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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W051040
管理番号 1392370 
総通号数 12 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-12-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-12-27 
確定日 2022-11-25 
異議申立件数
事件の表示 登録第6456946号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6456946号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6456946号商標(以下「本件商標」という。)は、「三金デンタル」の文字を標準文字で表してなり、令和2年11月12日に登録出願、第5類、第10類及び第40類に属する別掲1のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同3年9月8日に登録査定、同年10月15日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する商標は、以下の2件(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)であり、現に有効に存続しているものである。
(1)登録第3102237号商標は、別掲2のとおりの構成よりなり、平成4年12月10日登録出願、第5類「消化器官用薬剤,外皮用薬剤,血液用剤,診断用薬剤,歯科用材料,衛生マスク,絆創膏」を指定商品として、同7年11月30日に設定登録されたものである。
(2)登録第4048984号商標は、別掲2のとおりの構成よりなり、平成4年12月10日登録出願、第10類「医療用機械器具(診断用機械器具・治療用機械器具・歯科用機械器具・医療用X線装置を含む),医療用手袋」を指定商品として、同9年8月29日に設定登録されたものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号、同項第19号及び同項第7号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第59号証(枝番号を含む。以下、枝番号の全てを引用するときは、枝番号を省略して記載する。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 引用商標の周知著名性について
申立人は、その前身である「三金電化研究所」の1920年代の創業に始まり、1948年(昭和23年)に「三金工業株式会社」として設立、2002年(平成14年)に「デンツプライ三金株式会社」に商号変更し、さらに2017年(平成29年)に現在の名称「デンツプライシロナ株式会社」(以下「デンツプライシロナ社」という。)に商号変更したが(甲5〜甲7)、この間、100年近くにわたり会社名には「三金」が使用されてきた。また、申立人は、歯科材料・歯科用医療機器の製造販売に従事し(甲8の1〜4)、日本経済新聞、日経産業新聞、北海道新聞において紹介されているとおり、申立人は、日本における歯科用材料の総合大手三社となるに至るなどして、歯科材料・歯科器材における大手企業として認知されている(甲10〜甲12の1)。
これまで申立人が製造販売してきた歯科用材料又は歯科用医療機器の名称においても、「三金」、その片仮名表記「サンキン」、欧文字表記「Sankin」が多数使用されている結果(甲8の1〜4、甲9)、「三金」、「サンキン」及び「Sankin」の表示はいずれも、申立人の販売する歯科用材料・歯科用医療機器等を示すものとして、また、これらを製造販売する申立人の名称を示すものとして、日本国内において周知著名となっている。
よって、引用商標は、遅くとも、本件商標の出願時までには、日本国内において周知著名な標章となっていたといえる。
イ 本件商標と引用商標の類似性
(ア)結合商標類否判断
本件においては、「三金」の文字が、需要者の間に広く認識されており、著名性を獲得しているから、本件商標と引用商標の類否判断の際には、「三金」が有するこの著名性を考慮すべきである。
(イ)本件商標について
本件商標の構成文字中、「三金」の文字は、上述のとおり申立人の販売する歯科用材料・歯科用医療機器等を示すものとして、また、これらを製造販売する申立人の名称を示すものとして、日本国内において周知著名な「三金」の文字と同一である一方で、本件商標の構成中「デンタル」なる語は、「歯の、歯医者の」を意味する日本人に馴染みの深い英単語であって、また、本件商標の歯科や医療に関する指定商品・指定役務との関係では、商品の品質・用途・役務の質・用途を表すものとして、自他商品等識別力が弱い単語であると考えられるので、「三金」の部分と比して自他商品等識別力が極めて弱いものといわざるを得ない。そして、簡易迅速を旨とする取引の実際において、取引者・需要者は、著名な略称「三金」の部分に強く印象付けられることから、本件商標中「三金」の部分を適宜抽出し、「三金」の文字部分のみを捉えて取引されることも十分に想定される。したがって、本件商標の要部は「三金」の部分であるといえる。
(ウ)引用商標について
