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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W21
管理番号 1391164 
総通号数 11 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-11-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-12-24 
確定日 2022-11-08 
異議申立件数
事件の表示 登録第6453656号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6453656号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6453656号商標(以下「本件商標」という。)は、「BAUM」の欧文字を書してなり、令和2年11月25日に登録出願、第21類「化粧用具,化粧品用容器,化粧落とし器,化粧用アプリケーター,アロマオイルディフューザー(リードディフューザー状のものを除く。),空で売られているリードディフューザー(芳香を拡散するもの),アロマオイル拡散用皿,揮発性の精油を熱して芳香を発散させるアロマテラピー用ポット及びその部品」のほか、第3類、第4類及び第18類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同3年8月30日に登録査定、同年10月8日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は次のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。(以下、これらの登録商標をまとめていうときは、「引用商標」という。)
(1)登録第2495548号(以下「引用商標1」という。)
商標の態様 「ドーム」
指定商品 第14類「身飾品,貴金属製のがま口及び財布,宝玉及びその模造品,貴金属製コンパクト」、第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ」、第21類「化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。)」、第26類「腕止め,衣服用き章(貴金属製のものを除く。),衣服用バッジ(貴金属製のものを除く。),衣服用バックル,衣服用ブローチ,帯留,ボンネットピン(貴金属製のものを除く。),ワッペン,腕章,頭飾品,ボタン類,造花(「造花の花輪」を除く。),つけあごひげ,つけ口ひげ,ヘアカーラー(電気式のものを除く。)」及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
登録出願日 昭和59年11月19日
設定登録日 平成5年1月29日
書換登録日 平成16年9月15日
(2)登録第3340277号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様 「DAUM」及び「ダウム」の文字を2段書きしてなる商標
指定商品 第21類「なべ類,コーヒー沸かし(電気式又は貴金属製のものを除く。),食器類(貴金属製のものを除く。),アイスペール,携帯用アイスボックス,こし器,こしょう入れ・砂糖入れ及び塩振り出し容器(貴金属製のものを除く。),卵立て(貴金属製のものを除く。),ナプキンホルダー及びナプキンリング(貴金属製のものを除く。),盆(貴金属製のものを除く。),ようじ入れ(貴金属製のものを除く。),米びつ,シェーカー,手動式のコーヒー豆ひき器及びこしょうひき,じょうご,食品保存用ガラス瓶,水筒,なべ敷き,はし箱,魔法瓶,レモン絞り器,たわし(塗装用のものを除く。),ガラス製又は陶磁製の包装用容器,植木鉢,花瓶(貴金属製のものを除く。),せっけん入れ並びに洗面用具入れ」
登録出願日 平成6年6月30日
設定登録日 平成9年8月15日
(3)登録第4574227号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の態様 別掲のとおり
指定商品 第21類「クリスタルガラス製及びガラス製の食器類,その他の食器類,クリスタルガラス製及びガラス製のアイスペール,クリスタルガラス製及びガラス製の砂糖入れ,クリスタルガラス製及びガラス製の卵立て,クリスタルガラス製及びガラス製のナプキンホルダー及びナプキンリング,クリスタルガラス製及びガラス製の盆,クリスタルガラス製及びガラス製の栓抜,クリスタルガラス製及びガラス製の化粧用具,クリスタルガラス製及びガラス製のろうそく消し及びろうそく立て,クリスタルガラス製及びガラス製の花瓶,クリスタルガラス製及びガラス製の立て看板,クリスタルガラス製及びガラス製の香炉,クリスタルガラス製及びガラス製の水盤,クリスタルガラス製及びガラス製の風鈴,クリスタルガラス製及びガラス製の置物」及び第14類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
