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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W44
管理番号 1392383 
総通号数 12 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-12-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-03-16 
確定日 2022-11-25 
異議申立件数
事件の表示 登録第6519065号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6519065号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6519065号商標(以下「本件商標」という。)は、「oco nail」の欧文字を標準文字で表してなり、令和3年7月29日に登録出願、第44類「美容,美容院用又は理髪店用の機械器具の貸与,爪の美容,栄養の指導,医療情報の提供,セラピー,植毛,マッサージ」を指定役務として、同4年1月5日に登録査定され、同年2月25日に設定登録されたものである。

2 引用標章
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する標章(以下「引用標章」という。)は、「OCO」の欧文字からなり、同人の通称として全国的に広く認識され、また、「OCO nail」としてネイルサロンの名称に使用されているとするものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第7号、同項第8号及び同項第10号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第15号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)本件商標が登録された経緯
ア 申立人は、2013年2月、自宅にて1人でネイルサロン「OCO nail」を運営し、当時から「OCO」と「nail」の欧文字からなるロゴ商標(甲2。以下「ロゴ商標」という。)だけでなく、本件商標の登録査定時はもちろん、出願時に既に本件商標(甲1)も使用していた(甲5〜甲9)。また、同時に、美容専門学校でネイルとメイクに関する非常勤講師もしており、美容専門学校では、計1000人以上の生徒たちにネイル、メイクの授業を行い、「OCO(おこ)先生」として広く認識されていた(甲8)。
「OCO nail」の由来は、申立人の下の名前をローマ字で記載した「HIROKO」の「OKO」が転じた「OCO」に由来しており、1、2歳の発語しだした頃「ひろこ」と上手く発音できず、申立人が自身のことを「おこ」と称呼し、物心ついた頃より現在まで親族、友達、顧客、美容専門学校の生徒たち、取引業者や本件商標の出願人(以下「A」という。)からもニックネームとして「おこちゃん」「おこ先生」と呼ばれ、申立人の通称として公私共に広く認識されている(甲3〜甲10)。
イ 2015年、申立人の自宅サロン「OCO nail」の顧客が増加し、自宅ではなく店舗としてオープンすることになり、その時の相談相手がAである。
当時、Aは個人事業主として自動車販売店をしており、申立人はAを信頼していたため、Aから共同経営という話を持ちかけられ、Aは自動車販売店、申立人はネイルサロン(OCO nail)でお互い頑張ろうという話となった。
その後、Aが個人事業主である自動車販売店のネイル部署としてネイルサロンをオープンさせた。Aを代表とし、申立人は従業員の立場だったが、Aに共同経営と言われていたため、店の名称は引き続き「OCO nail」を使用することとなった。
Aとは様々なビジネス情報を緊密に共有していたため、Aは申立人の通称として「おこ」が公私共に広く認識されている事実や、「OCO nail」の名称の由来や過去の商標の使用状況も全て把握していた。
また共同経営という話だった為、開店時の全ての材料費、家具やネイル用品、レジ金など申立人が立替え(甲11)、業務も全て申立人が一人で行っていた。「OCO nail」の通帳などは当初申立人が管理していたが、ある時からAが持ち、催促するも申立人には開示されなくなった。
ウ 申立人はネイル業界で名を成し、多数の全国雑誌から取材依頼があり、実際に、2016年9月30日発行の「全国ネイルサロンオーダーBOOK」、2019年5月20日発行の「全国ネイルスクールガイド付 簡単セルフネイル LESSON」など、多数の全国向け雑誌に申立人の氏名や通称も含めた情報や写真が掲載された(甲12)。さらに、奈良県の職業訓練生に対しての職場見学なども年に数回行い、地域の活性化イベントにも参加し、ネットニュースやネイル業界サイトにも掲載され(甲13)、全国的に周知された事実がある。
「OCO nail」の顧客が増加し、2017年、2018年には従業員が入社した。従業員は全て申立人が紹介した美容専門学校での申立人の生徒であり、入社面接や教育やネイルレッスンも全て申立人が行った。
従業員入社時、申立人1人のみの店では無くなったので、申立人は店舗名を「OCO nail」から別の名称へ変更するよう依頼したが、Aは「現に店舗に「おこちゃん」が在籍するという理由で「OCO nail」の名称を継続したい。」と主張し、店舗名変更を認めなかった。
申立人には、他の従業員に支給されるような特別手当や、残業手当などは一切なく、休日出勤なども無給であったが共同経営である為と理解しており、店舗運営に全力を尽くしていた。
従業員入社後、「OCO nail」は、さらに顧客が増加し、店舗が手狭になり、2018年7月には広い店舗へ移転をした。
エ 2019年5月に、Aに対して、申立人は200万円を振り込みで貸し付けた(甲14)。その後、返済の催促をするも様々な理由をつけて未だ返済はないままである。
