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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W11
管理番号 1389972 
総通号数 10 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-10-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-03-10 
確定日 2022-10-06 
異議申立件数
事件の表示 登録第6502927号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6502927号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6502927号商標(以下「本件商標」という。)は、「LOCABO RICE POT」の文字を標準文字で表してなり、令和3年5月7日に登録出願、第11類「電球類及び照明用器具,家庭用電気炊飯器,家庭用電気加熱調理器,家庭用電熱用品類(美容用又は衛生用のものを除く。),美容用又は衛生用の家庭用電熱用品類,家庭用ガス炊飯器」を指定商品として、同4年1月7日に登録査定、同月21日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する商標は、以下のとおりであり(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)、現に有効に存続しているものである。
(1)登録第5779299号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成 ロカボ(標準文字)
指定商品及び指定商品 第29類、第30類、第32類及び第41類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務
登録出願日 平成27年3月19日
設定登録日 平成27年7月17日
(2)登録第5914650号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成 ロカボ(標準文字)
指定商品及び指定商品 第30類、第33類、第43類及び第44類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務
登録出願日 平成28年3月9日
設定登録日 平成29年1月20日

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第15号及び同項第19号に該当するから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第24号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第7号について
ア 引用商標及びそれらに関連する商標の概要
引用商標「ロカボ」とは、申立人の一般社団法人食・楽・健康協会(以下「食・楽・健康協会」という。)が提唱する、極端な糖質抜きではなく、おいしく楽しく適正糖質を取ることを推奨する食事に対する考え方に関する商標である(甲4)。「ロカボ」の語は、「低糖質」の英語訳である「Low Carb」から食・楽・健康協会が創作した造語である。
申立人の株式会社ロカボ(以下「ロカボ社」という。)は、前記食・楽・健康協会から委任を受け、引用商標「ロカボ」及びそれらに関連する商標(以下「ロカボ商標」という。)に関し、パートナー企業とライセンス契約を結び、使用許諾を与え、ロカボ商標を世間に広めるともに「ロカボ」の考え方を世間に広める事業を行っている(以下、両申立人を合わせていうときは、「申立人ら」ということがある。)。
「ロカボ」という考え方は、北里大学北里研究所病院の医師であり、食・楽・健康協会の代表でもある山田悟氏が、糖尿病の治療のための食事療法の観点から提唱し始めた緩やかな糖質制限による食事療法の名称である(甲5)。山田悟氏は多数の著書において「ロカボ」の語を用いた食事療法を提唱し、遅くとも2015年頃には「ロカボ」の語が世間一般に周知された。「ロカボ」の語及び概念は多くの雑誌などのメディアに紹介され、それとともにロカボ商標は広く周知されることなった(甲6〜甲17)。
食・楽・健康協会はウェブサイトに示すように多くの、少なくとも100社以上のパートナー企業とロカボ商標のライセンス契約を締結している(甲18)。そして、ロカボ商標が付された商品はどこのスーパーマーケット、コンビニエンストア、ドラッグストアなどにおいても一般需要者が見かけるものとなっている(甲19、甲20)。このようにロカボ商標は日本全国で商品展開されている著名商標である。
イ 本件商標と引用商標との類否について
本件商標は「LOCABO RICE POT」の欧文字を標準文字で書してなり、その構成から「ロカボライスポット」の称呼を生じる。
他方で、本件商標構成中「RICE」は「米」を意味する英語であり、「POT」は「鍋」を意味する英語である(甲21、甲22)から、「RICE POT」の語は「炊飯鍋」を想起し、本件商標の指定商品「家庭用電気炊飯器」などとの関係において識別力が弱い文字部分である。
上述のとおり、「LOCABO(ロカボ)」の文字は申立人である食・楽・健康協会の商標として日本全国に周知されている。よって当該文字部分を分離して観察することは取引上なんら不自然ではない。
取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える文字部分、つまり要部は「LOCABO」の文字部分であり、本件商標は「ロカボ」の称呼を生じる。
引用商標である「ロカボ」の語は「低糖質」の英語訳である「Low Carb」から創作された語であるから、それを欧文字で表記する場合、「LOCABO」と表記するのが自然である。
よって、本件商標と引用商標は観念上同一である。
したがって、本件商標と引用商標は片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生じる類似商標である。
