• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W35
管理番号 1392389 
総通号数 12 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-12-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-04-21 
確定日 2022-11-28 
異議申立件数
事件の表示 登録第6511911号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6511911号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6511911号商標(以下「本件商標」という。)は、「MONSTORE」の文字を標準文字で表してなり、令和3年6月1日に商標登録出願、第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同4年1月31日に登録査定され、同年2月10日に設定登録されたものである。

第2 申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり、以下、これらをまとめて「引用商標」という。また、引用商標1ないし引用商標4は、現に有効に存続しているものである。
1 登録第5379390号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様 「MONSTER」(標準文字)
指定商品 第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
登録出願日 平成22年7月8日
設定登録日 平成22年12月24日
2 登録第5057229号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様 別掲1のとおり
指定商品 第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
登録出願日 平成18年6月9日
設定登録日 平成19年6月22日
3 登録第5393681号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の態様 「MONSTER ENERGY」(標準文字)
指定商品 第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
登録出願日 平成22年7月8日
設定登録日 平成23年2月25日
4 登録第5844119号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の態様 「MONSTER ENERGY」(標準文字)
指定役務 第35類及び第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務
登録出願日 平成27年1月30日
設定登録日 平成28年4月22日
5 申立人主張の全趣旨から、合議体が引用商標と認めたもの
「モンスター」の片仮名からなる商標(以下「引用商標5」という。)

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第7号、同項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第458号証(枝番号を含む。)及び別紙1ないし別紙9を提出した。
1 申立人の使用に係る「MONSTER」(以下「申立人商標」という場合がある。)、その表音「モンスター」の周知性について
(1)申立人商標と取扱い商品
ア 申立人は、1930年代に創業した米国の飲料メーカーであり、創業以降、アルコールを含有しない飲料、すなわち、炭酸飲料、フルーツジュース、エネルギー補給用飲料等の様々な飲料製品の企画、開発、製造、マーケティング、販売の事業に従事していたが、2015年(平成27年)6月からはエネルギー補給飲料(エナジードリンク)の事業に注力している(甲2、甲58)。
イ 申立人商標は、申立人が2002年(平成14年)に創設した「MONSTER」なるエナジードリンクのブランドの製品シリーズの出所識別標識としてブランド創設時から現在に至るまでの長年にわたり継続して使用されているものであり、同ブランドのエナジードリンク(以下「MONSTERエナジードリンク」という。)は、2002年(平成14年)に米国で最初に販売を開始後、日本では2012年(平成24年)5月から販売を開始し、現在では日本を含む世界130以上の国及び地域で販売中である。申立人は2002年(平成14年)以降、現在まで継続して、MONSTERエナジードリンクには一貫して「MONSTER」の文字を基調とする個別商品名が採用されており、各々の個別製品の包装容器には、特徴的な書体で大きく表示した「MONSTER」の文字(甲416)を独立してみる者の目をひきつける態様で顕著に表示している(別紙1、別紙2)。