引用商標は、いずれも横書きした「Sankin」の欧文字及び「サンキン」の片仮名文字を上下二段で併記した構成からなる商標であり、本件商標の出願前に出願され、それぞれ商標権として設定登録された。
(エ)本件商標と引用商標との類否について
本件商標の要部は「三金」の漢字で構成され、「サンキン」の称呼が生じる。引用商標の片仮名文字部分「サンキン」は、欧文字部分「Sankin」のローマ字読みを表したものであるので、引用商標からは「サンキン」の称呼が生じるといえる。よって、本件商標と引用商標は称呼上同一であるといえる。
本件商標の要部「三金」及び引用商標を構成する「Sankin」又は「サンキン」については、上述のとおり、申立人が、1920年代に創業し、創業以降、社名に使用してきた「三金」の漢字表記、欧文字表記又は片仮名文字表記であり、申立人が製造販売してきた歯科用材料又は歯科用医療機器の名称においても、「三金」、その片仮名表記「サンキン」、欧文字表記「Sankin」が多数使用されているので、「三金」「Sankin」又は「サンキン」からは、申立人の販売する歯科用材料・歯科用医療機器等を示すものとして、また、これらを製造販売する申立人の名称を示すものとして、日本国内において周知著名となっている「三金」の観念が生じるので、本件商標及び引用商標は、観念上同一であるといえる。
以上より、本件商標は、引用商標とは、称呼及び観念が同一であるから、本件商標は引用商標と類似するといえる。
また、本件商標に係る指定商品は、引用商標に係る指定商品と同一又は類似である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 本件商標と引用商標の類似性の程度
本件商標は、引用商標とは、称呼及び観念が同一であるから、本件商標は引用商標と類似する。
イ 申立人の「三金」「Sankin」「サンキン」ブランドの周知著名性
上記において述べたとおり、「三金」、「サンキン」及び「Sankin」の表示はいずれも、申立人の販売する歯科用材料・歯科用医療機器等を示すものとして、また、これらを製造販売する申立人の名称を示すものとして、日本国内において周知著名となっている(甲10〜甲12)。
よって、「Sankin」及び「サンキン」の構成からなる引用商標は、本件商標の出願日である令和2年(2020年)11月12日の時点で、申立人の商標として、日本国内において周知著名となっていたといえる。
ウ 引用商標の独創性の程度
引用商標の独創性の程度について、「三金」、「サンキン」及び「Sankin」は、辞書に掲載されている語ではなく、造語の一種であり、上述のとおり、申立人の前身を含めて1920年代の創業以降、2017年に現在の社名に変更するまで、社名に含まれていた「三金」の文字の欧文字及び片仮名文字表記であり、申立人が製造販売してきた歯科用材料又は歯科用医療機器の名称に使用されているものである。
したがって、引用商標は、独創性を有するものである。
エ 本件商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との関連性の程度、取引者・需要者の共通性等
引用商標が周知著名性を獲得した商品は、歯科用材料及び歯科用医療機器であるのに対し、本件商標の指定商品は、歯科用材料並びに歯科用医療機器又は医療用品との関連性が極めて強い商品である。
また、歯科用材料及び歯科用医療機器と本件商標の指定商品は、いずれも歯科医療従事者並びに歯科医療患者、又は医療従事者及び医療患者という需要者層を共通にするものである。
オ その他考慮すべき特別な事情
商標権者は、令和2年12月28日(決定注:平成24年12月25日の誤りと認める。)に設立され、登記された目的によると、歯科用材料、機械器具等の製造・販売をその目的に含む会社であるが(甲12の4)、引用商標の全国的な周知著名性にかんがみると歯科用材料及び歯科用医療機器メーカーである商標権者が引用商標を知らないということは全くあり得ないものである。
そして、商標権者は、申立人の1948年の設立時の周知著名な略称そのものである「三金工業」について、2017年10月30日に出願し、2018年8月24日に登録を受け(登録第6074174号:甲12の2)、さらに、申立人の周知著名な表示「SANKIN」に「DENTAL」を付した「SANKINDENTAL」についても、2020年11月30日に出願し、2021年10月29日に登録を受けて(登録第6463609号:甲12の3)いる。のみならず、商標権者(甲12の4)と株式会社ギコウ(甲12の5)は、両社の代表取締役が同一であり、福岡県に本店所在地を置く歯科技工業を目的とする会社であるので、関連会社であることが推認されるところ、株式会社ギコウは、2020年に行われた申立人の歯科矯正製品等の製造工場(那須工場)の事業買収の入札に参加したという経緯がある。以上の状況を考慮すると、商標権者は、申立人の「三金」、「サンキン」及び「Sankin」の周知著名性を知らないはずはなく、これを承知の上で登録出願したものであり、引用商標の周知著名性へのただ乗り(いわゆるフリーライド)や希釈化(いわゆるダイリューション)を意図したものであることは疑いの余地はない。さらに、なお、商標権者は、申立人と何ら資本関係、事業提携その他一切の関係性がなく、本件商標の使用について許諾を得た者でもないことを念のため付言しておく。
カ 過去の異議決定・審判決例
過去の異議決定・審判決例においても、周知著名な商標をその構成中に含む商標については、商標法第4条第1項第15号に該当するとの判断が定着している(甲14〜甲54)。
