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審決分類 |
審判 査定不服 外観類似 取り消して登録 W3233 |
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管理番号 | 1393249 |
総通号数 | 13 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2023-01-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2022-06-23 |
確定日 | 2022-12-27 |
事件の表示 | 商願2021−5642拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は、令和3年1月20日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和3年11月 9日付け:拒絶理由通知 令和3年12月 1日 :意見書の提出 令和4年 3月22日付け:拒絶査定 令和4年 6月23日 :審判請求書の提出 2 本願商標 本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第32類「ビール(クラフトビール,ピルスナータイプのビール,エールタイプのビール,スタウトタイプのビール,バイスビール,黒ビール及びラガービールを含む),ビールベースの飲料,ビール風味の麦芽発泡酒,ビール製造用ホップエキス,アルコール分1%未満のビール風味の清涼飲料」及び第33類「ビール風味のアルコール飲料(ビールを除く。),ビール風味のアルコールエキス(ビール用のものを除く。),麦芽又は麦を使用したビール風味のアルコール飲料(ビール・ビールベースの飲料・ビール風味の麦芽発泡酒を除く。),麦芽及び麦を使用しないビール風味のアルコール飲料」を指定商品として登録出願されたものである。 3 原査定の拒絶の理由(要点) 原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、次の3件であり、いずれも現に有効に存続しているものである(以下、これらの登録商標をまとめていうときは、「引用商標」という。)。 (1)登録第6126603号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の態様 HINATA(標準文字) 指定商品 第33類「ジン」 登録出願日 平成30年1月18日 設定登録日 平成31年3月1日 (2)登録第6155125号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の態様 別掲2のとおり 指定商品 第33類「ジン」 登録出願日 平成30年11月6日 設定登録日 令和元年6月21日 (3)登録第6568104号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の態様 hinata(標準文字) 指定役務 第35類「飲食料品(ビール,洋酒,果実酒,酎ハイ,乳幼児用粉乳,乳製品,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,乳清飲料,食肉,冷凍野菜,冷凍果実,野菜(「茶の葉」を除く。),果実,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,チョコレートスプレッドを除く)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む第35類及び第36類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務 登録出願日 令和2年1月28日 設定登録日 令和4年6月8日 4 当審の判断 (1)本願商標 ア 本願商標は、別掲1のとおり、(a)濃淡を有するオレンジ色の円図形(以下「円図形」という。)と、(b)その内部中央に、デザイン化してなる書体で大きくやや上下に互い違いになるように配された白抜きの「ひなた」の文字及びその下に配された「ビール」の文字(長音記号は、上下に並ぶ三本曲線で表されている。)と、(c)「た」の文字部分の上部に小さく配された筆記体様の「\Hinata/」の茶色の文字と、(d)「ビール」の文字部分の下部に小さく配されたブロック体様の「ORGANIC」の茶色の文字と、(e)円図形の上部に、円弧に沿って弧状に小さく配された「太陽と海のごきげんビール」の文字(「太陽」の文字は赤色で、「海」の文字は青色で、それ以外の文字は茶色で表されている。)とからなるものである。 上記構成によれば、本願商標は、円図形及び各文字部分がバランスよく配置されており、視覚的にまとまりよく一体的に表された印象を与えるものである。 イ 本願商標の構成中、上記(d)の「ORGANIC」の文字は、本願の指定商品を取り扱う業界において、有機栽培された原材料を使用している商品に使用されており、商品の品質を表したものと認識されるから、自他商品の識別標識として機能しないもの又はその機能が極めて弱いものといえる。 上記(c)の「\Hinata/」の文字は、上記アのとおりの配置及び態様から、上記(b)の文字中の「ひなた」の平仮名を、欧文字で付記的に表したものと認識されるとみるのが自然であって、当該部分は、自他商品の識別標識として機能を発揮する要部とは認識されない。 また、上記(a)の円図形は、上記(b)ないし上記(d)の文字の背景のような印象を与えるものである。 これに対し、上記(b)の文字部分は、「日光のあたる方。また、その場所。」を意味する「日向」に通じる「ひなた」の文字と、「醸造酒の一つ。麦芽を粉砕して穀類・水とともに加熱し、糖化した汁にホップを加えて苦味と芳香とをつけ、これに酵母を加え発酵させて造る。」の意味を有する「ビール」の文字(いずれも「広辞苑 第七版」(岩波書店)から引用。)