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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 030914182535 |
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管理番号 | 1391165 |
総通号数 | 11 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2022-11-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2021-12-27 |
確定日 | 2022-11-04 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6452448号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6452448号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第6452448号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和2年12月16日に登録出願、第3類「香料入りせっけん,食器洗い用洗剤,靴用ワックス,つや出し剤,精油,練り歯磨き,ポプリ,香水,芳香剤,化粧品」、第9類「ヘッドホン,教育用のコンピュータソフトウェア,マイクロホン,イヤホン,自撮り棒(手持用一脚),映写用スクリーン,コンピュータ用キーボードカバー,眼鏡,携帯電話機,スマートフォン用のケース」、第14類「貴金属製合金,宝石箱,人造宝玉,宝飾品,貴金属製造形品,宝飾品用チャーム,真珠(宝飾品),ひすい,時計,時計バンド」、第18類「擬革,バッグ,ブリーフケース,札入れ,家具用革製飾り,革ひも,傘,つえ,馬具用革ひも,靴用なめし革」、第25類「下着,被服,子供服,ニット製被服,靴及び運動用特殊靴,帽子,メリヤス下着、メリヤス靴下,手袋(被服),スカーフ,バンド」及び第35類「経理事務の代行,スポンサー探し,他人の事業のために行う物品の調達及びサービスの手配,秘書,商業又は広告のための商品見本市の企画・運営,輸出入に関する事務の代理又は代行,販売促進のための企画及び実行の代理,事業所の移転の助言,広告,人事管理に関する助言」を指定商品及び指定役務として、同3年8月19日に登録査定、同年10月6日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立人が引用する商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は次のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。 (1)登録第2487980号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の態様 別掲2のとおり 指定商品 第20類「額縁,石こう製彫刻,プラスチック製彫刻,木製彫刻」のほか、第9類及び第16類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 登録出願日 平成元年8月31日 設定登録日 平成4年12月25日 (2)登録第4723982号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の態様 TWEETY(標準文字) 指定商品 第3類「化粧品,せっけん類,歯磨き,香料類,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,塗料用剥離剤,靴クリーム,靴墨,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,つけづめ,つけまつ毛」 登録出願日 平成15年1月14日 設定登録日 平成15年11月7日 (3)登録第2692306号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の態様 別掲2のとおり 指定商品 第25類「被服」のほか、第16類、第20類及び第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 登録出願日 平成元年8月31日 設定登録日 平成6年8月31日 (4)登録第1944769号商標(以下「引用商標4」という。) 商標の態様 TWEETY 指定商品 第25類「被服」のほか、第20類及び第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 登録出願日 昭和51年8月25日 設定登録日 昭和62年4月30日 (5)登録第4008417号商標(以下「引用商標5」という。) 