キ 小括
以上のとおり、引用商標は、申立人が使用してきた名称及び業務に係る「三金」「Sankin」「サンキン」ブランド商品を表すものとして全国的に周知著名な商標であること、本件商標は、引用商標と類似する「三金」の文字を要部とする商標として、引用商標と高い類似性を有すること、「三金」「Sankin」「サンキン」が独創性の高い商標であること、本件商標の指定商品は、引用商標が周知著名性を獲得した商品と関連性が高いものであり、需要者の範囲も一致するものであることから、本件商標は取引者・需要者にとって引用商標と極めて強い関連性を持って認識されること、さらには、商標権者が、本件商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者・需要者は、申立人の「三金」「Sankin」「サンキン」ブランド商品を想起・連想し、あたかも申立人が取り扱う業務に係る商品であるかの如く認識して取引にあたると考えられるため、その出所について混同を生ずるおそれがあることは明白である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第19号該当性について
ア 商標権者の「不正の目的
商標法第4条第1項第19号に定める「不正の目的」とは、競争関係とは無関係に、公正な取引秩序に違反するような目的をいい、必ずしも取引を巡る組立構造を前提とするものではないと解される。
この点、本件商標の指定商品が歯科用材料並びに歯科用医療機器、又は医療用品との関連性が強い商品であることは、既述したとおりであり、かつ、顕著な事実である。
また、「Sankin(サンキン)」(決定注:前後の主張からすれば、「三金」「Sankin」「サンキン」の誤りと認める。この項において以下同じ。)が、申立人が使用してきた名称及び業務に係るSankin(サンキン)ブランド商品を表すものとして日本において周知著名であることからすれば、上記指定商品について使用するものとして本件商標を出願した商標権者が、「Sankin」の語からなる(決定注:「「三金」の文字を含む」の誤りと認める。)本件商標を、申立人の業務に係る「Sankin(サンキン)」と無関係に偶然採用したとは到底考えられない。そして、商標権者は、申立人の1948年の設立時の周知著名な略称「三金工業」(甲12の2)及び申立人の周知著名な表示「SANKIN」を含む「SANKINDENTAL」(甲12の3)についても出願・登録しているばかりでなく、商標権者はその関連会社において、申立人が歯科矯正製品等を製造している那須工場の事業買収の入札に参加しているのであって、商標権者は、申立人の「三金」、「サンキン」及び「Sankin」の周知著名性を知らないはずはなく、申立人の業務に係る「Sankin(サンキン)」の周知著名性に便乗する意思をもって採択したであろうことは、容易に想像されるところである。
そうとすれば、商標権者は、日本において周知著名な「Sankin(サンキン)」を自己の商標として出願・使用する目的をもって出願したものといえ、本件商標は、商標権者の不正の目的によって出願されたものである。
イ 小括
以上のとおり、「三金」「Sankin」「サンキン」は、本件商標の出願時及び登録査定時において、申立人の使用してきた社名及び申立人が製造販売してきた歯科用材料又は歯科用医療機器として日本において周知著名な商標となっており、本件商標は、引用商標に代表される商標「Sankin(サンキン)」と同一又は類似するものであって、商標権者が、「三金」「Sankin」「サンキン」の周知著名性に便乗し、「三金」の文字を含む本件商標の独占排他的使用を得ようとする不正の目的に基づいて出願し登録されたものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第7号該当性について
上記において述べたとおり、引用商標は、申立人の販売する歯科用材料・歯科用医療機器等を示すものとして、また、これらを製造販売する申立人の名称を示すものとして、日本国内において周知著名となっている。
よって、引用商標は、遅くとも本件商標の出願日である令和2年(2020年)11月12日の時点で、申立人の商標として、日本国内において周知著名となっていたといえる。
本件商標は、引用商標とは、称呼及び観念が同一であるから、本件商標は引用商標と類似するといえる。
以上の事実関係に照らせば、商標権者は、歯科用材料や機械器具等の製造・販売をその目的に含む会社であること(甲12の4)、既述した引用商標の全国的な周知著名性、商標権者が歯科用材料及び歯科用医療機器メーカーであることを考慮すると、商標権者が、「三金」の語を含む本件商標を、申立人の業務に係る「三金」「Sankin」「サンキン」と無関係に偶然採用したとは到底考えられない。そして、商標法第4条第1項第15号において述べたとおり、商標権者は、申立人の1948年の設立時の周知著名な略称「三金工業」(登録第6074174号:甲12の2)及び申立人の周知著名な表示「SANKIN」を含む「SANKINDENTAL」(登録第6463609号:甲12の3)についても出願・登録しているばかりでなく、その関連会社において申立人が歯科矯正製品等を製造している那須工場の事業買収の入札に参加したという経緯があるのであって、商標権者は、申立人の「三金」、「サンキン」及び「Sankin」の周知著名性を知らないはずはなく、むしろ、その周知著名性に便乗する意思をもって採択したものであると考えられる。よって、本件商標に接する取引者、需要者に引用商標を連想、想起せしめ、引用商標に化体した信用、名声及び顧客吸引力にただ乗りフリーライド)する不正な目的で採択・出願し登録を受けたことは明らかであり、本件商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがある。
