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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W30
管理番号 1392388 
総通号数 12 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-12-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-04-08 
確定日 2022-11-10 
異議申立件数
事件の表示 登録第6507221号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6507221号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6507221号商標(以下「本件商標」という。)は、「ADVENTEA CALENDAR」の文字を標準文字で表してなり、令和3年5月11日に登録出願、第30類「紅茶,ハーブ茶,果実茶,ルイボス茶,その他の茶,コーヒー,ココア,菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。)」を指定商品として、同4年1月18日に登録査定、同年2月1日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録4891202号商標(以下「引用商標」という。)は、「ADVENTCALENDAR」の欧文字及び「アドベントカレンダー」の片仮名を上下二段に横書きしてなり、「茶,コーヒー及びココア,菓子及びパン」を含む第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成16年11月22日に登録出願、同17年9月2日に設定登録され、現に有効に存続している。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第88号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標と引用商標の外観
本件商標を構成する「ADVENT」及び「CALENDAR」は、全て引用商標に含まれる文字である。
特に「ADVENTEA CALENDAR」の前方6文字の「ADVENT」と、最後の8文字「CALENDAR」が引用商標と一致していることから、本件商標を一見したとき、引用商標と共通する欧文字の数が多いために引用商標と同じつづりの文字列であると錯覚して、両者を混同して認識するおそれがある。
本件商標と引用商標とは、看者の印象に残りやすく目立つ部分である商標の最初の部分と最後の部分が共通しており、文字部分において視覚的に近似しているので、外観上相紛らわしい類似商標である。
イ 本件商標と引用商標から生じる称呼
本件商標からは、その文字に相応して「アドベンティカレンダー」の称呼が生じ、引用商標からは「アドベントカレンダー」の称呼が生じる。両者から生じる称呼は、異なる部分はあるものの、第5音ないし第7音が本件商標は「(TEA)ティ」で引用商標が「ト(T)」の違いのみで、その他の部分は同じであり、全体に称呼すると「ティ」が弱音であることから、全体の語調、語感は近似したものとして認識される。
よって、本件商標と引用商標は相紛れるおそれのある称呼上類似の商標である。
ウ 本件商標と引用商標から生じる観念
本件商標を構成する欧文字「ADVENTEA」は「ADVENT」に「EA」を加えて「ADVEN」「TEA」としたもので、なんらかの意味をもたない英単語であるので、本件商標からは特段の観念は生じない。
引用商標は、「クリスマスまでの期間に日数を数えるために使用されるカレンダー」といった意味のある親念が生じる。
エ 本件商標の指定商品は、全て引用商標の指定商品と類似する。
オ 小括
したがって、本件商標と引用商標は、外観及び称呼において類似する商標であって、指定商品も類似するから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 引用商標の使用実績
申立人は、「12月初めからクリスマスイブまでの毎日、小さな日めくり部分をめくっていくカレンダーであって、各日めくり部分の内部にお菓子が入っている商品」を、2004年から現在に至るまで18年間にわたって、日本及びシンガポール等の多くの直営店舗で販売してきた。また、店舗販売に加えて、日本全国で通信販売も行い、通信販売の期間も、店舗販売と同じく2004年から現在に至るまで18年間にわたっている。
店舗販売、通信販売とも、商品の性質上、クリスマスシーズン(10月〜12月)のみの季節限定の取り扱いであるが、2004年から毎年継続して販売し、需要者から好評を得ている(甲85)。
引用商標の使用実績を示す証拠書類(甲4〜甲86)から、遅くとも本件商標の登録出願日時点において、引用商標は申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間で広く知られていた。
イ 出所の混同のおそれのある商標であること
上述のとおり、本件商標と引用商標は外観及び称呼において類似する相紛らわしい商標である。
しかし、仮に本件商標と引用商標が外観、称呼、観念のいずれにおいて類似しないとしても、本件商標と引用商標は近似した印象をもつものとして需要者に認識されるおそれがあり、混同を生じるおそれがある。
本件商標を構成する文字が意味をもたない英単語であるにしても、我が国の需要者にはほとんど知られていない。
一方で、引用商標は、「クリスマスまでの期間に日数を数えるために使用されるカレンダー」を意味する英単語であり、申立人が長年に渡って販売した実績もあり、非常によく知られている。
そうすると、我が国の需要者は、本件商標から「ADVENTCALENDAR」を連想する可能性があり、申立人と何らかの関連を有する商品であるとの誤認混同を生じるおそれが否定できない。
商標の類否は時と場所を異にする離隔的観察により判断されるものであり、需要者が商標の細部を正確に記憶しているとは限らず、曖昧な記憶や印象に基づいて商品に付された商標から出所を識別することも少なくないことを考慮すると、本件商標に接した需要者が、本件商標を付した商品と引用商標を付した商品の出所を誤認混同する可能性は決して低いものではない。