商標の態様 別掲3のとおり 指定商品 「カラオケ機能を有するラジオカセットプレーヤー,ページャー,その他の電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」のほか、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 登録出願日 平成7年2月23日 設定登録日 平成9年6月6日 (6)登録第4355252号商標(以下「引用商標6」という。) 商標の態様 別掲4のとおり 指定商品 「貴金属製のがま口・靴飾り・コンパクト及び財布」のほか、第14類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 登録出願日 平成11年3月5日 設定登録日 平成12年1月28日 (7)登録第6379685号商標(以下「引用商標7」という。) 商標の態様 別掲5のとおり 指定商品 「紙製テーブルクロス」のほか、第16類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 登録出願日 令和2年7月20日 設定登録日 令和3年4月20日 以下、引用商標1ないし引用商標7をまとめていうときは、「引用商標」という。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第85号証(枝番号を含む。以下、枝番号のすべてを示すときは、枝番号を省略する。)を提出した。 (1)引用商標の周知・著名性について 引用商標の文字部分「TWEETY」は、世界を代表するアニメーション「Looney Tunes」内の題号であり、この作品に登場するカナリアのキャラクターの名称である。 「Looney Tunes」は、1930年に申立人が制作を開始した短編及び長編アニメーションの題号であり、「Sinkin’in the Bathtub」を皮切りに一躍ヒットシリーズとなった。 1942年に公開された「A Tale of Two Kitties」において、カナリアのキャラクター「TWEETY」が初登場し、トゥイーティーの人気は急上昇し、瞬く間にLooney Tunesで最も愛されるキャラクターの仲間入りを果たした(甲9)。その後も、数多くの映画に出演し、「TWEETY」が登場する映画においては、1947年に公開された「Tweetie Pie」(甲10)、1957年に公開された「Birds Anonymous」ではアカデミー賞の短編アニメ賞を受賞し(甲11)、1955年に公開された「Sandy Claws」ではアカデミー賞の短編アニメ賞にノミネートされている(甲12)。 80年以上の間、「TWEETY」は小さな体でも大きな敵に知恵で勝ることができることをファンに思いださせ、「ありのままの自分で堂々している」イメージの象徴となっており、これにより、「TWEETY」は大人気のポップカルチャーとなった。ファッションやライフスタイルの分野でもユニークな存在感を維持し、全く予想もしない形でその姿を見られるようになった。トゥイーティーの鮮やかな黄色、突き抜けた明るさ、控え目な強さは、セレブやインフルエンサー、ファッションデザイナー、アーティストなどを魅了している(甲13)。 「TWEETY」を題号に含む作品も、1951年公開「Tweety, S.O.S.」及び「Tweet Tweet Tweety」、1956年公開「The cornered Tweety」、1957年公開「Tweety and the Beanstalk」及び「Greedy for Tweety」、1958年公開「A Pizza Tweety−Pie」がある。 1950年代には、短編映画作品がアメリカでテレビ放送されるようになり、日本では1960年代から1980年代に短編映画をまとめたものが「バックス・バニー劇場(1961〜1964)」、「マンガ大作戦」、「バックスバニーとゆかいな仲間たち」などの番組名で放送され、また1989年10月4日から1992年3月25日にかけて「バックス・バニーのぶっちぎりステージ」という番組名でテレビ東京でも放送され人気を博した。 近年においても、1996年公開「Superior Duck」や2011年公開「I Tawt I Taw a Puddy Tat」において、「TWEETY」が登場している。 「TWEETY」については、申立人により、日本において、「TWEETY」のキャラクター専用のウェブサイトが開設され(甲14)、Looney Tunesのインスタグラム日本公式アカウントにおいても、「TWEETY」を扱った商品が紹介され(甲15)、ソーシャルネットワークサービスのfacebookのアカウントが開設され、「TWEETY」のキャラクターとコラボレーションした菓子、化粧品、LINEスタンプ、食器が発売されている(甲16)。 2000年には、KEMCOから携帯テレビゲーム機「ゲームボーイ」のゲームソフト「トゥイティー世界一周 80匹の猫をさがせ!」が発売された(甲17)。 