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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W44 |
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管理番号 | 1392217 |
総通号数 | 12 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2022-12-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2022-01-06 |
確定日 | 2022-11-10 |
事件の表示 | 商願2020−67255拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は、令和2年6月1日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和3年 5月11日付け :拒絶理由通知書 令和3年 6月25日 :意見書の提出 令和3年10月14日付け :拒絶査定 令和4年 1月 6日 :審判請求書の提出 令和4年 6月27日付け :証拠調べ通知書 令和4年 8月 8日 :意見書の提出 2 本願商標 本願商標は、「スマイルリフト」の文字を標準文字で表してなり、第44類「美容外科,美容外科に関する医療情報の提供,美容に関する情報の提供,美容,あん摩・マッサージ及び指圧,カイロプラクティック,きゅう,柔道整復,整体,はり治療,医業,医療情報の提供,健康診断,歯科医業,調剤,栄養の指導,医療用機械器具の貸与,美容院用又は理髪店用の機械器具の貸与」を指定役務として登録出願されたものである。 3 原査定の拒絶の理由の要点 原査定は、「本願商標は、「スマイルリフト」の文字を標準文字で表してなるところ、「スマイルリフト」の文字は「口の中からレーザーを照射して、引き締め、顔のリフトアップをする施術」程の意味合いで使用されている。そうすると、これを本願の指定役務中、口の中からレーザーを照射して、引き締め、顔のリフトアップをする施術に関する役務に使用しても、前記意味合いを認識させるにとどまり、単に役務の質を表示するにすぎない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記意味合いの役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 4 当審における証拠調べ通知 当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて職権に基づく証拠調べをした結果、別掲に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、令和4年6月27日付け証拠調べ通知書によってこれを開示し、相当の期間を指定してこれに対する意見を述べる機会を与えた。 5 証拠調べ通知に対する意見 請求人は、前記4の証拠調べ通知に対して、要旨以下のように述べた。 (1)提示された資料をみるに、例えば、別掲(9)や別掲(10)のウェブサイトには、「Copyright 2022」との記載がある等、明らかに出願人の後にこれに便乗してサービスを行い、出願人商標を使用してウェブサイトに掲載されていることが明らかであり、審査及び審判期間の長期化によって、出願人商標に対するアウトサイダーが多く表れていることの証左である。このようなアウトサイダー等による役務の質の毀損を防止し、商標における保証機能を実現するとの商標法本来の趣旨を実現する目的に合致させるためには、本願商標が商標法第3条第1項3号等に該当するものとして登録を認めないとする合理的な理由はない。 (2)本願商標は、役務の質を表示するものではないから、商標法第3条第1項第3号に該当しない。また、役務の質を表示するものではない以上、同法第4条第1項第16号に該当しない。 6 当審の判断 (1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について 本願商標は、「スマイルリフト」の文字を標準文字で表してなるものである。 そして、原審及び前記4の証拠調べ通知で示したとおり、「スマイルリフト」の文字は、本願の指定役務に係る美容・医療業界において、「口の中からレーザーを照射して、引き締め、顔のリフトアップをする施術」を表す語として、取引上一般に使用されているものである。 そうすると、本願商標は全体として「口の中からレーザーを照射して、引き締め、顔のリフトアップをする施術」の意味合いを容易に理解させるものというべきである。 