そして、このような商標登録の維持を許せば、申立人の名称及び申立人の販売する歯科用材料・歯科用医療機器の販売展開が、本件商標の存在によって不当に脅かされ商標法の予定する秩序に反するものとなる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

4 当審の判断
(1)引用商標及び「三金」、「サンキン」、「SANKIN(Sankin)」の文字の周知性について
ア 申立人提出の甲各号証、同人の主張及び職権調査によれば、引用商標の商標権者であるデンツプライシロナ社は、「三金電化研究所」(1920年代)の創業に始まり、1948年(昭和23年)に「三金工業株式会社」として設立、2002年(平成14年)に「デンツプライ三金株式会社」に商号変更、その後、2017年(平成29年)に「デンツプライシロナ株式会社」に商号変更(甲5〜甲7)した、主に歯科材料、歯科用医療機器の製造販売をする企業であること、商号変更前のデンツプライ三金株式会社は、「歯科用根管充填固状材料」「アパタイト系根管充填材」「ポリカーボクラウン」のリーフレット(甲8の1〜4)に「SANKIN」「サンキン」の標章を使用したこと、また、デンツプライシロナ社は、「歯科材料」「歯科用ステンレス鋼線」「歯科用暫間被覆冠成形品」のカタログ(甲9)において、「三金顎骨固定用歯牙結紮線」「三金ネット(義歯床材料)」「三金補強芯」「サンキンポリカーボクラウン」「サンキンアルミキャップ」などと商品の名称に「三金」「サンキン」の文字を冠して使用したことが認められる。
イ 上記アのとおり、引用商標の商標権者(デンツプライシロナ社)は、自身の販売する商品「歯科材料、歯科器材」について、「三金」「サンキン」の文字を冠して使用し、また、商号変更前のデンツプライ三金株式会社において「SANKIN」「サンキン」の標章を使用したことが認められるものの、引用商標がそれらの指定商品について使用されていると認め得る証左、及び「三金」「サンキン」「SANKIN」の文字が商標として使用された商品についての我が国における売上高、シェアなど販売実績を裏付ける証左は見いだせない。
また、デンツプライシロナ社の代表取締役は、令和4年3月31日付け陳述書(甲8の5)において、2016年に「デンツプライ三金株式会社」名義で歯科業界紙67誌に広告を行っているなどと主張するものの、それらの掲載内容及び発行部数等を裏付ける証左は見いだせない。
そうすると、引用商標及び「三金」、「サンキン」、「SANKIN(Sankin)」の文字(以下「引用商標等」という。)は、本件商標の登録出願の日前及び登録査定時において、他人(引用商標の商標権者)の業務に係る商品を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできないと判断するのが相当である。
加えて、外国における引用商標等が使用された商品の売上高、シェアなど販売実績を示す主張、証左はないから、引用商標等は、他人(引用商標の商標権者)の業務に係る商品を表示するものとして外国の需要者の間に広く認識されているものと認めることもできない。
したがって、引用商標等は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標の商標権者(デンツプライシロナ社)の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国における需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、「三金デンタル」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は、同じ大きさをもって等間隔に、視覚上まとまりよく一体的に表されているものである。
また、本件商標の構成文字全体に相応して生じる「サンキンデンタル」の称呼も、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そうすると、その構成中の「デンタル」の文字部分が、「歯の。歯科の。」(株式会社岩波書店 広辞苑 第七版)の意味を有する語であるとしても、かかる構成及び称呼においては、該文字部分が指定商品の品質、機能などを表示したものと直ちに理解されるものではなく、むしろ、「三金デンタル」の構成文字全体をもって、特定の観念を生じない一体不可分の造語を表したものとして認識、把握されるとみるのが自然である。
さらに、上記(1)のとおり、「三金」の文字は、申立人の取扱いに係る商品を表すものとして、需要者の間に広く認識されている商標と認めることはできないものであって、他に「三金」の文字部分が取引者、需要者に対し、商品及び役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるもの、又はそれ以外の文字部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないものと認めるに足る事情は見いだせない。
してみれば、本件商標は、その構成文字全体をもって「サンキンデンタル」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものといえる。