ワーナー・マイカル・シネマズにおけるイメージキャラクターにも起用されていた(甲18)。 2008年に渋谷で「TWEETY」をフィーチャーしたカフェがオープンし(甲18の4)、2008年に表参道で(甲18の5)、2009年と2012年に有楽町で、「TWEETY」をフィーチャーした期間限定ショップ「Tweety Boutique Ginza」がオープンし人気を博した(甲18の5〜7)。 2020年には、コンビニエンスストア・スーパーマーケットの「ロピア」から「TWEETY」とコラボレーションした菓子が販売された(甲18の2)。 kyokutoからは、「TWEETY」とコラボレーションしたノートが販売された(甲18の3)。 現在でも、2022年に「TWEETY」のキャラクターは、「Looney Tunes」映画シリーズに登場以来80周年を迎え、それを祝う特設サイトが開設され、世界各国の芸術家が各国での壁画に「TWEETY」のキャラクターを描くキャンペーンが進行するなど、日本を始め、世界中で「TWEETY」は愛されている(甲13)。 上記のとおり、申立人によって、引用商標は、アニメーションの題号及びこの作品に登場するキャラクターについて、日本を含めた全世界で約80年使用しており、遅くとも、本件商標の登録出願時までには、日本国内においても周知・著名な標章となっていたというべきである。 (2)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標について 本件商標は、上段に円図形の中に、欧文字の「T」と「B」の縦線部分を重なり合わせたような図形を入れた図形、下段に欧文字の「TWETYBIRD」を配した構成よりなる。 本件商標の構成文字は「TWETY」と「BIRD」の文字に分離することができ、さらに「TWETY」の文字は、世界を代表するアニメーションの題号及びこの作品に登場するカナリアのキャラクターの名称「TWEETY」の3文字目又は4文字目の「E」を省略した文字である一方で、本件商標の構成中「BIRD」なる語は、「鳥」を意味する日本人に極めて馴染みの深い英単語であって、商品や役務を問わず広く一般的に使用されている語であり、さらに、「TWEETY」は鳥の一種であるカナリアのキャラクターであることから、その識別力は、前半の「TWETY」の部分と比して極めて弱いものといわざるを得ない。そして、簡易迅速を旨とする取引の実際において、取引者・需要者は、著名な略称「TWEETY」の3文字目又は4文字目の「E」を省略した構成からなる「TWETY」の部分に強く印象付けられることから、本件商標中「TWETY」の部分を適宜抽出し、「TWETY」の文字部分のみを捉えて取引されることも十分に想定される。 したがって、本件商標の要部は「TWETY」の部分であるといえる。 イ 引用商標について 引用商標2及び引用商標4は、欧文字の「TWEETY」からなり、引用商標1、引用商標3及び引用商標5ないし引用商標7は、欧文字の「TWEETY」及び上述の世界的に著名なアニメーションに登場するカナリアのキャラクター「TWEETY」の全体像の図形からなり、いずれも「トゥイーティー」の称呼が生じ、引用商標からは、上述のとおり、世界的に著名なアニメーションに登場するキャラクターの名称という意味合いが生じる。 ウ 本件商標と引用商標との類否について 本件商標の要部及び引用商標の文字部分と対比すると、称呼は、いずれも「トゥイーティー」であり、同一である。 外観についても、本件商標の欧文字部分「TWETY」と引用商標の文字部分「TWEETY」は、3文字目又は4文字目の「E」の文字が異なるのみであるので、外観の全体的印象が互いに紛らわしく、外観においても類似している。 観念については、引用商標からは、世界的に著名な作品の題号及びこれらの作品に登場するキャラクターの名称という意味合いが生じ、本件商標からも当該名称と「E」の文字違いであることからして、互いに紛らわしく、引用商標と同様の観念が生じると考えられ、観念においても類似している。 また、本件商標に係る一部の指定商品は、引用商標に係る一部の指定商品と同一又は類似である。 エ さらに、引用商標は、本件商標の登録出願前に登録出願されているので、本件商標は、引用商標の後願にかかる商標である。 オ まとめ 以上より、本件商標は、引用商標と類似する商標であり、また、本件商標は、引用商標に係る指定商品と同一又は類似である商品について使用する商標であるから、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。 (3)商標法第4条第1項第15号該当性について ア 出所混同の生ずるおそれについて アニメーションの題号及びこの作品に登場するキャラクターとして周知著名な「TWEETY」と本件商標の要部「TWETY」は、上述のとおり、互いに類似する。 また、上述のとおり、「TWEETY」は、アニメーションの題号及びこの作品に登場するキャラクターとして世界的な著名性を有しているといえる。 