計画していること(甲2A〜甲9A)、2017年にダイムラー社を含む数社から約30億円、2019年に吉利汽車とボルボ・カーズの親会社である浙江吉利控股集団有限公司の主導により、約60億円の出資を受けていること(甲10A、甲11A)、引用商標1は2011年より申立人の商号商標として、引用商標3は2019年より主にドローンについて、引用商標4は2019年より2人乗りのエアタクシーについて、引用商標5は2019年よりエアタクシーの搭乗・離着陸等を行う役務の商標として、引用商標6は、2020年より人工知能を活用したソフトウェアプラットフォームについて使用されていること(甲14A、甲15A、甲18A、甲20A、甲22A、甲24A)、申立人1の事業は、我が国及び中国等においてインターネット記事等で紹介されていること(甲26A〜甲59A)がうかがえる。
しかしながら、申立人1は、申立人1引用商標が使用された商品及び役務の販売数及び提供数、販売場所及び提供場所に関する証拠は何ら提出しておらず、これらの商品及び役務の国内外の市場占有率等も明らかではない。
また、申立人1引用商標が使用された商品及び役務の需要者は、明確ではなく、我が国において、これらの商品及び役務が実際に取引され、又は、提供されているのかも明らかではない。
さらに、申立人1引用商標に関する宣伝広告に関する証拠は、インターネット記事のみであり、その他、我が国及び外国における宣伝広告費用、宣伝広告を行った媒体、その回数や期間等が客観的に把握し得る証拠は提出されていない。
そうすると、申立人1が提出した全証拠によっては、申立人1引用商標が、申立人1が製造、販売する商品又は提供する役務を表示するものとして、我が国及び外国の需要者の間に広く認識され、本件商標の登録出願時及び登録査定時に周知著名性を獲得していたとは認められないものである。
(2)申立人2引用商標及び「VOLVO」の文字の周知著名性について
申立人2提出の証拠及び同人の主張によれば、申立人2引用商標及び「VOLVO」の文字は、申立人2の母体であるボルボ社が、1927年の会社創設以来、現在に至るまで、車輌・船舶、その他運搬用機械器具に使用している商標であり、ボルボ社及び申立人2のハウスマークとして使用されていること、様々なランキングにおいて、「VOLVO」が常に上位を占める人気ブランドであること(甲6B〜甲9B)、ボルボ社の製造する自動車は、様々な受賞歴を有していること(甲10B〜甲12B)、ボルボ社の自動車の世界販売台数は、6年連続で過去最高記録を更新しており、2018年と2019年を比較するだけでも、前年比を上回る台数が売り上げられたこと(甲13B)、「VOLVO」は、マット、チャイルドシート、ドライブレコーダー、車内インテリア等にも広く使用されていること(甲14B)が認められる。
そうすると、申立人2引用商標及び「VOLVO」の文字は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、ボルボ社及び申立人2並びにボルボ社の取り扱う商品を表示するものとして、需要者の間において、広く知られているといい得るものである。
2 本件商標と引用商標の類似性について
(1)本件商標と申立人1引用商標の類似性について
ア 本件商標について
本件商標は、上記第1のとおり、「Volo」の文字を標準文字で表してなるものであるから、その構成文字に相応して、「ボロ」の称呼を生じるものであり、また、当該文字は、辞書等に載録されている成語とは認められないことから、特定の観念を生じないものである。
イ 申立人1引用商標について
(ア)引用商標1及び引用商標2について
引用商標1及び引用商標2は、上記第2の1(1)及び(2)のとおり、「Volocopter」の欧文字を横書きしてなるものであるから、その構成文字に相応して、「ボロコプター」の称呼を生じるものであり、また、当該文字は、辞書等に載録されている成語とは認められないことから、特定の観念を生じないものである。
(イ)引用商標3について
引用商標3は、上記第2の1(3)のとおり、「VOLODRONE」の欧文字を横書きしてなるものであるから、その構成文字に相応して、「ボロドローン」の称呼を生じるものであり、また、当該文字は、辞書等に載録されている成語とは認められないことから、特定の観念を生じないものである。
(ウ)引用商標4について
引用商標4は、上記第2の1(4)のとおり、「VOLOCITY」の欧文字を横書きしてなるものであるから、その構成文字に相応して、「ボロシティ」の称呼を生じるものであり、また、当該文字は、辞書等に載録されている成語とは認められないことから、特定の観念を生じないものである。
(エ)引用商標5について
引用商標5は、上記第2の1(5)のとおり、「Voloport」の欧文字を横書きしてなるものであるから、その構成文字に相応して、「ボロポート」の称呼を生じるものであり、また、当該文字は、辞書等に載録されている成語とは認められないことから、特定の観念を生じないものである。
(オ)引用商標6について
引用商標6は、上記第2の1(6)のとおり、「VoloIQ」の欧文字を横書きしてなるものであるから、その構成文字に相応して、「ボロアイキュウ」の称呼を生じるものであり、また、当該文字は、辞書等に載録されている成語とは認められないことから、特定の観念を生じないものである。
ウ 本件商標と申立人1引用商標との類否について
(ア)外観について