本件商標は、クリスマスシーズンに引用商標の商品同様に季節限定になりがちな商標であるから、引用商標同様に出所の混同を生じるおそれは高いものといえる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第10号について
上述のとおり、本件商標と引用商標は類似し、その指定商品は、「菓子」及び「茶」について同一である。
そうすると、我が国の需要者は、本件商標から「ADVENTCALENDAR」を連想する可能性があり、引用商標の商標権者と何らかの関連を有する商品であるとの誤認混同を生じるおそれが否定できない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第19号について
引用商標は、本件商標と類似し、日本国内の需要者の間で広く認知されている。この事実は、特許庁商標審査基準に記載の「不正の目的」の考慮事由に該当する。
本件商標権者は、2020年と2021年にかけて、本件商標と類似する「ADVENT TEA CALENDER」の文字を表示した包装容器に紅茶を入れて販売していた。そして、申立人から警告を受け、上記紅茶の販売を断念した経緯がある。この経緯からも、本件商標権者は、引用商標の存在を知っており、「不正の目的」をもって使用しているといわざるを得ない。
少なくとも、本件商標権者は、日本国内で全国的に知られている引用商標と類似する本件商標について、引用商標の出所表示機能を希釈化させたり、その名声を毀損させる目的をもって出願したものといえる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知性
ア 申立人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
(ア)申立人は、「12月初めからクリスマスイブまでの毎日、小さな日めくり部分をめくっていくカレンダーであって、各日めくり部分の内部にお菓子が入っている商品」(以下「申立人商品」という。)を、2004年から現在に至るまで18年間にわたって日本及びシンガポール等の直営店舗で販売してきた(甲4〜甲86)。
(イ)申立人の国内店舗における配布チラシには、申立人商品について、(a)「ADVENTCALENDAR」の文字の上に「ROYCE’Kids」の文字が表示されるとともに「ロイズキッズアドベントカレンダー」の文字が表示されたもの(2007年〜2011年、2013年:甲5〜甲10)、(b)「AdventCalendar」の文字とともに、「ロイズアドベントカレンダー」の文字が表示されたもの(2014年、2016年〜2019年:甲11〜甲14、甲16)、(c)「ADVENT」及び「CALENDAR」の文字が上下二段に表された上に「ロイズアドベントカレンダー」の文字が表示されたもの(2021年:甲15)がそれぞれ掲載されている。
(ウ)申立人商品は、申立人の通販カタログ(2004年〜2021年:甲17〜甲34)、北海道新聞折り込みチラシ(2009年〜2021年:甲35〜甲60)、ダイレクトメール(2009年、2010年、2019年:甲61〜甲65)、毎日新聞北海道版(2006年11月23日:甲66)・朝日新聞北海道版(2006年11月23日:甲67)・読売新聞北海道版(2006年11月24日:甲68)・読売新聞(夕刊)関東圏版(2009年12月16日:甲69)・毎日新聞関東圏版(2009年12月8日:甲70)の新聞広告にそれぞれ掲載されているものの、上記(イ)の配布チラシと同様に「ADVENTCALENDAR」及び「アドベントカレンダー」の文字のみの使用は認められない。
(エ)札幌市営地下鉄の中吊り広告(2010年11月:甲72)には、申立人商品について「ADVENTCALENDAR」の文字の上に「ROYCE’Kids」の文字が表示されるとともに「ロイズキッズアドベントカレンダー」の文字が表示されたものが掲載されている。
(オ)HTB(北海道テレビ放送)では、申立人が提供する2分間のミニ番組が2015年12月から放送され、2016年11月21日に「クリスマスを待つ楽しみ〜アドベントカレンダー」が放送されている(甲73)が、その内容については、確認できない。
(カ)「【WBS】の「白熱ランキング・トレンドたまご」」には、「アドベントカレンダーのランキング!」(2021.03.13)に、「アドベントカレンダーの売り上げランキング/アドベントカレンダーの箱型24個の引き出しカウントダウン/※「白熱ランキング」と「アマゾン」の両方1位です。ロイズは大人気です!」と記載され、1位「ロイズアドベントカレンダー」と記載されている(甲74)。
イ 上記アからすると、申立人は、2004年から申立人商品を製造販売し、通販カタログ、チラシ、新聞広告等に掲載しているところ、申立人商品には、「ロイズキッズアドベントカレンダー」及び「ROYCE’Kids/ADVENTCALENDAR」、又は「ロイズアドベントカレンダー」の文字も表示されており、「ADVENTCALENDAR」及び「アドベントカレンダー」の文字のみの使用は認められない。
また、通販カタログ、チラシ、新聞広告の配布枚数や頒布数等についても、申立人が主張するのみで、それらを裏付ける証拠の提出はない。
さらに、申立人は、札幌市営地下鉄の中吊り広告及びHTB(北海道テレビ放送)においてミニ番組の放映を行ったことはうかがえるものの、引用商標を表示していることが見いだせない。
以上を総合すると、引用商標は、申立人の提出した証拠によっては、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く知られていると認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、前記1のとおり、「ADVENTEA CALENDAR」の欧文字を表してなるところ、その構成文字に相応して、「アドベンティカレンダー」の称呼を生じ、また当該文字は、辞書等に載録が認められないから、特定の観念を生じない。
イ 引用商標