「TWEETY」は、アニメーションの題号及びこの作品に登場するキャラクターとして著名であることから、その独創性は高いといえる。 さらに、「TWEETY」は、アニメーションの題号及びこの作品に登場するキャラクターであることからして、様々な商品・役務として申立人自身が販売・提供したり、ライセンス品として、販売・提供されやすい性質のものであり、本件商標の指定商品・指定役務とは、密接な関連性があるといいえる(甲30〜甲35)。 また、「TWEETY」は、役務の提供のためのイメージキャラクターとして、汎用性が高いものであるから、本件商標の第35類の役務にも使用され得ると考えられ、密接な関連性があるといえる。 よって、本件商標と引用商標に係る商品・役務の用途や目的、取引者及び需要者は共通するといえる。 なお、引用商標の文字部分に係るキャラクター名称「TWEETY」の正式名称は「TWEETY BIRD」であるので(甲36)、本件商標の文字部分「TWETYBIRD」とは、「TWEETY」又は「TWETY」の文字に「BIRD」を付け加えた構成が共通しており、極めて類似するので、本件商標権者が引用商標の文字部分「TWEETY」及びその正式名称「TWEETY BIRD」の周知著名性を知らないはずはなく、本件商標は、申立人の「TWEETY」及び「TWEETY BIRD」の周知著名性を承知の上で登録出願したものであって、「TWEETY」及び「TWEETY BIRD」の周知著名性へのただ乗りや希釈化を意図したものであると合理的に推認することができる。なお、本件商標権者は、申立人とは何ら資本関係、事業提携その他一切の関係性がなく、本件商標の使用について許諾を得た者でもないことを付言しておく。 イ まとめ したがって、需要者は、本件商標権者が申立人から、あたかも本件商標の指定商品の販売及び指定役務の提供の許諾を受けて販売していると誤認するおそれがあるといえ、「TWETY」を含む本件商標がその指定商品又は指定役務について使用された場合には、それらの商品又は役務があたかも申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品及び役務であると、その出所について混同を生ずるおそれがあることは明白であるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。 (4)商標法第4条第1項第19号該当性について ア 不正の目的 「TWEETY」は、前述のように世界的に周知・著名なアニメーションの題号及びこの作品に登場するキャラクターの名称として、取引者・需要者間において広く知られ、高い名声・信用・評判を獲得するに至っており、本件商標の登録出願時には、すでに申立人の業務に係る商品・役務に使用される商標として極めて広く知られていた著名商標である。 なお、上記商標法第4条第1項第15号において述べたとおり、当該キャラクター「TWEETY」の正式名称は「TWEETY BIRD」であるので(甲36)、本件商標の文字部分「TWETYBIRD」とは、「TWEETY」又は「TWETY」の文字に「BIRD」を付け加えた構成が共通しており、極めて類似するので、本件商標権者が引用商標の文字部分「TWEETY」及びその正式名称「TWEETY BIRD」の周知著名性を知らないはずはなく、本件商標は、申立人の「TWEETY」及び「TWEETY BIRD」の周知著名性を承知の上で登録出願したものであって、「TWEETY」及び「TWEETY BIRD」の周知著名性へのただ乗りや希釈化を意図したものであると合理的に推認することができる。 そうとすれば、本件商標権者は、周知著名な「TWEETY」及び「TWEETY BIRD」を自己の商標として出願・使用する目的をもって出願したものといえ、本件商標は、商標権者の不正の目的によって出願されたものである。 イ 小括 以上により、「TWEETY」は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の使用してきたアニメーションの題号及びこの作品に登場するキャラクターの名称として周知著名な商標となっており、本件商標は、引用商標に同一又は類似するものであって、本件商標権者が、「TWEETY」及びその正式名称「TWEETY BIRD」の周知著名性に便乗し、本件商標の独占排他的使用を得ようとする不正の目的に基づいて出願し登録されたものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。 (5)商標法第4条第1項第7号該当性について 本件商標権者は、申立人の業務に係る「TWEETY」及び「TWEETY BIRD」と無関係に偶然採用したとは到底考えられず、むしろ、その周知著名性に便乗する意思をもって、本件商標を採択したと考えられる。よって、本件商標に接する取引者、需要者に引用商標を連想、想起せしめ、引用商標に化体した信用、名声及び顧客吸引力にただ乗り及び希釈化する不正な目的で採択・出願し登録を受けたことは明らかであり、本件商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがある。 