このように、「MONSTER」の文字に他の語を結合する方法で命名された個別製品名と「MONSTER」の文字を顕著に表示した包装容器を使用したMONSTERエナジードリンク事業の成功は、経済界でも高い評価を受けている(甲2〜甲33、甲51〜甲58、甲391〜甲393)。
ウ 2012年5月以降に、我が国において発売されたMONSTERエナジードリンクは20種類以上を超え(リニューアル製品及び季節限定製品を含む。)、現在も販売を継続している(別紙1)。
(2)広告及び販売促進活動
申立人によるMONSTERエナジードリンクの広告及び販売促進活動は、国際的に活躍する多数の有名アスリート・チーム及びイベントに対するスポンサー活動を中核として、ウェブサイト及びプレスリリースによる広告、MONSTERエナジードリンクのサンプルの配布、大手コンビニエンスストアやイベント主催者と提携した大規模な販売キャンペーン(景品・賞品のプレゼントを含む。)、スポーツイベント等の開催、契約アスリート等の動画・画像の公開、MONSTERブランドのライセンス商品の開発及び販売、ビデオゲーム会社と提携したMONSTERブランドを使用したビデオゲームの開発及び共同販売促進活動の実施など極めて多彩な内容である。こうした広告宣伝活動は、「MONSTER」の文字(特徴的な書体で表示したものを含む。)、爪の図柄と特徴的な書体で表示した「MONSTER」の文字と活字体で表示した「ENERGY」の文字からなるロゴマーク、「MONSTER ENERGY」の文字(以下、これらを併せて「MONSTERブランドマーク」という。)を使用して、本件商標の登録出願日前から継続的かつ頻繁に全国規模で実施されている(別紙3〜別紙7)。また、申立人はMONSTERエナジードリンクの需要者に人気が高いモータースポーツ、エクストリームスポーツ等の分野を中心にスポンサー活動を行い、さらに、ウェブサイト及びソーシャルメディアのアカウントを創設して、MONSTERブランドを強くアピールするための効果的な広告を実施している(別紙9)。
(3)ライセンスによる申立人商標の使用
申立人は、2002年(平成14年)から、Tシャツ、スウェットシャツ、帽子、ジャケット、手袋などのアパレル製品、運動用ヘルメット、バッグ類、ステッカー、傘、スポーツ用具などの「MONSTER」ライセンス商品の製造販売を第三者に使用許諾している。当該ライセンス商品はライセンシー等を通じてネットショッピングサイトでも販売されているほか、申立人がスポンサー参加するスポーツイベント等の会場で販売したり、イベント来場者に無料配布したり、MONSTERエナジードリンクの販売キャンペーンの応募者・当選者に景品・商品として配布することもしている(甲92〜甲100、甲134、甲135、甲144、甲145、甲148〜甲151、甲153、甲156、別紙7)。
これらのライセンス商品の人気の高さに便乗して、海外で製造された模倣品が日本の税関で輸入差止される事案が遅くとも平成25年7月から現在に至るまで継続して度々発生している(別紙8)。
(4)世界における商標出願及び登録
申立人は、MONSTERブランドマークについて引用商標をはじめとして、国内外において多数の商標登録を取得している(甲447〜甲456)。
(5)申立人のMONSTERエナジードリンクの国内市場占有率など
第三者による市場調査報告書やエナジードリンクの市場に関する記述によれば、2013年(平成25年)時点で申立人のMONSTERエナジードリンクの国内市場占有率は既に25%を超えており、ブランド認知度も第2位であったことが明らかである。それ以降も着実に売上げを伸ばし、男子若年層を中心とした従来の主要需要者層に止まらず、女性層にもMONSTERブランドの認知度を高めてきた。2018年には、MONSTERエナジードリンクの販売実績は1千万ケースに近づき、それまで首位の「レッドブル」を超えて市場占有率トップに立った(甲311〜甲322、甲383〜甲385、甲433)。
また、MONSTERエナジードリンクは市場で「モンスター」と称され、「MONSTER」又は「モンスター」の表記で認知されている(甲10、甲16、甲444〜甲446ほか)。
この点については、特許庁の審査においても、認定されている(甲433)。
(6)小括
以上の事柄に照らせば、申立人商標及びその表音「モンスター」は、本件商標の登録出願時及び登録査定時には、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間で広く認識されていたことが明らかである。
2 商標法第4条第1項第11号該当性
本件商標は、その構成中7文字を、引用商標1の構成文字と共通にし、語頭から連続する「MONST」の配列も一致するから、当該引用商標と外観及び称呼において極めて高い類似のものである。
本件商標の指定役務(以下「本件指定役務」という。)は、引用商標1の指定商品と類似であり、また、当該引用商標は本件商標よりも先に出願されたものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
3 商標法第4条第1項第15号該当性
(1)本件商標は、上記2のとおり、申立人商標と類似性の程度が極めて高いものである。
(2)本件指定役務は、MONSTERエナジードリンクと同一又は類似、あるいは極めて関連性が強い飲料に係る小売等役務を包含している。