登録出願日 平成11年6月4日
設定登録日 平成14年6月7日
(4)登録第4705181号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の態様 「ドーム」(標準文字)
指定商品 第21類「クリスタルガラス製及びガラス製の食器類,その他の食器類,クリスタルガラス製及びガラス製のアイスペール,クリスタルガラス製及びガラス製の砂糖入れ,クリスタルガラス製及びガラス製の卵立て,クリスタルガラス製及びガラス製のナプキンホルダー及びナプキンリング,クリスタルガラス製及びガラス製の盆,クリスタルガラス製及びガラス製の栓抜,クリスタルガラス製及びガラス製の化粧用具,クリスタルガラス製及びガラス製のろうそく消し及びろうそく立て,クリスタルガラス製及びガラス製の花瓶,クリスタルガラス製及びガラス製の立て看板,クリスタルガラス製及びガラス製の香炉,クリスタルガラス製及びガラス製の水盤,クリスタルガラス製及びガラス製の風鈴,クリスタルガラス製及びガラス製の置物」
登録出願日 平成14年7月4日
設定登録日 平成15年8月29日

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、その指定商品中、第21類の商品(以下「申立に係る商品」という。)について、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第35号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標と引用商標の対比
本件商標は、欧文字「BAUM」からなり、この文字から「バーム」又は「バウム」の称呼が生じる。
他方、引用商標1及び引用商標4は、片仮名「ドーム」からなり、この文字から「ドーム」の称呼が生じる。本件商標から生じる称呼「バーム」と引用商標1及び引用商標4の称呼における差異は一音のみであるため、両商標は称呼において相紛らわしい。
引用商標2は、欧文字「DAUM」及び片仮名「ダウム」からなり、また、引用商標3は、欧文字「Daum」からなり、これらの文字から「ダウム」の称呼が生じる。本件商標から生じる称呼「バウム」と引用商標2及び引用商標3の称呼における差異は一音のみであるため、両商標は称呼において相紛らわしい。
イ 申立に係る商品と引用商標の指定商品について
本件商標の指定商品中、第21類「化粧用具,化粧品用容器,化粧落とし器,化粧用アプリケーター」は、引用商標1の指定商品中、第14類「貴金属製コンパクト」、第18類「携帯用化粧道具入れ」、第21類「化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。)」、第26類「つけあごひげ,つけ口ひげ,ヘアカーラー(電気式のものを除く。)」、引用商標2の指定商品中、第21類「せっけん入れ並びに洗面用具入れ」、引用商標3及び引用商標4の指定商品中、第21類「クリスタルガラス製及びガラス製の化粧用具」と類似する。
また、本件商標の指定商品中、第21類「化粧用容器」は、引用商標2の指定商品中、第21類「ガラス製又は陶磁製の包装用容器」と類似する。
さらに、本件商標の指定商品中、第21類「アロマオイルディフューザー(リードディフューザー状のものを除く。)」は、引用商標3及び引用商標4の指定商品中、第21類「クリスタルガラス製及びガラス製の香炉」と類似する。
ウ 小括
したがって、本件商標は、引用商標と類似する商標であって、その指定商品と類似する商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 申立人が使用した商標
申立人は、1878年にフランスで創業し、現在に至るまで継続してガラス製品の生産及び譲渡を行っている。申立人の創業者、ジャン・ドームの子息であるオーギュスト・ドーム及びアントナン・ドームは、ドーム兄弟と称され,フランスの優れたガラス工芸家として広く知られている。ドーム兄弟のガラス製品に芸術的技法が施されており、その製品は博覧会等において高い評価を受けて数多くの賞を受賞し、日本国内の美術館にも製品が所蔵されている。このような過去から、現在においても申立人の商品は、日本国内の需要者に広く知られるに至り、申立人が商品について使用した「Daum」及び「ドーム」の商標(以下「申立人使用商標」という。)は、需要者に広く知られるに至っている(甲6〜甲8)。
