• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部無効 外観類似 無効としない W3035
管理番号 1389840 
総通号数 10 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-10-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2021-07-29 
確定日 2022-07-25 
事件の表示 上記当事者間の登録第6268036号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第6268036号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和元年7月8日に登録出願、第30類「菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」、第35類「菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び第43類「飲食物の提供」を指定商品及び指定役務として、同2年6月18日に登録査定、同年7月9日に設定登録されたものである。

第2 請求人が引用する商標
請求人が、無効の理由において引用する商標登録第6245289号(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成29年4月26日に登録出願、第30類「菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」を指定商品として、令和2年4月14日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。

第3 請求人の主張
請求人は、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第30類「菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」及び第35類「菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下「請求に係る指定商品及び指定役務」という。)についての登録を無効とする、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を審判請求書及び上申書において要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第15号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品及び指定役務中、請求に係る指定商品及び指定役務について、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、同法第46条第1項の規定により、請求に係る指定商品及び指定役務の登録を無効とすべきである。
(1)請求の利益について
請求人は、引用商標(甲2)の権利者であリ、本件商標は、引用商標に類似するにもかかわらず、登録され、現在に至る。したがって、請求人は、本件商標の登録について無効審判を請求する法律上の利害関係を有している。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 外観類似
本件商標は、左方向に向かって飛翔している鳥を簡略化して描いた図形であるところ、全体を太線で表し、目の部分は黒丸、胴体部分の下部には円弧状(三日月形状)の線を描き、足の部分には黒塗りされた略台形を胴体部分と接着して2か所描いてなるものである。
一方、引用商標は左下方向に向かって飛翔している鳥を簡略化して描いた図形であるところ、全体を太線で表し、胴体部分の下部には三日月形状の線を描き、目の部分は黒丸、足の部分には白抜きされた略台形を胴体部分と接着して2か所描いてなるものである。
したがって、本件商標と引用商標とを比較すると、両商標ともに全体を太線で描いている点、目の部分は黒丸を描き、足の部分には略台形を胴体部分と接着して描いている点がそれぞれ一致する。異なる点は、引用商標は全体を左下向きに描き、足の台形が白塗りであり、本件商標は全体を左向きに描き、足の台形が黒塗りであり、目の位置が若干異なる点だけである。