してみれば、本願商標をその指定役務中「美容外科,美容,医業,歯科医業」に使用した場合には、これに接する取引者、需要者は、当該役務が、例えば「口の中からレーザーを照射して、引き締め、顔のリフトアップをする施術による美容外科」のように、「口の中からレーザーを照射して、引き締め、顔のリフトアップをする施術を用いた役務」であることを認識するにとどまり、また、本願商標をその指定役務中「美容外科に関する医療情報の提供,美容に関する情報の提供,医療情報の提供」に使用した場合には、これに接する取引者、需要者は、当該役務が、例えば「口の中からレーザーを照射して、引き締め、顔のリフトアップをする施術による美容外科に関する医療情報の提供」のように、「口の中からレーザーを照射して、引き締め、顔のリフトアップをする施術に関連する情報の提供」であることを認識するにとどまり、さらに、本願商標をその指定役務中「医療用機械器具の貸与」に使用した場合には、これに接する取引者、需要者は、当該役務が「口の中からレーザーを照射して、引き締め、顔のリフトアップをする施術に用いる医療用機械器具の貸与」であることを認識するにとどまるものであって、いずれの場合も、自他役務の識別標識として認識し得ないものであるから、本願商標は、その役務の質(内容)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。 (2)請求人の主張について ア 請求人は、「スマイルリフト」は各種国語辞書に掲載はなく、「スマイル」と「リフト」の各語の意味からしても「微笑、昇降機」程度であり、具体的な意味合いを表示するものではない。ましてや「口の中からレーザーを照射して、引き締め、顔のリフトアップをする施術」を意味するとの認定は恣意的かつ飛躍に過ぎる。また、「スマイルリフト」を「口の中からレーザーを照射して、引き締め、顔のリフトアップをする施術」の表示として使用している例がわずかにあるからといって役務の質を表示するものと認定することも飛躍に過ぎる。原査定提示のインターネットの情報についていえば、「スマイルリフト」の表示は役務の商標として使用されると評価されるべきものであり、もし「スマイルリフト」が役務の質を表示するものとして機能しているのであれば、別途「口の中からレーザーを照射して、引き締め、顔のリフトアップをする施術」等の役務内容説明は不要のはずである旨主張する。 しかしながら、たとえ、「スマイルリフト」の語が各種辞書等に掲載されていないとしても、上記(1)で述べたとおり、本願の指定役務に係る美容・医療業界において、「スマイルリフト」の文字が「口の中からレーザーを照射して、引き締め、顔のリフトアップをする施術」を表すものとして広く使用されている実情があることからすれば、本願商標に接する需要者が、当該文字を「口の中からレーザーを照射して、引き締め、顔のリフトアップをする施術」を表すものとして認識するというべきである。 イ 請求人は、当審における証拠調べ通知で提示した証拠について、例えば「木下皮フ科クリニック」(別掲(9))や「新橋歯科医科診療所」(別掲(10))のウェブサイトでは、ウェブサイトの記載において「Copyright 2022」との記載がある等、出願人の後にこれに便乗してサービスを行い、出願人商標を使用してウェブサイトに掲載されていることが明らかであり、審査及び審判期間の長期化によって、出願人商標に対するアウトサイダーが多く表れていることの証左である旨主張する。 しかしながら、当該主張は請求人独自の主張であり、その内容を裏付ける客観的証拠もなく、また、請求人が例示する「新橋歯科医科診療所」のウェブサイト(別掲(10))には、「2017.08.11/症例写真から見るスマイルリフトの驚きの効果」と記載されていることから、当該ウェブサイトの記載は本願商標の出願日前である2017年8月11日にされたことは明らかである。 さらに、商標法第3条第1項第3号の該当性の判断は、査定時又は審決時において、本願商標が同号に該当するか否かにより判断するところ、上記(1)で述べたとおり、「スマイルリフト」の文字は、本願の指定役務に係る美容・医療業界において、「口の中からレーザーを照射して、引き締め、顔のリフトアップをする施術」を表すものとして広く使用されていることからすると、本願商標は、その査定時又は審決時に同号に該当する商標と判断できるものである。 ウ したがって、請求人の上記の主張は、いずれも採用することができない。 (3)まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、登録することができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲(令和4年6月27日付け証拠調べ通知書で開示した事実) 本願の指定役務に係る美容・医療業界において、「口の中からレーザーを照射して、引き締め、顔のリフトアップをする施術」を「スマイルリフト」と称している事例。 (1)「リッツ美容外科大阪院」のウェブサイトにおいて、「スマイルリフト特徴」の見出しの下、「フォトナレーザーのスムースモード(非蒸散サーマルモード)を用いた口腔内からアプローチするリフトアップレーザーです!口腔内の粘膜から優しく強力な熱効果を与えることでコラーゲンを増生させ、リフトアップを促します。」の記載がある。 (https://www.osaka-ritz.com/fotona/smile.html) (2)「医療法人涼葵会」のウェブサイトにおいて、「フォトナレーザー(スムースリフト)の効果」の見出しの下、「フォトナレーザー(スムースリフト)は、口の周りの表情筋に作用しますので、ほうれい線、口の上の縦じわ、口の周囲のしわ、マリオネット線の改善に効果的です。下がってしまった口角を引き上げる効果もあるため、「スマイルリフト」とも呼ばれています。」の記載がある。 (https://wclinic-osaka.jp/menu_c/menu_c72/) (3)「熊本かよこクリニック」のウェブサイトにおいて、「スマイルリフト/画期的!/ダウンタイムなく効果の高い、たるみ対策初の粘膜レーザー治療」の見出しの下、「スマイルリフトのほうれい線治療は、ほうれい線の裏側の口の中の粘膜にレーザー照射を行います。」の記載がある。 (https://www.nakamura-biyou.com/smilelift/) (4)「なな歯科クリニック」のウェブサイトにおいて、「スマイルリフト」の見出しの下、「口腔粘膜にレーザー(ロングパルスモード)を照射して皮膚深層に熱を加え、コラーゲン増生を促し、頬・顎・口周囲の表情筋を引き締めてリフトアップを図ります。」の記載がある。 (https://7dental.jp/esthetic/) (5)「河田外科形成外科」のウェブサイトにおいて、「スマイルリフト・スマイルアイリフト(保険適用外)」の見出しの下、「スマイルリフト/口の中の粘膜にレーザーを照射します。ほとんどの場合、少し熱を感じる程度で麻酔なしで治療を行うことができます。」の記載がある。 (https://www.kawada-anti.com/smile) (6)「立川皮膚科クリニック」のウェブサイトにおいて、「スマイル(アイ)リフト」の見出しの下、「2940nmの主に水分に吸収されるエルビウムヤグレーザーをフラクショナルに粘膜面から照射することで、痛みやダウンタイムがなく、治療直後からコラーゲンの収縮を生じ、肌を引き締めます。スマイルリフトは口腔内から、スマイルアイリフトは下眼瞼結膜の粘膜に照射するので、痛みや赤みなどのダウンタイムはありません。」の記載がある。 (http://mobile.tachikawa-derma.biz/institution/institution29/) (7)「きど歯科クリニック」のウェブサイトにおいて、「「スマイルリフト」」の見出しの下、「皮膚の深い層と近い位置にある口の中からレーザーを照射することにより、皮膚表面からでは難しかった、高い熱エネルギーをダメージなく効果的に与えることができます。熱エネルギーによって、コラーゲンの生成を促し弾力やハリが生まれ、口まわりから頬にかけて治療直後からリフトアップが期待できます。」の記載がある。 (http://kidodental.cihp2.jp/clinic/) (8)「カワバタクリニック」のウェブサイトにおいて、「スマイルリフト、スマイルアイリフトとは」の見出しの下、「スマイルリフトは、スマイルアイリフトは、口の中、頬っぺたの裏にある粘膜にレーザーを照射し、美容には欠かせない成分であるコラーゲン、特に皮下組織や表情筋のコラーゲンを増加させ、深くなったほうれい線やマリオネットライン、そして垂れてだぶついた頬っぺたを若返らす治療法です。」の記載がある。 (https://doc-jp.com/anti/smalelift/index.html) (9)「木下皮フ科クリニック」のウェブサイトにおいて、「スマイルリフト」の見出しの下、「スマイルリフトは口腔内からレーザー熱を皮膚深層部表情筋に与えて、皮膚深層部や表情筋を引き締めて引き上げる治療です。」の記載がある。 (https://www.kinoshitaclinic.jp/?page_id=24) (10)「新橋歯科医科診療所」のウェブサイトにおいて、「2017.08.11/症例写真から見るスマイルリフトの驚きの効果」の見出しの下、「スマイルリフトは口腔内にレーザー照射を行うことにより口周りを中心とした顔のエイジングケア・リフトアップを実現した治療方法です。」の記載がある。 (https://www.kougakukai.com/blog/smilelift/smile03) (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。 |
審理終結日 | 2022-09-06 |
結審通知日 | 2022-09-13 |
審決日 | 2022-09-27 |
出願番号 | 2020067255 |
審決分類 |
T
1
8・
13-
Z
(W44)
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最終処分 | 02 不成立 |
特許庁審判長 |
佐藤 松江 |
特許庁審判官 |
小俣 克巳 豊瀬 京太郎 |
商標の称呼 | スマイルリフト |
代理人 | 小野寺 隆 |
代理人 | 関口 正夫 |