イ 引用商標
引用商標は、別掲2のとおり、「Sankin」の欧文字と「サンキン」の片仮名を上下二段に横書きしてなるところ、構成中の下段の「サンキン」の片仮名が、上段の「Sankin」の欧文字の読みを特定したものと無理なく認識し得るから、「サンキン」の称呼のみを生じ、いずれも辞書等に掲載されていない造語と認められ、特定の観念を生じないものというのが自然である。
そうとすれば、引用商標は、その構成文字に相応し、「サンキン」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標の類否について
本件商標と引用商標の類否を検討するに、本件商標は、上記1のとおり、「三金デンタル」の文字を表してなるのに対し、引用商標は、別掲2のとおり、「Sankin」の欧文字と「サンキン」の片仮名を上下二段に横書きしてなるものであるから、その構成文字及び構成態様において顕著な差異を有し、外観上明確に区別できるものである。
そして、本件商標の構成全体から生じる「サンキンデンタル」の称呼と引用商標から生じる「サンキン」の称呼とは、音数及び音構成において明らかに相違するものであるから、両称呼は、語調、語感が異なり、互いに紛れるおそれはない。
さらに、本件商標と引用商標は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念上相紛れるおそれはない。
そうとすれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
そして、他に、本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。
エ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、両商標の指定商品が同一又は類似する商品を含むとしても、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものとはいえない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
上記(1)のとおり、引用商標等は、引用商標の商標権者の業務に係る商品を表示するものとして、我が国における需要者の間に広く認識されているものと認められないものである。
また、本件商標は、上記(2)のとおり、「三金デンタル」の構成文字全体が一体不可分のものとして認識、把握されるものであるから、引用商標等(引用商標及び「三金」、「サンキン」、「SANKIN(Sankin)」の文字)とは文字数や構成文字が異なり、外観上明らかに区別し得るものである。そして、本件商標から生じる「サンキンデンタル」の称呼と、引用商標等からそれぞれ生じる「サンキン」の称呼とは、構成音数及び音構成に顕著な差異を有するから、明らかに聴別し得る。さらに、両者はともに特定の観念を生じないものであるから、観念において相紛れるおそれはない。よって、本件商標と引用商標等とは、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標ということができるものであるから、その類似性の程度は高いものとはいえない。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品及び指定役務について使用しても、取引者、需要者をして引用商標等を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(引用商標の商標権者)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が他人の業務に係る商品又は役務と混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものといえない。
(4)商標法第4条第1項第19号該当性について
引用商標等は、上記(1)のとおり、引用商標の商標権者の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国における需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、また、本件商標は、上記(2)のとおり、引用商標等とは相紛れるおそれのない非類似の商標であって、引用商標等を連想又は想起させることのないものである。
さらに、申立人提出の証拠によっては、本件商標が引用商標等の出所表示機能を希釈化させる又はその信用、名声、顧客吸引力を毀損させるなど不正の目的をもって使用するものというべき事情は見いだせない。
そうすると、本件商標は、引用商標等の信用、名声などにただ乗りするとか、毀損するとか、あるいは出所識別機能を希釈化するなど不正の目的をもって使用をするものと認めることはできない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第19号に違反してされたものといえない。
(5)商標法第4条第1項第7号該当性について