全体の向きは、いずれか一方又は両者を若干回転することで一致するので相違点にはならない。したがって、引用商標と本件商標との相違点は足の台形が白塗りか黒塗りである点と目の位置が若干異なるだけであり、本件商標と引用商標とは類似するものである。
イ 観念類似
引用商標は千鳥紋と呼ばれる家紋の陰千鳥(甲3)に類似するものである。請求人は、株式会社千鳥屋宗家の代表取締役社長であり、饅頭の表面に引用商標の焼印によって焼き模様を施し、商品「千鳥饅頭」(甲4)を製造販売している。
一方、被請求人も同様に饅頭の表面に引用商標の焼印によって模様を施し、商品「千鳥饅頭」(甲5)を製造販売している。
本件商標及び引用商標は、甲第4号証及び甲第5号証に示すとおり直径約6cmの饅頭の表面に施してある焼印模様と同一又は類似するものである。甲第6号証の写真(左右反転)は請求人が代表取締役社長を勤める株式会社千鳥屋宗家の製造工場にて実際に使用されている焼印であり、株式会社千鳥屋宗家はこの焼印模様の施された饅頭を商品「千鳥饅頭」として製造販売している。したがって、商品「千鳥饅頭」に施された本件商標及び引用商標の焼印模様に接した需要者は千鳥屋の製造販売する千鳥饅頭を認識するものといえる。
ウ 焼印の歴史等
(ア)被請求人ホームページ「千鳥屋のあゆみ」に記載のとおり、昭和2(1927)年に「千鳥屋」を開店し、当初から焼印の施された「千鳥饅頭」を製造販売している(甲7、甲8)。被請求人は、1997(平成9)年に設立された(株)千鳥屋ファクトリーを2003(平成16)年に社名変更した会社である。
(イ)「千鳥饅頭」は、福岡、大阪、東京で製造販売され、それぞれ知られており、焼印の元となる登録第1381050号商標(甲9)は、原田家4人(長男A、次男光博(被請求人の元社長)、三男太七郎(請求人)、四男B)によって使用されてきた。
(ウ)しかしながら、被請求人により焼印の元となる商標(甲9)は故意に消滅させられた。その後、被請求人は平成26年に登録第5675232号商標(甲10)を商標登録し、請求人は登録第6245288号商標(甲11)、引用商標(甲2)を商標登録した。
(エ)請求人は登録第5675232号商標(甲10)に対して無効審判請求(商標法第4条第1項第11号を理由とするもの。)するも登録無効とはしないとの判断(甲12)がなされたところ、外観類似に関する最高裁の判決一覧(甲13)によれば、上記無効審判における類否(甲12)のほうが類似しており、さらに本件商標と引用商標の類似関係のほうが格段に類似しているといえる。
(オ)饅頭に本件商標と同一形状の焼印を施した場合、饅頭の皮の収縮によって本件商標とは異なる焼き模様となる(甲4、甲6)。すなわち、被請求人の「千鳥饅頭」(甲5)のような焼き模様とするためには、引用商標に類似形状の焼印を饅頭に施す必要がある。被請求人の商品「千鳥饅頭」の焼印模様(甲14)と本件商標及び引用商標を比較すれば、両方に類似していることが理解できる。焼印によって変形した焼き模様を類似の範囲として捉えず、非類似と認定するのであれば、商標法が類似の範囲を保護している趣旨に反する。
エ 異議申立の決定
本件商標に係る異議決定(甲15)では、本件商標を特定の事物を表したものと認識されないとして、本件商標に付されたウィーン図形分類(鳥のターム)を考慮することなく審理を行っている。
除斥期間
本件商標の商標登録は、令和2(2020)年7月9日であるから、除斥期間の定めは問題とならない。
2 まとめ
本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
3 令和4年5月20日付け上申書
(1)両商標の類否判断
ア 両商標は、1つの「閉形状」(三角様の輪郭図形。以下同じ。)と、2つの「台形」(略四角形。以下同じ。)と、1つの「黒丸(目。以下同じ)」と、1つの「湾曲線」とから構成される点が共通している。また、両商標は、「閉形状」に対し2つの「台形」の、接続される位置及び向き、1つの「黒丸」及び「湾曲線」が「閉形状」の内側に配置されている点が共通している。さらに、両商標は、「閉形状」を構成する3辺のそれぞれの波形の向き(凹凸の向き)が共通している。
イ 一方、相違点について検討する。
本件商標の「黒丸」はやや中央に寄っているのに対し、引用商標の「黒丸」は左側の角に近い位置に配置されている。しかし、両商標の「黒丸」は、閉形状の内側であって、左側の角に近い位置に配置されている点、左側の角を構成する上辺の凸の部分と、下辺の凸の部分とに挟まれるように配置されている点で共通する。