そして、このような商標登録の維持を許せば、申立人の制作する映画、申立人の販売する商品の販売・提供展開が、本件商標の存在によって不当に脅かされ商標法の予定する秩序に反するものとなる。 したがって、本件商標権者は、申立人の承諾を得ることなく本件商標を、指定商品及び指定役務について登録することは、公正な取引秩序を乱し、ひいては国際信義に反するものとして、公の秩序又は善良の風俗を害するものであり、本件商標権者が本件商標を不正の目的で使用するものであることは明らかであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するというべきである。 4 当審の判断 (1)引用商標の周知性 申立人の提出に係る証拠及び申立人の主張によれば、以下のとおりである。 ア 「TWEETY」は、アニメーション「Looney Tunes」内の作品に登場するカナリアのキャラクターの名称である。 申立人は、1930年に「Looney Tunes」の制作を開始し、「Looney Tunes」は、ヒットシリーズとなった。 1942年に公開された短編「A Tale of Two Kitties」において、カナリアのキャラクター「TWEETY」が初登場した(甲9)。その後、「TWEETY」が登場する映画においては、1947年に公開された「Tweetie Pie」(甲10)及び1957年に公開された「Birds Anonymous」ではアカデミー賞の短編アニメ賞を受賞し(甲11)、1955年に公開された「Sandy Claws」ではアカデミー賞の短編アニメ賞にノミネートされた(甲12)。「TWEETY」を題号に含む作品は、1951年公開「Tweety, S.O.S.」及び「Tweet Tweet Tweety」、1956年公開「The cornered Tweety」、1957年公開「Tweety and the Beanstalk」及び「Greedy for Tweety」、1958年公開「A Pizza Tweety−Pie」がある。 イ トゥイーティー80年周年の公式サイトにおいて、芸術家グループによって壁画キャンペーンが米国、英国、フランス等で行われたことが紹介されているが、2022年のことであり、また、日本においては行われていない(甲13)。 ウ 申立人により、日本において、「TWEETY(トゥイーティー)」のキャラクター専用のウェブサイトが開設されている(甲14)とするが、登録査定後の2021年12月22日に出力されたものであり、具体的な開設日が確認できない。 ソーシャルネットワークサービスのfacebookのアカウントが開設され、「トゥイーティーのキュートなスキンケアシリーズが発売中」(2019年3月24日)及び「ロピア×トゥイーティーコラボスイーツをご紹介」(2020年4月1日)の記載がある(甲16)。 また、ルーニー・テューンズのインスタグラム日本公式アカウントには、ルーニー・テューンズに登場するキャラクターに関する各種商品が紹介され、その中には「TWEETY(トゥイーティー)」を付したものが散見されるが、登録査定後の2022年3月28日に出力されたものである(甲15)。 エ 2000年には、KEMCOから携帯テレビゲーム機「ゲームボーイ」のゲームソフト「トゥイティー世界一周 80匹の猫をさがせ!」が発売された(甲17)。 オ 2008年に渋谷で「Tweety(トゥイーティー)」と「Franfranc(フランフラン)」がコラボレーションした期間限定カフェがオープンし(甲18の4)、2009年と2012年に有楽町で、期間限定ショップ「Tweety Boutique Ginza」がオープンした(甲18の5〜7)。 カ 「TWEETY」に関する商品の販売サイト(甲30〜甲35)には、「Tweety(トゥイーティー)」が付された各種商品が掲載されているが、本件商標の登録査定後のものである。 キ 申立人は、引用商標の文字部分に係るキャラクター名称「TWEETY」の正式名称は「TWEETY BIRD」である(甲36)旨主張しているが、正式名称を広く使用しているとする事実は見いだせない。 ク 上記からすると、申立人は、1930年にアニメーション「Looney Tunes」を制作開始し、カナリアのキャラクター「TWEETY」は、1942年に公開された短編「A Tale of Two Kitties」において初登場したものである。 その後、「TWEETY」が登場する映画は、1947年及び1957年にアカデミー賞の短編アニメ賞を受賞している。 そして、アニメーションの題号に「Tweety」を含む作品がある。 また、「TWEETY」の文字の一部を小文字で表した「Tweety」の文字又はその表音を片仮名で表した「トゥイーティー」の文字が、菓子又は化粧品等に付されているものの、これが申立人の業務にかかる商品であるか否かは把握できず、また、カフェやショップがオープンされているが、期間限定であって、これが申立人の業務に係る役務として、本件商標の登録出願時又は登録査定時に広く認識されていたとする証拠の提出はない。 