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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W25
管理番号 1390754 
総通号数 11 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-11-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2021-06-03 
確定日 2022-08-22 
事件の表示 上記当事者間の登録第6008718号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第6008718号商標の指定商品中、第25類「靴類,げた,草履類,運動用特殊靴(「乗馬靴」及び「ウインドサーフィン用シューズ」を除く。),ウインドサーフィン用シューズ」についての商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第6008718号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成29年6月16日に登録出願、第25類「寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,アイマスク,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ナイトキャップ,帽子,靴類,げた,草履類,運動用特殊靴(「乗馬靴」及び「ウインドサーフィン用シューズ」を除く。),ウインドサーフィン用シューズ」を指定商品として、同30年1月5日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
(1)請求の趣旨
請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
(2)請求の理由
本件商標は、その指定商品中、第25類「靴類,げた,草履類,運動用特殊靴(「乗馬靴」及び「ウインドサーフィン用シューズ」を除く。),ウインドサーフィン用シューズ」(以下「本件請求商品」という。)について、本件審判の請求の登録前3年以内(平成30年(2018年)6月18日から令和3年(2021年)6月17日まで。以下「要証期間」という。)に、日本国内において商標権者によって使用された事実がないもので、本件商標には専用使用権者又は通常使用権者の登録もなく、また、その不使用について正当な理由があるとは考えられないから、商標法第50条第1項の規定により、本件請求商品についての登録は取り消されるべきである。