また、本件指定役務は、引用商標の指定商品又は指定役務と同一又は類似であることに加え、申立人等が取り扱うライセンシー商品等と同一又は類似の商品に係る小売等役務を包含しているから、申立人の取扱い商品と需要者を共通にするものであって関連性が極めて密接である。本件指定役務の需要者は一般消費者を含むものであるから、その通常の需要者の注意力の程度はさほど高いものとはいえない。
(3)先に述べたとおり、申立人商標及びその表音「モンスター」は、本件商標の登録出願時及び登録査定時には、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間で広く認識されていた。
(4)したがって、本件商標が本件指定役務に使用された場合、これに接した需要者は、申立人商標及び申立人を直観し、当該役務が申立人又は申立人と経済的若しくは組織的関係を有する者の取り扱いに係るものであると誤信し、その出所について混同を生じるおそれがある。
また、本件商標の使用は、申立人の商品及び役務の出所識別標識として広く認識されている申立人商標の出所識別力希釈化するものであり、また、その名声、顧客吸引力にフリーライドするものといわざるを得ない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
4 商標法第4条第1項第7号該当性
本件商標は、社会一般道徳及び公正な取引秩序の維持を旨とする商標法の精神並びに国際信義に反するものであり、公の秩序を害するおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

第4 当審の判断
1 申立人商標及び引用商標の周知性について
(1)申立人提出の甲各号証、同人の主張及び職権調査(インターネット情報、新聞記事情報など。)によれば、次のとおりである。
ア 申立人は、米国の飲料メーカーであって、我が国においてはアサヒ飲料株式会社を通じて2012年(平成24年)5月にエナジードリンク「MONSTER ENERGY(モンスターエナジー)」及び「MONSTER KHAOS(モンスターカオス)」の販売を開始し、その販売量は同年9月には累計100万箱を超え、12月には累計157万箱となった(甲7〜甲9)。
イ 申立人は、我が国において2013年(平成25年)5月に「MONSTER ABSOLUTELY ZERO(モンスターアブソリュートリーゼロ)」(甲10、甲15)、2014年(平成26年)8月に「MONSTERE NERGY M3(モンスターエナジーM3)」(甲59、甲61)を発売以降、毎年1ないし6種類ほどのMONSTERエナジードリンク製品の販売を開始し、製品によってはリニューアルしたりコラボ缶の製品を販売した(甲60、甲62、甲101〜甲103、甲256、甲257、甲263、甲291、甲323、甲324、甲353〜甲358、甲361、甲383〜甲385、甲434〜甲446 ほか)(以下、これら商品と上記アの商品をまとめて「申立人商品」という。)。
ウ 申立人商品のうち、「MONSTER ENERGY」、「MONSTER KHAOS」(2016年(平成28年)5月から)、「MONSTER ENERGY ABSOLUTELY ZERO」、「MONSTER ENERGY M3」、「MONSTER ULTRA」、「MONSTER ENERGY THE DOCTOR」及び「MONSTER PIPELINE PUNCH」等の容器には、別掲2のとおりの商標(色彩が異なるものを含む。以下「別掲2商標」という。)又これと共に爪の図柄が表示されている(甲7、甲10、甲14、甲15、甲59、甲61、甲62、甲101〜甲103、甲256、甲257、甲263、甲291、甲353〜甲358、甲361、甲383〜甲385甲434〜甲440、甲443〜甲446 ほか)。
エ 申立人は、我が国で開催される各種のスポーツ競技会、イベントにおいて、看板、ユニフォーム、車体など多種多様なものに、別掲2商標又はこれと共に爪の図柄を表示している(甲73〜甲80、甲82ほか)。
オ 我が国において、別掲2商標又はこれと共に爪の図柄が表示されたステッカー、衣類、帽子、ヘルメットなどが販売されている(甲92、甲98〜甲100ほか)。
カ 平成25年7月以降、我が国の税関において、申立人の商標権(国際登録第1048069号など)を侵害する疑いがある貨物(帽子、ショートパンツ、Tシャツなど)が多数発見されている(甲169〜甲224、別紙8)。
キ JMR生活総合研究所による消費者調査 No.196「エナジードリンク(2014年(平成26年)7月版)」によれば、ブランド認知率の1位は「レッドブル・エナジードリンク」で45%、2位が「モンスターエナジー」で31%であった。また、同消費者調査No.232「エナジードリンク(2016年(平成28年)8月版)」でも、ブランド認知率の1位は「レッドブル・エナジードリンク」であり、2位は「モンスターエナジー」であったと推認できる(甲311、甲312)。
ク 有限会社飲料総研の調査によれば、我が国における2013年(平成25年)のエナジードリンクの出荷数は約950万ケース(1ケース30本換算)であり、首位のレッドブルが550万ケース、2位のモンスターエナジーは240万ケースであった(甲317、甲318、甲320)。