申立人は、京都府京都市下京区のジーケージャパンエージェンシー株式会社(その関連会社である、有限会社ジーケー企画を含む。以下「代理人」という。)を通じて、日本国内の需要者に商品を譲渡している。商品の譲渡は、三つの店舖及び百貨店における催事により行われると共に、インターネットウェブサイトを利用した通信販売によって行われ、商品及び商品の広告に申立人使用商標を使用している(甲9〜甲12)。
申立人は、商品の宣伝広告として、需要者に案内状、チラシ、カタログからなる広告印刷物を配布しており、これらの広告印刷物において商品及び商品の広告に申立人使用商標を使用している(甲13〜甲20)。申立人は、はがきの広告印刷物について、各々200通を作成して需要者に配布しており、百貨店の催事においては、一回の催事について2000通の招待状を発送した。申立人は、商品の宣伝広告として看板を設置しており、この看板において、商品及び商品の広告に申立人使用商標を使用している(甲21)。
申立人は、商品の宣伝広告として日本語のウェブサイトを設けており、このウェブサイトにおいて、商品及び商品の広告に申立人使用商標を使用している(甲22)。
申立人の商品は雑誌において、申立人使用商標とともに掲載されている。(甲23〜甲29)。
申立人は、代理人に商品を譲渡した際に取引書類を発行しており、これらの取引書類には「Daum」の商標を使用している(甲30〜甲35)。
そして、申立人は、申立人使用商標をガラス製品に使用し(甲8、甲10〜甲12、甲14〜甲18、甲20〜甲29)、各商品を代理人に譲渡している(甲30〜甲35)。
イ 本件商標との類似性について
本件商標は、欧文字「BAUM」からなり、この文字から「バーム」の称呼が生じる。
一方、申立人使用商標は、欧文字「Daum」及び片仮名「ドーム」からなり、これらの文字から「ドーム」の称呼が生じる。本件商標と申立人使用商標の称呼における差異は一音のみであるため、両商標は称呼において相紛らわしい商標である。
ウ 商品の関連性について
本件商標の指定商品中、第21類「化粧用具,化粧用容器,化粧落とし器,化粧用アプリケーター」は、申立人の商品「ガラス製の香水入れ,香水用瓶」と類似する。
また、本件商標の指定商品中、第21類「化粧用容器」は、申立人の商品「ガラス製の包装用容器」と類似する。
本件商標の指定商品は、全て第21類に属するものであり、申立人の商品「ガラス製の置物,ガラス製の花瓶,ガラス製の水盤,ガラス製の食器,ガラス製の包装用容器,ガラス製のろうそく立て,ガラス製香水入れ,花器,皿,小鉢,鉢,香水用瓶、シャンパン用フルートグラス」についても、全て第21類に属する商品であるから、本件商標の指定商品と申立人の商品は関連性がある。
エ その他の事情
申立人が使用する欧文字「Daum」及び片仮名「ドーム」は、辞書や辞典に掲載された成語ではないため独創性は高い。
申立人の商品は、美術工芸品のように手作業によって生産され、その生産には時間と手間が必要であって、短時間に大量生産されるものではない。これは、申立人の商品の譲渡価格が、大量生産される同種の商品と比較して高いことから明らかである(甲24、甲26〜甲35)。
このような取引の実情において、申立人使用商標が、申立人の商品の出所表示として需要者に広く知られるに至ったのは、申立人の一世紀以上続く歴史及び商品の芸術性の高さに起因する名声が、申立人使用商標に業務上の信用として蓄積した結果である。
そうすると、一般消費財における周知性の獲得を検討する際に参酌される、宣伝広告費、譲渡数量、販売規模、売上高、市場シェア等の情報は、申立人の使用した商標の周知性の検討において重要な情報にあたるものではない。
オ 小括
以上の事実を総合的に判断すると、本件商標の指定商品への使用は、その需要者及び取引者に対して、申立人の商品を連想させて商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、「BAUM」の欧文字を書してなるところ、その構成文字に相応して、「バウム」の称呼を生じるものであり、当該文字は、我が国において広く一般に知られた語とはいえないから、一種の造語として認識、把握され、特定の観念を生じないものとするのが相当である。
イ 引用商標
(ア)引用商標1は、「ドーム」の片仮名を書してなり、引用商標4は、「ドーム」の片仮名を標準文字で表してなるところ、当該文字は「半球形の屋根または天井。円屋根。丸天井。」(広辞苑第7版 株式会社岩波書店)の意味を有する語であるから、引用商標1及び引用商標4は、「ドーム」の称呼を生じ、「半球形の屋根又は天井」の観念を生じる。