そうすると、申立人の提出に係る証拠からは、引用商標が、アニメーションに登場するキャラクターとしてある程度知られているとしても、申立人の業務に係る商品及び役務について使用する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとは認めることができないものである。 (2)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標 本件商標は、別掲1のとおり、円図形内にロゴ風の図形を配し、その下部に「TWETYBIRD」の欧文字を書した構成からなるところ、上部の図形部分と下部の欧文字部分とは、視覚的に分離して看取されるものである。 そして、欧文字部分は、同書、同大、等間隔で、外観上一体的に表され、欧文字部分全体に相応して生ずる「トゥエティバード」の称呼もよどみなく一連に称呼できるものであり、その他、本件商標の構成文字を「TWETY」と「BIRD」に分離すべき事情や、構成中の「TWETY」の文字のみが、取引者、需要者に対し商品及び役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認めるに足りる事情も見いだせない。 また、当該文字は、辞書等に載録が認められず、何らかの意味を有する語を表してなるものとは直ちに認識できないものであるから、特定の観念を生じないものである。 イ 引用商標 引用商標2及び引用商標4は、「TWEETY」の欧文字からなり、引用商標1、引用商標3、引用商標5ないし引用商標7は、別掲2ないし別掲5のとおり、カナリアのキャラクター「TWEETY」の各ポーズの図形と「TWEETY」の欧文字からなるところ、当該欧文字に相応して「トゥイーティー」の称呼を生じ、その構成文字及び図形から、「Looney Tunes」に登場するカナリアのキャラクター「TWEETY」の観念が生じる。 ウ 本件商標と引用商標との類否 本件商標は、上記アのとおり、円図形内にロゴ風の図形を配した図形部分と「TWETYBIRD」の欧文字からなるものであるのに対し、引用商標は、上記イのとおり、「TWEETY」の欧文字又はキャラクター「TWEETY」の各ポーズの図形と「TWEETY」の欧文字からなるものである。 そうすると、本件商標は、全体の構成から引用商標とは明らかに相違するものであって、本件商標の欧文字部分と引用商標の「TWEETY」の欧文字とを比較しても、構成文字数の相違から、いずれも外観において紛れるおそれはないというべきである。 次に、本件商標から生じる「トゥエティバード」の称呼と引用商標から生じる「トゥイーティー」の称呼は、語頭における「トゥ」を共通にするも、それに続く音に差異を有するものであるから、該差異音の影響は大きく聞き誤るおそれはないというべきである。 さらに、本件商標からは特定の観念が生じないのに対し、引用商標は、「Looney Tunes」に登場するカナリアのキャラクター「TWEETY」の観念を生じるから、両者は、観念において紛れるおそれはない。 そうすると、本件商標と引用商標は、外観、称呼、観念において相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。 その他、これらの商標を類似するというべき事情は見いだせない。 エ 小括 以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、両商標の指定商品が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第15号該当性について ア 引用商標の周知性 引用商標は、上記(1)のとおり、申立人の業務に係る商品及び役務について使用する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとは認めることができないものである。 イ 本件商標と引用商標との類似性の程度について 本件商標と引用商標とは、上記(2)のとおり、外観、称呼、観念において相紛れるおそれのない非類似の商標というべきでから、類似性の程度は低いものというべきである。 ウ 出所の混同のおそれについて 上記ア及びイのとおり、引用商標は、申立人の取扱いに係る商品及び役務を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているとは認めることはできず、また、本件商標と引用商標との類似性の程度も低いことからすれば、本件商標に接する取引者、需要者が、申立人の業務に係る引用商標を連想又は想起するものということはできない。 