ケ ジャストシステムによるエナジードリンクに関する調査(2014年(平成26年)4月)によれば、認知度が高い商品の1位は82.8%の「RedBull」、2位は47.6%の「MONSTERENERGY」であった(甲319)。
コ JMR生活総合研究所による消費者調査データ No.269「エナジードリンク(2018年(平成30年)5月版)」には、「モンスター、レッドブル、リアルゴールド寡占化すすむエナジードリンク市場」のタイトルのもと、「今回の調査では、『リアルゴールド(日本・コカコーラ)』『レッドブル・エナジードリンク(レッドブル・ジャパン)・・・』『モンスターエナジー(アサヒ飲料)』の3ブランドがほとんどの項目で上位3位を独占した。」の記載がある。
(職権調査:https://www.jmrlsi.co.jp/trend/mranking/02-drink/mranking269.html)
また、同消費者調査データ No.293「エナジードリンク(2019年(令和元年)5月版)」には、「リアルゴールド、レッドブル、モンスターエナジー。3強上位独占」のタイトルのもと、「エナジードリンクの市場は、2桁の伸びの後に、2016年(平成28年)は対前年比5%増、2017年(平成29年)は同じく8%増とやや落ち着いたものの、依然として成長を続けている。」の記載がある。
(職権調査:https://www.jmrlsi.co.jp/trend/mranking/02-drink/mranking293.html)
2018年には、MONSTERエナジードリンクの販売実績は1千万ケースに近づき、トップに立ったことがうかがえる(甲433)。
サ 申立人及びアサヒ飲料株式会社は、本件商標の登録出願の日前から、申立人商品のキャンペーンに係るニュースリリース、ポスターなどで申立人商品を「モンスター」と表示しているものが見受けられ、また、両社以外のウェブページにおける当該キャンペーンについてのポスターやその他の記事においても「MONSTER」及び「モンスター」の文字が表示されているところ、当該ニュースリリース、ポスター、ウェブサイト等には、申立人商品の画像又は別掲2商標若しくは「モンスターエナジー」の文字と共に爪の図柄が表示又は掲載されている(甲69、甲71、甲79、甲101〜甲103、甲111、甲113、甲115、甲118、甲119、甲124ほか)。
(2)ア 上記(1)のとおり、申立人は、我が国において、2012年(平成24年)5月からエナジードリンク「MONSTER ENERGY」及び「MONSTER KHAOS」の販売を開始し、その後現在まで、20種類以上の申立人商品を販売するとともに、各種のスポーツ競技会、イベント及びキャンペーンなどを通じ、申立人商品の広告宣伝を行っていたこと、2013年(平成25年)のエナジードリンクの出荷数約950万ケースのうち、申立人商品の出荷数は240万ケースで第2位であったこと、申立人商品の認知度が2014年(平成26年)において、その数値は31%と47.6%と差異はあるものの、いずれの調査でも第2位であったことが認められ、2016年(平成28年)の認知度はその数値は不明であるものの2位であったと推認できることに加え、2018年(平成30年)及び2019年(令和元年)の調査において、いずれも申立人商品はエナジードリンクで3強の一つとされること、2018年にはトップに立ったことがうかがえること、また、エナジードリンクの市場は2017年(平成29年)において成長を続けているとされていることを併せみれば、申立人商品は、本件商標の商標登録出願の日(令和3年6月1日)前から、登録査定日(令和4年1月31日)においても、我が国のエナジードリンクの需要者の間に広く認識されているものと判断するのが相当である。
そして、申立人商品は、そのほとんどの容器の中央に、「MONSTER ENERGY」の文字が別掲2商標と同じ態様で表示されていること、常にこれと共に爪の図柄が表示されていること、さらに、ニュースリリース、各種記事などにおいて「MONSTER ENERGY」「モンスターエナジー」と表示され、「モンスターエナジー」と称されていることから、「MONSTER ENERGY」及び「モンスターエナジー」の文字並びに別掲2商標に爪の図柄を加えた態様は、いずれも本件商標の登録出願の日前から、登録査定日はもとより現在においても継続して、申立人及びアサヒ飲料株式会社の業務に係る商品(エナジードリンク)を表示するものとして、エナジードリンクの需要者の間に広く認識されているものといえる。
そうすると、「MONSTER ENERGY」の文字からなる引用商標3、また、別掲2商標に爪の図柄を加えた態様からなる引用商標2は、いずれもその指定商品中にエナジードリンクを含むものであるから、申立人商品(エナジードリンク)を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものというべきである。
