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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W03 |
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管理番号 | 1391173 |
総通号数 | 11 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2022-11-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2022-02-24 |
確定日 | 2022-10-28 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6493996号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6493996号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第6493996号商標(以下「本件商標」という。)は「ばぶあんぷる」の文字を標準文字で表してなり、令和3年5月13日に登録出願、第3類「せっけん類,つけづめ,つけまつ毛,ネイルアート用ステッカー,化粧用脱脂綿,つけまつ毛用接着剤,まつ毛用化粧品,アイシャドウ,クレンジングクリーム,スキンホワイトニングクリーム,スキンローション,ティッシュに浸み込ませた化粧水,マスカラ,メイクアップ用化粧品,リップクリーム,一般化粧水,美容液,乳液,化粧品,日焼け止め用化粧品,美顔用パック,口紅,口臭消臭スプレー,合成香料,芳香剤」を指定商品として、同年12月8日に登録査定、同4年1月4日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立人が引用する商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標が商標法第4条第1項に該当するとして引用する登録商標(以下、まとめていうときは「引用商標」という。)は次のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。 (1)登録第1807901号(以下「引用商標1」という。) 商標の態様 バブ 指定商品 第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料」 登録出願日 昭和57年8月30日 設定登録日 昭和60年9月27日 書換登録日 平成18年11月22日 (2)登録第4172757号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の態様 バブ 指定商品 第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」 登録出願日 平成9年2月28日 設定登録日 平成10年7月31日 (3)登録第5550406号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の態様 バブ(標準文字) 指定商品 第21類「化粧用具」 登録出願日 平成23年9月21日 設定登録日 平成25年1月18日 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第76号証を提出した。 (1)商標「バブ」の周知、著名性 ア 入浴剤「バブ」の発売 申立人は、1983年に日本初の炭酸錠剤入浴剤として「バブ」の販売を開始した(甲7、甲9)。 炭酸ガスの効果により高い温浴効果を得られること、従来、粉末が主流だった入浴剤を錠剤の形状としたことが注目されたことなどから需要者の大きな関心、支持を集め(甲7、甲22)、発売から約40年が経過した現在も申立人の重要な商品の一つとなっている(甲7、甲9、甲22、甲23、甲25、甲43、甲63)。 イ 入浴剤「バブ」についての広告、宣伝 申立人は、1983年の発売から現在に至るまで継続して入浴剤「バブ」について、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、インターネット広告及び公共交通機関における広告、宣伝を積極的に行ってきた(甲74)。 また、朝日新聞等の全国紙、各種雑誌において広告、宣伝を行っている他、関東地方、関西地方においては、鉄道の主要駅や鉄道車内における広告も行っている。 さらに、2017年には、関東地方で夏の気温が特に高いことで知られる埼玉県熊谷市の暑さ対策への協力として、「バブ」の夏用商品(冷涼クールバブ)の無料引換券を熊谷市報とともに配布するといった活動も行った(甲34、甲35)。 