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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W09
管理番号 1391161 
総通号数 11 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-11-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-12-10 
確定日 2022-10-27 
異議申立件数
事件の表示 登録第6447339号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6447339号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6447339号商標(以下「本件商標」という。)は、「HiLetgo」の文字を標準文字で表してなり、令和2年9月10日に登録出願、第9類「継電器,電気用制御盤,電線用接続具,遠隔制御装置,コンピュータ周辺機器,コンピュータ用プリンター,集積回路,商品用電子タグ,スマートカード(ICカード),プリント回路基板,マイクロプロセッサ,教育用映像・音声周波機械器具及び電子応用機械器具,回路基板,コンピュータハードウエア,電子計算機及びその周辺機器,ダイオード,抵抗器,集積回路モジュール,サーミスター,コンピュータ周辺機器及び付属品,スマートフォン,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,ICカード(スマートカード),光半導体増幅器,ICチップ,半導体,発光ダイオード(LED),光センサー,電子式電源装置,電気的遠隔制御装置,三極管,トランジスター(電子部品),整流用電気装置,制御盤(電気用のもの),逓昇変圧器,ビデオスクリーン,電気アダプター,電子式変圧器,電気式測定機械器具,電気磁気測定器,ヒューズ線,煙探知器,オシロスコープ,寒暖計,電子はかり,肌水分量分析器(医療用のものを除く。),音声・映像受信機,双方向タッチスクリーン端末機,コンピュータ用ジョイステック(テレビゲーム用を除く。),コンピュータ用モニター」を指定商品として、同3年8月3日に登録査定され、同年9月27日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由に該当するとして引用する商標は、別掲のとおりの構成からなる商標(以下「引用商標1」という。)及び「HiLetgo」の欧文字からなる商標(以下「引用商標2」という。)であり、申立人が同人の業務に係る商品「電子部品」等(以下「申立人使用商品」という。)に使用し、我が国の需要者に広く認識されていると主張するものである。
なお、引用商標1と引用商標2をまとめて「引用商標」という。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第22号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)申立人が先行使用する引用商標について
申立人が市場で長期使用した後、申立人が先行使用する引用商標は、既に高い商業価値を有し、申立人と一対一の対応関係がある。
ア 「HiLetgo」商標証(甲2)について
引用商標1は、米国において申立人により2015年12月31日に登録出願され、2016年8月23日に登録が完了したことが示されている。
一方、本件商標は、2020年9月10日に登録出願されたものである。
つまり、2015年に「HiLetgo」商標の商標登録が行われているため、申立人は、「HiLetgo」商標の権利者として、商標の先行使用権を有する。
イ 「HiLetgo」ブランドのアマゾンでの販売についてのスクリーンショット(甲3〜甲16)について
「HiLetgo」ブランドの2016年3月から今までの我が国のアマゾンでの販売状況を示す。これらのデータは詳細であり、時間的にも連続しているため、本件商標の登録出願の前に、「HiLetgo」ブランドが我が国のアマゾンで長期的に大量に使用されており、一定の販売量を有し、好評を博したことが分かる(甲17〜甲19)。
ウ 「HiLetgo」ブランドの2020年1月1日から2021年11月27日までのアマゾンでの販売統計について
「HiLetgo」ブランドのリアルタイムな運営状況を示す。
申立人の「HiLetgo」ブランドは、本件商標の登録出願前に、オンラインで大量の経営及び販売促進が行われており、一定の売上げを得ている(甲21)。
また、我が国においては、申立人の店舗「HiLetgo JP」が日本市場に開設された唯一の直売店であり、我が国ではいかなる形式の代理商又は授権店はない(甲20)。
エ 「HiLetgo」ブランドの我が国での出願状況(甲22)について
申立人は、「HiLetgo」ブランドの先行使用権を守るために、2021年11月26日に我が国において、係る商標の登録出願をした。
(2)本件商標権者の悪意について
本件商標の商標権者(以下「本件商標権者」という。)は、不正な手段で「HiLetgo」ブランドに係る商標について登録を得ることになった。
本件商標権者による申立人の先行使用商標を先に登録するという行為は、明らかな悪意を持つものである。
(3) まとめ
以上より、申立人が先行使用する引用商標は、本件商標の登録出願前に、既に高い商業価値を有し、申立人と一対一に対応する有意関連性がある。
本件商標は、申立人が先行使用する引用商標と文字部分が完全に一致し、その指定商品は同様に第9類に属する商品であるため、本件商標権者による本件商標を登録した行為は、悪意のある模倣、すなわち、引用商標をコピーする行為である。
引用商標は、未だ我が国においては登録していないが、「HiLetgo」ブランドは、本件商標の登録出願前に、我が国のアマゾンで長期的に大量に販売促進及び使用されており、本件商標権者は、引用商標が未だ我が国において、登録されていないことに気が付き、本件商標を先に登録した。これは、申立人の先行使用権を損ない、明らかな悪意を持つ。
様々な形跡より、本件商標権者は、申立人が先行使用する引用商標を知っており、他人の商標を先に登録するという悪意は明らかであり、本件商標権者による係る行為は、不正な手段で商標登録を得ることであるため、本件商標の登録は許可されるべきではない。