本件商標の指定商品は「家庭用電気炊飯器,家庭用電気加熱調理器」を含む。当該指定商品は、引用商標1の指定商品に含まれる「弁当、穀物の加工品」等、及びそれらに類似する「米飯,おにぎり」を調理する機器であり、その関連性は極めて高い。また、引用商標2の指定役務に含まれる「飲食物のメニュー・レシピ又は食材に関する情報の提供」では、「家庭用電気炊飯器,家庭用電気加熱調理器」を使用する「飲食物のメニュー・レシピ」が提供されるので、その関連性は極めて高い。
ウ 本件商標に係る商品と引用商標に係る商品役務とが混同を生じるおそれについて
引用商標の周知度及び著名性、引用商標が造語よりなるものである事実及び本件商標と引用商標との類似性、商品間及び商品役務間の関連性に加え、本件商標に係る商品と引用商標に係る商品とが混同を生じるおそれは極めて高く、実際のところ、すでに需要者の間において混同が生じている。
(ア)引用商標権者の多角経営の可能性
引用商標は、少なくとも100社以上のパートナー企業とロカボ商標のライセンス契約を締結し、多様な商品及び役務に使用されている。今後も、「食」に関連した分野においてその範囲を拡大する可能性は極めて高い。
「ロカボ」という考え方は「食」に関する概念であり、引用商標の使用は、本件商標の指定商品「家庭用電気炊飯器,家庭用電気加熱調理器」を含む、「食」に関する分野全てに広がる可能性があることは明らかである。
(イ)商品等の需要者の共通性その他取引の実情
申立人が調査したところ、本件商標は商標権者により「美味しさそのまま糖質最大45%カット炊飯器」の広告文とともに商品「炊飯器」の名称として使用されていることがわかった(甲23)。
甲第24号証は、申立人である食・楽・健康協会に送られてきたものであり、本件商標の商標権者により販売されている「炊飯器」に対する苦情・問合せの一部である。食・楽・健康協会は、なんら本件商標の商標権者及び当該炊飯器に関係を有していないにも関わらずこのような苦情・問合せが多数来ていることは、商品役務の需要者の間で、実際に本件商標に係る商品と引用商標に係る商品役務との間に混同が生じている事実を示すものである。
さらに、苦情の内容を見ると、商品が届かない、故障した、米飯がうまく炊けないといった商品及びそれに関するサービスの品質に関する苦情である。このような本件商標の商標権者による品質が低い商品及びサービスの提供は、引用商標の信用の毀損に繁がるものである。
エ 結論
以上より、本件商標は、申立人らが本件商標の登録出願前から「穀物の加工品,菓子,パスタソース,穀物を主原料とするスナック食品,調味料,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,カレー・シチュー又はスープのもと,乳製品,弁当,パン,飲食物のメニュー・レシピ又は食材に関する情報の提供,飲食物の提供」等に使用した結果、我が国において需要者等に広く認識されている引用商標と類似する。また、引用商標「ロカボ」は申立人らによる造語であって、本件商標の商標権者が本件商標を採択するに当たり、偶然に引用商標と酷似する結果になったとは考えにくい。本件商標の商標権者は、本件商標の登録出願時において、本件商標に係る指定商品に関して、引用商標が登録されていないことを奇貨として、引用商標のもつ顧客吸引力に便乗し不正な利益を得る目的あるいは本件商標の実際の使用者に損害を与える目的をもって本件商標の出願に至ったと考えるのが自然である。
したがって、本件商標は、公の秩序を害するおそれがある商標であるから、商標法第4条第1項第7号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
引用商標は、使用されている商品分野で需要者等に広く知られている。
本件商標は、申立人らが本件商標の登録出願前から「穀物の加工品,菓子,パスタソース,穀物を主原料とするスナック食品,調味料,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,カレー・シチュー又はスープのもと,乳製品,弁当,パン,飲食物のメニュー・レシピ又は食材に関する情報の提供,飲食物の提供」等に使用した結果、我が国において需要者等に広く認識されている引用商標と類似する。
そして、本件商標の指定商品中には「穀物の加工品,菓子,パスタソース,穀物を主原料とするスナック食品,調味料,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,カレー・シチュー又はスープのもと,乳製品,弁当,パン,飲食物のメニュー・レシピ又は食材に関する情報の提供,飲食物の提供」等とその需要者層を相当程度共通にする商品が含まれている。引用商標が「食」に関連する分野において申立人らの商標として広く知られているから、本件商標をその指定商品に使用するときは、これがあたかも申立人ら又はそれらの者と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
引用商標は「食」に関連する広い分野において現在使用されており、本件商標の指定商品「家庭用電気炊飯器,家庭用電気加熱調理器」を含む「食」に関する分野全てに、将来使用されることが万人において予想されるものである。
申立人である食・楽・健康協会に本件商標の商標権者により販売されている「炊飯器」に対する苦情・問合せが多数来ており、需要者の間において、実際に本件商標に係る商品と引用商標に係る商品役務との間に混同が生じている
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第19号について
引用商標は、使用されている商品役務分野で需要者等に広く知られている。
本件商標は、申立人らが本件商標の登録出願前から「穀物の加工品,菓子,パスタゾース,穀物を主原料とするスナック食品,調味料,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,カレー・シチュー又はスープのもと,乳製品,弁当,パン,飲食物のメニュー・レシピ又は食材に関する情報の提供,飲食物の提供」等に使用した結果、我が国において需要者等に広く認識されている引用商標と類似する。そして、本件商標の指定商品中には「穀物の加工品,菓子,パスタソース,穀物を主原料とするスナック食品,調味料,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,カレー・シチュー又はスープのもと,乳製品,弁当,パン,飲食物のメニュー・レシピ又は食材に関する情報の提供,飲食物の提供」等と同一又は類似するものや、その需要者層を相当程度共通にする商品が含まれている。
