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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W4144
管理番号 1389974 
総通号数 10 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-10-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-03-17 
確定日 2022-10-06 
異議申立件数
事件の表示 登録第6497558号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6497558号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6497558号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1に示すとおりの構成からなり、令和3年2月22日に登録出願、第41類「資格の認定及び付与,技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催」及び第44類「まつ毛エクステンションの施術,美容」を指定役務として、同年12月9日に登録査定され、同4年1月12日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する商標は、以下の3件の商標であり、本件異議申立後の令和4年3月18日に設定登録された商願2022−3408号(引用商標3)を含め、いずれも登録商標として現に有効に存続しているものである(以下、これら3件の商標をまとめて「引用商標」という場合がある。)。
1 登録第6247755号商標(以下「引用商標1」という)は、別掲2に示したとおりの構成からなり、平成30年9月7日に登録出願、第3類「長持ちするエクステンション用人工まつ毛,長持ちするエクステンション用人工まつ毛のための接着剤」及び第44類「長持ちするまつ毛エクステンションの施術」を指定商品及び指定役務として、令和2年4月23日に設定登録されたものである。
2 登録第6247756号商標(以下「引用商標2」という)は、別掲3に示したとおりの構成からなり、平成30年9月7日に登録出願、第3類「美しさを保つエクステンション用人工まつ毛,美しさを保つエクステンション用人工まつ毛のための接着剤」及び第44類「美しさを保つまつ毛エクステンションの施術」を指定商品及び指定役務として、令和2年4月23日に設定登録されたものである。
3 商願2022−3408号商標(本件異議申立後に登録第6531169号として登録された。以下「引用商標3」という。)は、「キープラッシュ」の片仮名を標準文字により表してなり、令和4年1月14日に登録出願、第41類「資格の認定及び付与,技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,録音又は録画済み記録媒体の複製,電子出版物の提供,書籍の制作,インターネットを利用して行う映像の提供,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),ビューティーコンテストの手配,ファッションショーの企画・運営(娯楽のためのもの)」及び第44類「ア―トメイクによる美容,その他の美容,動物の飼育,動物の美容,美容院用又は理髪店用の機械器具の貸与」を指定役務として、同年3月18日に設定登録されたものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第16号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである旨申立て、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第14号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第10号について
(1)本件商標と引用商標1及び3との対比
本件商標は、「KEEP Lash」の文字部分より「キープラッシュ」の称呼を生ずる。
引用商標1は、上下段のそれぞれの文字の一部より「キープラッシュ」の称呼を生ずるものである。
引用商標3は、これを構成する文字より「キープラッシュ」の称呼が生ずることは明らかである。
してみれば、本件商標と引用商標1及び3は、共に「キープラッシュ」の称呼を生ずるから、その称呼において、類似の商標である。