また、申立人は、引用商標の文字部分に係るキャラクター名称「TWEETY」の正式名称「TWEETY BIRD」が、周知著名である旨述べているが、引用商標が、アニメーションに登場するキャラクターとしてある程度知られているとしても、上記(1)キのとおり、その正式名称「TWEETY BIRD」を広く使用している事実は確認できず、当該「TWEETY BIRD」が我が国の需要者の間に広く認識されているとは認めることができない。 そうすると、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定商品及び指定役務について使用しても、取引者、需要者が、引用商標又は正式名称「TWEETY BIRD」を連想又は想起することはなく、その商品及び役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。 エ 小括 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (4)商標法第4条第1項第19号該当性について 本号は、「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもって使用するもの(前各号に掲げるものを除く。)」と規定されている。 そして、本件商標は、上記(2)のとおり、引用商標とは、非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号を適用するための要件を欠くものといわざるを得ない。 また、申立人は、本件商標は、引用商標の文字部分に係るキャラクター名称「TWEETY」の正式名称「TWEETY BIRD」の周知著名性に便乗し、本件商標の独占排他的使用を得ようとする不正の目的に基づいて出願し登録されたものである旨述べているが、上記(3)ウで述べたとおり、当該「TWEETY BIRD」が我が国の需要者の間に広く認識されているとは認めることができないから、この点についても、本件商標は、商標法第4条第1項第19号を適用するための要件を欠くものである。 その他、申立人が提出した証拠からは、本件商標権者が本件商標を不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用するものと認めるに足りる具体的事実は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 (5)商標法第4条第1項第7号該当性について 申立人の制作に係る「Looney Tunes」に登場する「TWEETY」がカナリアのキャラクターとしてある程度知られているとしても、キャラクター「TWEETY」の正式名称「TWEETY BIRD」が我が国の需要者の間に広く認識されているとは認めることはできず、本件商標と引用商標は、上記(2)のとおり非類似であり、かつ、申立人が提出した甲各号証を総合してみても、本件商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものと認めるに足りる具体的事実を見いだすことができない。 また、本件商標は、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるようなものでないこと明らかであり、さらに、社会の一般的道徳観念に反するなど、公序良俗に反するものというべき証左も見あたらない。 そして、本件商標は、他の法律によって、その商標の使用等が禁止されているものではないし、特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反するものでもない。 してみると、本件商標は、その登録を認めることが商標法の予定する秩序に反し、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標に該当するとまではいえないものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。 (6)むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 別掲1(本件商標) ![]() 別掲2(引用商標1及び3) ![]() 別掲3(引用商標5) ![]() 別掲4(引用商標6) ![]() 別掲5(引用商標7) ![]() |
別掲 |
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異議決定日 | 2022-10-26 |
出願番号 | 2020155284 |
審決分類 |
T
1
651・
22-
Y
(030914182535)
|
最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
佐藤 淳 |
特許庁審判官 |
板谷 玲子 佐藤 松江 |
登録日 | 2021-10-06 |
登録番号 | 6452448 |
権利者 | 廈門翠迪鳥貿易有限公司 |
商標の称呼 | トゥエティバード、トゥウエティバード |
代理人 | 山口 現 |
代理人 | 佐藤 俊司 |
代理人 | 田中 克郎 |
代理人 | 稲葉 良幸 |
代理人 | 原田 貴史 |