引用商標「ロカボ」は申立人らによる造語であって、本件商標の商標権者が本件商標を採択するに当たり、偶然に引用商標と酷似する結果になったとは考えにくく、むしろその周知著名性を利用して不正の利益を得る等の目的をもって使用するものと考えるのが自然である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について(以下、申立人のうち、一般社団法人食・楽・健康協会を「申立人1」、株式会社ロカボを「申立人2」といい、両者を合わせて「申立人」という。)
申立人提出の甲各号証、同人の主張及び職権調査によれば、「ロカボ」の語は、申立人1が創作した語であること、遅くとも2017年には「ロカボ」の語が「ゆるやかな糖質制限」といった意味合いで雑誌等に紹介されていること(甲6、甲7)、申立人2は、申立人1からの委任を受け、約100社のパートナー企業(甲18)と引用商標及びそれらに関連する商標についてライセンス契約を結び、使用許諾を与えていること(なお、申立人は「それらに関連する商標」についてその構成態様を特定していない。)がうかがえ、また、上記パートナー企業(以下「ライセンシー」という。)が販売、提供する商品は飲食料品であって、これらのうち低糖質を謳う商品には引用商標又はロカボの文字を含む商標が付されているものがあること(甲8、甲16、甲19、職権調査)、申立人1のウェブサイトには「ロカボ商品」と称してライセンシーが販売、提供する低糖質を謳う商品が掲載されていること(甲20)などが認められる。
しかしながら、ライセンシーの業務に係る引用商標を使用した商品について、我が国又は外国における販売数量、販売額などの販売実績や宣伝広告等に係る主張及びそれらに関する証左は見いだせない。
そうすると、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人又はそのライセンシーなど特定の企業の業務に係る特定の商品を表示するものとして、我が国又は外国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 本件商標と引用商標の類似性について
(ア)本件商標
本件商標は、「LOCABO RICE POT」の欧文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、辞書等に載録されていないものであるから、これに接する者は、特定の意味を有しない一種の造語として看取するものといえる。
そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して、「ロカボライスポット」の称呼を生じるとみるのが自然であり、また、特定の観念を生じないものである。
なお、申立人は、本件商標構成中「RICE POT」の語は「炊飯鍋」を想起し、本件商標の指定商品「家庭用電気炊飯器」などとの関係において識別力が弱い文字部分であり、また、「LOCABO(ロカボ)」の文字は申立人である食・楽・健康協会の商標として日本全国に周知されているから、取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える文字部分は「LOCABO」の文字部分であり、本件商標は「ロカボ」の称呼を生じる旨主張している。
しかしながら、本件商標中の「RICE」が「米」を、「POT」が「鍋」を意味する英語(甲21、甲22)であるとしても、「RICE POT」の文字から「炊飯鍋」を想起するとか、本件商標の指定商品中の「家庭用電気炊飯器」との関係で識別力が弱い部分であるとは、にわかにいい難いものであり、むしろ、本件商標は、同じ書体、同じ大きさで、横一連に一体に表されていると把握、認識されるものとみるのが自然であり、また他に、「LOCABO」の文字部分を分離抽出し他の商標と比較検討すべきとする事情は見いだせないから、申立人のかかる主張はその前提において採用できない。
したがって、本件商標は、その構成文字全体が一体不可分のものであって、「ロカボライスポット」のみの称呼を生じ、特定の観念を生じないものというべきである。
(イ)引用商標
引用商標は、それぞれ「ロカボ」の片仮名を標準文字で表してなるところ、該文字は、辞書等に載録されていないものであるから、これに接する者は、特定の意味を有しない一種の造語として看取するといえる。
そうすると、引用商標は、「ロカボ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(ウ)本件商標と引用商標の類似性
本件商標と引用商標との類否について検討すると、両商標は、欧文字と片仮名の差異を有することから、外観上明らかに区別し得るものである。
また、本件商標から生じる「ロカボライスポット」と引用商標から生じる「ロカボ」の称呼を比較すると、両者は「ライスポット」の音の有無という差異を有し、この差異が両称呼全体の語調語感に及ぼす影響は大きく、聞き誤るおそれのないものと判断するのが相当である。
さらに、本件商標と引用商標とは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念において比較できない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において十分に区別し得るものであるから、両商標が需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両商標は、互いに紛れるおそれのない非類似の商標とみるのが相当であり、これらを総合勘案すれば、両商標は類似性の程度が高いとはいえないものである。
イ 出所の混同について
引用商標は、上記(1)のとおり、申立人又はそのライセンシーなど特定の企業の業務に係る特定の商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたと認めることができないものである。
そして、本件商標と引用商標とは、上記アのとおり、その類似性の程度も高いものとはいえないものである。
