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審決分類 |
審判 査定不服 外観類似 取り消して登録 W42 |
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管理番号 | 1390951 |
総通号数 | 11 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2022-11-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2022-04-25 |
確定日 | 2022-10-27 |
事件の表示 | 商願2020−148386拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1 本願商標及び手続の経緯 本願商標は、「SmartWorker」の文字を標準文字で表してなり、第9類及び第42類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和2年12月1日に登録出願されたものである。 本願は、令和3年9月17日付けで拒絶理由の通知がされ、同年10月19日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同4年2月10日付けで拒絶査定がされたものである。 これに対して、令和4年4月25日に拒絶査定不服審判の請求がされ、本願の指定商品及び指定役務については、最終的に、審判請求書と同日受付の手続補正書により、第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,コンピュータシステムの設計・作成に関するコンサルティング,ウェブサイトの作成又は保守」に補正されたものである。 2 引用商標 原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第5845086号商標(以下「引用商標」という。)は、「スマートワーカー」の文字を標準文字で表してなり、平成27年10月8日に登録出願、第35類「派遣によるOA機器の操作・データ入力・一般会計事務・秘書・経理事務,電子計算機を用いて行う情報検索事務の代行」を含む第35類及び第41類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務を指定役務として、同28年4月22日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 3 原査定の拒絶の理由(要旨) 原査定は、本願商標と引用商標とは、外観において相違するものの、「スマートワーカー」の称呼及び「賢明な(スマートな)働き手」の観念を同一にするものであるから、これらを総合的に考察すると、両者は互いに紛れるおそれのある類似する商標であり、かつ、本願の指定役務は、引用商標の指定役務と類似するものであるから、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するとしたものである。 4 当審の判断 (1)本願商標について 本願商標は、上記1のとおり、「活発な、賢明な、スマートな」等の意味を有する「Smart」の文字と、「働く人、労働者」等の意味を有する「Worker」の文字(いずれも「新英和中辞典」研究社)を結合したものと容易に認識させる、「SmartWorker」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字に相応して「スマートワーカー」の称呼を生じ、「賢明な(スマートな)働く人」の観念を生じるものである。 (2)引用商標について 引用商標は、上記2のとおり、「スマートワーカー」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「スマート」の文字は、「活発な、賢明な、スマートな」等の意味を有する「Smart」の表音を、「ワーカー」の文字は、「働く人、労働者」等の意味を有する「Worker」の表音をそれぞれ片仮名で表したものと容易に理解させるものであるから、引用商標は、その構成文字に相応して「スマートワーカー」の称呼を生じ、「賢明な(スマートな)働く人」の観念を生じるものである。 (3)本願商標と引用商標との類否について 本願商標と引用商標との類否について検討するに、まず外観においては、本願商標は、構成各文字が全て欧文字で表されているのに対し、引用商標は、構成各文字が全て片仮名で表されていることから、文字種が相違するものの、商標の使用において、その構成文字を同一の称呼が生じる範囲内で文字種を相互に変換して表記されることが一般に行われている取引の実情があることに鑑みれば、両者における文字種の相違が、取引者、需要者に対し、出所識別標識としての外観上の顕著な差異として強い印象を与えるとまではいえないものである。そして、称呼及び観念においては、両者は、「スマートワーカー」の称呼及び「賢明な(スマートな)働く人」の観念を共通にするものである。 そうすると、本願商標と引用商標とは、称呼及び観念を共通にするものであり、外観において差異を有するとしても、この差異は、称呼上及び観念上の類似性を凌駕するほどの顕著なものとはいえないことから、これらの外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は、役務の出所について誤認混同を生じるおそれのある、互いに類似の商標というのが相当である。 (4)本願の指定役務と引用商標の指定役務との類否について ア 役務の類否判断について 商標法第4条第1項第11号における役務の類否の判断は、取引の実情、すなわち、a)提供の手段、目的又は場所が一致するかどうか、b)提供に関連する物品が一致するかどうか、c)需要者の範囲が一致するかどうか、d)業種が同じかどうか、e)当該役務に関する業務や事業者を規制する法律が同じかどうか、f)同一の事業者が提供するものであるかどうか等を総合的に考慮して判断をすべきものであり、その類否は、2つの役務に同一又は類似の商標が使用された場合、これに接する取引者、需要者が役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるかどうかにより判断すべきものである。 そこで、これを踏まえて、本願の指定役務である「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,コンピュータシステムの設計・作成に関するコンサルティング,ウェブサイトの作成又は保守」(以下「本願指定役務」という。)と、引用商標の指定役務中の「派遣によるOA機器の操作・データ入力・一般会計事務・秘書・経理事務,電子計算機を用いて行う情報検索事務の代行」(以下「引用指定役務」という。)の類否について検討する。 イ 本願指定役務について 本願指定役務は、依頼者との契約等に基づいて、電子計算機(コンピュータ)プログラム、コンピュータシステムやウェブサイトなどの「コンピュータソフトウェア関連の設計、開発等を行う」役務を提供することが目的であり、その提供場所は、役務の提供者自身の開発環境で行われることが一般的である。そして、コンピュータプログラム等の設計、開発に際しては、コンピュータ、サーバー、開発・テスト用のソフトウェア等のコンピュータハードウェア及びソフトウェアを用いて行うものである。 また、当該役務は、新たにコンピュータのシステムやウェブサイトの企画、運用を行うことを欲する企業等が需要者であり、契約等に基づいて役務の提供を行うものである。 さらに、本願指定役務はソフトウェア業者が提供するものであって、その業種はソフトウェア業ということができるものである。 ウ 引用指定役務について 引用指定役務は、依頼者の指示に従って、OA機器の操作、データ入力、情報検索事務等の「事務作業を行う」役務を提供することが目的であり、その提供場所は、「派遣によるOA機器の操作・データ入力・一般会計事務・秘書・経理事務」は、派遣先である依頼者のもとであり、「電子計算機を用いて行う情報検索事務の代行」は、提供者又は依頼者のもとである。そして、事務作業の提供に際しては、一般的なコンピュータハードウェア及びソフトウェアを用いて行うものである。 また、引用指定役務は、OA機器の操作、データ入力、情報検索事務等の事務作業を自身で行うのではなくアウトソーシングすることを欲する企業等が需要者であり、「派遣によるOA機器の操作・データ入力・一般会計事務・秘書・経理事務」については、労働者派遣契約等に基づいて提供され、労働者派遣法の規制のもと行うものであり、「電子計算機を用いて行う情報検索事務の代行」は、契約等に基づいて役務の提供を行うものである。 さらに、引用指定役務のうち「派遣によるOA機器の操作・データ入力・一般会計事務・秘書・経理事務」は、人材派遣業者によって提供されるものであって、その業種は人材派遣業であり、「電子計算機を用いて行う情報検索事務の代行」については、事務代行業者が提供するものであって、その業種は事務代行業ということができるものである。 エ 本願指定役務と引用指定役務との類否について 上記のとおり、本願指定役務と引用指定役務とは、その提供に関連する物品が一致し、提供場所について一部が一致する場合はあるものの、両者の目的は、本願指定役務が「コンピュータソフトウェア関連の設計、開発等を行う」のに対し、引用指定役務は「事務作業を行う」ものであるから、これらは本質的に異なる役務であるということができ、さらに、提供の手段、需要者の範囲、業種、提供する事業者という観点からも異にするものである。 したがって、両者に同一又は類似の商標が使用された場合、これに接する取引者、需要者は、役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれのないものであり、本願指定役務と引用指定役務とは、互いに類似しない役務と判断するのが相当である。 また、本願指定役務と、引用商標の指定役務のうち引用指定役務を除いた役務とは、明らかに非類似の役務と認められる。 (5)まとめ 以上のとおり、本願の指定役務と引用商標の指定役務は、非類似の役務と判断するのが相当であるから、たとえ、本願商標と引用商標とが類似する商標であるとしても、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2022-10-17 |
出願番号 | 2020148386 |
審決分類 |
T
1
8・
261-
WY
(W42)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
森山 啓 |
特許庁審判官 |
小林 裕子 荻野 瑞樹 |
商標の称呼 | スマートワーカー |
代理人 | 澤邉 由美子 |