また、本件商標の2つの「台形」は黒色であるのに対し、引用商標の2つの「台形」は白色である。しかし、両商標の「台形」の内側部分はそれぞれ黒色と白色の共に無彩色であって顕著な差異はなく、輪郭が台形形状である点、閉形状を構成する3辺のうち右側の波形形状の辺の湾曲する部分から閉形状の外側(左側の角の反対側)に突出するように設けられている点で共通する。
以上からすると、両商標の「黒丸」及び2つの「台形」の相違点は微差であり、取引者、需要者に対し、外観上の差違として強い印象を与えるとはいえない。
ウ 以上のように、両商標は、詳細に観察すれば異なる点があるものの、その外観上の差異は、微差にすぎず、両商標が「1つの「閉形状」と、「閉形状」の特定の位置に接続された2つの「台形」と、「閉形状」の内側に配置された1つの「黒丸」及び1つの「湾曲線」の要素を組み合わせた構図」として共通するものであるから、相違点は上記共通点に凌駕されるものであり、看者に外観上酷似した印象を与えるものであって、両商標を時と所を異にして、離隔的に観察した場合、互いに紛れるおそれのあるものというのが相当である。
エ また、両商標が菓子等に使用されることを鑑みれば、その需要者が、普通に払われる注意力をもって、商標の細部まで正確に観察し、記憶し、想起して商品の出所を識別するとは限らず、商標全体から受ける印象によって商品の出所を識別する場合が少なくないことをも併せ勘案すれば、両商標を誤認、混同するおそれが決して少なくないものとみるのが相当である。
(2)してみれば、本件商標と引用商標とは、図形商標の類否を判断する上で最も重要な外観において、互いに相紛れるおそれのある類似の商標と認められる。

第4 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を審判事件答弁書において要旨以下のように述べた。
1 本件商標と引用商標との類否
(1)本件商標
ア 本件商標は、三角様の輪郭図形を太い波線で表し、輪郭図形内に中心よりも左側に黒丸、右側に曲線がそれぞれ配置され、黒塗りされた略四角形が輪郭図形の右側に接着して2か所に描かれてなるものである(甲1)。
イ 本件商標は、その外観からは特定の称呼は生じ得ないものである。
ウ 本件商標は、特定の事物を表したものとは認識されず、特定の観念は生じ得ないものである。
(2)引用商標
ア 引用商標は、左下方向に向かって飛翔する鳥を簡略化して描いた図形であるところ、全体を太線で表し、目の部分は黒丸で描かれ、胴体の幅広部には太線で三日月をイメージした曲線が描かれ、足の部分には白抜きの略台形形状が胴体に接着して2か所に描かれてなるものである(甲2)。
イ 引用商標は、その外観からは特定の称呼は生じ得ないものである。
ウ 引用商標は、飛翔している鳥を簡略化して描いたものであるため、特定の観念は生じ得ず、例え観念が生じ得る場合があるとしても「飛んでいる鳥」程の漠然とした観念が生じ得る程度である。
(3)本件商標と引用商標の対比
本件商標と引用商標は、ともに輪郭を太線で表し、その中に黒丸が配置されている点においては共通するものの、黒丸の位置や大きさが異なり、さらに本件商標は特定の事物を表したものとは認識されないものであるのに対して、引用商標は鳥を簡略化して描いた図形からなるものであり、両商標の印象は大きく異なるものである。そして、本件商標及び引用商標からは特定の称呼、観念は生じ得ない。したがって、本件商標と引用商標は、称呼及び観念については比較し得ないものであっても、外観において相紛れることがなく、全体として非類似の商標であるといえる。
2 請求人の主張に対する反論
(1)「外観類似」に対する反論
ア 目が頭部に位置することが「鳥」として把握される外観上の特徴の一つであるのに対して、本件商標の黒丸は、頭部ではなく胴体に位置するものである。そうすると、本件商標の外観は、「鳥」の外観を指し示す特徴を有しないため、「鳥」と認定されるものではない(甲3、甲15)。
イ ウィーン分類は図形要素を含む商標の検索の便宜等の観点から記載されているものにすぎず、ウィーン分類から直ちに本件商標の外観が特定されるわけではないことはいうまでもない(甲1、甲2)。
ウ なお、仮に本件商標の外観が、左上方に向けて飛翔する鳥を描いたものであると把握される場合があるとしても、本件商標と引用商標とは、「足の台形が白塗りか黒塗りである点と目の位置が若干異なるだけ」(請求人主張)ではなく、飛翔する向き、胴幅が広がる位置、胴体の全長と最大幅の比率、胴体の幅広部にある曲線の形状、胴体の全長に対する黒丸―曲線の離間距離の点において相違点を有する。
エ 以上のとおり、本件商標と引用商標とは、外観上、相紛れるおそれはない。
(2)「観念類似」に対する反論