2021年4月、Aから店舖立ち上げの立替金の返済や、借金の返済などがなく、度重なる不信感から折り合いが悪くなり、申立人はその旨をAに伝えた。
2021年5月18日にAより、「OCO nail」の今後について問われ、申立人がネイル事業(OCO nail)を引き継ぐことを伝え、ネイルサロンは元々申立人のものであるので、申立人にネイル事業「OCO nail」を継承するつもりでいると話があったが、2021年6月2日の再度Aとの話し合いでは一転、「「OCO nail」は申立人には継承しない。」と伝えられた。
2021年6月20日、Aとの話し合いで、申立人より、ネイル事業「OCO nail」を申立人に継承するよう伝えるがAに拒否され、さらにAがネイルサロンを継続する場合は、「OCO nail」以外の別の店舖名に変更をすること、「OCO nail」及び「OCO」の名称使用禁止、立替金や借金の借用書への署名と返済を依頼するが、その後、何も連絡がなくなり、申立人は2021年7月に弁護士(以下「担当弁護士」という。)に相談した。
オ 担当弁護士相談の下、申立人は2021年7月末でAが個人事業主である自動車販売店のネイル部署を退職した。
このような状況下において、Aは申立人の退職直前に一切の相談もなく本件商標の出願をしており、申立人の全く知らない状態での出願であった。
2021年8月、担当弁護士よりAへ文書を通達し、Aも弁護士を立て審議中であったが、借金などに対しても返答や返済はなく、同月、Aからの返答がないことを不安に思った申立人はロゴ商標の商願登録出願をした(甲2。本件商標を引用商標とする商標法第4条第1項第11号違反の拒絶理由通知を受領)。その後、申立人は、特許情報プラットフォームで商標出願公開状況を確認し、初めてAによる本件商標の出願の事実を知った。
カ 申立人の退職は、急な退職であり、顧客に挨拶もないままだったので申立人のインスタグラムへ辞任の挨拶を掲載し、顧客から申立人宛に数件の連絡があり、所在の有無や今後の仕事依頼や予約方法など問い合わせがあった。
申立人が「OCO nail」に在職時には、他の従業員に対し、顧客から店舖名の由来を聞かれた場合、都度、名称の由来や意味を話すこととし、生徒達やスタッフ、顧客にも「OCO nail」の名称の由来や意味を伝えてきたところ、申立人の退職後も申立人宛てに顧客や取引先から連絡がある(甲15)。
(2)商標法第4条第1項第7号について
上記のように、商標に関し使用禁止、引き渡しなどの交渉をし、調整中にもかかわらず、Aに無断で本件商標の出願をされていた事実がある。また、担当弁護士を介し、Aの代理人弁護士へ本件商標の取り下げについても交渉中であるが、回答期限である令和3年12月27日を過ぎ現在に至るまで回答はない。
本件商標の出願人であるAの当該行為は申立人に対し著しく不利益を与え、社会的相当性を欠くものであって、一般的道徳観念に反するものである。
さらに、Aには、申立人への多額の債務があるため先取り的に出願し、権利化後に債務と相殺しようとする意図などが推認される。
また、本件商標は、他人である申立人の通称「OCO」に由来するものであり、申立人による長年の使用及び企業努力により本件商標に化体した信用は申立人自身が獲得した信用であるにもかかわらず、Aが本件商標を継続使用していることにより役務の提供者について出所混同が生じている事実がある。このように、需要者利益が損なわれている状態を放置することは公益保護に反するものである。
さらに、本件商標の登録出願の経緯は社会の一般的道徳観念に反し、本件商標は、商標「OCO nail」に関して、本件商標の登録査定時はもちろん出願時において、Aよりもより密接な関係を有する申立人の利益を害しており、本件出願行為は不正目的をもって先回りしてなされた剽窃的行為であると言わざるを得ず、社会的相当性を欠くものであり、登録を認めることが商標法の公正な取引秩序に反するものとして到底容認し得ない。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第8号について
上記のとおり、本件商標が申立人の通称「OCO」に由来するものであり、申立人による長年の使用及び企業努力により本件商標に化体した周知事実や信用は、申立人自身が獲得した周知や信用であるともいえ、申立人が申立人の通称「OCO」を継続使用していることで役務の提供者について著名である事実がある。また、申立人の通称「OCO」は、本件商標の登録査定時はもちろん出願時に需要者その他にも全国的に広く認識されていたものである。
したがって、本件商標は「申立人の著名な略称」に該当し、申立人以外のものに登録が認められると、申立人の人格的利益を損なうものである。
本件商標は、申立人の通称「OCO」を含み、申立人が使用していたネイルサロンの名称「OCO nail」そのものであり、その出願及び登録について、申立人の承諾を得ていないものであることは明らかである。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第8号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第10号について
上記のとおり、本件商標が他人である申立人の通称「OCO」に由来するものであり、申立人による長年の使用及び企業努力により本件商標に化体した信用は申立人自身が獲得した信用であるにもかかわらず、Aが本件商標を継続使用していることにより、役務の提供者について出所混同が生じている事実がある。また、申立人の通称「OCO」は、本件商標の登録査定時はもちろん、出願時に需要者その他にも全国的に広く認識されていたものである。
さらに、申立人の通称「OCO」が本件商標に係る指定役務について使用されていることはいうまでもない。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第10号に該当する。

4 当審の判断
(1)引用標章の周知著名性について
