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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W19 |
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管理番号 | 1392391 |
総通号数 | 12 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2022-12-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2022-05-16 |
確定日 | 2022-11-25 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6524756号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6524756号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第6524756号商標(以下「本件商標」という。)は、「Care」の欧文字を標準文字で表してなり、令和3年8月30日に登録出願、第19類「リノリューム製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料,ゴム製の建築用又は構築用の専用材料,しっくい,石灰製の建築用又は構築用の専用材料,石こう製の建築用又は構築用の専用材料,セメント及びその製品,木材,石材」を指定商品として、同4年2月8日に登録査定され、同年3月9日に設定登録されたものである。 2 登録異議の申立ての理由 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、その登録は、同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を、要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第43号証(枝番号を含む。)を提出した。 (1)本件商標は、「Care」の文字を標準文字で書した構成からなる。本件商標を構成する「Care(ケア)」の語は、「介護。世話。」等を意味する平易な英単語として一般に知られていて、「ケアワーカー」「ケアハウス」「ケアプラン」「ケアマネージャー」「デイケア」等のように、介護関連の用語に広く使用されていることから(甲2、甲3)、「介護」の意味合いを容易に認識させるものである。 (2)「介護」とは、「高齢者・病人などを介抱し、日常生活を助けること。」を意味するところ(甲2)、昨今の高まる介護需要や、介護や看護の多様化を受けて、食品、衣料品、住宅設備、生活雑貨等、様々な分野において、介護を目的・用途とした「介護向け商品」が広く開発されている。実際に、小売店や百貨店等では、そういった介護向け商品を取り揃えた専用の売り場やオンラインショップが設置・開設されているし、介護向けの商品を専門的に取り扱う小売・卸売業者も数多く存在する(甲4〜甲11)。また、介護向け商品を集めた展示会も開催されている(甲12、甲13)。このように、介護向け商品は、介護を必要とする家庭、高齢者施設、医療施設等、特定の取引者・需要者を対象とする一つのマーケットを構成しているといえる。 (3)本件指定商品の属する建築材料の分野においても、介護を必要とする人のための住宅や介護施設(高齢者施設、医療施設等。以下、それらをまとめて「介護施設等」という。)に適した建築材料といった「介護向け商品」が広く開発され、販売されている実情がある。 平成7年6月に建設省(現国土交通省)が、バリアフリー住宅の設計指針を示した「長寿社会対応住宅設計指針」を策定すると(甲14)、これを契機として、住宅等のバリアフリーヘの取り組みが進み(甲15)、新築の住宅や施設における取り組みはもちろん、「ケアリフォーム」と呼ばれる、介護を目的とする既存住宅へのリフォーム(改修)も広く一般的に行われるようになった(甲16〜甲20)。このような需要に対応するため、建築材料を製造・販売する多くの企業において、被介護者や介護者の安全性や利便性等に配慮した介護向けの建築材料が開発され、販売されている(甲21〜甲41)。そして、このような商品をラインナップして、高齢者施設向け、医療施設向けの一連の商品ラインとして、需要者に提案、販売している例も少なくない(甲27〜甲35)。また、介護分野の日本最大級の展示会である「CareTEX(ケアテックス)」においても、介護向けの建築材料、リフォーム材、内装材等は、展示分野の一つとして設定されている(甲12〜甲13)。このような実情からすると、建築材料の分野においても、「介護向け商品」というのは既に一般的に製造・販売されている商品分野であり、前述の介護向け商品のマーケットの一部を構成しているといえる。 (4)上述のとおり、「Care(ケア)」は、「介護」の意味合いを認識させるものであり、他の様々な分野と同様に、建築材料の分野においても、多くの企業によって、介護施設等に適した建築材料といった「介護向け商品」が製造・販売され、一種のマーケットを構成していることからすれば、建築材料の取引者・需要者にとって、「Care(ケア)」の文字は、商品が前述の「介護向け商品」であることを容易に認識させるものであるといえる。