ア 請求人の商品「千鳥饅頭」(甲4)の焼模様は、少なくとも胴体に接着された足の形態は白抜きではなく黒く塗りつぶされたものとなっており、「引用商標の焼印」によって施された焼模様ではないと思われる。このことは、甲第6号証の焼印を使用すると、焼模様の鳥の足部は引用商標のように白抜きではなく黒く塗りつぶされた焼模様となることからも明らかである。
イ また、請求人は、「被請求人も同様に饅頭の表面に引用商標の焼印によって模様を施し、商品「千鳥饅頭」(甲5)を製造販売している。」と主張するが、やはり鳥の足部は黒く塗りつぶされた形態となっている点で「引用商標の焼印」によって模様を施したものでないことは明らかであるから、請求人の主張の根拠が不明である。
ウ さらに、請求人は、「引用商標は千鳥紋と呼ばれる家紋の陰千鳥(甲3)に類似するものである。」と主張したうえで、本件商標や引用商標から「需要者は千鳥屋の製造販売する千鳥饅頭」を観念すると主張するが、本件商標及び引用商標の周知性について何ら具体的な事実を示していない中で、需要者が具体的な商品である「千鳥饅頭」を観念するという根拠も不明である。
エ 以上のとおり、請求人の主張内容は判然としないが、本件商標及び引用商標から「千鳥饅頭」のような具体的な商品を観念することなく、また請求人の主張を善解したとしても、少なくとも本件商標と引用商標との関係においては共通の観念は生じ得ないものである。
(3)「焼印の歴史等」に対する反論
被請求人としては反論に値しないものであると考えるが、以下、念のため反論する。
ア 千鳥屋本家は少なくとも本審判事件とは無関係の第三者と思われ、千鳥屋本家の沿革(甲8)を提出する意図が不明である。
イ 請求人は、焼印の使用者として原田家の4兄弟を紹介しているが、焼印の使用者が誰であるかという点、及び登録商標(甲9〜甲11)に係る主張については、本審判事件とは何ら関係性がない。
ウ 請求人が「千鳥饅頭」に使用中の焼印は引用商標とは異なる焼印であり(甲4、甲6)、また、引用商標と同じ焼印が施されている「千鳥饅頭」は確認できない。
エ 無効審判の審決書(甲12)に係る判断に基づけば、本件商標と引用商標も非類似となって当然と思われる。
オ 外観類似に関する最高裁の判決一覧(甲13)には、引用商標の外観である「飛翔する鳥」に関する類否判断を示すものは一件もない。
カ 請求人は、引用商標の焼印を、実際に饅頭に施した場合に生地の収縮作用により、本件商標又は引用商標の両方に類似したものとなることを根拠として、本件商標と引用商標は類似するものであるとの諭理であると思われるが、両商標の類否判断については、当然ながら願書に記載した商標に基づいて判断するのが原則である(商標法第27条第1項)。
(4)「異議申立の決定について」に対する反論
ウィーン分類がどのように付されていようと、本件商標に接した需要者が本件商標の全体観察を通じて生じる称呼や観念を一律に拘束するものではない。
3 まとめ
以上のとおり、本件商標には請求人が主張する無効理由は存在しないこと明らかである。

第5 当審の判断
1 請求の利益について
請求人は、本件審判を請求するについて利害関係を有している旨主張しているのに対し、被請求人はこの点につき何ら答弁していないものであるから、請求人が利害関係を有することについて争いがないものと認め、以下本案について判断する。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、三角様の輪郭図形を太い波線で表し、その内側に中心より左に黒丸、右寄りに曲線をそれぞれ配するとともに、当該輪郭図形の右側に、黒塗りされた略四角形を2つ接着した構成からなるところ、かかる構成からは、直ちに特定の事物を表したものとして認識され、親しまれているというべき事情は見いだせないものであるから、これよりは、特定の称呼及び観念は生じない。
(2)引用商標
引用商標は、別掲2のとおり、太線で描かれた、左下方向に向かって飛翔している鳥を簡略化した図形であって、胴体部分は羽を広げたような形状にし、その内側に黒丸の目及び三日月図形を、足の部分は2つの略台形を胴体部分と接着させるように表された構成からなるところ、これよりは、特定の称呼及び観念は生じない。
(3)本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標は、ともに輪郭を太線で表し、その内側に黒丸を有する点において共通するものの、輪郭の形状、黒丸の位置及び大きさ、黒丸と曲線又は三日月図形との距離、黒塗りされた略四角形及び輪郭のみの略台形などが相違するうえに、本件商標は、特定の事物を表したものとして認識されないものであるのに対して、引用商標は、鳥を簡略化した図形からなるものである。
