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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W3043
管理番号 1390961 
総通号数 11 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-11-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-06-02 
確定日 2022-10-13 
事件の表示 商願2021−121452拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 手続の経緯
本願は、令和3年9月30日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和 3年12月14日付け:拒絶理由通知
令和 4年 1月25日 :意見書の提出
令和 4年 3月14日付け:拒絶査定
令和 4年 6月 2日 :審判請求書の提出

2 本願商標
本願商標は、「すし天」の文字を標準文字で表してなり、第30類「巻き寿司の天ぷら,裏巻き寿司の天ぷら,天ぷらにした巻き寿司,天ぷらにした裏巻き寿司,食用魚介類を具材とした巻き寿司に衣をつけて油で揚げた惣菜,食用魚介類を具材とした裏巻き寿司に衣をつけて油で揚げた惣菜,巻き寿司に衣をつけて油で揚げた惣菜,裏巻き寿司に衣をつけて油で揚げた惣菜,すし,天ぷら粉,天ぷら用つゆ」及び第43類「飲食物の提供,すしの提供,天ぷらの提供,すしを含む飲食物のケータリング,持ち帰り可能な飲食店における飲食物の提供,飲食物の提供場所に関する情報の提供,飲食物の提供に関する情報の提供,飲食物のレシピに関する情報の提供,料理のレシピに関する助言」を指定商品及び指定役務として登録出願されたものである。

3 原査定の拒絶の理由(要旨)
本願商標は、「すし天」の文字を標準文字で表してなるものであるが、その構成中の「天」の文字は、「天丼」、「海老天」のように「テンプラ(天麩羅)の略。」を表すものとして一般に使用されているものである。
そして例えば、いなり寿司、太巻き寿司、棒寿司等の天ぷらが、「いなり寿司の天ぷら」、「太巻き寿司の天ぷら」、「鯖の棒寿司天ぷら」等と称されてインターネットでレシピが紹介されている実情があるから、本願商標全体として「寿司の天ぷら」程度の意味合いを容易に理解、認識させるものである。
そうとすれば、本願商標は、「すし天」の文字を普通に書してなるにすぎないものであるから、本願商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、該商品が「寿司の天ぷら」程の意味を認識、理解するにとどまり、単に、商品の品質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものと認める。
また、その指定役務に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その役務の提供の用に供するものが、「寿司の天ぷら」であると容易に理解、認識させるにとどまり、単に役務の提供の用に供するものを表してなるにすぎないものと認める。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記「寿司の天ぷら」と何ら関係のない商品・役務に使用するときは、商品の品質及び役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。

4 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は「すし天」の文字を標準文字で表してなるところ、本願商標構成中の「すし」の文字は、料理の一種である「寿司」を容易に理解させる語であり、「天」の文字は様々な意味を有する語であるものの、料理との関係においては「「天麩羅(テンプラ)」の略。」を意味する語(出典:デジタル大辞泉 株式会社小学館)である。
そして、天ぷらとは、食材に衣をつけ、油で揚げて調理する料理であるところ、食材名と「天」の文字を組み合わせた、「○○天(○○は食材名)」の文字(語)が、当該食材を揚げた天ぷらであるといった、天ぷらの内容を表示するものとして一般に用いられていることは広く認識されており、別掲1の事実もこれを裏付けるものである。
また、原審説示及び別掲2のとおり、寿司を揚げた、寿司の天ぷらが一般に紹介、提供されている実情も認められる。
以上からすれば、本願商標は、「すし」の文字(語)と天ぷらを表す「天」の文字(語)を組み合わせてなるものと把握され、全体として「寿司の天ぷら」の意味合いを容易に理解させるものというのが相当である。
そうすると、本願商標をその指定商品及び指定役務に使用したときは、これに接した取引者及び需要者は、その商品が「寿司の天ぷら,寿司の天ぷら用の天ぷら粉,寿司の天ぷら用つゆ」であること及びその役務が「寿司の天ぷらの提供,寿司の天ぷらを含む飲食物のケータリング,持ち帰り可能な飲食店における寿司の天ぷらの提供,寿司の天ぷらの提供場所に関する情報の提供,寿司の天ぷらの提供に関する情報の提供,寿司の天ぷらのレシピに関する情報の提供,寿司の天ぷらのレシピに関する助言」であることを理解するに過ぎず、本願商標は、商品の品質、用途又は役務の質を普通に用いられる方法で表示したものと認識され、自他商品役務の識別標識としては機能し得ないものというのが相当である。
したがって、本願商標は、商品の品質、用途又は役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といえるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、本願商標をその指定商品及び指定役務中、「寿司の天ぷら」に関連しない商品及び役務に使用するときは、商品の品質及び役務の質の誤認を生じるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、食品名に含まれる「天」の文字が、「天ぷら」一般の略語であるということはできず、「天」の文字を含む食品には、明らかに天ぷらと理解されないものも存在すること、そして「すし天」の言葉が、「寿司の天ぷら」の意味合いで使用されている例はないことから、本願商標は生来的に自他商品役務識別力を有している旨、また、「すしの天ぷら」なる商品が世の中に存在するとしても、それらは「寿司の天ぷら」、「寿司天ぷら」と称することが一般的に行われていることから、本願商標は、「寿司の天ぷら」なる商品の「取引に際し必要適切な表示である」とはいえず、独占適応性を有する旨主張している。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品及び指定役務の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それゆえに登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質や役務の質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきであるところ、上記(1)のとおり、本願商標を構成する「すし」及び「天」の語義の理解は容易であり、天ぷらの内容を表示する語として「○○天(○○は食材名)」の表現が一般に用いられており、寿司の天ぷらが紹介、提供されている実情があることからすれば、例え本願商標が一般に使用されている事実が確認できないとしても、これに接する取引者、需要者は、「寿司の天ぷら」であると理解するものというのが相当であって、本願指定商品及び指定役務との関係においては、商品の品質、用途及び役務の質を表したものと認識するというのが相当である。
してみれば、本願商標は、指定商品及び指定役務の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標であるというべきであって、特定人によるその独占使用を認めるのは適当でないものである。
イ 請求人は、食品の分野における過去の登録例を挙げて、本願商標も同様に取り扱われるべきである旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項の規定に該当するか否かは、当該商標の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様や取引の実情を踏まえて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の挙げた登録例は、商標の構成態様が本願商標とは異なるものである点において、本願とは、事案を異にするものというべきであり、また、過去の登録例が存在することをもって、本願商標の上記判断が左右されるものではない。
ウ したがって、請求人の主張はいずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。