引用商標は、前記2のとおり、「ADVENTCALENDAR」の欧文字及び「アドベントカレンダー」の片仮名を上下二段に横書きしてなるところ、下段の片仮名は、上段の欧文字の読みを特定するものと看取されることから、その構成文字に相応して「アドベントカレンダー」の称呼を生じる。また、「ADVENT CALENDAR」の欧文字及び「アドベントカレンダー」の片仮名は、「12月に子供に与え、クリスマスイブまでの毎日、小さな日めくり部分をめくっていくカレンダー。」(甲3)、「キリスト教で、待降節中にクリスマスまでの日を数えるための暦。日めくり形式のものや、日ごとに聖句や菓子が見つかる仕掛けのものなど。」(「広辞苑第七版」株式会社岩波書店)の意味を有する語であるから、引用商標からは、「クリスマスまでの期間に日数を数えるために使用されるカレンダー」の観念が生じる。
ウ 本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標は、上記ア及びイのとおりの構成からなるところ、本件商標は一段書きで表し、また、「A」と「C」の間に空白があることから、「ADVENTEA」と「CALENDAR」の2つの単語からなる印象を与えるのに対して、引用商標は上下二段書きで表してなることから、その構成において明らかに差異を有するものである。また、本件商標と引用商標の欧文字部分とを比較しても、上記したとおり本件商標は「A」と「C」の文字に間に1文字程度の空白があること、及び全体の文字数を比較すると16文字と14文字と異なるうえ、本件商標の7文字目と8文字目における「EA」の文字の有無に差異を有するから、いずれも外観において紛れるおそれはない。
次に、本件商標から生じる「アドベンティカレンダー」の称呼と引用商標から生じる「アドベントカレンダー」の称呼は、両称呼の5音目に位置する「ティ」と「ト」の音に差異を有し、該差異音を弱く発音するとはいい難く、これらを一連に称呼するときは、語調、語感が相違し聞き誤るおそれはないというべきである。
さらに、本件商標からは特定の観念が生じないのに対し、引用商標からは「クリスマスまでの期間に日数を数えるために使用されるカレンダー」の観念を生じるから、観念において紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と引用商標は、外観、称呼、観念において相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
その他、これらの商標を類似するというべき事情は見いだせない。
エ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、両商標の指定商品が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 引用商標の周知性
引用商標は、上記(1)のとおり、申立人の業務に係る商品について使用する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとは認めることができない。
イ 本件商標と引用商標との類似性の程度について
本件商標と引用商標とは、上記(2)のとおり、外観、称呼、観念において相紛れるおそれのない非類似の商標というべきでから、類似性の程度は低いものというべきである。
ウ 出所の混同のおそれについて
上記ア及びイのとおり、引用商標は、申立人の取扱いに係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていると認めることはできず、また、本件商標と引用商標との類似性の程度も低いことからすれば、本件商標に接する取引者、需要者が、申立人の業務に係る引用商標を連想又は想起するものということはできない。
そうすると、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者が、引用商標を連想又は想起することはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
エ 小括
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第10号該当性について
引用商標は、上記(1)のとおり、申立人の業務に係る商品を表すものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできず、上記(2)のとおり、本件商標と引用商標は、類似する商標とはいえない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
(5)商標法第4条第1項第19号該当性について
本号は、「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもって使用するもの」と規定されている。
そして、本件商標は、上記(2)のとおり、引用商標とは、非類似の商標であって、上記(1)のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表すものとして、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号を適用するための要件を欠くものといわざるを得ない
また、申立人が提出した証拠からは、本件商標権者が本件商標を不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用するものと認めるに足りる具体的事実は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(6)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
異議決定日 2022-11-01 
出願番号 2021057217 
審決分類 T 1 651・ 25- Y (W30)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 佐藤 淳
特許庁審判官 石塚 利恵
小俣 克巳
登録日 2022-02-01 
登録番号 6507221 
権利者 株式会社SEAコーポレーション
商標の称呼 アドベンティーカレンダー、アドベンテアカレンダー、アドベンティー、アドベン、アドベンテア、カレンダー 
代理人 脇田 真希 
代理人 清水 定信 
代理人 山本 彰司 
代理人 山本 龍郎 
代理人 本多 一郎 
代理人 本多 敬子 

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