ウ 入浴剤「バブ」の需要者における認知度 長年にわたって活発な広告、宣伝を伴って販売されてきた結果、入浴剤「バブ」は、申立人の製造、販売する入浴剤として、取引者、需要者から極めて高い人気を得ることとなった。 甲第5号証ないし甲第72号証は、2012年ないし2020年に発行された、入浴剤「バブ」が紹介されている新聞、雑誌記事の一部である。 日本経済新聞社が行った、全国の小売業者のバイヤーを対象にした調査では、「温浴効果」、「ブランド力」及び「リピート購入率」等の14項目中11項目で最も高い評価を得、総合評価で他社の主要入浴剤を大きく引き離してトップとなったほか(甲5、甲52)、様々な分野のロングセラー商品を紹介した記事でも大きく扱われている(甲7)ことからも、「バブ」についての我が国の取引者、需要者における認知度が極めて高いことがわかる。 エ 入浴剤「バブ」の市場におけるシェア、売上高等 2015年の「ブランド別シェアベスト5」において第1位となっている(甲50)ほか、2016年11月23日ないし12月20日の金額ベースでの売上で第1位、第2位、第4位(甲51)、2014年11月17日ないし23日の金額ベースでの売上で第1位、第2位、第4位(甲61)となっている。 また、株式会社インテージが行った調査においても、入浴剤市場における売上規模で圧倒的なシェアを持つことが明らかとなっている(甲73)。 オ 上述のように、申立人の業務にかかる入浴剤「バブ」が、1983年の発売以来、積極的な広告、宣伝を伴って販売された結果、入浴剤市場において大きなシェアを占めることとなり、また、新聞、雑誌等でも数多く紹介されたことから、「バブ」は、申立人の業務に係る商標として、我が国の取引者、需要者において周知、著名となったものである。 (2)商標法第4条第1項第11号について ア 本件商標と引用商標の類否 先に述べたとおり、「バブ」は、申立人が1983年の発売以来40年近くにわたって使用してきた商標であり、我が国の取引者、需要者において周知、著名となっているものである。 したがって、本件商標の構成中、引用商標と「バブ」の称呼を共通にする「ばぶ」の部分が、取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであるといえる。 また、本件商標に接した需要者は、「ばぶあんぷる」の構成中、「あんぷる」は、英語で「固体や液体・気体を封入して保存するためのガラス製の容器」又は「アンプルと形状の似た容器」といった意味を持つ「ample」を平仮名で表記したものであると容易に理解、認識できる。 そうすると、本件商標の指定商品のうち、少なくともアンプル又はアンプル様の容器に封入され得る「せっけん類,つけまつ毛用接着剤,まつ毛用化粧品,アイシャドウ,クレンジングクリーム,スキンホワイトニングクリーム,スキンローション,マスカラ,メイクアップ用化粧品,リップクリーム,一般化粧水,乳液,化粧品,日焼け止め用化粧品,美顔用パック,口紅,口臭消臭スプレー,合成香料,芳香剤」については、商品の品質表示として理解、認識される「あんぷる」の部分からは出所識別標識としての称呼、観念が生じないと解すべきである。 つまり、本件商標については申立人の周知、著名商標「バブ」と称呼上同一である「ばぶ」が取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与える一方、「あんぷる」が少なくとも一部の指定商品との関係では商品の品質表示と理解されるものであり出所識別標識としての称呼、観念が生じないことから、本件商標から「ばぶ」を抽出し、この部分を引用商標と比較して商標の類否を判断することは、最高裁判決において定立された規範に照らし、妥当であり許されるというべきである。 本件商標の構成中、取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与える「ばぶ」の部分を抽出すると、この部分は引用商標と共通する「バブ」の称呼を生じ、またこの称呼に起因して「申立人の製造、販売する入浴剤のバブ」の観念を生じる。 申立人の業務に係る商標「バブ」については、テレビやラジオ等音声による広告、宣伝も数多く行われており、今日においても音声のみによる商取引が行われていること、また「バブ」の高い周知性、著名性を考慮すると、「バブ」という称呼から直ちに申立人の商標「バブ」が想起されることから、本件商標と引用商標「バブ」の類似性は極めて高いといわざるを得ない。 したがって、本件商標は、引用商標と称呼及び観念が共通し、互いに相紛れるおそれのある類似する商標である。 イ 商品の抵触について (ア)本件商標の指定商品中、「口臭消臭スプレー」は、引用商標1の指定商品中「薬剤」と類似する。 (イ)本件商標の指定商品中、「せっけん類」は、引用商標2の指定商品中「せっけん類」と類似し、「まつ毛用化粧品,アイシャドウ,クレンジングクリーム,スキンホワイトニングクリーム,スキンローション,ティッシュに浸み込ませた化粧水,マスカラ,メイクアップ用化粧品,リップクリーム,一般化粧水,乳液,化粧品,日焼け止め用化粧品,美顔用パック,口紅」は、引用商標2の指定商品中「化粧品」と類似し、「合成香料,芳香剤」は、引用商標2の指定商品中「香料類」と類似する。 (ウ)本件商標の指定商品中、「つけづめ,つけまつ毛,ネイルアート用ステッカー,化粧用脱脂綿」は、引用商標3の指定商品である「化粧用具」と類似する。 ウ まとめ 上記より、本件商標と引用商標は、称呼及び観念が共通する類似の商標であり、その指定商品も類似するから、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (3)商標法第4条第1項第15号について ア 商標「バブ」の周知、著名性 商標「バブ」が申立人の商品を表示するものとして、取引者、需要者によく知られており我が国で周知、著名となっていることは、上述したとおりである。 イ 本件商標と商標「バブ」の混同のおそれ (ア)商標の類似性 本件商標から「ばぶ」の部分のみが抽出されて、商標「バブ」と対比されるため、本件商標と商標「バブ」が称呼及び観念において共通する類似の商標であることは上述したとおりである。 仮に、本件商標「ばぶあんぷる」が、一連一体の商標として認識されることがあるとしても、商標「バブ」の周知、著名性に鑑みると、本件商標に接した者の印象に強く残るのは語頭にあり、かつ「固体や液体・気体を封入して保存するためのガラス製の容器」及び「アンプルと形状の似た容器」を意味するものとして識別力の弱い「あんぷる」と比して格段に独創性の強い「ばぶ」の部分である。 そうすると、本件商標は、仮に一連一体の商標として認識されることがあるとしても、語頭の「ばぶ」が申立人の周知、著名商標「バブ」を想起させることから、申立人の商標「バブ」と出所の混同を生じさせるおそれは高いといわざるを得ない。 (イ)本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商標「バブ」が使用されている商品(入浴剤)との関連性 本件商標の指定商品と、申立人の業務に係る商品(入浴剤)は、いずれもドラッグストアや、スーパー等小売店のバス、トイレタリー商品コーナーで販売されるものであり、販売場所が共通する商品である。 また、本件商標の指定商品も申立人の業務に係る商品(入浴剤)も、ともに幅広い年代、性別の需要者が含まれており、両商品の需要者層は重複するものと考えられる。 よって、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品(入浴剤)は、販売場所等を共通にし、需要者層も重複する密接な関連を有するものである。 なお、本件商標の実際の使用態様をみると、「ばぶ」と「あんぷる」が2段書きにされており(甲76)、「ばぶ」が視覚的に分離し得る態様で使用されていることから、かかる取引の実情に照らしても、本件商標が、商標「バブ」との間で出所の混同を生じるおそれのある商標であることは明白である。 ウ まとめ 申立人の業務に係る商標「バブ」は、辞書等に記載されていない、一種の造語と解される独創的なものであり、かつ長期間にわたる積極的な広告、宣伝を伴う使用により需要者間に周知、著名となっているものである。 そして、周知、著名商標「バブ」との類似性が高く、かつ申立人の業務に係る商標「バブ」が使用されている商品(入浴剤)と販売場所、需要者層を共通にする等密接な関連を有する指定商品について登録されていることから、本件商標に接した需要者が、その商品の出所として申立人又は申立人と何らかの組織的、経済的つながりのある者を想起することは十分にあり得る。 したがって、本件商標は、申立人の周知著名な商標「バブ」との間で出所の混同を生じるおそれのある商標であるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。 4 当審の判断 (1)商標「バブ」及び引用商標の周知性について ア 申立人の提出に係る証拠及び申立人の主張によれば、以下の事実が認められる。 (ア)申立人は、「バブ」の片仮名からなる商標を使用した炭酸錠剤入浴剤(以下「申立人商品」という。)を1983年に発売して以来、継続して、その商品の製造、販売を行っている(甲7、甲9)。 (イ)申立人は、申立人商品について、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、インターネット広告及び公共交通機関における広告、宣伝を積極的に行ってきた(甲74)。 (ウ)2012年ないし2020年に発行された、申立人商品が紹介されている新聞、雑誌記事(甲5〜甲72)には、特に、以下の記載がある。 a 雑誌「日経MJ」(2020年11月8日発行)の記事によれば、全国の小売業者のバイヤーを対象にした入浴剤についての調査では、「バブ」が「温浴効果」、「ブランド力」、「リピート購入率」等の14項目中11項目で最も高い評価を得、総合評価でトップであった(甲5)。 