また、本件商標の第44類の指定役務は、引用商標1及び3の第44類の指定役務と同一又は類似である。
(2)引用商標1及び3の周知性について
引用商標1、及び引用商標1に含まれる態様又は単独の態様による引用商標3は、申立人及び通常使用権者によって「まつ毛エクステンションの施術」等に使用されており、その売上高は愛媛県内の店舗におけるものだけでも年間数千万円に達している(甲5〜甲12)。
また、引用商標1の態様を使用して、申立人の業務に係る役務「まつ毛エクステンションの施術」を提供する店舗は、8店舗であり、これらの8店舗のうち、特に愛媛県内に所在する6店舗における2019年から2021年までの売上高の合計金額は3年間で124,112,875円にも及ぶ。
したがって、引用商標1及び3は、少なくとも愛媛県内において、申立人の業務に係る役務を表示するものとして周知の商標である。
(3) まとめ
以上を総合すれば、本件商標は申立人の業務に係る役務を表示するものとして周知の商標である引用商標1及び3にそれぞれ類似し、その指定役務は同一又は類似のものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号の規定に違反して登録されたものである。
2 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標と引用商標1及び2との対比
本件商標は、上記1(1)のとおり「キープラッシュ」の称呼を生ずる。
引用商標1は、上記1(1)のとおり「キープラッシュ」の称呼を生じ、 また、引用商標2は、上下段の「キープラッシュ」の片仮名文字部分と「KeepLash」の英文字部分から、「キープラッシュ」の称呼を生ずる。
してみれば、本件商標と引用商標1及び2は、共に「キープラッシュ」の称呼を生ずるから、称呼を共通にする類似の商標である。
また、本件商標の第44類の指定役務と、引用商標1及び2の第44類の指定役務は、同一又は類似のものである。
(2)まとめ
したがって、本件商標は、引用商標1及び2との関係において、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものである。
3 商標法第4条第1項第15号について
(1)本件商標と引用商標1ないし3の対比
本件商標は、上記1(1)及び2のとおり、引用商標1ないし3とそれぞれ類似している。
また、本件商標と引用商標1ないし3の指定役務は、上記1(1)及び2のとおり、少なくとも一部について同一又は類似のものである。
(2)引用商標1ないし3の周知性について
引用商標1及び3は、上記1(2)のとおり、少なくとも愛媛県内において、申立人の業務に係る役務を表示するものとして周知の商標である。
引用商標2及び3は、引用商標1と共に「キープラッシュ」、「Keep Lash」を含む申立人の一連の商標として広く一般に知られている(甲5〜甲12)。
(3)本件商標及び引用商標1ないし3の関連性について
引用商標1ないし3は、いずれも「キープラッシュ(KeepLash)」の文字を有する、いわゆるシリーズ商標であり、この点において本件商標と共通している。このような周知商標を含む申立人の業務に係るシリーズ商標が存在しているところに、同一の特徴を有する本件商標が登録され、その商標権者等によって同一又は類似の役務について使用されると、役務の出所の混同が生じ得ることは明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものである。
4 商標法第4条第1項第16号について
(1)本件商標から認識される意味について
本件商標においては、「Design(デザイン)」の文字が「デザイン」の意味を、「KEEP(キープ)」の文字が「保つ」の意味を、「Lash(ラッシュ)」の文字が「まつ毛」の意味を有するいずれも親しまれた語である。してみれば、本件商標はこれを構成する「Design KEEP Lash」の英文字より、全体として「デザインを保つまつ毛」ほどの意味を認識させる。
(2)本件商標の使用による役務の質の誤認のおそれについて
本件商標をその指定役務中、「デザインを保つまつ毛エクステンションの施術」等の「デザインを保つまつ毛」に関連する役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるといえる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号の規定に違反して登録されたものである。