しかしながら、申立人商品の広告宣伝は、各種のスポーツ競技会、イベント及びキャンペーンなどを通じて行われているものの、老若男女を問わず幅広い需要者層が目にする機会の多い一般的なメディアを通じたものとはいえないばかりか、我が国における申立人商品の清涼飲料に対する市場占有率等も確認することができないこと等を総合的に判断すると、申立人商品は、幅広い需要者層を有する一般的な清涼飲料の分野においてまで、取引者、需要者の間に広く認識されるに至っていたとまでは認めることができない。
イ また、申立人商品は、その容器に「MONSTER」及び「ENERGY」の各文字が比較的近接して表示されているもの(別掲2商標を含む。)がほとんどであり、MONSTERロゴのみが表示されている商品についての出荷数、シェア等の販売実績は確認できない。
さらに、「MONSTER」の文字及び「モンスター」の文字は、ニュースリリース、ポスター、ウェブサイト等において、申立人又は申立人商品の略称として表示又は掲載が見受けられるとしても、常に申立人商品又は「モンスターエナジー」若しくは別掲2商標と共に表示又は掲載されていることからすれば、これに接する需要者は、そこに表示又は掲載された「MONSTER」の文字及び「モンスター」の文字を、申立人商品(「モンスターエナジー」)の一連の名称として使用されていることを前提に、申立人商品(「モンスターエナジー」)を指称する文字として理解するというべきである。
そうすると、申立人商品又は「モンスターエナジー」の文字若しくは別掲2商標と関連なく表示されている「MONSTER」(申立人商標)の文字及び「モンスター」(申立人商標の表音)の文字までもが、需要者において申立人商品を表示するものと理解されるとはいい難い。
したがって、「MONSTER」の文字からなる引用商標1及び「モンスター」の文字からなる引用商標5は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
さらに、引用商標4は、「MONSTER ENERGY」の文字からなるところ、当該商標が使用された指定役務についての取引及び広告実績が確認できないものであるから、申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
申立人は、本件商標と引用商標1の類否についてのみ述べているが、念のため引用商標2ないし4との類否についても以下検討する。
(1)本件商標について
本件商標は、「MONSTORE」の欧文字を標準文字で表してなり、当該文字は辞書等に載録のない語であるところ、これに接する取引者、需要者は、我が国において慣れ親しんだローマ字読み又は英単語に倣って称呼しようとするのが自然であるから、「mon(モン)」、「monsoon(モンスーン)」及び「store(ストア)」に倣って「モンストア」の称呼が生じ、特定の観念は生じない。
(2)引用商標1ないし4について
引用商標1は、「MONSTER」の文字からなるところ、その構成文字に相応して「モンスター」の称呼及び「怪物、化け物」の観念を生じる。
引用商標2は、別掲1の構成からなるところ、爪の図柄と文字部分を分離し看取する場合もあると考えられることから、これより文字部分を捉えて、「モンスターエナジー」の称呼及び「怪物の力、化け物の力」の観念を生じる。
引用商標3及び4は、「MONSTER ENERGY」の文字よりなるところ、その構成文字に相応して「モンスターエナジー」の称呼及び「怪物の力、化け物の力」の観念を生じる。
なお、上記1のとおり「MONSTER」は、広く認識されている商標とは認められないため、引用商標2ないし4より、当該文字を捉えてこれより「モンスター」の称呼を生じないこと明らかである。
(3)本件商標と引用商標1ないし4との類否について
ア 本件商標と引用商標1は、構成文字が異なることから、外観において相違し、称呼においては、共に5音からなるものの、後半部の「ストア」と「スター」とが相違することから、それぞれを一連に称呼するときは明瞭に聴別することができ、観念においては、本件商標が特定の観念を生じないのに対し、引用商標1は、「怪物、化け物」の観念を生じるものであるから、区別することができ、いずれの点においても相紛れるおそれはない。
イ 本件商標は、引用商標2の文字部分並びに引用商標3及び4とは、構成文字が異なるうえに、引用商標2とは、図形の有無の差異もあることから、両者は、全体の外観において相違し、称呼においては、音数及び音質が相違することから、明瞭に聴別することができ、観念においては、本件商標が特定の観念を生じないのに対し、引用商標2ないし4は、「怪物の力、化け物の力」の観念を生じるものであるから、区別することができ、いずれの点においても相紛れるおそれはない。
ウ 以上ア及びイのとおり、本件商標と引用商標1ないし4は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、相紛れるおそれはないものであるから、両者の指定役務及び指定商品の類否について検討するまでもなく、非類似の商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)申立人は、引用商標との関係で、出所の混同を生ずるおそれがある旨主張していると認められるので、以下検討する。
ア 本件商標と引用商標の類似性の程度