(イ)引用商標2は、「DAUM」の欧文字及び「ダウム」の片仮名を2段に書してなり、下段の片仮名は、上段の欧文字の読みを特定したものと看取されるから、その構成文字に相応して「ダウム」の称呼を生じ、また、当該文字は、辞書等に載録されている既成の語ではないことから、一種の造語として認識、把握され、特定の観念は生じない。
(ウ)引用商標3は、別掲のとおり、「Daum」の欧文字をややデザイン化して表したものと看取され、その構成文字に相応して「ダウム」の称呼を生じ、また、当該文字は、辞書等に載録されている既成の語ではないことから、一種の造語として認識、把握され、特定の観念は生じない。
ウ 本件商標と引用商標との類否について
(ア)外観
本件商標と引用商標とは、上記ア及びイのとおりの構成からなるところ、「BAUM」の欧文字を書してなる本件商標に対し、引用商標1及び引用商標4は「ドーム」の片仮名を表してなり、欧文字と片仮名という文字の種類が相違する。
また、本件商標と「DAUM」の欧文字及び「ダウム」の片仮名を2段に表してなる引用商標2とは、1段書きと2段書きの相違、片仮名の有無に加え、欧文字部分の語頭の文字である「B」と「D」が相違する。
さらに、本件商標と「Daum」の欧文字を表してなる引用商標3とは、語頭の文字である「B」と「D」が相違し、その構成態様も、大文字のみから構成される本件商標に対し、引用商標3は語頭のみ大文字でその他は小文字から構成されており、両者は相違する。
そうすると、本件商標と引用商標とは、いずれも外観において明確に相違する。
(イ)称呼
本件商標から生じる「バウム」の称呼と引用商標1及び引用商標4から生じる「ドーム」の称呼は、語頭における「バウ」と「ドー」の音に差異を有し、ともに3音という短い音構成にあって、該差異音の影響は大きく聞き誤るおそれはないというべきである。
また、本件商標から生じる「バウム」の称呼と引用商標2及び引用商標3から生じる「ダウム」の称呼は、語頭における「バ」と「ダ」の音に差異を有し、ともに3音という短い音構成にあって、語頭に位置する該差異音の影響は大きく聞き誤るおそれはないというべきである。
(ウ)観念
本件商標からは特定の観念が生じないのに対し、引用商標1及び引用商標4は「半球形の屋根又は天井」の観念を生じることから、観念において紛れるおそれはない。
また、本件商標と引用商標2及び引用商標3は、ともに特定の観念を生じないものであるから、比較することができないものの、観念において類似するものともいえない。
(エ)小括
以上のとおり、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念において相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
その他、これらの商標を類似するというべき事情は見いだせない。
エ まとめ
以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、両商標の指定商品が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 申立人使用商標の周知性
申立人の提出に係る証拠及び申立人の主張によれば、以下のとおりである。
(ア)本件商標の登録査定日後の令和4年3月18日の印刷日である「ドーム(Daum)日本公式サイト」には、「ドーム[Daum]。それは伝説的なガラス工芸のブランド。」(甲6)、「全国の販売店」として「高島屋京都店」、「高島屋大阪店」の2店舗及び直営店に関するお知らせとして「長年間ご愛顧いただいておりました「ドーム リーガロイヤルショップ」が、2021年12月31日に閉店の運びとなりました。・・・2022年2月からは「マイセン リーガロイヤルショップ」にドームのコーナーを設け、皆様のご来店をお待ち申し上げます。」(甲9)の記載、ウィキペディアの「ドーム兄弟」の項(甲7)には、「ドーム兄弟は、19世紀後半から20世紀前半にかけて活躍したフランスのガラス工芸家。」の記載がある。
(イ)引用商標3が表示されている「ドーム(Daum)日本公式サイト」(甲11)には、「掲載日 2020年8月4日」、「伊勢丹新宿店:ドームフェアのご案内」の項に「期間:8月5日(水)〜18日(火)」、「場所:伊勢丹新宿店5階・・・洋食器」及び「・・・ドーム工房の優れた職人技術で表現された多彩なコレクションが紹介されます。・・・」の記載が確認できるが、他の日本公式サイト(甲12、甲22)及びジーケージャパンオンラインショップのサイト(甲10)では掲載日が確認できない。
(ウ)ドーム リーガロイヤルショップからの案内状には、引用商標3が表示され、「ドーム新作フェアのご案内 2018年3月3日(土)〜3月18日(日) 2018年春夏新作「サンドリオン」」(甲14)、「秋冬新作コレクションフェアのご案内 2018年9月15日(土)〜9月30日(日) オーナメント「シュヴァル フグー」・・・クリスタルで表現しています。」(甲18)と記載があるが、他の案内状(甲13、甲15〜甲17)には、開催年の記載が見いだせない。