さらに、本件商標の指定商品と引用商標が使用される飲食料品とは、事業者又は生産者、商品の用途、目的等において明確に異なるものであるから、その需要者が共通する場合があることを考慮しても、本件商標に接する取引者、需要者が、引用商標を想起ないし連想することはないというべきである。
そうすると、本件商標をその指定商品について使用した場合に、これに接する取引者、需要者は、引用商標を連想、想起することはなく、当該商品が申立人又はそのライセンシーと経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものというのが相当である。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第19号該当性について
上記(1)のとおり引用商標は、申立人又はそのライセンシーなど特定の企業の業務に係る特定の商品を表示するものとして、我が国又は外国における需要者の間に広く認識されていたと認められないものであり、上記(2)アのとおり本件商標は引用商標を連想又は想起させることのないものであり、両商標は非類似の商標といえる。
そうすると、本件商標は、引用商標の信用、名声などにただ乗りするとか、毀損するとか、あるいは出所識別機能を希釈化するなど不正の目的をもって使用をするものと認めることはできない。
さらに、申立人提出の証拠によっては、本件商標が引用商標の出所表示機能を希釈化させる又はその信用、名声、顧客吸引力を毀損させるなど不正の目的をもって使用するものというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第7号該当性について
ア 商標法第4条第1項第7号でいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には、(a)その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合、(b)当該商標の構成自体がそのようなものでなくとも、指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反する場合、(c)他の法律によって、当該商標の使用等が禁止されている場合、(d)特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反する場合、(e)当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合、などが含まれるというべきである(知財高裁平成17年(行ケ)第10349号、平成18年9月20日判決)。
イ これを本件についてみると、本件商標は、「LOCABO RICE POT」の文字よりなるものであるから、前記(a)に該当しないことは明らかであり、(b)ないし(d)に該当するものとすべき事情も見あたらない。
そして、申立人は、「引用商標は申立人らによる造語であって、本件商標の採択が偶然に引用商標と酷似する結果になったとは考えにくく、引用商標が登録されていないことを奇貨として、引用商標のもつ顧客吸引力に便乗し不正な利益を得る目的あるいは損害を与える目的をもつて本件商標の出願に至ったもの」である旨主張しているが、引用商標は、上記(1)のとおり、申立人又はそのライセンシーなど特定の企業の業務に係る特定の商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできないものであり、また、申立人が提出した全証拠を勘案しても、本件商標が剽窃的に出願されたものであって、高額で買い取らせる等の目的など、本件商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠く、又は本件商標をその指定商品について使用することが、社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するものとすべき具体的事情等を見いだすことができない。
その他、本件商標が公序良俗に反するものというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(5)申立人の主張について
申立人は、本件商標は「炊飯器」の名称として使用されているところ、申立人1は商標権者及び当該炊飯器に関係を有していないにも関わらず、申立人1に当該商品の苦情・問合せが多数来ており、需要者の間で、実際に混同が生じているものであるから、引用商標の信用の毀損に繁がるものである旨主張する。
しかしながら、申立人の提出の証左(甲24)によれば、2021年8月から2022年1月までに38件の問合せメールがあったことはうかがえるものの、これらが申立人1に宛てた本件商標に関する問い合わせであることについては確認できないものであり、また、仮にそうであったとしても、この証左のみによって、本件商標と引用商標との間で実際に混同が生じているものと認めることはできない。
したがって、申立人の主張は採用することができない。
(6)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同項第15号及び同項第19号に違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲

(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
異議決定日 2022-09-28 
出願番号 2021055432 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (W11)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 森山 啓
特許庁審判官 小松 里美
鈴木 雅也
登録日 2022-01-21 
登録番号 6502927 
権利者 株式会社forty−four
商標の称呼 ロカボライスポット、ロカボライス、ロカボ 
代理人 森下 賢樹 
代理人 森下 賢樹 
代理人 村田 雄祐 
代理人 村田 雄祐 
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