第4 当審の判断
1 引用商標の周知性について
申立人は、引用商標が本件商標の登録出願前より需要者の間に広く認識されている旨主張し、以下の甲第5号証ないし甲第12号証を提出している。
甲第5号証は、チェーンストア「ル・タン・ドゥ・ボヌール」のウェブサイトプリントアウトであり、そこには、「当店オリジナル業界最軽量 まつげエクステ【キープラッシュ・ロングキープラッシュ】」の記載がある。
甲第6号証は、申立人とRitzCorporation株式会社の間における引用商標1及び2に関する使用許諾契約書である。
甲第7号証は、ウェブサイト「お名前.com」のWhois(フーイズ)検索結果プリントアウトであるが、そこに引用商標は見当たらない。
甲第8号証は、「ル・タン・ドゥ・ボヌール」売上データプリントアウトであるが、該データは、「ロングキープラッシュ」に関するもののみである。
甲第9号証は、申立人の主張によれば、「ロングキープラッシュ」に関する愛媛県内店舗売上高集計表であるが、これは、単に、店ごとの2019年から2021年の数字及び合計数を羅列したものであって、その作成日、作成者等は不明である。
甲第10号証は、株式会社リクルートのウェブサイトのプリントアウトであるが、その打ち出し日(2022/3/1)は、本件商標の査定後のものである。
甲第11号証は、株式会社リクルート宛広告掲載申込書であるが、引用商標に係る広告の掲載申込書であるかは明らかでない。
甲第12号証は、「ホットペッパービューティ」の掲載料金に関するプリントアウトであるが、引用商標に関するものであるかは明らかでない。
以上、申立人提出の証拠からは、申立人の業務に係る商品及び役務に、引用商標を使用した売上高などの販売実績や市場占有率(シェア)等の量的規模を示す客観的な証拠、引用商標を使用した宣伝広告の時期、期間、回数及び宣伝広告費等に係る客観的な証拠が見出せないことから、引用商標の使用状況を把握することができず、引用商標の周知性の程度を推し量ることができない。
以上の事実を総合すれば、引用商標は、本件商標の登録出願時及び査定時において、申立人の業務に係る商品及び役務を表すものとして、我が国における需要者の間に広く認識され、周知性を獲得するに至っていたと認めることはできない。
2 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、別掲1に示すとおり、「Design KEEP Lash」の文字からなるものであるところ、「Design」、「KEEP」及び「Lash」の各文字は、それぞれ「デザイン」、「保つ」及び「まつ毛」の意味を有するものである。
そして、本件商標は、構成する各文字の間に半角程度の空白はあるものの、同じ書体、同じ間隔で視覚上まとまりよく一体的に表され、また、本件商標の構成文字全体から生ずる「デザインキープラッシュ」の称呼も、無理なく一連に称呼し得るものである。
上記よりすれば、本件商標は、上記各文字が意味を有するものの、全体としては特定の意味合いを認識させるものではないが、かかる構成からすれば、これに接する者をして、全体として一つのまとまりのあるものと理解、認識させるとみるのが自然である。
そうすると、本件商標は、その構成文字全体に相応して「デザインキープラッシュ」の一連の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものといわなければならない。
してみると、本件商標から単に「キープラッシュ」の称呼をも生ずるものとし、そのうえで、本件商標と引用商標1及び2とが称呼を共通にする類似のものであるとする申立人の主張は採用できない。
その他、本件商標と引用商標1及び2とを類似するものとすべき特段の理由は見いだせない。
以上のとおり、本件商標と引用商標1及び2とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標といえるものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。
3 商標法第4条第1項第10号について
申立人提出の証拠からは、上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び査定時において、引用商標1及び3が、申立人の業務に係る商品及び役務を表わす商標として、我が国の需要者の間に広く認識されるに至っていたとまでは認めることはできない。
しかして、引用商標1及び3の周知性を認めることができない上、本件商標は、上記2に示した理由と同様に、引用商標1及び3に類似する商標と判断することはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものではない。
4 商標法第4条第1項第15号について
引用商標は、上記1のとおり、我が国の需要者の間で広く認識されるに至った商標であるとは認められず、また、上記2及び3のとおり、本件商標と類似する商標であるとも認められない。
そうすると、本件商標は、その構成中に「KEEP Lash」の文字を有するものであるとしても、該語を構成の一部に含むことをもって、引用商標と関連付けて認識されるとはいい難いものであるから、両商標は、別異の出所を表示する商標として看取されるというべきである。
してみれば、本件商標を、その登録出願時及び査定時において、その指定役務に使用しても、これに接する需要者が、申立人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く誤信するとは認め難く、役務の出所について混同を生ずるおそれがあったということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではない。
5 商標法第4条第1項第16号について
本件商標は、上記2のとおり、特定の意味合いを認識させるものではなく、一種の造語として看取され理解されるというのが相当であるから、かかる構成態様の本件商標にあって、役務の質等を表示したものと認識されるとは認め難いものである。
そうすると、本件商標は、特定の役務の質を表したものとはいえないから、これをその指定役務に使用しても、役務の質について誤認を生ずるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に違反して登録されたものではない。
6 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第16号に違反して登録されたものではなく、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
別掲1 本件商標



別掲2 引用商標1


別掲3 引用商標2



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異議決定日 2022-09-28 
出願番号 2021027228 
審決分類 T 1 651・ 25- Y (W4144)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 齋藤 貴博
特許庁審判官 馬場 秀敏
岩崎 安子
登録日 2022-01-12 
登録番号 6497558 
権利者 平野 真智子
商標の称呼 デザインキープラッシュ、デザインキープ、キープラッシュ 
代理人 瀬戸 一宏 

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