とを表してなるところ、これらの文字を結合した「ひなたビール」の文字は、特定の意味を有する成語となるものではないが、「日光のあたる場所のビール」程の漠然とした意味合いを認識させる。そして、当該構成中の「ビール」の文字部分は、本願の指定商品との関係において、商品の名称を表すもので、自他商品の識別標識としての機能が弱い語であるものの、上記アのとおりの配置及び態様で一体的に表されていることに加え、「ひなたビール」の文字全体をして上述のような意味合いを連想、暗示させることもあるから、本願商標のような構成において、「ビール」の語から生じる称呼及び観念が省略されて取引されるものとは考え難い。 また、上記(e)の「太陽と海のごきげんビール」の文字は、その構成文字から特定の観念までは生じないものの、商品の品質等を直接表示するものではない。 ウ 以上を踏まえると、本願商標は、複数の構成要素を組み合わせた結合商標であり、これに接する取引者、需要者をして、その構成中の「ひなたビール」及び「太陽と海のごきげんビール」の文字が着目される場合があるとはいえるものの、それ以上に、特定の文字部分のみが分離、抽出されて観察されることはないというべきである。 そうすると、本願商標は、その構成中の「ひなたビール」及び「太陽と海のごきげんビール」の文字に相応して、「ヒナタビール」及び「タイヨウトウミノゴキゲンビール」の称呼が生じ、本願商標全体として特定の観念までは生じないが、「ひなたビール」の文字から「日光のあたる場所のビール」程の意味合いを暗示させる。 (2)引用商標 ア 引用商標1は「HINATA」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字に相応して「ヒナタ」の称呼が生じるものの、欧文字で表された当該文字からは、特定の観念を生じない。 イ 引用商標2は、別掲2のとおり、左部に開口部を有する植物様の円輪郭図形(以下「輪郭図形」という。)の内部に、上から順に「Japanese premium gin」の文字を小さく、「HINATA」の文字を大きく、「Small batch」及び「miyazaki」の文字を小さく表してなるものと、また、上記輪郭図形の下部に間隔を開けて配された正方形内部に、木と思しき図形及び「hinata」の文字を表した構成からなるものである(なお、当該「hinata」の文字は、非常に小さく表されており、視認し難い。)。 引用商標2の構成中、「Japanese premium gin」、「Small batch」及び「miyazaki」の文字は、それぞれ「日本の高品質なジン」、「少量生産」及び「宮崎」程の意味合いを看取させ、引用商標2の指定商品である「ジン」との関係においては、それぞれ商品の品質又は生産地を表し、自他商品の識別標識として機能しないもの又はその機能が極めて弱いものといえる。また、輪郭図形や正方形、木と思しき図形からは、特定の称呼、観念を生じない。 一方、引用商標2の構成中に大きく表された「HINATA」の文字は、取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものということができ、当該文字部分だけを要部として抽出し、引用商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。 そうすると、引用商標2は、その構成中の「HINATA」の文字に相応して「ヒナタ」の称呼が生じるものの、欧文字で表された当該文字からは、特定の観念を生じない。 ウ 引用商標3は「hinata」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字に相応して「ヒナタ」の称呼が生じるものの、欧文字で表された当該文字からは、特定の観念を生じない。 (3)本願商標と引用商標との類否 本願商標と引用商標とは、それぞれ、上記(1)及び(2)のとおりの構成からなるところ、外観においては、それぞれの構成中に「Hinata」(「HINATA」、「hinata」)の文字を有する点で共通するとしても、その他の文字や図形の有無又は相違において顕著な差異があるから、両商標は、外観上、明確に区別し得る。 また、称呼においては、本願商標から生じる称呼「ヒナタビール」及び「タイヨウトウミノゴキゲンビール」と引用商標から生じる称呼「ヒナタ」は、構成音及び音数に明らかな差異があるため、両商標は、称呼上、明瞭に聴別し得る。 さらに、観念においては、本願商標は「日光のあたる場所のビール」程の意味合いを暗示させるのに対し、引用商標からは特定の観念を生じないから、両商標は、観念上、相紛れるおそれはない。 そうすると、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても明らかに異なるものであるから、これらを総合して判断すれば、両者は、互いに相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。 (4)まとめ 以上のとおり、本願商標は、引用商標とは非類似の商標であるから、本願商標の指定商品と引用商標の指定商品又は指定役務を比較するまでもなく、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当しない。 したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1 本願商標(色彩は、原本参照。) 別掲2 引用商標2 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。 |
審決日 | 2022-12-13 |
出願番号 | 2021005642 |
審決分類 |
T
1
8・
261-
WY
(W3233)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
佐藤 淳 |
特許庁審判官 |
石塚 利恵 小俣 克巳 |
商標の称呼 | タイヨートウミノゴキゲンビール、タイヨートウミ、ゴキゲンビール、ゴキゲン、ヒナタビール、ヒナタオーガニック、ヒナタ、オーガニック |
代理人 | 東京UIT国際特許業務法人 |