商標法第4条第1項第7号は、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」は商標登録をすることができないとしているところ、同号は、商標自体の性質に着目したものとなっていること、商標法の目的に反すると考えられる商標の登録については、同法第4条第1項各号に個別に不登録事由が定められていること、商標法においては、商標選択の自由を前提として最先の出願人に登録を認める先願主義の原則が採用されていることを考慮するならば、商標自体に公序良俗違反のない商標が商標法第4条第1項第7号に該当するのは、その登録出願の経緯に著しく社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に限られるものというべきである(平成14年(行ケ)第616号)。
申立人は、「商標権者は、申立人の「三金」、「サンキン」及び「Sankin」の周知著名性を知らないはずはなく、その周知著名性に便乗する意思をもって採択したものであり、引用商標に化体した信用、名声及び顧客吸引力にただ乗りフリーライド)する不正な目的で採択・出願し登録を受けたものであり、その登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがある。」旨主張しているが、引用商標等は、上述のとおり、引用商標の商標権者の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものということができない。
また、申立人が提出した全証拠を勘案しても、本件商標が引用商標等に化体した信用、名声及び顧客吸引力にただ乗りする不正な目的で採択・出願されたものであるとすべき具体的事情を証明するところはなく不正の目的をもって使用するものであると認めることもできないものである。
そして、申立人が提出した証拠からは、その出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠く等の事実は見当たらず、本件商標をその指定商品について使用することが、社会の一般道徳観念に反し、商取引の秩序を乱すものともいえない。
さらに、本件商標は、その構成自体が、非道徳的、きょう激、卑わい、差別的又は他人に不快な印象を与えるようなものではなく、その構成自体がそのようなものではなくとも、それを指定商品に使用することが社会公共の利益に反し社会の一般的道徳観念に反するものともいえない。
その他、本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標であると認めるに足りる事情は見いだせない。
してみると、本件商標は、その登録を維持することが商標法の予定する秩序に反し、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標に該当するとまではいえないものである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号に違反してされたものといえない。
(6)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものではなく、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
別掲1(本件商標の指定商品及び指定役務)
第5類「歯科用材料,薬剤,医療用試験紙,医療用油紙,医療用接着テープ,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,綿棒,おむつ,おむつカバー,乳幼児用粉乳,サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品,栄養補助用飼料添加物(薬剤に属するものを除く。)」
第10類「義歯,人工歯冠,歯科用インプラント,歯科用ブリッジ,歯科用機械器具,歯科矯正用機械器具,医療用機械器具,医療用指サック,おしゃぶり,氷まくら,三角きん,支持包帯,手術用キャットガット,吸い飲み,スポイト,乳首,氷のう,氷のうつり,哺乳用具,魔法哺乳器,避妊用具,人工鼓膜用材料,補綴充てん用材料(歯科用のものを除く。),睡眠用耳栓,防音用耳栓,業務用美容マッサージ器,家庭用電気マッサージ器,医療用手袋」
第40類「義肢又は義歯の加工(「医療材料の加工」を含む。),金属の加工,ゴムの加工,プラスチックの加工,セラミックの加工,木材の加工,紙の加工,石材の加工,竹・木皮・とう・つる・その他の植物性基礎材料の加工(「食物原材料の加工」を除く。),食料品の加工,繊維機械器具の貸与,金属加工機械器具の貸与,食料加工用又は飲料加工用の機械器具の貸与,化学機械器具の貸与,ガラス器製造機械の貸与,3Dプリンターの貸与,材料処理情報の提供」

別掲2(登録第3102237号商標及び登録第4048984号商標)


(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
異議決定日 2022-11-16 
出願番号 2020140030 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (W051040)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 小松 里美
特許庁審判官 鈴木 雅也
小林 裕子
登録日 2021-10-15 
登録番号 6456946 
権利者 株式会社DentalBank
商標の称呼 サンキンデンタル、サンキン、ミカネ 
代理人 田中 克郎 
代理人 南瀬 透 
代理人 加藤 久 
代理人 山口 現 
代理人 遠坂 啓太 
代理人 佐藤 俊司 
代理人 村瀬 純一 
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