別掲

【別掲1】食材名と「天」の文字を組み合わせた、「○○天(○○は食材名)」の語が、天ぷらの内容を表示する語として使用されている例
1 「天丼・天ぷら本舗 さん天」のウェブサイトにおいて、「メニュー」のページに、ちくわの天ぷらが「ちくわ天」、舞茸の天ぷらが「舞茸天」、ミニトマトの天ぷらが「ミニトマト天」、ミニハンバーグの天ぷらが「ミニハンバーグ天」等として紹介されている。
https://sato-res.com/santen/menu/
2 「はなまるうどん」のウェブサイトにおいて、「おしながき」のページに、いかの天ぷらが「いか天」、焼き芋の天ぷらが「焼き芋天」、半熟たまごの天ぷらが「半熟たまご天」等として紹介されている。
https://www.hanamaruudon.com/menu/05_4.html
3 「すかいらーくグループ 藍屋」のウェブサイトにおいて、「メニュー」、「お持ち帰り」、「天ぷら」のページに、きすの天ぷらが「きす天」、かぼちゃの天ぷらが「かぼちゃ天」、なすの天ぷらが「なす天」等として紹介されている。
https://www.skylark.co.jp/aiya/menu/menu_category.html?cid=409
4 「ホットペッパーグルメ」のウェブサイトにおいて、「天たけ」、「メニュー」、「料理」のページに、「天ぷら」の見出しの下、「ふぐ天」、「いか天」、「穴子天」、「きす天」等の記載がある。
https://www.hotpepper.jp/strJ001208716/food/
5 「ぐるなび」のウェブサイトにおいて、「うどん日和」、「メニュー」、「単品」のページに、「単品天ぷら うどんの具の追加に・・・」の見出しの下、「ちくわ天」、「半熟卵天」、「海老天」等の記載がある。
https://r.gnavi.co.jp/acbeuyup0000/menu2/

【別掲2】寿司を揚げた、寿司の天ぷらが紹介されている例
1 「Woman.excite」のウェブサイトにおいて、「春の寿司天ぷら」の見出しの下、「お寿司に天ぷらがのってるのは普通だけど、お寿司をまるごと天ぷらにしてみたらサックリ美味しい!」の記載がある。
https://erecipe.woman.excite.co.jp/detail/4adc62dfe9d8e8528d9824c64c39a338.html
2 「プロから学ぶ簡単家庭料理 シェフごはん」のウェブサイトにおいて、「巻寿司天麩羅」の見出しの下、レシピが紹介されている。
https://chefgohan.gnavi.co.jp/detail/496/
3 「ベル ジャポン」のウェブサイトにおいて、「キリ巻き寿司天ぷら」の見出しの下、レシピが紹介されている。
https://www.bel-japon.com/belrecipe/0238.html
4 「サントリー」のウェブサイトにおいて、2016年9月5日付け、「【「金麦」幸せレシピでカンパイ!】巻き寿司を天ぷらにしてコクをプラス!「レタスサラダ巻き天」」の見出しの下、「今回使うのは、マックスバリュの「レタスサラダ巻き」。そのままでも十分においしいのですが、今回はサクッとおいしい天ぷらにアレンジします。」の記載がある。
https://www.suntory.co.jp/area/hokkaido/d/5443/
5 「かつみ屋うどん」のウェブサイトにおいて、「メニュー」、「ごはん・その他」のページに、「揚げいなり」の見出しの下、「あつあつのいなり寿司の天ぷらです」の記載がある。
http://katsumiyaudon.com/menu/12780
6 「icotto」のウェブサイトにおいて、2016年7月25日付け、「豊川稲荷参拝のお供に!豊川名物の「豊川いなり寿司」おすすめ6選」の見出しの下、「「豊川いなり寿司」の中でも有名な「天ぷらいなり」。大葉もしくは海苔を巻いたいなり寿司が丸ごと天ぷらになっています。サクっとした歯応えに油揚げの甘味、酢飯のバランスが絶妙と大人気。メディアにも多数紹介され、ファンも多い人気の逸品。」の記載がある。
https://icotto.jp/presses/2986


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審理終結日 2022-07-28 
結審通知日 2022-08-02 
審決日 2022-08-30 
出願番号 2021121452 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W3043)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 豊瀬 京太郎
特許庁審判官 板谷 玲子
鯉沼 里果
商標の称呼 スシテン 
代理人 中村 祥二 

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