b 雑誌「日経MJ」(2015年12月13日発行)の記事によれば、全国の小売業者のバイヤーを対象にした入浴剤についての調査では、「バブ」が「成分・効能」「ブランド力」「リピート購入率」等の14項目中12項目で最も高い評価を得、総合評価でトップであった(甲52)。 c 雑誌「国際商業」(2016年5月7日発行)の記事によれば、「バブ」が2015年の入浴剤についての「ブランド別シェアベスト5」において第1位となった(甲50)。 d 「日本経済新聞」(2016年1月5日発行)の記事によれば、2015年11月23日ないし12月20日の入浴剤についての金額ベースでの売上は、「バブ ゆずの香り」が第1位、「バブ 森の香り」が第2位、「バブ のんびり、ゆったり ほのぼの湯」が第4位であった(甲51)。 e 「日本経済新聞」(2014年12月10日発行)の記事によれば、2014年11月17日ないし23日の入浴剤についての金額ベースでの売上は、「バブ ゆずの香り」が第1位、「バブ 森の香り」が第2位、「バブ ヨーロピアンスパ」が第4位であった(甲61)。 (エ)調査対象項目を「入浴剤」、調査指標を「推計販売規模(金額)」とした、株式会社インテージが行った調査(2014年〜2020年)において、「バブ」が第1位であった(甲73)。 イ 上記アの事実を総合すると、申立人は、我が国において、1983年(昭和58年)から申立人商品の販売を開始して以降、継続して製造、販売し、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌及びインターネットによる広告並びに公共交通機関における広告、宣伝を行ってきた結果、入浴剤の市場における売上規模等で、上位に位置しているものであり、これに使用される商標「バブ」は、商品「入浴剤」について使用する商標として本件商標の登録出願時には、既に我が国の取引者、需要者の間に広く認識されているものといえ、その状態は、本件商標の登録査定時においても継続していたというのが相当である。 また、引用商標中、引用商標2は、その指定商品中に「入浴剤(化粧品)」を含み、申立人が商品「入浴剤」に使用する商標「バブ」と文字構成を共通にすることからすれば、引用商標2についても同様に、商品「入浴剤」について、その需要者の間に広く認識されているものというべきである。 しかしながら、申立人が提出した証拠によっては、引用商標が「入浴剤」以外の指定商品について使用されていることが確認できず、当該商品との関係において、引用商標が、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。 (2)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標 本件商標は、上記1のとおり、「ばぶあんぷる」の文字を標準文字で表してなり、同書、同大、等間隔でまとまりよく表されているというべきであるから、その構成文字に相応して、「バブアンプル」の称呼を生じるものであり、当該「ばぶあんぷる」の文字は、辞書等に載録されていない語であって、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として認識されることから、特定の観念を生じないものである。 イ 引用商標 (ア)引用商標は、上記2のとおり、いずれも「バブ」の片仮名を書してなるから、「バブ」の称呼を生じること明らかである。 (イ)引用商標1及び引用商標3は、辞書等に載録されていない語であって、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として認識されるから、特定の観念を生じない。 (ウ)引用商標2は、上記(1)からすれば、商品「入浴剤(化粧品)」との関係において、「(申立人の業務に係る入浴剤のブランドとしての)バブ」の観念を生じるものである。 ウ 本件商標と引用商標との類否 本件商標は、「ばぶあんぷる」の平仮名を6文字で表してなるのに対し、引用商標は、いずれも「バブ」の片仮名を2文字で書してなるものであることから、両商標は、平仮名と片仮名という文字種及び文字数が相違し、外観上明らかに相違するものである。 次に、称呼においては、本件商標から生じる「バブアンプル」の称呼と、引用商標から生じる「バブ」の称呼は、語頭における「バブ」の音を共通にするとしても、「アンプル」の音の有無の差異及び全体の音数が6音と2音と異なることからすると、それぞれを一連に称呼するときには、その音調、音感が異なり、両称呼は、いずれも明瞭に聴別し得るものである。 また、観念においては、本件商標からは、特定の観念が生じないのに対し、引用商標1及び引用商標3は、いずれも特定の観念は生じないものであるから、比較することはできず、引用商標2は、「(申立人の業務に係る入浴剤のブランドとしての)バブ」の観念を生じるから、本件商標と引用商標2は、観念において相紛れるおそれはない。 そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較できないか相紛れるおそれがないものであり、外観においては明らかに相違するものであり、称呼においても明瞭に聴別し得るものであるから、これらが需要者に与える印象、記憶、連想等を総合してみれば、これらの商標は、いずれも相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。 その他、本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。 エ 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品の類否 本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似するものである。 オ 申立人の主張 申立人は、本件商標の構成中、「あんぷる」の文字は、英語で「固体や液体・気体を封入して保存するためのガラス製の容器」又は「アンプルと形状の似た容器」といった意味を持つ「ample」を平仮名で表記したものと容易に理解、認識でき、本件商標の指定商品のうち、少なくともアンプル又はアンプル様の容器に封入され得る商品については、商品の品質表示として理解、認識される旨主張している。 しかしながら、「アンプル」の文字に上記意味があるとしても、本件商標の指定商品を取り扱う業界において、「あんぷる」の文字が商品の品質等を表示し、広く一般に使用されているとする事実を認めるに足る証拠の提出はなく、当該主張は認めることはできない。 カ 小括 以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、両商標の指定商品が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第15号該当性について ア 商標「バブ」の周知性 上記(1)のとおり、商標「バブ」は、申立人の業務にかかる商品「入浴剤」を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間において広く認識されていたものと認められる。 イ 本件商標と商標「バブ」の類似性の程度 本件商標と引用商標とは、上記(2)のとおり、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきであるから、本件商標は、引用商標と同じ文字綴りからなる申立人の商標「バブ」とも類似しない商標といえ、両者の類似性の程度は低いものというべきである。 ウ 出所の混同のおそれについて 上記ア及びイのとおり、商標「バブ」は、申立人の業務に係る商品「入浴剤」を表示するものとして、我が国の取引者、需要者間に広く認識されているとしても、本件商標と引用商標「バブ」とは、別異の商標であるから、類似性の程度が低いものである。 そうすると、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定商品について使用たときは、たとえ商品の関連性を有するとしても、取引者、需要者が、申立人に係る商標「バブ」ないし引用商標を連想又は想起するとは考え難く、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。 エ 小括 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (4)むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するとはいえず、その登録は、同法第4条第1項の規定に違反してなされたものとはいえないものであり、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
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異議決定日 | 2022-10-20 |
出願番号 | 2021058500 |
審決分類 |
T
1
651・
261-
Y
(W03)
|
最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
佐藤 松江 |
特許庁審判官 |
豊瀬 京太郎 小俣 克巳 |
登録日 | 2022-01-04 |
登録番号 | 6493996 |
権利者 | 株式会社CANDY・A・GO・GO |
商標の称呼 | バブアンプル |
代理人 | 前川 砂織 |
代理人 | 前川 純一 |
代理人 | 森田 拓 |
代理人 | 山崎 和香子 |
代理人 | アインゼル・フェリックス=ラインハルト |
代理人 | 松永 章吾 |