そして、これらを踏まえて、両商標の全体を観察すると、両商標は、明らかに相違するものであるから、看者に与える印象は大きく異なるものである。
さらに、本件商標を少し左下方向に回転させたとしても、両商標は、上記のとおり、商標全体の構成態様において明らかに相違し、看者に与える印象が大きく異なるものであって、両商標を対比観察した場合はもとより、時と処を異にして離隔的に観察した場合においても、互いに見誤るおそれはないというべきであるから、本件商標と引用商標とは、外観において、判然と区別できるものである。
また、本件商標と引用商標は、上記(1)及び(2)のとおり、いずれも特定の称呼及び観念は生じないものであるから、比較することができないものである。
以上からすれば、本件商標と引用商標は、称呼及び観念において比較することができないものであるとしても、外観において見誤るおそれはなく、判然と区別できるものであるから、これらを総合勘案すれば、両商標は、互いに紛れるおそれのない類似しない商標と判断するのが相当である。
その他、本件商標と引用商標とが類似するというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標と引用商標とは類似しない商標であるから、本件商標の請求に係る指定商品及び指定役務と引用商標の指定商品が同一又は類似であるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 請求人の主張について
(1)請求人は、本件商標と引用商標は、1つの「閉形状」と、「閉形状」の特定の位置に接続された2つの「台形」と、「閉形状」の内側に配置された1つの「黒丸」及び1つの「湾曲線」の要素を組み合わせた構図を共通にするものであるから、両商標は外観において相紛れるおそれのある類似の商標である旨主張する。
しかしながら、商標は全体観察が基本であるところ、両商標が外観において判然と区別できることは上記2(3)のとおりであるから、両商標において、各構成の一部に部分的に似かよっている個所を含んでいるとしても、それによって上記2の判断は左右されないというべきである。
(2)請求人は、本件商標にウィーン分類の鳥のタームが付与されているから、本件商標も引用商標と同様に鳥を描いた図形であると判断されるべきである旨主張する。
しかしながら、ウィーン分類は図形要素を含む商標を検索するために便宜的に付与している検索キーでしかなく、当該分類によって本件商標の外観が特定されるわけではない。また、商標は、その全体観察をもってそれが特定の事物を表したものかを認定すべきであるから、本件商標に鳥のターム(ウィーン分類)が付与されているとしても、それによって、必ずしも本件商標が鳥を表したものとして認識されることはないというべきである。
(3)したがって、請求人のいずれの主張も採用することはできない。
4 まとめ
以上のとおり、本件商標はその指定商品及び指定役務中、請求に係る指定商品及び指定役務は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではなく、その登録は、同条第1項の規定に違反してされたものではないから、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
別掲
1 本件商標


2 引用商標


(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、この審決に係る相手方当事者を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
審理終結日 2022-05-26 
結審通知日 2022-05-31 
審決日 2022-06-16 
出願番号 2019093933 
審決分類 T 1 12・ 261- Y (W3035)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 大森 友子
特許庁審判官 岩崎 安子
清川 恵子
登録日 2020-07-09 
登録番号 6268036 
代理人 堀田 明希 
代理人 筒井 宣圭 
代理人 西原 広徳 
代理人 高橋 浩三 
代理人 原 慎一郎 
代理人 森田 靖之 
代理人 山腰 健一 
代理人 田中 雅敏 
代理人 有吉 修一朗 
代理人 遠藤 聡子 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