ア 申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、2012年ないし2014年頃、申立人を「オコちゃん」「オコ」「おこ」「オコチャン」「おこちゃん」と称する者がいたことがうかがえる(甲4)。
イ 申立人は、平成25年(2013年)1月頃から、奈良県磯城郡三宅町で「OCO nail(nailsalon&school)」というネイルサロンを運営していたことがうかがえる(甲5、甲7)。
ウ 申立人は、2016年(平成28年)9月頃に奈良市8条町の「OCO nail private nailsalon&school」という店舗において、及び、2019年(令和元年)5月頃に奈良市3条添川町の「OCO nail nailsalon&school」という店舗におけるネイリストであったことがうかがえる(甲12)。
エ 申立人は令和元年5月10日に、商標権者と同名名義の口座に200万円の振込をしたことが認められる(甲14)。
オ しかしながら、申立人が「OCO」と称されていることを示す証左、申立人と商標権者間のネイルサロンに係るやり取りや商標権者が申立人に多額の債務があるなど両者の関係を示す証左、及び、ネイルサロン「OCO nail」(「OCO nail private nailsalon&school」なども含む。)の来店者数、売上額など具体的な営業実績を示す証左は、いずれも見いだせない。
カ 上記アないしオのとおり、申立人を「オコ」「おこ」などと称する者がいることは認められるものの、それらの者は極めて限られた者と見るのが自然であるし、申立人が「OCO」と称されていることを示す証左は見いだせないから、引用標章「OCO」は申立人の著名な略称と認めることはできない。
また、申立人が平成25年2月頃からネイルサロン「OCO nail」(上記に同じ。)を運営等していたことは認められるものの、当該ネイルサロンにおける具体的な営業実績を示す証左は見いだせないから、引用標章「OCO」及び「OCO nail」の文字(以下、両者をあわせて「引用標章等」という。)は、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、いずれも申立人の業務に係る役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものと認めることもできない。
(2)商標法第4条第1項第7号について
ア 申立人の主張は以下のとおりである。
商標権者は商標に関し交渉中であるにもかかわらず無断で本件商標を出願した当該行為は、申立人に対し著しく不利益を与え、社会的相当性を欠くものであって一般的道徳観念に反するものである。
また、商標権者は申立人に対し多額の債務があり、権利化後に債務と相殺しようとする意図などが推認される。
さらに、本件商標に化体した信用は、申立人が獲得した信用であるにもかかわらず、商標権者が本件商標を継続使用していることにより出所混同が生じており、このような需要者利益が損なわれている状態を放置することは、公益保護に反し、本件商標の登録を認めることは、商標法の公正な取引秩序に反し到底容認し得ないとして、商標法第4条第1項第7号に該当する。
イ しかしながら、上記(1)のとおり、申立人と商標権者が商標について交渉中であること、及び商標権者が申立人に多額の債務があることなど両者の関係を示す証左は見いだせず、また、引用標章等は申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものである。
さらに、申立人提出の証拠によっては、本件商標は、その商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないなど、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるというべき事情は見いだせない。
そうすると、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標ということはできず、商標法第4条第1項第7号に該当するものといえない。
(3)商標法第4条第1項第8号について
上記(1)のとおり、引用標章「OCO」は、申立人の著名な略称と認めることはできないものである。
そうすると、本件商標「oco nail」は、その構成中に「oco」の文字を有するとしても、引用標章「OCO」は申立人の著名な略称と認めることはできないものであるから、他人(申立人)の著名な略称を含む商標ということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当するものといえない。
(4)商標法第4条第1項第10号について
上記(1)のとおり、引用標章等は申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであるから、本件商標と引用標章等が同一又は類似のものであって、本件商標の指定役務の一部と引用標章等が使用されている役務が同一又は類似であるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するものといえない。
(5)むすび
以上のとおりであるから、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同項第8号及び同項第10号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
異議決定日 2022-11-11 
出願番号 2021094372 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (W44)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 清川 恵子
馬場 秀敏
登録日 2022-02-25 
登録番号 6519065 
権利者 大島 卓也
商標の称呼 オコネイル、オオシイオオネイル、オコ、オオシイオオ 
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