本件商標は、上記アのとおりの構成よりなり、また、申立人引用商標1は、上記イのとおりの構成よりなるものであるところ、本件商標と引用商標1及び引用商標2とは、「copter」の文字の有無、本件商標と引用商標3とは、「DRONE」の文字の有無、本件商標と引用商標4とは、「CITY」の文字の有無、本件商標と引用商標5とは、「port」の文字の有無、本件商標と引用商標6とは、「IQ」の文字の有無において、いずれも明らかに相違するものであるから、本件商標と申立人1引用商標の外観は、互いに紛れるおそれはない。
(イ)称呼について
本件商標から生じる「ボロ」の称呼と引用商標1及び引用商標2から生じる「ボロコプター」の称呼、引用商標3から生じる「ボロドローン」の称呼、引用商標4から生じる「ボロシティ」の称呼、引用商標5から生じる「ボロポート」の称呼及び引用商標6から生じる「ボロアイキュウ」の称呼とは、音数が明らかに相違するため、これらを一連に称呼した場合は、これらの音数の差が称呼全体に及ぼす影響は決して小さいとはいえず、語調語感が相違したものとなり、互いに紛れるおそれはない。
(ウ)観念について
本件商標と申立人1引用商標とは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念上、比較することができない。
(エ)小括
以上(ア)ないし(ウ)のとおり、本件商標と申立人1引用商標とは、観念において比較できないものであるとしても、外観及び称呼において、相紛れるおそれのないことが明らかなものであるから、両商標が需要者に与える印象、記憶等を総合してみれば、両商標は、非類似の商標であって、別異のものというのが相当である。
その他、本件商標と申立人1引用商標とが類似するというべき特段の事情は見いだせない。
(2)本件商標と申立人2引用商標の類似性について
ア 本件商標について
本件商標は、上記第1のとおり、「Volo」の文字を標準文字で表してなるものであるから、その構成文字に相応して、「ボロ」の称呼を生じるものであり、また、当該文字は、辞書等に載録されている成語とは認められないことから、特定の観念を生じないものである。
イ 申立人2引用商標について
引用商標7は、上記第2の2(1)のとおり、「VOLVO」の欧文字を横書きしてなるものであり、引用商標8は、上記第2の2(2)のとおり、「VOLVO」の文字を標準文字で表してなるものであるから、これらの構成文字に相応して、「ボルボ」の称呼を生じるものである。
また、「VOLVO」の文字は、ボルボ社又は申立人2の略称と認識されるものであり、ボルボ社が製造・販売する自動車のブランド名を表示するものである。
よって、申立人2引用商標は、「ボルボ」の称呼を生じるものであり、「(ボルボ社又は申立人2のブランドとしての)VOLVO」の観念を生じるものである。
ウ 本件商標と申立人2引用商標との類否について
(ア)外観について
本件商標は、「Volo」の文字を標準文字で表してなり、引用商標7は、「VOLVO」の欧文字を横書きしてなるものであり、引用商標8は、「VOLVO」の文字を標準文字で表してなるところ、本件商標と申立人2引用商標とは、構成文字数が相違し、第4文字目における「V」の文字の有無において明らかに相違するものであるから、これらの外観は、明瞭に相違するものである。
したがって、本件商標と申立人2引用商標とは、外観上、類似する商標ということはできず、これらを時と所を異にして離隔的に観察した場合においても、互いに紛れるおそれはない。
(イ)称呼について
本件商標から生じる「ボロ」の称呼と申立人2引用商標から生じる「ボルボ」の称呼とは、音数が明らかに相違し、また、本件商標は2音、申立人2引用商標は3音と短い音の構成において、一音の相違が称呼全体に及ぼす影響は決して小さいとはいえず、語調語感が相違したものとなり、互いに紛れるおそれはない。
したがって、本件商標と申立人2引用商標は、称呼上、類似する商標ということはできない。
(ウ)観念について
本件商標は、特定の観念を生じないものであり、申立人2引用商標は、「(ボルボ社又は申立人2のブランドとしての)VOLVO」の観念が生じるものであるから、本願商標と申立人2引用商標とは、観念において相紛れるおそれはない。
(エ)小括
以上(ア)ないし(ウ)のとおり、本件商標と申立人2引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれはない非類似の商標であって、別異のものというのが相当である。
その他、本件商標と申立人2引用商標とが類似するというべき特段の事情は見いだせない。
3 申立人2主張の商標法第4条第1項第11号該当性について
上記2(2)のとおり、本件商標と申立人2引用商標とは非類似の商標であって、別異の商標というべきものであるから、両商標の指定商品が同一又は類似するとしても、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
4 商標法第4条第1項第10号及び同項第15号該当性について
(1)申立人1主張の商標法第4条第1項第10号及び同項第15号該当性について
上記1(1)のとおり、申立人1引用商標は、申立人1が製造、販売する商品又は提供する役務を表示するものとして、我が国及び外国の需要者の間に広く認識され、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、周知著名性を獲得していたとは認められないものであり、上記2(1)のとおり、本件商標と申立人1引用商標とは、非類似の商標であり、別異の商標というべきものであるから、本件商標をその指定商品に使用しても、需要者において、申立人1や申立人1引用商標を連想、想起するということはできず、よって、その商品が申立人1あるいは申立人1と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれがある商標とはいえない。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情はない。