よって、本件商標が登録になり、その指定商品に使用された場合には、申立人の業務に係る商品と出所混同を生じるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 引用商標の周知性について
申立人の提出に係る証拠及び申立人の主張によれば、以下のとおりである。
(ア)米国において、「HiLetgo」の欧文字を含む別掲のとおりの態様からなる引用商標1が、申立人と同一の氏名からなる者により、第9類に属する商品を指定商品として、2016年8月23日に登録された(甲2)。
(イ)我が国において2016年3月頃から引用商標2を使用した申立人使用商品が通販サイト「Amazon」で販売されている(甲3〜甲16)。
(ウ)申立人が、我が国における通販サイト「Amazon」での引用商標2を使用した申立人使用商品の売上高とする証拠(甲21)には、2020年1月から2021年11月までの日付、注文商品数、注文数、売上額と思われる記載が見受けられる(甲21)。
(エ)上記(ア)ないし(ウ)によれば、米国において、引用商標1が、申立人と同一の氏名からなる者により、2016年8月23日に登録されていること、我が国において2016年3月頃から引用商標2を使用した申立人使用商品が、通販サイト「Amazon」で販売されていることは認められるとしても、通販サイト「Amazon」での引用商標2を使用した申立人使用商品の売上高とする証拠(甲21)は、これが、引用商標2を使用した申立人使用商品の注文商品数、注文数、売上額であるのかは確認することができず、また、当該販売実績を裏付ける証拠は提出されていない。
また、申立人の提出した証拠によっては、引用商標を付した申立人使用商品の周知性の度合いを客観的に判断するための証拠、例えば、申立人の業務に係る商品の販売地域、申立人の業務に係る商品の分野における市場シェア等及び広告宣伝の方法、時期地域、規模等は確認できない。
その他、引用商標の周知性を裏付ける具体的な証拠は提出されていない。
そうすると、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が、申立人使用商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
イ 本件商標と引用商標の類似性について
(ア)本件商標について
本件商標は、上記1のとおり、「HiLetgo」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、辞書等に載録されている語ではなく、何らかの特定の意味合いを有する語とは認められないことから、特定の観念は生じない。
したがって、本件商標は、その構成文字に相応して「ハイレットゴー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(イ)引用商標について
引用商標1は、別掲のとおり、「HiLetgo」の文字よりなるところ、その構成中の「Hi」の文字は赤色で表されており、「e」から「o」の文字にかけての上部には赤色で円弧状の図形を配した構成よりなり、また、引用商標2は、上記2のとおり、「HiLetgo」の欧文字からなるところ、引用商標1の構成中の「HiLetgo」及び引用商標2は、上記(ア)のとおり、辞書等に載録されている語ではなく、何らかの特定の意味合いを有する語とは認められないことから、特定の観念は生じない。
したがって、引用商標は、その構成文字に相応して「ハイレットゴー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(ウ)本件商標と引用商標との類似性の程度について
本件商標と引用商標を比較すると、本件商標と引用商標1の構成中の「HiLetgo」及び引用商標2とは、「Hiletgo」の構成文字を共通にするため、外観において近似する印象を与えるものであり、「ハイレットゴー」の称呼を共通にするものであるから、これらは、観念において比較できないとしても、類似の商標であって、類似性の程度は高いものである。
ウ 本件商標の指定商品と申立人使用商品との関連性及び需要者の共通性について
本件商標の指定商品中には、申立人使用商品(電子部品等)と同一又は類似のものが含まれるため、その関連性は高く、また、需要者を共通にするものである。
エ 出所の混同のおそれについて
上記イのとおり、本件商標と引用商標は、類似する商標であり、類似性の程度は高いものの、上記ウのとおり、本件商標の指定商品と申立人使用商品の関連性が高く、需要者を共通にするとしても、上記アのとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人使用商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできないものであるから、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者が、引用商標を連想又は想起することはないというべきであり、本件商標は、その商品が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(2)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するとはいえず、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲
別掲(引用商標1。色彩は原本参照。)




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異議決定日 2022-10-14 
出願番号 2020118958 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W09)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 豊田 純一
特許庁審判官 小田 昌子
山田 啓之
登録日 2021-09-27 
登録番号 6447339 
権利者 張 天文
商標の称呼 ハイレットゴー、レットゴー 
代理人 岩崎 吉男 

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