実際に「Care(ケア)」の文字は、建築材料を取り扱う複数の企業によって、介護向けの商品に使用されているし(甲27、甲28、甲36〜甲41)、本件商標の権利者自身も、自己のパブリックスペース向けフローリングブランド「MESSAGE(メッセージ)」において、高齢者施設向け、すなわち、介護向け商品であることを表すものとして「Care」を使用している(甲42、甲43)。 そして、前述のとおり、介護を目的とするリフォームを「ケアリフォーム」ということからも、建築や建築材料に関する分野において、「Care(ケア)」が「介護」の意味合いで理解されていることは明らかである。 (5)そうすると、本件商標「Care」をその指定商品に使用しても介護施設等に適した建築材料といった「介護向け商品」であることを認識させるにすぎず、自他商品識別標識としての機能を果し得ないといえる。また、「介護向け商品」が、建築材料を含む様々な分野で一つのマーケットを構成していて、多くの企業等により多種多様な商品が開発・販売されているという取引実情を鑑みれば、商品の目的や用途を表す「介護」を意味する「Care」の語について、特定人による独占的使用を認めることは、公益上適当ではない。 よって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。 3 当審の判断 (1)「Care」の文字(語)について ア 申立人提出の甲各号証、同人の主張及び職権調査(インターネット情報、新聞記事情報など)によれば、以下の事実が認められる。 (ア)「Care」の文字が「介護、世話」などを意味する平易な英単語であること(甲2、甲3)。 (イ)「Cara」の文字の表音「ケア」が、「ケアワーカー」「ケアハウス」「ケアプラン」「ケアマネージャー」「デイケア」などのように介護関連の用語に用いられていること(甲2、甲3)。 (ウ)食品、衣料品、生活雑貨など様々な分野の商品が「介護用品」などとして販売されていること(甲4〜甲11)。 (エ)介護用品や介護施設に関連した展示会が開催されていること(甲12、甲13、職権調査)。 (オ)在宅介護に対応したリフォームを「介護リフォーム」「ケアリフォーム」と称していること(甲15〜甲20)。 (カ)高齢者、介護を必要とする者、介護をする者の安全性や利便性等に配慮した建築材料が販売等されていること(甲21〜甲43)。 (キ)これらの商品は、「介護施設(向け)」「医療施設(向け)」「高齢者住宅(向け)」「高齢者施設向け(建材)商品」などとして販売され(甲27〜甲35)、その一部には「caresist(ケアシスト)」「CARE HANDLE(ケアハンドル)」「Plyos Care & Pet」「(MESSAGE)CARE(メッセージケア)」の文字(甲29、甲40〜甲43。甲42、甲43は商標権者の商品)や「セーフケアプラス」「コミュニケーションタフ ケアII」「セーフケアダイレクト」「ケアセーフNW」「ドゥケアカウンター」「ケアガードV」の文字(甲27、甲28、甲36〜甲39)が用いられているものがある。 (ク)しかしながら、「Care」(大文字と小文字の異なるものを含む。)や「ケア」の文字が、建築材料等の商品の目的、用途、品質を表示するものとして用いられていると認め得る証左は見いだせず、かつ、同商品の品質を表示するものと認識させるなど自他商品識別標識としての機能を有しないというべき事情も見いだせない。 イ 上記(ア)ないし(ク)からすると、「Care」の文字(同上)は、該文字が「介護、世話」などを意味する平易な英単語であり、その表音「ケア」が「ケアワーカー」「ケアハウス」「ケアプラン」などのように介護関連の用語に用いられているなど上記事実を考慮しても、本件商標の指定商品のいずれの商品についても、当該商品の品質を表示するものと認識させるものではなく、自他商品識別標識としての機能を果たし得るものといわなければならない。 (2)商標法第3条第1項第3号について 本件商標は、上記1のとおり「Care」の欧文字を標準文字で表してなるものである。 そして、本件商標の構成文字である「Care」は、上記(1)のとおり、本件商標の指定商品の品質を表示するものと認識させるものではなく、自他商品識別標識としての機能を果たし得るものである。 したがって、本件商標は商標法第3条第1項第3号に該当するものといえない。 (3)まとめ 以上のとおりであるから、本件商標の登録は、本件商標に係る登録査定時において、商標法第3条第1項第3号に違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。 |
異議決定日 | 2022-11-16 |
出願番号 | 2021107441 |
審決分類 |
T
1
651・
13-
Y
(W19)
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最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
大森 友子 |
特許庁審判官 |
岩崎 安子 馬場 秀敏 |
登録日 | 2022-03-09 |
登録番号 | 6524756 |
権利者 | 朝日ウッドテック株式会社 |
商標の称呼 | ケア |