したがって、本件商標は、申立人1主張に係る商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に該当しない。
(2)申立人2主張の商標法第4条第1項第10号及び同項第15号該当性について
上記1(2)のとおり、申立人2引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、ボルボ社及び申立人2並びにボルボ社の取り扱う商品を表示するものとして、需要者の間において、広く知られているといい得るものであるとしても、上記2(2)のとおり、本件商標と申立人2引用商標とは、非類似の商標であり、別異の商標というべきものであるから、本件商標をその指定商品に使用しても、需要者において、ボルボ社及び申立人2並びにボルボ社の取り扱う商品を連想、想起するということはできず、よって、その商品がボルボ社及び申立人2あるいは同社と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれがある商標とはいえない。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情はない。
したがって、本件商標は、申立人2主張に係る商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に該当しない。
(3)小括
以上(1)及び(2)のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に該当しない。
5 商標法第4条第1項第7号及び同項第19号該当性について
(1)申立人1主張の商標法第4条第1項第19号該当性について
上記1(1)のとおり、申立人1引用商標は、申立人1が製造、販売する商品又は提供する役務を表示するものとして、我が国及び外国の需要者の間に広く認識され、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、周知著名性を獲得していたとは認められないものであり、上記2(1)のとおり、本件商標と申立人1引用商標とは、非類似の商標であり、別異の商標というべきものであるから、本件商標をその指定商品に使用しても、需要者において、申立人1や申立人1引用商標を連想、想起するということはできないものである。
そうすると、本件商標は、申立人1引用商標の知名度や名声にただ乗りするなど不正の目的をもって使用をするものと認めることはできない。
したがって、本件商標は、申立人1主張に係る商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(2)申立人2主張の商標法第4条第1項第7号及び同項第19号該当性について
上記1(2)のとおり、申立人2引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、ボルボ社及び申立人2並びにボルボ社の取り扱う商品を表示するものとして、需要者の間において、相当程度知られているといい得るものであるとしても、上記2(2)のとおり、本件商標と申立人2引用商標とは、非類似の商標であり、別異の商標というべきものであるから、本件商標をその指定商品に使用しても、需要者において、ボルボ社及び申立人2並びにボルボ社の取り扱う商品を連想、想起するということはできないものである。
そうすると、本件商標は、申立人2引用商標の知名度や名声にただ乗りするなど不正の目的をもって使用をするものと認めることはできない。
また、本件商標が、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標というべき事情は見いだせず、その登録出願の経緯に社会的相当性を欠くなど、公序良俗に反するものというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、申立人2主張に係る商標法第4条第1項第7号及び同項第19号に該当しない。
(3)小括
以上(1)及び(2)のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同項第19号に該当しない。
6 まとめ
以上1ないし5のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものではなく、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録は維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
異議決定日 2022-09-07 
出願番号 2020019785 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (W12)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 小松 里美
特許庁審判官 小俣 克巳
豊田 純一
登録日 2021-03-08 
登録番号 6360461 
権利者 深▲せん▼百客電子商務有限公司
商標の称呼 ボロ、ボーロ 
代理人 田中 克郎 
代理人 右馬埜 大地 
代理人 石田 昌彦 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 両部 奈穂子 
代理人 特許業務法人R&C 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