3 被請求人の主張
(1)答弁の趣旨
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、答弁書及び回答書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証から乙第6号証(以下「乙○」という。)を提出した。
(2)答弁の理由
ア 本件商標の指定商品についての使用
本件商標権者は、本件商標を、その指定商品中、少なくとも「靴類」(以下、「使用商品」という。)について使用している。
本件商標を付した使用商品は、本件商標権者が製造し、これを株式会社チヨダ(乙1。以下「C社」という。)に卸し、同社の小売店舗業態の一つである東京靴流通センター(乙2)に出荷し、その店舗において販売するという商流を経て需要者が目にすることとなる。
イ 証拠について
(ア)乙1(C社の「会社概要」のウェブページ)
C社の「事業内容」には「紳上靴・婦人靴・スニーカーの販売」があり、ここに「東京靴流通センター(TOKYO SHOES RETAILING CENTER)」という店舗を展開していることが示されている。
(イ)乙2(東京靴流通センターのウェブページ)
東京靴流通センターの左横には「TOKYO SHOES RETAILING CENTER」のロゴがあり、そのURLから、同店舗をC社グループ内では「TSRC」と略すことが分かる。
(ウ)乙3(C社の管理システム)
C社の管理システムにおいて、使用商品の画像、取引先欄に「(株)丸紅フットウェア」、ブランド「Starfa」が示されている。
(エ)乙4(東京靴流通センターのチラシ)
チラシの発行、配布主体として「TOKYO/SHOES/RETAILING/CENTER 東京靴流通センター」が記されている。また、紙面には、使用商品の画像と、品名「Starfa」が記されている。さらに、紙面にはイベント開催日時として「2018年11月3日(土)」が記されている。
(オ)乙5(店舗名のコード表)
乙4の「西岡店」とは「東京靴流通センター」のTS西岡ビバパーク店であることが記されている。
ウ 使用の立証
(ア)本件商品の特定
本件商標は、白地に、縦長で上端が左、下端が右となるように傾いた黒色でなる上下端辺を除く2辺が鋸歯状(ジグザグ)の外形線で形成された平行四辺形の当該外形線内を同色黒塗りし、かつ該鋸歯状の外形線間の中央には同傾きで白色の鋸歯線が描かれると共にこの鋸歯線を挟んだ左右方向両側に同傾きで白色の破線が描かれた線状矩形を、所定幅を設けて平行で上下方向の高さを同一として合計2本、左右方向に並べ、2本の線状矩形の全体が右上がりに傾斜した外観であり、靴(乙3、乙4)には、本件商標が付されている。
よって、その靴は、本件商標が付された使用商品である。
そして、使用商品は、「Starfa」というブランドとして同一のものである。
(イ)本件商標の使用
「TOKYO/SHOES/RETAILING/CENTER 東京靴流通センター」から「2018年11月3日(土)」頃に配布されたチラシには、使用商品の画像と「Starfa」が記されている(乙4)。
当該チラシ配布元で、使用商品の末端小売店である「TOKYO/SHOES/RETAILING/CENTER 東京靴流通センター」は、C社の店舗業態の一つであり、「TSCS○○」(○○は店舗展開地域。乙5。)又は「TSRC」(乙2)と表記されている(乙1、乙4)。
同店舗には、C社が「(株)丸紅フットウェア」(本件商標権者)に対して使用商品を発注する体制があった(乙3)。
上記商流を経て「西岡店」(TS西岡ビバパーク店)から使用商品のチラシを配布した「2018年11月3日(土)」頃、店頭販売していた(乙4)。
(ウ)本件商標権者及び使用商品とC社との関係
使用商品は、C社のODM(Original Design Manufacturing)製品であり、本件商標権者からC社に使用商品を企画提案し、C社が企画提案を受け入れた後に、本件商標権者において使用商品を製造し、C社にて一括仕入を行い、C社グループ(各業態の小売店舗)において販売する。
つまり、使用権許諾における商標権者と使用権者との関係でいえば、通常は「登録商標の使用(登録商標を付した商品の製造・販売)を許可する」ということとなるが、ODMの場合は「登録商標を使用した商品をC社向けに製造・販売したのでC社にて取り扱って(仕入及び販売して)下さい」、ということとなる。
上記関係性のいずれにおいても、使用商品は、本件商標権者からC社だけに製造・卸しを行っているから、C社に独占的通常使用権がある。なお、この点、通常使用権許諾契約書に代えて、必要であれば使用商品についてのC社とのODM契約証又はその旨のC社からの証文を入手する用意がある。
(エ)商標法第50条第2項
上記(ウ)から、乙4は、独占的通常使用権者により「2018年11月3日(土)」頃に本件商標を使用したことを示す証拠になる。
よって、被請求人は、本件商標について、要証期間に、日本国内において通常使用権者が本件請求商品について使用していることを証明した。
(3)審尋に対する回答
ア 乙6について
(ア)乙6は、C社により提供された「店頭売り上げデータベース」の仕入と売上の集計がわかるスクリーンショットである。
その上部には、ブロック「999999999 オールチヨダ」、期間年月日「20180618〜20180930」、ブランド「984:Starfa」が表示されている。
その下部には、メーカー品番「ST−3003」、取引先「(株)丸紅フットウェア」、ブランド「Starfa」、初在数「202、161、80、115、558(合計)」、末在数「186、151、74、111、552(合計)」が表示されている。
(イ)上記の表示内容において、ブロックの欄はC社自体を、初在数の欄は期間年月日内において仕入れた靴の累積総数を、末在数の欄は期間年月日内における在庫総数を意味する。
(ウ)上記の表示内容は、C社の発注書(乙3)の記載内容と一致しているから、本件商標を付した靴についての情報であることが分かる。
イ 以上のとおり、乙6により、C社は、本件商標権者から、要証期間である2018年6月18日から同年9月30日までの間に、累積的に558足を仕入れたことが分かる。
つまり、本件商標権者は、C社に、要証期間である上記期間に、本件商標を付した靴を558足卸し売った、すなわち譲渡したことが分かる。