また、ジーケージャパンエージェンシー株式会社作成のカタログ表紙(甲19)には、引用商標3が表示され、「本カタログ内の表示価格は2018年8月現在のもの・・・」の記載がある。
しかしながら、広告印刷物(甲20)の作成日及び帝国ホテルプラザに設置した広告看板(甲21)の設置期間については、確認できない。
(エ)WINTER2018「CENTURION」(甲24)には、「DAUMオーナメント「ラ フォウル」」が掲載され、2019年5月「ナイルスナイル」(甲25)には、「傑出したクリスタル作品を生み出してきた「ドーム」」の記載があり、2019年6月「家庭画報」(甲26)には、リビング&ガーデンのページにドームの花器が、ジーケージャパンエージェンシーの取り扱うものとして掲載され、また、「セゾン・ド・エリコ」(甲27)には、「INFORMATION2019−2020」のページに「アートなクリスタル花器/ドーム「トレサージュ」」が掲載され、「美Premium」(甲28)には、「DAUM/ドーム」のオーナメントがドーム リーガロイヤルショップの取り扱うものとして掲載されているが、いずれも特集記事でなく、他社の商品とともに掲載されているものである。
(オ)引用商標3が表示されているインボイスは、日本の代理店であるG.K企画又はG.Kジャパンエージェンシーに宛てたものである(甲30〜甲35)。
(カ)上記からすると、申立人は、19世紀から20世紀前半に活躍したフランスのガラス工芸家が作り上げたガラス工芸に「Daum」を使用し、日本においても、代理店を通じてクリスタル製の花器、オーナメント等が輸入され、「Daum」及び「ドーム」からなる申立人使用商標を表示して展示会、販売が行われているといえる。
そして、申立人は、広告印刷物のはがきをそれぞれ200通、一回の百貨店催事は2000通の招待状を発送した旨主張しているが、それを裏付ける証拠の提出がなく、ほかに申立人使用商標に係る商品の我が国における市場シェア、売上高、広告の頒布範囲・回数等については不明である。
そうすると、申立人の提出に係る証拠からは、申立人使用商標が、申立人の業務に係る商品について使用する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとは認めることができないというべきである。
イ 本件商標と申立人使用商標との類似性の程度について
本件商標と申立人使用商標「Daum」及び「ドーム」は、上記(1)ウと同様に、外観、称呼及び観念において相紛れるおそれのない非類似の商標というべきでから、類似性の程度は低いものである。
ウ 出所の混同のおそれについて
上記ア及びイのとおり、申立人使用商標は、申立人の取扱いに係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているとは認めることはできず、また、本件商標と申立人使用商標との類似性の程度も低いことからすれば、本件商標に接する取引者、需要者が、申立人の業務に係る申立人使用商標を連想又は想起するものということはできない。
そうすると、本件商標は、本件商標権者がこれを申立に係る商品について使用しても、取引者、需要者が、申立人使用商標を連想又は想起することはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
エ 小括
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標は、申立に係る商品について、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
別掲 引用商標3


(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
異議決定日 2022-10-28 
出願番号 2020145273 
審決分類 T 1 652・ 261- Y (W21)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 佐藤 松江
特許庁審判官 石塚 利恵
小俣 克巳
登録日 2021-10-08 
登録番号 6453656 
権利者 株式会社 資生堂
商標の称呼 バウム、バーム 
代理人 田中 尚文 
代理人 弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所 

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