本件商標と引用商標1ないし4は、上記2のとおり、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれはないものであるから、構成文字が一部共通することを考慮しても、別異の商標というべきである。
引用商標5は「モンスター」の片仮名からなるところ、上記2(3)アに倣い、本件商標と引用商標5とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれはなく、共通性を見いだすことはできないものであるから、別異の商標というべきである。
イ 本件商標の指定役務と申立人商品との関連性
本件商標の指定役務は、清涼飲料の小売等業務を含み、一方、申立人商品「エナジードリンク」は、その取扱商品に含まれることから、両者は需要者層の一部に関連性があるものといえる。
ウ 出所混同のおそれ
上記イのとおり、本件商標の指定役務と申立人商品とは、需要者層の一部に関連性があり、上記1(2)のとおり、引用商標2及び引用商標3は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品を表示するものとして、その需要者の間に広く認識されているものと認めることはできるとしても、申立人商品の分野を超えた商品の需要者の間で広く認識されているものと認めることはできず、さらに、引用商標1、引用商標4及び引用商標5は、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、我が国の取引者、需要者の間において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
そして、上記アのとおり、本件商標は引用商標とは別異の商標である。
以上、これらを踏まえて、本件商標の指定役務の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として総合的に判断すれば、本件商標は、その商標権者がこれをその指定役務に使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起することはなく、その役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
この他に、申立人のいずれの主張を検討しても、本件商標がその役務の出所について混同を生ずるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
(2)小括
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標は、上記第1のとおりの構成からなるものであって、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激又は他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではない。
また、本件商標は、上記3のとおり、商標権者がこれをその指定役務について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることのないものである。
その他に、本件商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ない場合等、本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標と認めるに足る具体的な証拠の提出はない。
そうすると、本件商標は、引用商標の出所表示力を希釈化するとか、その名声にフリーライドするなど不正の目的をもって使用するものとはいえず、また、他に商標権者が本件商標をその指定役務に使用することが社会一般の道徳に反し公正な取引秩序を乱す、あるいは国際信義に反するなど、公序良俗に反するものというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
5 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第11号及び同項第15号のいずれにも違反して登録されたものではなく、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲
別掲1 引用商標2


別掲2 申立人の商品の容器に表示されている商標(別掲2商標)



(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
異議決定日 2022-11-17 
出願番号 2021067238 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (W35)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 大森 友子
特許庁審判官 馬場 秀敏
岩崎 安子
登録日 2022-02-10 
登録番号 6511911 
権利者 株式会社MIXI
商標の称呼 モンストア 
代理人 柳田 征史 
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