4 当審の判断
(1)不使用取消審判について
商標法第50条第1項の規定に基づく商標登録の取消しの審判が請求された場合には、同条第2項において、その審判の請求の登録前3年以内(要証期間)に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにした場合を除いて、商標権者は、その指定商品に係る商標登録の取消しを免れないとされている。
(2)被請求人の主張及び提出証拠によれば、以下のとおりである。
ア C社は、紳士靴・婦人靴・スニーカー等の販売を行う会社であって、「東京靴流通センター」(靴とシューズの専門店)を運営している(乙1、乙2)。
なお、同社が、本件商標の通常使用権者であることを示す具体的な証拠はない。
イ C社の管理システム「一括発注書 商品別(通常)」には、本件商標権者が製造する「Starfa」(品番「ST−3003」、カラー名称「BK」)と称する商品(以下「本件使用商品」という。)について、商品(靴)の写真(別掲2。アッパー部の側面に、右下がりの黒色の2本の平行な斜線(その中心にはギザギザの白線がある。)を配してなることは確認できる。)が掲載されているが、「納入指定日」及び「商品発注日」等の取引時期を示す情報の欄は空欄である(乙3)。
ウ C社の店舗(東京靴流通センター、西岡店)のチラシ(2018年11月3日の日付の記載がある。)には、本件使用商品「Starfa」が、商品写真とともに掲載されている(乙4)。
エ C社の店頭売り上げデータベースには、本件使用商品「Starfa」(品番「ST−3003」、カラー「BK」)の、2018年6月18日から同年9月30日まで(以下「取引期間」という。)の取引記録として、「初在数」の欄に「161」、「売上数」の欄に「9」、「末在数」の欄に「151」の記載がある(乙6)。
「初在数」の欄は、取引期間に仕入れた靴の累積総数を、「末在数」の欄は、同期間内における在庫総数を示すとされる(被請求人の主張)。
(3)判断
ア 上記認定事実によれば、要証期間である取引期間(2018年6月18日から同年9月30日まで)に、C社の店舗において、本件商標と構成態様がおおむね共通する2本の斜線を付した本件使用商品を、顧客に販売(9個)したこと、さらには、本件使用商品を掲載したチラシが、要証期間である2018年10月末頃に頒布されたことは推察できる。
しかしながら、当該取引やチラシ頒布は、あくまで第三者であるC社による行為にすぎず、本件商標の商標権者、専用使用権者又は通常使用権者による使用行為と認めることはできない。
イ 被請求人は、C社が本件商標の通常使用権者であることを、その使用に係る商品の性質(OMD製品)を根拠に主張する。
しかしながら、本件商標権者とC社は、発注書(乙3)において「メーカー」と「取引先」とされているとおり、単に製造者と販売者という取引関係にあるにすぎないと理解するのが自然であって、その他、本件商標権者とC社との間で本件商標に関する通常使用権に関する合意があったことを認めるに足りる証拠は提出されていない。
ウ また、被請求人は、乙6によれば、本件商標権者は、取引期間内に、本件商標を付した靴を譲渡したことが分かる旨を主張する。
しかしながら、乙6はC社のデータベースであるところ、そこに記載された本件使用商品(品番「ST−3003」、カラー「BK」)に関する「初在数」の欄の数字(161)と「末在数」の欄の数字(151)を比較すれば、取引期間におけるC社の在庫数の増減の把握(10減少)は可能であるとしても、同期間における「売上数」の欄の数字(9)以上に減少しているのだから、同期間に本件商標権者からC社に対して本件使用商品が在庫として追加納品された事実は読み取れない。
その他、被請求人からは、本件商標権者が、要証期間に、C社又はその他の取引先に、本件使用商品を譲渡又は引渡したことを認めるに足りる証拠の提出はない。
(4)まとめ
以上のとおり、被請求人は、その提出証拠によって、要証期間に、日本国内において、本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件請求商品について、本件商標を使用していることを証明していない。
また、被請求人は、本件請求商品について、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の本件請求商品についての登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

別掲
別掲1(本件商標)





別掲2(本件使用商品。乙3。)




(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、この審決に係る相手方当事者を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
審理終結日 2022-06-27 
結審通知日 2022-06-30 
審決日 2022-07-12 
出願番号 2017079942 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (W25)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 矢澤 一幸
特許庁審判官 阿曾 裕樹
杉本 克治
登録日 2018-01-05 
登録番号 6008718 
代理人 溝上 哲也 
代理人 柳田 征史 

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